メボソムシクイ

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メボソムシクイ
メボソムシクイ
メボソムシクイ Phylloscopus borealis
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ亜目 Passeri
: メボソムシクイ科 Phylloscopidae
: メボソムシクイ属 Phylloscopus
: メボソムシクイ P. borealis
学名
Phylloscopus borealis (Blasius1858)
和名
メボソムシクイ
英名
Arctic warbler
亜種
  • P. b. borealis
  • P. b. kennikotti
  • P. b. examinandus
  • P. b. xanthodryas

メボソムシクイ(目細虫食、学名 Phylloscopus borealis)は、鳥類スズメ目メボソムシクイ科の1種である。

種小名 borealis は「」の意。

特徴[編集]

分布[編集]

北東ユーラシア大陸アラスカサハリン日本に生息する(アラスカ州西部、インドインドネシアカンボジアシンガポールタイ王国大韓民国中華人民共和国台湾朝鮮民主主義人民共和国日本ノルウェーフィリピンフィンランドブルネイベトナムマレーシアミャンマーモンゴル人民共和国ラオスロシア)。

夏季にアラスカ、ユーラシア大陸北部で繁殖し、冬季になると東南アジアへ南下し越冬する。日本では P. b. examinandus(コメボソムシクイ)が渡りの途中に飛来する(旅鳥)。春の渡りは他の旅鳥に比べて遅く、5月下旬から6月上旬の記録が多い。 P. b. xanthodryas(亜種メボソムシクイ)が夏季に繁殖のため本州四国に飛来(夏鳥)する。

形態[編集]

全長13cm。体重8.5–14g。背面は淡い緑褐色の羽毛で覆われる。

眼上部にある眉状の斑紋(眉斑)は細く黄白色。通眼線は暗色。

P. b. xanthodryas は、腹面は淡い黄緑色の羽毛で覆われる。P. b. examinandus は、腹面は緑褐色味を帯びた白い羽毛で覆われる。ただし羽色には変異が多く、P. b. xanthodryas と同じ羽色の個体もいる。

生態[編集]

針葉樹広葉樹が混生した森林で生息する。日本では繁殖期は主に亜高山帯の森林に生息するが、渡りの時期になると群れを形成し、標高の低い森林でも見かけられる。冬季は単独もしくはペアで生活する。

食性は動物食で、昆虫クモ等を食べる。樹上を移動しながら獲物を捕食する。

繁殖期には縄張りを形成する。日本(亜種メボソムシクイ)では亜高山帯針葉樹林の岸壁等にコケや枯草などを組み合わせて、横に出入り口のある球形の巣を作り、6–8月に4–6個のを産む。メスのみが抱卵し、抱卵期間は約14日。

繁殖期には「チョチョリ チョチョリ チョチョリ」と歯切れのよい声でさえずる。聞きなしは「銭取り、銭取り」。朝だけでなく日中もよくさえずる。地鳴きは、「リュリュリュ」または「ジュジュ」。コメボソムシクイは「ジジロ、ジジロ」と抑揚のない声でさえずる。

系統と分類[編集]

系統樹の種間は Johansson et al. (2007)[1]、種内は Saito et al. (2010)[2]より。A–CSaitoh et al. による仮の系統名である。

Acanthopneuste ?

メボソムシクイ

 A 

P. b. borealis



P. b. kennikotti



 B 

P. b. examinandus



 C 

P. b. xanthodryas





ハシブトムシクイ P. magnirostris




キタムシクイ P. tenellipes



エゾムシクイ P. borealoides






エメイムシクイ P. emeiensis



ヤナギムシクイ P. trochiloides 他2種



メボソムシクイはハシブトムシクイキタムシクイエゾムシクイに近縁で、これらとは500万年前に分岐した[3]

メボソムシクイを含む系統は現在は Phylloscopus 属に分類されているが、Phylloscopus模式種キタヤナギムシクイ P. trochilus とは別系統のため、メボソムシクイを模式種とする Acanthopneuste 属に分離される可能性がある[4]

亜種[編集]

メボソムシクイは4亜種に分かれる[2]

Phylloscopus borealis borealis (Blasius, 1858)
ユーラシア大陸(カムチャツカを除く)。模式亜種。
Phylloscopus borealis kennikotti
アラスカ。遺伝子的には P. b. borealis と明確な違いはない。
Phylloscopus borealis examinandus, Kamchatka Warbler, コメボソムシクイ
カムチャツカサハリン北海道P. b. borealis に含める説もあったが、遺伝子的には離れており、さえずりも異なる。Clade A とは190年前に分岐した。
Phylloscopus borealis xanthodryas, Japamese Warbler, メボソムシクイ
日本本州四国九州)。最も古く、Clade A+B とは250万年前に分岐した。

3–7亜種に分ける説もある。P. b. xanthodryas は別種メボソムシクイ P. xanthodryas とする説もある(このばあい P. borealis には別の和名を当てる必要がある)。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ Johansson; Alström, P.; Olsson, U.; Ericson, P.; Lundberg, P.; Price, T.D. (2007), “Build-up of the Himalayan avifauna through immigration: a biogeographical analysis of the Phylloscopus and Seicercus warblers”, Evolution 61: 324–333 
  2. ^ a b Saitoh, T.; Alström, P.; Nishiumi, I.; Shigeta, Y.; Williams, D.; Olsson, U.; Ueda, K. (2010), “Old divergences in a boreal bird supports long-term survival through the Ice Ages”, BMC Evol. Biol. 10: 35, http://www.biomedcentral.com/content/pdf/1471-2148-10-35.pdf 
  3. ^ Price, T.D. (2010), “The roles of time and ecology in the continental radiation of the Old World leaf warblers (Phylloscopus and Seicercus)”, Phil. Trans. R. Soc. B 365: 1749–1762, doi:10.1098/rstb.2009.0269, http://rstb.royalsocietypublishing.org/content/365/1547/1749.full.pdf 
  4. ^ Olsson, U.; Alström, P.; Ericson, P.G.P.; Sundberg, P. (2005), “Non-monophyletic taxa and cryptic species — evidence from a molecular phylogeny of leaf-warblers (Phylloscopus, Aves)”, Mol. Phylogenet. Evol. 36: 261–276 

参考文献[編集]

外部リンク[編集]