ユニオン・パシフィック鉄道4000形蒸気機関車

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ユニオン・パシフィック鉄道4000形
Big Boy
UP Big Boy 4014.jpg
カリフォルニア州ポモナで保存されるビッグボーイ・4014号機。2013年7月、ユニオン・パシフィックが同機を取得し、動態復元に向けた整備を行うと発表した。
基本情報
動力方式 スチーム
製造所 アメリカン・ロコモティブ
製造日 1941 (20), 1944 (5)
総製造数 25
主要諸元
軸配置(ホワイト式) 4-8-8-4
軸配置(UIC式) (2'D)D2'
軌間 4 ft 8+1⁄2 in (1,435 mm)
全長 132 ft 9¼ in (40.47 m)
動軸 540,000 lb (244.9 t)
炭水車重量 1,208,750 lb (548.3 t)
燃料種別 石炭
燃料容量 28 short tons (25.4 t)
水容量 25,000 US gal (95,000 l; 21,000 imp gal)
ボイラ圧力 300 lbf/in² (2.1 MPa)
気筒 4
気筒寸法 23¾ in bore × 32 in stroke (603 mm × 813 mm)
最高速度 80 mph (130 km/h)
引張力 135,375 lbf (602.18 kN)
経歴
運用者 ユニオン・パシフィック鉄道
形式 4000–4019: 4884-1
4020–4024: 4884-2
最終走行 1959年7月21日

4000形は、アメリカ合衆国ユニオン・パシフィック鉄道1941年から1944年にかけて製作した、世界最大・最強級の蒸気機関車である。アメリカン・ロコモティブ(アルコ)社の手で25両(4000~4024)が製造され、ビッグボーイ(Big Boy)の愛称で一般によく知られている。

概要[編集]

ビッグボーイは、「世界最大の蒸気機関車」、「世界最強の蒸気機関車」とよく称されるが、これについては異論もある。ビッグボーイよりも重い機関車は他にもあり、より強力な機関車もあるためである。しかし、テンダーをのぞいたエンジン部分だけで考えると、機関部分のみではビッグボーイよりも重い機関車も存在するのだが、ビッグボーイは一番長い機関車であり、水と石炭を満載した状態ではもっとも重い機関車である。他のさまざまな要素を考え合わせると、ビッグボーイは、この種の大型機関車の中では最も成功した機関車といえる。

4-8-8-4という車軸配置を持つ機関車は、ビッグボーイだけである[1]

この車軸配置は、2組の4軸動輪ユニットを合体し、それに2軸の先輪と2軸の従輪を付け加えたものである。先輪は、スピードを出したときの安定性を高めるためであり、従輪は、大きくて重い火室を支える働きをする。この車軸配置を見るだけで、ビッグボーイが高速時にパワーを発揮することができる機関車と判断することが出来る。形態的には、20世紀初頭に開発された関節式4シリンダ機関車の一種であるマレー式に似るが、マレー式が後部シリンダで使用した蒸気を前部シリンダで再び使用する複式機関車の一種であるのに対し、ビッグボーイは4個のシリンダに直接ボイラーから蒸気を供給する単式膨張型関節機関車であり、異なるものである。

背景[編集]

ユニオン・パシフィック鉄道は、ワサッチ山地を越える11.4パーミルの勾配で3300トンの貨物列車を牽くために、このビッグボーイを制作した。ビッグボーイが作られる以前は、この勾配を越えるには、列車に補機を連結する必要があったため、補機を連結・切り離しや、乗務員の手配を行わなくてはならなかった。それらの影響のため、列車の速度向上に限界があった。

そのため新型の機関車が計画されたが、勾配区間で補機を不要にするためだけではなく、勾配を越えたところで機関車を付け替える手間を省くために、長編成の列車を平坦線で時速60マイル(時速100キロメートル)で牽引することができる機関車である必要があった。

実際、ビッグボーイは時速80マイル(時速130キロメートル)で安定して走行する能力があり、速度性能にかなり余裕を持った設計である。ビッグボーイ以前の関節式機関車には、これだけのスピードが出せるものはほとんどない。

同じユニオン・パシフィック鉄道でビッグボーイよりも前に作られたチャレンジャー(4-6-6-4)という機関車を、より長く、より重く、より強力にした機関車がビッグボーイだと言える。

運用[編集]

製造された25両のビッグボーイは20両と5両の2つのグループに分けることができる。25両全部が石炭を燃料とする機関車で、質のよくないワイオミング産の石炭を燃やすために広い火格子を持っている。4005号機は重油を燃やす機関車に一時的に改造されたが、火室が広すぎて重油バーナの炎が火室の一部にしか当たらず、ゆがみが発生したために石炭燃焼に戻された[2]

ビッグボーイは新人の機関助士でも扱うことが可能な機関車だったため、第二次世界大戦中によく活躍した。熟練した機関助士達の多くが戦場へ行ったことによる欠員は、徴兵されたものの戦闘には向かない男達によって補充されたが、ビッグボーイは彼らでも運転できたためである。

保存[編集]

第二次世界大戦後は石炭の値段と人件費が上昇したため、ビッグボーイにとっても未来は明るいものではなかった。しかしビッグボーイは、最後まで走り続けた蒸気機関車の1つとなった。ビッグボーイが最後の営業列車を牽引したのは1959年7月で、大部分のビッグボーイは、1961年まで走行可能な状態で保管されていた。ワイオミング州のグリーン・リバーでは、1962年まで4台が走行可能な状態で残っていた。

ビッグボーイは、アメリカ合衆国内に多く保存されている。有名な機関車であること、活躍したのがアメリカ西部であったことがその理由である。アメリカ西部の町や博物館は、ビッグボーイのような大きなものを置いておけるスペースがあるためである。

25両のうちの8両が、現存している。 (ただし4017号機は、運転台内部の設備だけが保存されている)

4017号機以外は、屋根のない露天の状態で保存されている。しかし、暑く空気が乾いている影響で、南カリフォルニアの4014号機は、保存されているビッグボーイの中でも一番いい状態を保っている。これは、the Railway & Locomotive Historical Society の支部の人たちが手入れをし、見守っているためである。The Steamtown にあるビッグボーイもよい状態にある。かなりの額の基金とボランティアのおかげで、グリーンベイにある博物館の内部に、侵入者にあらされたりすることのない場所が作られ、4017号機はそこで、そのほかの鉄道関係の資料とともに保管されている。

2013年7月、ユニオン・パシフィックは4014号機を取得し、動態復帰のための整備を開始すると発表した。2019年5月に大陸横断鉄道の開通150年を迎えるにあたり、ユニオン・パシフィックはそれに間に合わせられるよう、3年から5年をかけて復元工事を行うとしている。

スペック[編集]

ビッグボーイのスペックは以下のとおり。

  • 車軸配置:4-8-8-4
  • 全長:132 フィート 9 1/4 インチ (40.5 m)
  • テンダーを含めた重さ:1,200,000 ポンド (540 t)
  • 動輪上重量:540,000 ポンド (245 t)
  • 引張力:135,375 ポンド (600 kN)
  • シリンダー直径:23 3/4 インチ (600 mm)
  • シリンダー行程:32 インチ (800 mm)
  • シリンダー数 4
  • ボイラー圧力:300 ポンド/インチ (2 Mpa)
  • 動輪直径:68 インチ (1.7 m)
  • テンダーに積める石炭の重さ:28 トン
  • テンダーに積める水の量:24,000 米ガロン (90 m³)
  • 最高速度:時速80マイル (130 km/h)

脚注[編集]

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  1. ^ (4-8-8-4というのはホワイト式の表記である。AAR方式なら、2-D-D-2となる。
  2. ^ あらかじめチャレンジャーで実験を行い成功していたが、ビッグボーイでは火室が大きすぎるためうまくいかなかった。