ハンロンの剃刀

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ハンロンの剃刀英語版(ハンロンのかみそり、: Hanlon's razor)とは、次の文で説明できるエポニムである、

Never attribute to malice that which is adequately explained by stupidity.

すなわち、

無能で充分説明される現象に悪意を見出すな[注釈 1]

これはオッカムの剃刀の言い替えとしても使われる。例えば製品に欠陥があったとしても、それは製品が不良であり、企業が無能、愚かなのであって、消費者を困らせるために企業が悪意を持って欠陥を忍ばせたわけではない、という理屈を示す上で利用される[注釈 2]。この文言はロバート・J・ハンロン(Robert J. Hanlon)に由来するものであるが、本質的に同一の考えに至ることわざがこれ以前に知られている。

目次

[編集] 起源、類似した引用句

この引用句は、1980年に刊行されマーフィーの法則に関連したさまざまなジョークを綴った書籍『マーフィーの法則第二巻、物事が間違った方向に進む多くの理由』[注釈 3]Murphy's Law Book Two, More Reasons Why Things Go Wrong)に対しスクラントンのロバート・J・ハンロンが寄せた意見に、まず由来すると彼の友人ジョセフ・ビグラー(Joseph Bigler)は述べている[1]。この名称はオッカムの剃刀からのインスパイアであった[2]

似たような引用句はロバート・A・ハインライン1941年の短編作品『帝国の論理英語版』にも見られる。この中では、

You have attributed conditions to villainy that simply result from stupidity.

すなわち、

君は単に愚かさから生じる状況を悪行に帰結した。

という一文が見られる。これは、1996年に指摘されており、それはビグラーがハンロンの引用句だと確認するよりも5年も前のことである。またジャーゴンファイルのバージョン4.0.0にてはじめて言及されており[3]ハンロンの剃刀ハインラインの剃刀(Heinlein's Razor)の転化ではないかとの推測を述べている。ハインラインの剃刀とは、次のような引用句の変種と以来定義されるものである。

Never attribute to malice that which can be adequately explained by stupidity, but don't rule out malice.[4]

すなわち、

無能で充分説明できる現象に悪意を見出してはならない、しかし、悪意自体を除外してはならない

さらに別の類似したエピグラム

Never ascribe to malice that which is adequately explained by incompetence.

すなわち、

無能で充分説明される悪意のせいにするな[注釈 4]

は、ナポレオン・ボナパルトによるものだと広く伝えられる[5]

さらに別の似た引用が、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』(1774年)に現れる。

...misunderstandings and neglect create more confusion in this world than trickery and malice. At any rate, the last two are certainly much less frequent.

参考訳:

(前略)誤解や怠慢は策略と悪意よりも、この世界において、多くの混乱を生む。いずれにせよ、最後の2つは確かに滅多なことではない。

イギリス英語による、広く知られかつより簡明な英語版変種がある。サー・バーナード・インガム英語版により新たに作られたそれは、「陰謀前の失敗」("cock-up before conspiracy")という格言であり、次の引用句から引き合いに出される。

Many journalists have fallen for the conspiracy theory of government. I do assure you that they would produce more accurate work if they adhered to the cock-up theory.

Sir Bernard Ingham[6]

すなわち、

多くのジャーナリストは政府の陰謀論の罠に陥った。私は、もし彼らがそのろくでもない理論に従うならば、彼らがよりもっともらしい作業を生み出すであろうことをまさにあなたがたに保証する。

サー・バーナード・インガム

[編集] 脚注

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[編集] 注釈

  1. ^ 直訳: まさか愚かさによって充分に説明できるものを悪意のせいにする必要などない。
  2. ^ ただし悪意を隠した上で密かに欠陥を紛れ込ませる場合はこの限りではない。またそのような行為が本当に悪意がなく偶然のものであるか証明することは困難を要す(悪魔の証明)。
  3. ^ 参考訳。そのような訳本が存在するわけではない。
  4. ^ ascribeは「なんらかの原因(cause)」に帰着させるattribute)という他動詞である。

[編集] 出典

  1. ^ クエンティン・スタッフォード=フレイザー英語版への電子メールの中で、ジョセフ・E・ビグラーは、ロバート・J・ハンロンは実在の人物であり、彼はこの引用句を本当に生み出したと書いている。これに続くフォローアップ・メールで、Murphy's Law Book Two, Wrong Reasons Why Things Go MoreISBN 0-417-06450-0)をMurphy's Law #2(『マーフィーの法則 第二巻』、ISBN 0-8431-0674-3)と混同しないよう言及している。これら書籍を出版したプライス・スターン・スローン英語版1993年、パトナム・バークレー・グループ(Putnam Berkley Group)により買収された(詳細は、ペンギン・グループ社歴を参照)。
  2. ^ Giancarlo Livraghi, Il potere della stupidità(The Power of Stupidity), Monti & Ambrosini, Pescara, Italy, 2004, p. 1
  3. ^ http://www.catb.org/jargon/html/H/Hanlons-Razor.html
  4. ^ この引用句はアルベルト・アインシュタインのものであると、ピーター・シンガー2009年に出版した書籍Wired for WarISBN 1594201986)の434ページに記述されている。
  5. ^ Napoleon I on Incompetence - Quotation - MSN Encarta”. MSN Encarta. 2009年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年7月11日閲覧。
  6. ^ Galvin, Nick (2009年9月1日). “Case of a misplaced point”. Brisbane Times. http://www.brisbanetimes.com.au/digital-life/case-of-a-misplaced-point-20090901-f5zj.html 2010年7月17日閲覧。 

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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