モダンドッグ

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モダンドッグ
MTVニュースの記者会見におけるモダンドッグ
(左からポーン、ポッド、メーティ)
基本情報
出身地 タイ王国の旗 タイ バンコク
ジャンル モダン・ロック英語版オルタナティヴ・ロック
活動期間 1994年
レーベル Bakery Music
Sony BMG Music Entertainment (Thailand)
(2005年の時点では無所属)
公式サイト www.moderndog.biz
メンバー Pawin Suwannacheep
Maetee Nojinda
Thanachai Ujjin
旧メンバー Somath Bunyaratanavech

モダンドッグ(Modern Dog、タイ語: โมเดิร์นด็อก)は、1992年に結成されたタイ王国ロック・バンド。

モダンドッグは、タイ国内のみならず、国外にも活動を広げており、2003年には東京で演奏をした[1]2006年の7月から8月にかけて、アメリカ合衆国をツアーし、ニューヨーク市のニッティング・ファクトリー英語版でも公演した。

日本にも、タイ・フェスティバルのゲストとして何度も出演している他、様々な機会に来日している[2]

メンバー[編集]

  • タナチャイ・"ポッド"・ウジン(Thanachai "Pod" Ujjin、タイ語: ธนชัย อุชชิน; rtgsThanachai Utchin)– ボーカル、リズム・ギター
  • メーティ・ノイジンダ(Maetee Noijinda、タイ語: เมธี น้อยจินดา; rtgsMethi Noichinda)– ギター
  • パウィン・"ポーン"・スワンナチープ(Pawin "Pong" Suwannacheep、タイ語: ปวิณ สุวรรณชีพ; rtgsPawin Suwannachip)– ドラムス
過去のメンバー
  • ソマト・ブニャラタウェチ(Somath Bunyaratavech、タイ語: สมอัตถ์ บุณยะรัตเวช; rtgsSom-at Bunyarattawet)– ベース
  • サラウト・ロエトパニャヌト(Sarawut Loetpanyanut、タイ語: สราวุธ เลิศปัญญานุช)– キーボード

経歴[編集]

メンバーは、もともと5歳の頃からの知り合いだったという[2]

大学生のバンドだったモダンドッグは、1992年にコーク・ミュージック・コンテスト (Coke Music Contest) に優勝した。バンドはインディ・レーベルのベイカリー・ミュージック英語版と契約し、音楽プロデューサーの「スキ (Suki)」ことカモル・スコソル・クラップ (Kamol Sukosol Clapp) と組むことになった。最初のアルバム『Moderndog』は、1994年にリリースされた。折から、ちょうど全面的にインディー・レーベルの曲ばかりをかけるラジオ・フォーマット英語版へと転換したばかりだった地元のラジオ局ファット・ラジオ (Fat Radio) が、このアルバムからのファースト・シングルだった「Busaba (บุษบา)」を24時間繰り返し放送し続けた。アルバムからの別の曲「...Before (...ก่อน)」は、プライ (Pry) ことパトムポルン・パトムポルン (Pathomporn Pathomporn) の書いた曲であったが、2004年の映画Citizen Dog (หมานคร)』のサウンドトラックで大々的に使用された。

モダンドッグは、その実験的な電子音の用い方で、しばしば好意的にレディオヘッドに比較され、また、実際に1994年には、このイギリスのバンドのバンコクMBKセンターにおけるコンサートで、前座を務めた[3]

1997年に2枚目のアルバム『Café』を出した後、バンドは4年間の活動休止期間があり、その間に結成時のベーシストであったソマト・"ボブ"・ブニャラタウェチがバンドを脱退し、他方でポッドはタイ国外に出て事業を手がけていた。バンドがそのまま解散するのではないかという危惧を振り払って、モダンドッグは2001年にスタジオに戻り、3枚目のアルバム『Love Me Love My Life』を制作した。次いでバンドは、全国ツアーに出て、その間は一時的にボブがベーシストとして復帰した[4]。その後、ベースは、何人かのサポート・メンバーが交代で務めるようになった。

以来、モダンドッグは、タイのインディーズ・シーン、ロック・シーンを代表する存在として賞賛されるようになり、これに続くロソ英語版ビッグ・アスボディスラムシリー・フールズ英語版といったバンドに道を拓いた。十年以上ベイカリー・ミュージックに所属し、その間の2001年にレーベルがソニー・BMG・ミュージック・エンタテイメントに売却されるという事態も経て、モダンドッグはレーベルを離れ、自身のレーベルからアルバムを出すことを計画した。

2004年のアルバム『That Song』は、ベル・アンド・セバスチャンモグワイを手がけたトニー・ドゥーガンがプロデュースし、タイトル曲「That Song」はチボ・マットのベーシストである本田ゆかが編曲した。また、このアルバムには、ゲストとして, Buffalo Daughter(バッファロー・ドーター)の大野由美子と、ショーン・レノンが参加している。このアルバムからは、3枚のシングルがタイのチャートで首位に立った[5]

2006年には、アメリカ合衆国で活動し、7月28日から30日にかけては、リンカーン・センターで上演されたタイの民族叙事詩ラーマキエン』のロック・オペラ版に、セク・ロソ英語版など、他のタイ人アーティストたちとともに出演した。

2006年10月、モダンドッグはバンコクの音楽祭に出演し、発表予定だったアルバムからの新曲を披露した[6]。5枚目のアルバム『Ting Nong Noy』は、2008年9月に、自らのレーベル「Moderndog Co., Ltd.」からリリースされた。

2015年には、2月にバンコクで開催された「Japan Expo 2015」の公式イベント・テーマ曲として、2013年に発表していた曲「Moderndog Scala」の日本語バージョンを作成し「Moderndog Scala (Japanese Version) Feat. Ruri」として発表した[7]

2017年10月には、タイやマレーシアを回るツアーを開始したが、ドラムスのポーンが病気のため、代わりにイギリス・ロンドン出身のポール・ティロットソン (Paul Tillotson) がドラムスに入った。ティロットソンは、以前にセク・ロソのバンドと一緒にツアーをした経験がある。

おもなディスコグラフィ[編集]

アルバム[編集]

  • เสริมสุขภาพ (Moderndog) - 1994年
  • Café - 1997年
  • Love Me Love My Life - 2001年
  • That Song - 2004年
  • Ting Nong Noy - 2008年
  • Pod Pong May-T - 2016年

脚注[編集]

  1. ^ Bee, DJ (May 30, 2003), "Japan dogged", The Nation.
  2. ^ a b 吉田彩緒莉 (2014年5月23日). “モダンドッグ(ModernDog)独占インタビュー@第15回タイ・フェスティバル”. タイランドハイパーリンクス. 2017年11月22日閲覧。
  3. ^ Untamed Travel, "Slipping the leash: Modern Dog", retrieved July 12, 2006.
  4. ^ Schmid, Thomas (August 21, 2001),"Modern Dog Resume Barking", MTV Asia.
  5. ^ Phataranawik, Phatarawadee (May 20, 2005), "Old Dog, new tricks", The Nation.
  6. ^ Weekend staff. October 13, 2006. "Rock and Rap", The Nation, Weekend, Page 3 (print edition).
  7. ^ akashic (2015年1月13日). “原曲とカバーを見比べる!タイの音楽業界での日本ブーム”. ANNGLE. 2017年11月22日閲覧。