マイクロマウス

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マイクロマウスとはコンピュータ(たいていはマイクロコントローラ)を搭載し、自律制御で未知の迷路を走破してゴールへ到達するまでの時間を競うロボット競技およびロボットの名称である。ロボットの個体を指す場合は単に「マウス」と略すことも多い。

概要[編集]

この競技ではロボットが18cm×18cmを1マスとする16×16マスからなる迷路を、迷路の外周部角に設けられた始点から中央部のゴール地点まで、外部からの無線操作や事前の迷路情報入力無しに走破し、ゴールに到達しなければならない。またこの迷路の壁を飛び越えても破壊してもいけない。ロボットの大きさは幅25cm×奥行き25cmの枠内(高さ制限無し)に収まらなければならず、内燃機関外燃機関を使用できないなどの制限があり、これらの条件を満たしたロボットで、いかに早くゴールにたどり着くかを競うものである。超音波センサー光センサー等からの情報を元に、ロボットを如何に効率よく動作させるか、また正確に動作するかが重要なポイントとなる。「マウス」の名は動物行動学の分野において同様の迷路実験をネズミで行うことが由来である。

ロボット[編集]

形状[編集]

上記の制約を満たしていれば部品・構成の制限は無いが、狭い迷路を高速で移動するため車輪を使用したロボットが基本である。 また基本的に小型・軽量である方が旋回時に有利であるため、物理的・技術的な制約内でシステムとしてまとめる技術力が要求される。 近年では重量11gのロボットもある。[1]

モータ[編集]

ステッピングモータまたはDCモータが主流である。制御性のよいステッピングモータの利用が多かったこともあったが、近年は小型・軽量化のため、またステッピングモータを使っても、結局、脱調やタイヤのスリップ等のためにセンサによる検出が不可欠であるため、DCモータを使用するロボットが増えている。

バッテリ[編集]

ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池(他のロボット競技では使用不可の場合もあるが、マイクロマウスでは使用可能)が主流である。

競技[編集]

規定時間以内に定められた回数(2010年現在では通常5回)の走行が可能であり、その中で最短の時間を記録とする。通常は1回目の走行で迷路を探索し、2回目以降に最速経路を走行する。

規定時間は大会によって異なるが、2010年現在では5分(エキスパートクラス決勝)~10分(地区大会)程度である。

競技種別[編集]

マイクロマウス(クラシック)[編集]

従来からの種別で、一般的にはこちらの競技を表す。 基本的にIEEEが提唱した時と同じため、国際規格といえる。 具体的な規定はマイクロマウスクラシック競技規定を参照。

マイクロマウス(ハーフサイズ)[編集]

1マスを従来の1/2である9cm×9cmに縮小した競技。 また迷路サイズが最大32×32区画、ゴール位置が可変(大会前に告知)などの変更がある。 技術の進歩により迷路の大きさよりはるかに小さいマウスが登場するようになったため、新たな技術課題としてニューテクノロジー振興財団から提唱された。 日本では2008年のプレ大会を経て、2009年の第30回全日本マイクロマウス大会から正式競技として実施されている。 具体的な規定はマイクロマウス(ハーフサイズ)競技規定を参照。

歴史[編集]

近年では様々なロボット競技が行われているが、マイクロマウスは幅広い参加者による大会が開かれているものとしては最古の部類に入る。

1977年にIEEE(米国電気電子学会)が提唱したことに始まり、日本では1980年よりニューテクノロジー振興財団が全国大会を主催している。

上述の通り、2009年から新たにマイクロマウス(ハーフサイズ)が追加された。

大会[編集]

日本国内[編集]

全国大会以外に各地方支部の大会と学生大会が開催されている。地区大会に参加しなくても全国大会には出場が可能である。

  • 全国大会
2012年は芝浦工業大学で開催された。全日本大会ではあるが、近年はシンガポール、韓国、台湾、アメリカ等からも参加者が来るため、事実上の世界大会である。
  • 東北地区大会
山形県長井市で開催。副賞で地元の農産物が配られる。
  • 東日本地区大会
近年は科学技術館で開催。
  • 北陸信越地区
新潟県立自然科学館で開催。
  • 中部地区大会
名古屋工学院専門学校で開催。地区大会とは別に中部初級者大会も開催される。
  • 関西地区大会
2012年京都コンピュータ学院で開催。
関西支部のwiki。支部情報以外の情報も多数。
  • 九州地区大会
2012年は専門学校麻生工科自動車大学校で開催。2011年までは熊本高等専門学校で開催されていた。1998年から休止していたが、2008年に復活した。
  • 学生大会
関東地区で開催。
  • その他
支部の主催する地区大会ではないが、2011年からマイクロマウス北陸同好会が金沢工業高等専門学校で金沢草の根大会を開催。

海外[編集]

特徴[編集]

総体的に、他のロボット競技と大きく違う面があるが、これは元々マイクロマウス競技が存在していたため、他の競技がマイクロマウスと違う方向を志向した(同じようなものを複数やってもあまり意味がないため)ということも背景にある。

ルールが非常に安定している[編集]

競技時間や走行回数、バッテリ交換の有無等の変更はあるものの、基本的には1977年の提唱時から変化していない。そのため、30年前のロボットがそのまま現在も参加可能である。

レギュレーションが非常に緩い[編集]

たとえば、他の競技では大きさや重量、使用する部品の制約が存在するが、マイクロマウスの場合は事実上存在しない(大きさ制限はあるが、基本的に小さい方が速い。バッテリ以外の内燃機関も同様)。そのためハードウェアの自由度が非常に高く、以下のように様々なタイプのロボットが参加している(していた)。

  • 2輪・3輪・4輪・6輪
一般的な形状は2輪であるが、3輪・4輪・6輪のマウスも存在する。
  • 吸引
掃除機のように床面に張り付いて走る。他の競技では競技バランスを崩すということで禁止されているが、マイクロマウスでは参加可能である。
  • 歩行
車輪に限定されていないため、二足歩行でも参加可能である。
  • 画像処理
高さ制限が無いため、スタート地点で上方からカメラで迷路を撮影し、画像処理で最短経路を求める事も可能である。

また、1マスの正方形よりも、ロボットの大きさ制限のほうが大きいので、壁よりも外にセンサーの発光部ないし受光部を置き、壁に遮られているかどうかを検出する、という単純で確実な方式を使うことができる(初期にはそのようなロボットが多かった)。

参加者[編集]

大学生が主であるが、高校生や社会人(現役エンジニアも多数)など幅広い年齢層が参加している。大会の歴史が長いため、参加歴10年を超える古参の参加者も珍しくない。

マイクロマウスはマイクロプロセッサプログラミング等のソフトウェア面から、センサアクチュエータなどメカトロニクスハードウェア面まで、総合的な技術が必要となるため、高校・大学や専門学校、企業において教育・研修として参加している団体も存在する。

出典[編集]

  1. ^ マイクロマウス2010に出場した「こじまうす6A」の重量は11g

関連項目[編集]

外部リンク[編集]