コーギス

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コーギス
The Korgis
出身地 イングランドの旗 イングランド ブリストル
ジャンル ポップスニュー・ウェイヴシンセポップ
活動期間 1978年 - 1982年1985年 - 1986年1990年 - 1993年2005年 - 2007年2017年 -
レーベル Rialto、アサイラムワーナー・ブラザースロンドンエンジェル・エアー
公式サイト www.thekorgis.com
メンバー ジェームス・ウォーレン
ジョン・ベイカー
アル・スティール
ポール・スミス
ナイジェル・ハート
ジェイミー・マーシャル
アヴァ・ヴォランテ
エミー・リヴァース
旧メンバー アンディ・クレズウェル・デイヴィス
スチュアート・ゴードン
フィル・ハリソン
ビル・バークス
ロイ・ドッズ
マギー・スチュワート
スティーヴ・バック
グレン・トミー

コーギスThe Korgis)は、1980年のヒット・シングル「永遠の想い (Everybody's Got to Learn Sometime)」で主に知られるイギリスのポップ・バンド。バンドは元々、歌手/ギタリスト/キーボード奏者のアンディ・デイヴィス(アンディ・クレズウェル・デイヴィス、1949年8月10日生まれ)と、歌手/ベーシストのジェームス・ウォーレン(1951年8月25日生まれ)という、1970年代のバンドであるスタックリッジの元メンバーと、ヴァイオリニストのスチュアート・ゴードンと、キーボード奏者のフィル・ハリソンで構成されていた[1]

略歴[編集]

コーギスは、1979年3月初旬に彼らのマネージャーであるニック・ヒースとティム・ヒースが所有するレーベルであったリアルト・レコード (Rialto Records)から、最初のシングル「Young 'n' Russian」をリリースした。ドラマーのビル・バークスが短期的に参加し、次のシングル「とどかぬ想い (If I Had You)」がすぐにリリースされ、全英シングルチャートで13位にランクインした[2]。『トップ・オブ・ザ・ポップス』に出演し、1979年7月にグループ名を冠したデビュー・アルバム『The Korgis』(邦題『とどかぬ想い / 噂のコーギス』)リリースのプロモーションを行った[1]

フォローアップ・シングルとなる「Young 'n' Russian」の再リリースと「I Just Can't Help It」は、チャートにおいて惨敗。しかし、2枚目のアルバム『永遠の想い』(Dumb Waiters、1980年)からの次のシングルが「永遠の想い (Everybody's Got to Learn Sometime)」(1980年)であり[1]、3か国でヒットし、イギリスでは5位[2]アメリカでは18位、そしてオーストラリアでは11位に達した。このアルバムは1980年、イギリスでナンバー40に達し、シングル「If It's Alright With You Baby」「Rovers Return」が続いて発表された[1]。セカンド・アルバムとそこからのシングルをリリースしたことで得た商業的ブレイクスルーは、バンドを維持するのにに十分ではなく、デイヴィスがサード・アルバム『スティッキー・ジョージ』のレコーディング前にバンドを脱退した。多くの作詞作曲クレジットを持っていたにもかかわらず。『スティッキー・ジョージ』からのリード・シングル「That Was My Big Mistake」は、デイヴィスとウォーレンが別々の道を歩み出したことを示すため、「ジェームス・ウォーレン&コーギス」という名義でリリースされた。1980年の終わりまでに、ゴードンとハリソンもバンドを脱退。その後、バンドは、ギタリストのジョン・ベイカー、ドラマーのロイ・ドッズ、キーボーディストのマギー・スチュワートの参加によって補強された。このラインナップは、「Everybody's Got to Learn Sometime」とその後のシングルをヨーロッパのテレビやプロモーション出演で宣伝するために続けられた。翌年、バンドにはフルート奏者のスティーヴ・バックが加わり、最終的に実現できなかったもののコーギスによるライブが検討されたが、1982年にバンドは解散させられ、ウォーレンはソロ活動に入った。シングル「Don't Look Back」は、もともと『スティッキー・ジョージ』のセッションにおけるデモだったが、バグルスフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドダラーイエスとの仕事で知られるトレヴァー・ホーンによってリミックスされ、1982年の夏にロンドンレコードから発表された。ホーンとの続くシングル「Endangered Species」が計画されたが、実現することはなかった。

ウォーレンは1986年に『バーニング・クエスチョンズ』というタイトルのソロ・アルバムを発表した[1]。この時代のシングルのいくつかは「コーギス」(本質的にこの期間中はウォーレンだけで構成された一人のバンド)名義でリリースされ、アンディ・デイヴィスによって共同でプロデュースされた。

バンドは1990年に再結成し、「Everybody's Got to Learn Sometime」を再録音した。ウォーレン、デイヴィス、ベイカーで構成される再編されたグループは、1992年にアルバム『フォー・エヴリワン』をリリースし、1993年に再び解散するまでに、ヨーロッパと日本において、ある程度の成功を収めた。

1999年にはエドセル・レコードによって3枚のオリジナル・コーギスのアルバムが再発され、続いてサンクチュアリ・レコード / キャッスル・コミュニケーションズによる2枚組のアンソロジー『ドント・ルック・バック〜ヴェリー・ベスト・オブ・ザ・コーギス』が2003年に発表された。

2005年、ウォーレン、デイヴィス、ベイカーは、DVD /コンピレーション・アルバム『コレクション (Kollection)』の撮影のために再会し、翌年にエンジェル・エアー・レコードというレーベルからリリースされた14曲入りのアルバム『Unplugged』を録音した。

2006年、コーギスは13年ぶりのシングル「Something About The Beatles」をリリースした。これは、Myspaceでも聴くことができた[3]。この曲は、遅ればせながらはっきりとジョン・レノンの影響を認めており、それはレノンの1970年代初期の作品がもつ幽玄な音をとらえた「とどかぬ想い」と「永遠の想い」からも非常に強く感じられたものである。バンドは、ジョン・レノンが殺害される直前、当時のインタビューでその影響を認めている。

元メンバーのスチュアート・ゴードンは、2014年8月28日に肺がんで亡くなった。63歳であった[4]

スタックリッジが2014年にツアーを中断したとき。ウォーレンとデイヴィスは、2015年にコーギス名義でスタックリッジとまったく同じ5人編成のラインナップを使用してイギリス・ツアーを企画した。再編成されたスタックリッジは通常、ライブ・セットにコーギスの数曲を含んでいた。スタックリッジは2017年に解散し、フェアウェル・コンサートの録音が『ファイナル・バウ ブリストル2015』としてリリースされた。

2017年、ウォーレンは、古い仲間でギタリスト/アレンジャーのアル・スティールに後押しされ、ジェームス・ウォーレン・アンド・フレンズとしていくつかのライブ日程をこなした。これにはコーギスのセットが含まれ、コーギス・フィーチャリング・ジェームス・ウォーレンとしての最初のツアーへとつながった。最初のギグは、2018年8月のサンシャイン・フェスティバルで、スタックリッジからジョン・ベイカーとグレン・トミー(「Everybody's Got To Learn Sometime」のオリジナルでも演奏)、そして1990年代のツアー・バンドからアル・スティールが戻ってきた。2019年、バンドはリーズ、ショアハム、ブリストル、ロンドンの100クラブで演奏を行った。2020年のコロナウイルス感染症によるロックダウン中に、コーギスは約30年ぶりとなるニュー・アルバムの録音を開始した。これは『Kartoon World』というタイトルで企画され、2021年初頭にリリースされた。このアルバムには共通項があり、「コンセプト・アルバム」と呼ぶこともできる。2022年2月11日、彼らは再び100クラブで演奏を行い、新しいアルバムから多くの曲をフィーチャーした。

カバー・バージョン[編集]

2004年9月、ズッケロヴァネッサ・カールトンは、「Everybody's Got to Learn Sometime」のカバー・バージョンでフランスのチャートに登場し、一定の成功を収めた。同年、ベックミシェル・ゴンドリーの映画『エターナル・サンシャイン』でこの曲をカバーした。2003年にはイレイジャーのカバー・アルバム『アザー・ピープルズ・ソングス』に収録された。

「Everybody's Got to Learn Sometime」の他のカバー・バージョンも、この曲を何年にもわたって全英シングルチャートに戻してきた。特筆すべきは、ドリーム・アカデミー(1987年)、YAZZ(1994年)、ベイビーD(1995年)、アーミー・オブ・ラバーズ(1995年)、ドイツのテクノデュオであるMarc et Claude(2000年)によるものである。1997年、ア・カペラ・グループのキングズ・シンガーズがジェームス・ウォーレンのリード・ボーカルでこの曲をレコーディングした。トレイシー・ウルマンロッド・スチュワートは「If I Had You」をカバーした。ワイルドハーツのジンジャーは、1998年に「If I Had You」をライブで演奏しており、2枚組アルバム『Grievous Acoustic Behaviour (Live At The 12 Bar)』で聴くことができる。

ソビエトのシンセポップ/シンセウェイヴ・バンドのフォーラムも、「Falling Leaves」というタイトルでロシア語によるカバーをリリースした。一部の西側諸国で限定リリースされた他の多くの作品とは異なり、この録音はレーベル(アサイラム)またはバンドとの事前の合意なしに行われ、旧ソビエト連邦以外では事実上知られていない。

2005年、カナダのミュージシャンからレコード・レーベルの幹部に転向した、ブルズアイ・レコードのジェイミー・ヴァーノンは、「Everybody's Got to Learn Sometime」をフィーチャーした2枚目のソロ・アルバム『Time Enough at Last』をリリースした。

別の「Everybody's Got to Learn Sometime」のカバー・バージョンが、オランダのバンド、Krezipによって録音された。2008年、オランダのエレクトロ・ハウス・プロデューサーであるレイドバック・ルークは、「Everybody's Got to Learn Sometime」の海賊版リミックスをリリースした。また2008年には、グラスゴーを拠点とするバンドのグラスヴェガスがこの曲をカバーした。それは彼らのシングル「Geraldine」のB面としてだった。

2008年、ベックはロンドンのハイドパークで開催されたO2ワイヤレス・フェスティバルで「Everybody's Got to Learn Sometime」を演奏した。

The Fieldとして知られるスウェーデンのアーティストが、「Everybody's Got to Learn Sometime」のカバーを含むアルバム『Yesterday and Today』(2009年)をリリースした。

「Need your Lovin」と呼ばれるバージョンが、オリジナルのコーギスのトラックをサンプリングして、1992年にジャングル・プロデューサーのNRGにより作成され、これをもとにベイビーDが独自のバージョンを作成した。

2010年、ザ・コアーズシャロン・コアーは、ソロ・アルバム『Dream Of You』で「Everybody's Got to Learn Sometime」のカバーをリリースした。

2011年、ニコラ・ロバーツは、ポップ・バンドのガールズ・アラウドが活動休止している間にリリースされた彼女のデビュー・アルバム『Cinderella's Eyes』にこの曲のカバー・バージョンを収録した。

メンバー[編集]

現在のメンバー[編集]

  • ジェームス・ウォーレン (James Warren) - ベース、ボーカル、ギター、キーボード (1978年–1982年、1985年–1986年、1990年–1993年、2005年– )
  • ジョン・ベイカー (John Baker) - ギター、ボーカル、キーボード (1980年–1982年、1990年–1993年、2005年–2014年、2017年– )
  • アル・スティール (Al Steele) - ギター (2017年– )
  • ポール・スミス (Paul Smith) - ドラム (2017年– )
  • ナイジェル・ハート (Nigel Hart) - キーボード (2019年– )
  • ジェイ・マーシャル (Jay Marshall) - バック・ボーカル (2017年– )
  • エミー・リヴァース (Emmy Rivers) - バック・ボーカル (2017年– )
  • アヴァ・ヴォランテ (Ava Volante) - バック・ボーカル (2017年– )

旧メンバー[編集]

  • アンディ・クレズウェル・デイヴィス (Andy Cresswell-Davis) - ギター、ボーカル、キーボード、ドラム (1978年–1980年、1990年–1993年、2005年–2007年)
  • スチュアート・ゴードン (Stuart Gordon) - ヴァイオリン (1978年–1980年) ※2014年死去
  • フィル・ハリソン (Phil Harrison) - キーボード (1978年–1980年)
  • ビル・バークス (Bill Birks) - ドラム、アコースティックギター (1979年)
  • ロイ・ドッズ (Roy Dodds) - ドラム (1980年–1982年)
  • マギー・スチュワート (Maggie Stewart) - キーボード (1980年–1982年)
  • スティーヴ・バック (Steve Buck) - フルート、ドラム (1981年–1982年)
  • グレン・トミー (Glenn Tommey) - キーボード、ボーカル (2015年–2019年)

旧ツアー・ミュージシャン[編集]

  • エディ・ジョン (Eddie John) - ドラム、ボーカル (2015年)
  • クレア・リンドレイ (Clare Lindley) - ヴァイオリン、ギター、ボーカル (2015年)

ディスコグラフィ[編集]

アルバム[編集]

  • 『とどかぬ想い / 噂のコーギス』 - The Korgis (1979年)
  • 『永遠の想い』 - Dumb Waiters (1980年) ※旧邦題『ダム・ウェイターズ』
  • 『スティッキー・ジョージ』 - Sticky George (1981年)
  • 『バーニング・クエスチョンズ』 - Burning Questions (1986年) ※ジェームス・ウォーレン・ソロ名義
  • 『フォー・エヴリワン』 - This World's for Everyone (1992年)
  • Kartoon World (2021年)

ライブ・アルバム[編集]

  • Unplugged (2006年)

コンピレーション・アルバム[編集]

  • 『ベスト・オブ・コーギス』 - The Best of The Korgis (1983年)
  • The Best of & the Rest of The Korgis (1990年)
  • Archive Series (1997年)
  • Greatest Hits (2001年)
  • Klassics – The Best of The Korgis (2001年)
  • 『ドント・ルック・バック〜ヴェリー・ベスト・オブ・ザ・コーギス』 - Don't Look Back – The Very Best of The Korgis (2003年)
  • 『コレクション』 - Kollection (2005年)
  • 『エヴリボディズ・ガット・トゥ・ラーン・サムタイム:コンプリート・リアルト・レコーディングス1979-1982』 - Everybody’s Got To Learn Sometime: The Complete Rialto Recordings 1979-1982 (2016年)

シングル[編集]

  • "Young 'n' Russian" / "Cold Tea" (1979年)
  • 「とどかぬ想い」 - "If I Had You" (Single Version) / "Chinese Girl" (1979年) ※全英13位
  • "Young 'n' Russian" / "Mount Everest Sings the Blues" (1980年) ※再発盤
  • "I Just Can't Help It (Remix)" / "O Maxine" (1980年)
  • 「永遠の想い」 - "Everybody's Got to Learn Sometime" / "Dirty Postcards" (1980年) ※全英5位、全米18位、豪11位、仏1位、スペイン1位
  • "If It's Alright With You Baby" / "Love Ain't Too Far Away" (1980年) ※全英56位
  • "Dumb Waiters" / "Perfect Hostess" (1980年)
  • "Rover's Return" / "Wish You A Merry Christmas" (1980年)
  • "That Was My Big Mistake" (Edit) / "Can't We Be Friends Now" (1981年) ※ジェームス・ウォーレン&コーギス名義
  • "All The Love in the World" (Edit) / "Intimate" (1981年)
  • "Don't Say That It's Over" (Single Version) / "Drawn And Quartered" (1981年)
  • "Sticky George" / "Nowhere To Run" (Single Version) (1981年) ※ジェームス・ウォーレン&コーギス名義
  • "Don't Look Back" /"Xenophobia" (1982年)
  • "Burning Questions" / "Waiting For Godot" (1985年)
  • "Burning Questions" (Extended) / "Waiting For Godot" (1985年) ※12インチ
  • "True Life Confessions" / "Possessed" (Edit) (1985年)
  • "True Life Confessions" (Extended) / "I Know Something" / "Possessed (edited)" (1985年) ※12インチ
  • "They Don't Believe in Magic" / "I'll Be Here" (1986年) ※ジェームス・ウォーレン名義
  • "It Won't Be the Same Old Place" (Single remix by David Lord) / "Climate of Treason" (1986年) ※ジェームス・ウォーレン名義
  • "How Did You Know?" / "Can You Hear the Spirit Dying" (James Warren, 1987年)
  • "True Life Confessions" ('88 Remix by Kenny Denton) / "Possessed" (edit) (1988年) ※コーギス名義
  • "Everybody's Gotta Learn Sometime" (1990 re-recording) / "Everybody's Got to Learn Sometime" (Instrumental) / "This World's for Everyone" (Home demo version) (1990年)
  • "One Life" / "Wreckage of a Broken Heart" / "No Love in the World" (1992年)
  • "Everybody's Gotta Learn Sometime – DNA Remixes" (Slow & Moody 7") / (Slow & Moody 12") / (12" Disco Heaven Mix) /(Housey 7") (1993年)
  • "Something About The Beatles" / "It All Comes Down To You" / "Everybody's Gotta Learn Sometime" (2006年)
  • "The Ghost Of You" (2020年)
  • "Bringing Back The Spirit Of Love" (2020年)
  • "Time (Song For Dom)" (2021年)
  • "Magic Money Tree" (2021年)

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e Colin Larkin, ed (1992). The Guinness Encyclopedia of Popular Music (First ed.). Guinness Publishing. p. 1401. ISBN 0-85112-939-0 
  2. ^ a b Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records. p. 307. ISBN 1-904994-10-5 
  3. ^ Myspace .
  4. ^ Rock, Doc. “The Dead Rock Stars Club : July – December 2014”. Thedeadrockstarsclub.com. 2014年9月1日閲覧。

外部リンク[編集]