マエダモールド

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株式会社マエダモールド
市場情報 非上場
本社所在地 479-0821
愛知県常滑市瀬木町3丁目60番地 [1][2][3]
設立 1985年 (創業:1954年[2]
業種 製造業[4]
法人番号 2180001093305
事業内容 型製作、人工ボディ製作(エピテーゼ[2]
代表者 前田 茂臣(代表取締役)[2]
資本金 1000万円[5]
従業員数 12名
外部リンク https://www.maeda-mold.co.jp/
特記事項:中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」選出企業[6]
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マエダモールドは、愛知県常滑市 瀬木町3丁目に本拠を置く、石膏型・エピテーゼなどを製作する企業[2][7][8]常滑焼の生産技術である石膏型の製造技術を応用することで、高品質な人工乳房を低コストで生産する[6][9]。2018年には、中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選出される[6]

概要[編集]

1954年陶器などを量産するために使われる石膏型を専門的に作る会社として、日本六古窯のひとつ、常滑焼の産地・常滑市で創業。徐々に建材用のタイルや衛生陶器の型なども手掛けるようになり、工業セラミックスなどのセラミック製品用途の石膏型の製作を行うほか、欠損した文化財の修復にも携わる。高圧での鋳込時に型の隙間からの原料漏出防止技術として、石膏型の硬化時膨張を考慮した製作技術を持つほか、1/10以下のレベルでの後仕上げなども可能。特殊な素材で配管し、従来よりも通気性を向上させたエアー型などの特殊技術も持つ。1985年に法人化。大手企業との取引も増える[7][10][11]

2011年、人工ボディ事業部を設立。病気怪我で体の一部を失った人のためのエピテーゼを製作する事業を開始。第1号は、乳がんのために乳房を失った女性のための人工乳房であった。曲面の多い常滑焼に用いる石膏型技術に、3Dスキャナー工作機械などの先端技術を融合させることで、職人の手作業による伝統的な手法に、新たな加工方法を取り入れ、正確な形状の再現性と肌面の滑らかさを実現した人工乳房の開発に成功。さらに既製品化を図ることで、低廉なコストを実現。競合他社との差別化を図った[12][2][13][14][6]

3代目前田茂臣は、信州大学で学んだ機械工学の知識を活かし、工場に3Dスキャナーを導入したり、設計図もなかった工場に設計図を導入するなど、社内事業の効率化・高精度化を推進[13][10][15]

ドキュメンタリー番組[編集]

マエダモールドのエピテーゼは名古屋テレビ放送ドキュメンタリーが制作され、番組は2019年のABU(アジア太平洋放送連合)賞審査員特別賞など数々の国際的な賞を受賞した[16][17]。その後、番組に出演した森亜美が『Re:start 〜全身の60%に火傷を負った私〜』を出版。マエダモールドの前田一美との出会いから、火傷で耳が溶けてしまい、マスクが付けられないことの相談から、3Dスキャンで型を取り、人工耳を作成し、マスクが装着できるようになるまでのこと、番組に出演したのは、火傷の恐ろしさを伝えたかったこと、身体の一部を失った時の選択肢としてエピテーゼがあるということ、病気やけがで苦しんでいる人たちに勇気と希望を与えたい思いがあったことなどを語っている[18]

沿革[編集]

  • 1954年 - 前田耕三が前田製型所を創業し、常滑焼の石膏型作りを開始[7]
  • 1985年 - 5月、前田秀宝が有限会社マエダモールドとして法人化する[7][19]
  • 2011年 - 前田一美が人工ボディー事業部を立ち上げる[13]
  • 2018年中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選出[6]
  • 2023年 - 従来社内用として手がけてきた『樹脂製ケース型』を石膏型業界での幅広い普及のためにオープン化[20]

事業内容[編集]

型製作[編集]

石膏型の製作[編集]

  • セラミック製品用途の石膏型の製作が中心。鋳込時の型の隙間からの石膏型の硬化時膨張を考慮した原料漏出防止技術を確立。1/10以下のレベルでの後仕上げなども可能とする。特殊な素材で配管し、従来よりも通気性を向上させたエアー型などの特殊技術も持つ。欠損した文化財の修復にも携わる[7][10][11]。製作したマスターモデルからのウレタンシリコーン型で試作型や量産型の製作や、金型を起こすためのマスターモデルとして使用することも可能とする。その他、ケミカルウッドPOMABSなどのエンジニアリングプラスチックを3次元データにより高精度な切削加工を行うことで、正確さが要求される形状でも対応可能とする[21]

人工ボディ製作(エピテーゼ[編集]

  • 常滑焼の加工技術を応用し、柔らかさを再現した製品で、綿などをシリコンで包んだ2層構造になっており、専用接着剤の使用により、軽い運動や入浴も可能[14]

その他[編集]

以上[22]

その他出典[2]

メディア出演[編集]

テレビ[編集]

※ABU(アジア太平洋放送連合)賞では『審査員特別賞』。「第25回PROGRESS賞」では『奨励賞』を受賞。

出典[24]

参考サイト[編集]

所属団体[編集]

常滑商工会議所[4]

所在地[編集]

本工房(常滑サロン)[編集]

愛知県常滑市瀬木町3丁目60番地 [19][26]

第二工房[編集]

愛知県常滑市字千代48-1[26]

新橋オフィス[編集]

東京都港区新橋2-20-15新橋駅前ビル4階フィルポート[26]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 国税庁法人番号公表サイト”. 2023年12月18日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g ご挨拶”. 株式会社マエダモールド. 2023年8月19日閲覧。
  3. ^ 株式会社マエダモールド”. 科学技術振興機構. 2023年8月19日閲覧。
  4. ^ a b 株式会社マエダモールド”. ザ・ビジネスモール. 2023年8月19日閲覧。
  5. ^ 株式会社マエダモールド”. 中小企業庁. 2023年8月19日閲覧。
  6. ^ a b c d e 「はばたく中小企業・小規模事業者300社」需要獲得”. 中小企業庁. 2023年8月28日閲覧。
  7. ^ a b c d e 焼き物作りの技術で医療分野へ マエダモールドが切り開く可能性”. ツギノジダイ (2023年4月27日). 2023年8月19日閲覧。
  8. ^ 株式会社マエダモールド モデル・建材石膏型技術紹介”. イプロスものづくり (2017年5月26日). 2023年8月19日閲覧。
  9. ^ 成長企業チカラの源泉(120)マエダモールド−人工乳房、常滑焼技術生かす”. 日刊工業新聞. 2023年8月19日閲覧。
  10. ^ a b c 常滑焼の型会社を夫婦で変革 人工ボディなど新規事業が3割に”. 日経ビジネス (2022年8月17日). 2023年8月19日閲覧。
  11. ^ a b 原料の目詰まりや水分除去など多くの利点有り!”. イプロスものづくり (2017年5月26日). 2023年8月19日閲覧。
  12. ^ 常滑焼に用いる石膏型の製造技術を活用した人工乳房 ...”. J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]. 2023年8月19日閲覧。
  13. ^ a b c 常滑の型作り技術が生んだ 心と身体に寄り添う 人工乳房とは。”. 中小企業共済. 2023年8月19日閲覧。
  14. ^ a b マエダモールド、人工乳房に常滑焼の技術応用”. 日本経済新聞 (2015年3月1日). 2023年8月19日閲覧。
  15. ^ 【ユーザー事例】TimeTracker NXクラウドサービスで、実績工数を活用し、社員の成長の源泉にする”. TIMETRACKER (2023年4月17日). 2023年8月19日閲覧。
  16. ^ Re:start 〜全身の60%に火傷を負った私〜”. Amazon. 2024年2月7日閲覧。
  17. ^ 第14回 よいものは「よい型」から生まれる”. 中日新聞社広告局メディアガイドAPPROACH (2023年6月28日). 2023年8月19日閲覧。
  18. ^ 『Re:start 〜全身の60%に火傷を負った私〜』森亜美(2024年1月31日、幻冬舎ルネッサンス)[1]
  19. ^ a b 株式会社マエダモールド”. Baseconnect. 2023年8月19日閲覧。
  20. ^ 樹脂化した外枠の命数は石膏製の数倍以上!空気圧縮機とエアーガンのみで脱型が可能”. イプロスものづくり (2023年2月14日). 2023年8月19日閲覧。
  21. ^ 当社の石膏はマスターモデルとしても有効に使えます!”. イプロスものづくり. 2023年8月19日閲覧。
  22. ^ 商品一覧”. 株式会社マエダモールド. 2023年8月19日閲覧。
  23. ^ メディア取材”. 株式会社マエダモールド. 2023年8月19日閲覧。
  24. ^ メディア取材”. マエダモールド公式サイト. 2023年8月19日閲覧。
  25. ^ ツギノジダイで2023年に読まれた記事一覧 広く共感呼ぶ経営ストーリー 杉本崇「石膏型メーカーの人工乳房などの医療用具に脚光」” (2023年12月31日). 2024年1月18日閲覧。
  26. ^ a b c 会社案内”. マエダモールドの人工乳房. 2023年12月18日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]