十 〜忍法魔界転生〜

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十 〜忍法魔界転生〜
ジャンル バトル
漫画
原作・原案など 山田風太郎(原作)
作画 せがわまさき
出版社 講談社
掲載誌 月刊ヤングマガジン
レーベル ヤンマガKCスペシャル
発表号 2012年9月号 - 2018年7月号
発表期間 2012年8月8日 - 2018年6月20日
巻数 全13巻
話数 全71話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

十 〜忍法魔界転生〜』(ジュウ にんぽうまかいてんしょう)は、山田風太郎原作・せがわまさき作画による日本漫画。『月刊ヤングマガジン』(講談社)にて、2012年9月号から2018年7月号まで連載。全71話。

山田風太郎の小説『魔界転生』が原作。『魔界転生』は本作以前にも複数回漫画化されているが、先行作品は原作からの改変・省略が多かったのに対し、本作はかなり原作に忠実である。転生した人物は、耳がとがり、爪や牙が鋭くなるなど、より人間離れした外見となる。ピアスをつけることが多いのも特徴である。

単行本には、巻末特別コラム「人間転生絵巻」として、モデルとなった人物たちの解説がついている。

柳生十兵衛三厳など一部のキャラクターは過去作から引き続き登場する。十兵衛が主役を務めた『Y十M 〜柳生忍法帖〜』は寛永19年(1642年)が舞台となっており、その3年後である。主に紀州藩が舞台となっている。

原作を忠実に漫画化しているため、敵の編成に単行本で最初の2巻を費やし、主人公である十兵衛は3巻からの登場、5巻の終盤にて宣戦布告となる。

あらすじ[編集]

寛永14年(1637年)10月、島原天草一揆が勃発。翌寛永15年2月28日、天草四郎は討ち死にし、一揆勢も全滅した。翌3月1日、幕府軍が戦勝の祝賀を祝う戦場跡にて、由比正雪と宮本武蔵は、女人の体が真二つに裂けて、死んだはずの四郎が蘇るという、摩訶不思議な光景を目の当たりにする。

時は流れて正保2年(1645年)3月、新陰流正当を継ぐ尾張の柳生如雲斎は、田宮坊太郎の転生を目撃し、転生への勧誘を受ける。さらには熊本にて宮本武蔵転生に立会い、心が揺れ動く。

正保3年(1646年)2月、大井川にて、宝蔵院胤瞬は、8年前に死んだとされる荒木又右衛門と邂逅し驚愕する。さらに又右衛門に同行していた四郎と立ち会うも、長年の研鑽を積んだ槍術が四郎の超絶の忍法にまるで通じず、敗北してしまう。

3月、江戸柳生家の柳生宗矩は病んでいた。彼は紀州大納言徳川頼宜が、由比正雪たる怪しげな輩と関わり合いになっているという噂の真偽を確かめるべく、三男の柳生宗冬に調査を命じる。しかし宗冬は謎の入道に敗れ、気を失っている間に尻に「尾」の字を刻まれるという恥辱を与えられてしまう。入道は如雲斎、尾の文字は「尾張柳生」の頭文字であろう。宗矩は胤瞬から魔界転生の法を聞き、おりくと交わり果てる。胤瞬もまた割腹により殉死する。

1か月後、転生した宗矩は如雲斎を一蹴する。小雪は如雲斎に転生の意思を問い、如雲斎は転生を決意。さらに小雪は森宗意軒と転生衆を大納言に紹介し、現将軍家光への反逆をそそのかす。四郎を除く転生衆6人は、大納言に同行し紀州藩へと赴く。

大和の柳生十兵衛の元には、紀州藩の三達人の娘、お縫、おひろ、お雛の3人の女人が修行にやって来ていたが、大納言の元に招かれ、別れることとなる。だがよからぬ噂があったことで、父兄たる三達人が調べたところ、同様に招かれた藩の娘たちは転生衆たちに虐殺されていたという事実を知る。三達人は三人娘を十兵衛のもとへと逃がすも、転生衆に殺されてしまう。木村助九郎は十兵衛に、既に死んでいる4人の武芸者の名と、さらに2人いることを告げて息絶える。もちろんのこと、名を告げることができなかった2人とは、柳生如雲斎と柳生宗矩のことである。※四郎のみまだ知られていない。

十兵衛は三人娘と十人衆を連れて、巡礼姿に扮した公儀隠密という名目で紀州を回ることを頼宜に宣言、事実上の宣戦布告である。さらにおひろの弟である関口弥太郎が合流する。

一方で宗意軒は、十兵衛を転生衆に引き込むべく、クララお品を十兵衛一行へと潜入させるという策を取る。転生衆もまた、十兵衛に順番に傷を与えて遊んで行こうと提案する。五体を刻まれた十兵衛に、転生をそそのかすという作戦である。さらに、大納言直属の牧野兵庫頭は、独自に根来衆を投入する。

登場人物[編集]

主人公[編集]

柳生十兵衛三厳
3巻から登場。右眼帯の剣客。年齢は30代半ば。宗矩いわく「三年前、会津でいらざる騒動を起こした」(『Y十M 〜柳生忍法帖〜』を示唆しているが、詳細は言及されない。原作ではこの台詞そのものが無く、放逐の理由もあくまで家光を剣術修行で叩きのめしたことが理由となっている)として大和の柳生家にいる。「んふ」という不敵な笑い方が特徴。

魔界転生衆[編集]

死期迫ってなお、超絶の気力体力を持ちながら、自身の生に強い後悔の念を抱いている者が森宗意軒の指を仕込まれた『忍体』と呼ばれる女性と交合し、死後一か月を経て新たな肉体を持って魔人として再生した者たち。いずれも生前がどれほど優れた人格者であっても、虐殺を好む残忍な性格へと変貌している。原作では、(十兵衛と対決する場面を含む)ほとんどのシーンで柿色の三角頭巾を被り、素顔を隠しているが、本作では道中の移動時以外はほとんど着用していないことが多い。

天草四郎(あまくさ しろう)
寛永15年の島原の乱の戦場跡にて転生した。最初の転生者。転生時の年齢は最年少。
転生衆の中では最も小柄な若者。両耳に上下逆向きの十字架のピアスをつけている。十文字槍を象った杖を持って「おりく(後述)」とまぐわう真似をして見せるなど禁欲する胤舜を揶揄(当時としては冒涜)するようなことを楽しんで行う。
絶頂させた女の髪を刃物に変える「忍法髪切丸」を用いる。手にした棒に髪を巻き付けて、飛ばして巻き付けたり、切断を行ったりというもので、髪が四郎の手から離れていた原作とは異なる。忍法を発動する際には、後光に黒翼と戦場跡と無数の亡骸が投影される。
十兵衛とは粉河寺で戦う。
田宮坊太郎(たみや ぼうたろう)
正保2年、尾張柳生の屋敷にて転生した。3番目の転生者。四郎の次に年少。長髪の美青年。転生衆の中では細身。
柳生流の剣士であり、十兵衛の直弟子・弟分である。如雲斎とも面識があった。田宮平兵衛の一族に連なり、同様の柄の長い刀を用いる。
仇討ちを果たした後、死病に冒され、女と会わなかったことを後悔していた。
十兵衛とは那智山青岸渡寺で戦う。
宮本武蔵(みやもと むさし)
熊本にて享年62。4番目の転生者。
細川家300石、天下無敵の剣豪。島原の乱に参戦したが、既に剣術の時代ではなく、まるで用をなさなかった。
セリフが少なく、思考には謎が多い。
なお、他の転生衆たちが死亡した時点の年齢の肉体で転生しているのに対して、彼のみは全盛期のころの年齢に若返って転生している(原作では、享年である62歳の肉体で転生していることが明言されている)。
十兵衛とは船島で戦う。
山風短』第二幕「剣鬼喇嘛仏」にも登場しており、巌流島の決闘から大坂の陣のころ(元和元年=1615年前後)の彼が描かれている。
荒木又右衛門(あらき またえもん)
2番目の転生者。原作では島原戦場跡にて四郎に先駆けた最初の転生者だが、本作では省略されている。
柳生流の剣士。政治的な理由により謹慎を受け、不満を持っていた。
十兵衛とは鍵屋の辻で戦う。
柳生如雲斎利厳(やぎゅうにょうんさい としよし)
禿頭、顎に2つのほくろ、独特の髭の、入道然とした男。老いてなお筋肉質である。
序盤は語り部のような役割を務め、7人の中では最後に転生した。転生するかは最後まで迷っていたが、転生した宗矩に一撃で打ち倒され、尻に「江」の一字を刻まれた屈辱から決心する。
尾張藩500石の剣士。柳生石舟斎の正統で腕も江戸の宗矩を上回ると自負するも、世間からは江戸柳生の方が評価されていることに不満があった。
十兵衛とは二度戦う。初戦の道成寺で右眼を斬られて独眼となり、和歌山城天守閣で再戦する。
柳生但馬守宗矩(やぎゅうたじまのかみ むねのり)
胤瞬と同時に5番目の転生者。柳生十兵衛の父。転生後は後ろ髪が4つ(上の二つは長く、下の二つは短い)に分かれている。高禄と将軍家指南役・大目付という地位を得たが、剣士として不満があった、また若いころ、出世のために女を捨てた。転生前から大納言と面識があった。原作とやや異なり、如雲斎に対して的外れな雪辱を誓う胤舜に呆れたり、一目散に逃走した助九郎に如雲斎ともども唖然となるなど、コミカルなシーンが幾つか存在する。
十兵衛とは柳生の庄・法徳寺の柳生家墓所で戦う。自身には伝えられなかった柳生流の秘伝書があると誘い出された。
バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』(慶長19年=1614年)、『Y十M 〜柳生忍法帖〜』から引き続いての登場。
宝蔵院胤舜(ほうぞういん いんしゅん)
宗矩と同時に6番目の転生者。大柄な僧侶。禁欲により高めた槍術が、四郎の忍法にあっさり敗れてしまった。連れの佐奈に忍体化を施され、宗矩の最後に付き合って腹を切り共に転生する。
転生後は眉が十字槍のような形状に変化している。読者視点では衣装がセーラー服風(しかも女学生風)であり、後ろ髪は二房の三つ編みにしている。
十兵衛とは三段壁で戦う。

敵勢力[編集]

森宗意軒(もり そういけん)
怪老人。島原一揆の軍師。忍法魔界転生の産みの親。キリシタン大名として知られる小西行長の遺臣であり、幕府を転覆できるならその後のことはどうでも良いと考えている。
最期のシーンは原作よりもかなりあっさりしたものに変更されている。
由比正雪(ゆい しょうせつ)
江戸に大道場張孔堂を構える、新興の軍学者。一方では怪しげな山師とも評される。裏では幕府の転覆を目的としている。
修業時代に、武蔵に教えを乞うつもりで島原を訪れるが、宗意軒の魔界転生を目撃したことで魅せられ、鞍替えした。

キリシタンくノ一[編集]

フランチェスカお蝶(フランチェスカおちょう)
口元にほくろがあり、両前方に髪を下げている。十兵衛を転生させるべく、仇討ち希望の修行者を装って柳生の庄を訪れるが、肝心の十兵衛に誘いをはぐらかされているうちに三人娘の投げた袋竹刀を躱す動きで正体を見破られ逃げることも出来ず自害する。
ベアトリスお銭(ベアトリスおぜに)
吊り目。
原作では忍法髪切丸を不完全ながら習得していたが、本作ではその描写はない。
クララお品(クララおしな)
クセ毛。小西家の遺臣の娘で、四郎以上の古株。父親(役の根来衆)を殺されたため、気が触れた娘という設定で十兵衛一行に潜り込むが、十兵衛や十人衆とも親しくなると共に情が移ってしまう。
原作に比べ感情豊かであり、四郎との関係性や彼に対する微妙な感情が強調されている。忍法髪切丸を習得しているのはお銭ではなく彼女という設定になっている。

紀州藩[編集]

徳川頼宣(とくがわ よりのぶ)
紀州大納言。現在の3代将軍徳川家光の叔父、初代将軍徳川家康の十男。
牧野兵庫頭(まきの ひょうごのかみ)
頼宣の腹心。転生衆には不信感を持っており、独自に根来衆を呼び寄せたが、結局は転生衆にいいように扱われてしまっている。
根来衆
兵庫頭直属、監視や工作を行う30名の忍法僧。左眼の上下にアザのある男、鷲鼻の男などがいる。原作では何名かの名前が判明しているが、本作では名は登場しない。紀州藩に正式に取り立ててもらうことを望みとしている。原作では山伏姿で、武器も金剛杖だが、本作では普通の僧侶の服装で、総髪という姿をしている。
十兵衛の宣戦布告後(5巻末)にて初登場。四郎に1人殺された後、物語の進行にともない人数が減っていく。

忍体[編集]

原作では女を忍体にする方法は明かされなかったが、本作ではその過程で女の胎内に胎児のような形に変化した「宗意軒の指」を仕込むことが示唆されている。ただし、これを可能とするのは宗意軒本人と四郎のみ。

お類
坊太郎転生の忍体。正雪によって讃岐丸亀から連れ出され名古屋にて坊太郎と再会。
お通
武蔵転生の忍体。武蔵の恋人「お通」の姪で、伯母に生き写し。
佐奈
胤瞬転生の忍体。知恵遅れの風はある(原作ではもともと利発で快活だったが、胤舜の修行の道具にれ続けた末、白痴のようになってしまったと説明されている)が、肉感的で胤瞬にもっとも官能を呼び起こす女。四郎によって術を施され忍体となる。転生の際に胤瞬が自ら腹を切った際にはかなり狼狽えていた。
おりく(仮名)
宗矩転生の忍体。宗矩の若いころの恋人であるおりくに瓜二つ。
初期に四郎が連れており、胤瞬を介して宗矩に引き合わされた。普段は口をきけないが、宗矩を受胎した際にキリシタンの聖句を唱えている。
お加津
如雲斎転生の忍体。如雲斎の息子・茂左衛門の嫁。
息子の嫁という手前、如雲斎自身も己の心は秘していたが転生への望みを抑えきれなくなり、仮病を口実に呼び寄せた。

十兵衛の仲間[編集]

三人娘[編集]

紀州の武家の三人娘。女人ながら剣の腕は十人衆を上回る。普段はだらしない十兵衛を叱咤するような気の強い娘たちだが、揃って十兵衛に惚れている。

お縫(おぬい)
木村助九郎の孫娘。前方に髪が一条。左眼に泣きボクロ。柔和。武芸は静かに相手を制するタイプ。
おひろ
関口柔心の娘。前方両脇に長い髪を二条垂らし、さらに後ろ髪を縛っている。男前。
お雛(おひな)
田宮平兵衛の娘。ポニーテールの女性。鋭く凛々しい。
和歌山での女定めの際の対応が原作のおひろのものと入れ替わっている。
関口弥太郎(せきぐち やたろう)
7歳。おひろの弟で、顔立ちも似ている。すばしっこい。十兵衛に密書を託され柳生家へと向かう。原作に比べると、幼さゆえに空気を読まない描写が緩和されている。

自称柳生十人衆[編集]

十兵衛の一番弟子を自称している。勇敢ではあるが、暢気さが目立つ。転生衆からは全く脅威とみられていないが並の剣士では太刀打ち出来ない程の実力を持ち合わせており、命懸けで十兵衛を援護し転生衆攻略の隙を作る。物語の進行にともない命を落としていく。

戸田五太夫(とだ ごだゆう)
十人衆では年長で、仲間からは「戸田老」とも呼ばれる。角ばった顔の男。物語後半では、後述の小三郎と原作での役割が入れ替わっている。
伊達左十郎(だて さじゅうろう)
たれ目。髷を立てておらず、髪は後ろに結んでいる。
逸見瀬兵衛(へんみ せべえ)
口元と顎のヒゲが繋がった男。
磯谷千八(いそがい せんぱち)
福頬でハの字ヒゲの若者。弥太郎の追跡中に命を落とすのは原作と同様だが、該当のシーンは本作オリジナルになっている。
小谷小三郎(こや こさぶろう)
最年少の少年で、生真面目な性格。原作では、弥太郎を追跡する中で根来衆の一人と刺し違えるが、漫画版では五太夫の役割をそのまま担って左十郎と共に落命する。
三枝麻右衛門(さえぐさ あさえもん)
糸目垂れ眉の柔和な男。
金丸内匠(かねまる たくみ)
額の皺が目立つ柔和な男。最年長の壮年。原作では、お品の正体が判明した際に十兵衛が彼女を助命する理由が麻右衛門の死に際して拝んだからだが、漫画版では彼に対してに変更されている。
北条主税(ほうじょう ちから)
童顔だが、頭頂部が禿頭になった男。十人衆では最初に戦死する。
小栗丈馬(おぐり じょうま)
吊目で強面の男。
平岡慶之助(ひらおか けいのすけ)
両眉のつながった点目の男。

紀州藩三達人[編集]

木村助九郎(きむら すけくろう)
お縫の祖父。紀州藩600石で、柳生新陰流剣術指南役。柳生石舟斎の四高弟の一人。堅苦しく、十兵衛からは「じい」と呼ばれる。転生衆との交戦を決意するも、顔を表した如雲斎と宗矩に驚き、撤退を決意、片手片足を切り落とされたまま馬を飛ばし、十兵衛に転生衆のことを伝えて果てる。
『Y十M 〜柳生忍法帖〜』の終盤にも登場している。
田宮平兵衛(たみや へいべえ)
お雛の父。紀州藩800石。田宮流剣術指南役で、長い柄の刀を用いた独自の居合術を用いる。一族の長老であり、坊太郎も縁者である。胤瞬と坊太郎にやられ最初に死亡する。
関口柔心(せきぐち じゅうしん)
おひろ・弥太郎の父。三達人の中では最も若い。藩の柔術指南役。名門今川家の傍流に連なる。両袖に仕込んだ十手で、敵の刀剣をさばく。荒木の刀を折る奮闘をみせるが、武蔵に敗れ2番目に死亡する。

その他の人物[編集]

柳生宗冬(やぎゅう むねふゆ)
宗矩の三男。父宗矩や兄十兵衛にはおよばない。如雲斎に敗れ、尻に「尾」の一字を刻まれるという恥辱を受ける。
松平伊豆守(まつだいらいずのかみ)
江戸幕府老中。島原一揆鎮圧のために、幕府から派遣された。
十兵衛を奔放無頼込みで目にかけており、親交がある。そのため十兵衛は、敵勢力への宣戦布告に際して彼の名をハッタリに用いる。
将軍が病にかかった際に、重篤であるとの虚偽情報を流し、幕府に謀反を起こす目をあぶりだそうとする。頼宣が動き出すことを読んでおり、頼宣が和歌山城を立つより早く江戸を出て、密かに紀州入りする。
徳川家光(とくがわ いえみつ)
幕府の3代将軍。宗意軒の星占いによると、病がちで4、5年で寿命が尽きる。
千登世(ちとせ)
天の辻の村の女児。祖父は与五郎、祖母の名前は登世。
単独行動中の弥太郎と出会い、彼を狙う根来衆の攻撃に巻き込まれたことで怒り、長刀を振り回して一喝する。
与五郎(よごろう)
千登世の祖父。孫に手を出そうとしていた根来衆五名を薪棒で一蹴するほどの武芸の心得がある。
『山風短』第二幕「剣鬼喇嘛仏」に登場する長岡与五郎興秋と同名で、顔つきも酷似している。妻の名前も同じ。また同様に武蔵との因縁が示唆されている。
千登世ともども漫画版のみの登場人物で、原作では弥太郎を助けるのは村の農民たちと、(弥太郎が道中でペットにした)3匹の野犬である。
佐々木小次郎(ささき こじろう)
巌流島の決闘で宮本武蔵と相対した天才剣士。十兵衛との決闘に備える宮本武蔵の回想で登場する。

書誌情報[編集]

備考[編集]

歴史や伝説に名を残す英雄の写し身を召喚して戦う伝奇ファンタジー『Fate』シリーズ(TYPE-MOON)のアイデア元の一つが『魔界転生』である(山田風太郎の原作および、石川賢の漫画版の影響が大きいという)。『Fate』シリーズの原作者奈須きのこは、『十 〜忍法魔界転生〜』の単行本1巻発売時に、冲方丁貴志祐介とともに販促宣伝文を寄稿し、せがわはFateシリーズの看板ヒロイン・アルトリアを忍法魔界転生させた「魔界版セイバー」イラスト[1]を添えた『十 〜忍法魔界転生〜』サイン本を奈須に贈っている[2]

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

関連項目[編集]