スロヴェンスカー・ストレラ

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ČSD M290.0形ディーゼル動車
チェコ・コプジブニツェで保存されているM290.002
チェコ・コプジブニツェで保存されているM290.002
編成 2両
営業最高速度 130 km/h
設計最高速度 (1936年速度記録)148 km/h
車両定員 2等 72人
全長 25,100 mm
全幅 2,850 mm
全高 3,665 mm
車両質量 36.0t
軸配置 (1A)´ (A1)´
出力 340ps (256kw)
機関出力 170ps (128kw)
駆動装置 電気・機械式 (混合)
製造メーカー タトラ社・1936年

スロヴェンスカー・ストレラ(スロバキアの矢、スロバキア語 : Slovenská strela)は、第二次世界大戦前のチェコスロバキア国鉄(Československé státní dráhy : ČSD)の特急列車に使用されたM290形流線型ディーゼル動車(タトラ社形式・Tatra 68)の愛称。およびその車両によって運用された、プラハチェコ)-ブラチスラヴァスロバキア)間の特急列車を指す。

概要[編集]

M290形ディーゼル動車は、1934年にチェコスロバキア鉄道省が立案した130km/h運転可能な2等ディーゼル動車の開発計画にもとづき、1936年、タトラ社コプジブニツェ工場(チェコ・コプジブニツェ市)で2両(M290.001、M290.002)が製造された。流線型の両運転台を持つ電気・機械式のディーゼル動車で、全長25,100mm、自重36.0t、最高速度130km/h。M290.002は1936年に148km/hの速度記録を出した。

電気モーターとディーゼル機関直結の発電機とを平歯車を組み合わせたギアボックスで結び、機関とともに2つの台車内に1基ずつ収める独自のモータートラック方式を採用。電気式・機械式の両方の機能を併せ持つ独特の機構を特徴とする。車軸配列は(1A)´ (A1)´である。

動力装置は当時タトラ社に在籍していたチェコ人技術者のヨセフ・ソウセディークが開発したもので、発進時から大トルクを発生できる電動機の特性と、高速域で出力を出しやすいディーゼル機関の特性を組み合わせたユニークなアイデアで知られる。

各台車のディーゼル機関(タトラT67型・170PS)は、低速時には発電用エンジンとして発電機を回転させ、それによって電気モーターを駆動させ駆動軸に動力を伝達する電気式の形態を取り、速度が85km/hに達すると発電機を回路から切り離して直結段に移行し、ディーゼル機関の回転を直接駆動軸に伝達する機械式の形態を取った。このほか、ディスクブレーキや一体鋳造車輪、リベットのない完全溶接車体など、当時の諸外国の車両を凌ぐ先進的技術を数多く取り入れていた。

車内は全2等車でカフェテリアも備えていた。運転室は開放式でチェーンまたは網状のフェンスのみで仕切られ、両車端の乗降口デッキから前面展望を眺めることも可能だった。連結器を備えていたが営業運転時は単行で使用され、「スロヴェンスカー・ストレラ」の愛称で、プラハ-ブラチスラヴァ間を4時間28分で結んだ。

しかし1939年に第二次世界大戦が開戦したため、わずか3年で運行休止となった。戦後チェコスロバキア国内のローカル輸送用に使用されたあと、M290.001は1953年に、M290.002は1960年にそれぞれ休車となった。現在、M290.002がコプジブニツェ市のタトラ社博物館に保存されている。

列車愛称の「スロヴェンスカー・ストレラ」は、その後も現代に至るまで、チェコ、スロバキア両国の首都を結ぶ客車列車の名称として長年親しまれてきた。さらに2006年12月からは、チェコ鉄道(ČD)680系高速電車を使用したチェコ鉄道と鉄道企業体スロバキア(ZSSK)共同運行のSuperCity列車の愛称となり、プラハ-ブラチスラヴァ間で1日1往復運行されている。

関連項目[編集]

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