グローリア (ヴィヴァルディ)

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グローリア ニ長調 RV.589 (Gloria)は、アントニオ・ヴィヴァルディが作曲した宗教音楽である。ヴィヴァルディの宗教作品では有名な楽曲であり、演奏頻度が高い作品でもある。はこの他に数曲が残されている(下記参照)。

概要[編集]

リオム番号(RV番号)が「589番」と与えられたこのグローリアは、作曲の経緯や年代が判明していないため不明である。一説には1704年から1740年の間にかけて、ヴィヴァルディがヴェネツィアの少女孤児院の合奏長(マエストロ・ディ・コンツェルティ)を務めていた時期に書かれたものであると推測されているが、詳細は不明である。

後にイタリア作曲家アルフレード・カゼッラによって発見され、カゼッラはスケッチの状態で残されていた『グローリア』の部分を補筆し、1939年9月シエナで行われたヴィヴァルディ・フェスティヴァルにおいて自身の指揮で蘇演している。

編成[編集]

構成[編集]

全12曲から構成される。演奏時間は約30分。

  • 第1曲 いと高きところには神の栄光(Gloria in excelsis Deo)
    器楽の合奏による活発なアレグロで始まる。合唱は徹底的にホモフォニー風に歌い続ける。
  • 第2曲 地上には善意の人々(Et in terra pax)
    アンダンテ、ロ短調。伴奏は弦楽のみである。
  • 第3曲 我らは主をたたえ(Laudamus te)
    ソプラノ二重唱による軽快な曲。
  • 第4曲 主に感謝を捧げる(Gratias agimus tibi)
    アダージョ。わずか6小節からなる短いパッセージで、第5曲の序奏に相当する。
  • 第5曲 主の偉大な栄光ゆえに(Propter magnam gloriam)
    アレグロ。弦楽が合唱の声部と重複して同旋律を弾く。途中からホ短調に変わる。
  • 第6曲 神なる主、天の王者(Domine Deus)
    ラルゴ。ソプラノ独唱だが、オーボエの助奏を伴う。
  • 第7曲 ひとり子である主(Domine, Fili unigenite)
    アレグロ。合唱は弦楽合奏による伴奏で歌われる。
  • 第8曲 神なる主、神の子羊(Domine Deus, Agnus Dei)
    アダージョ、ニ短調。ここではアルトが歌う。
  • 第9曲 世の罪を除きたもう者よ(Qui tollis peccata mundi)
    アダージョ。イ短調で始まるが、結尾はホ長調で終わる。
  • 第10曲 御父の右に座りたもう者よ(Qui sedes ad dexteram Patris)
    アレグロ、ロ短調。弦楽の伴奏によるアルトの独唱である。
  • 第11曲 あなたのみが聖であり(Quoniam tu solus sanctus)
    アレグロ。第1曲の繰り返しであるが、短縮された形式をとる。
  • 第12曲 聖霊とともに(Cum Sancto Spiritu)
    アレグロ。堂々とした終曲であるが、G.M.ルッジェーリが1708年に作曲した『グローリア』の最後の部分を書き直したものである。

この他のグローリア[編集]

ヴィヴァルディはこの他に数曲ほど作曲している。このうちの2曲は偽作である。

グローリア ニ長調 RV.588[編集]

作曲年代は不明だが、RV.639と639aに関連しているとされる。

グローリア 変ホ長調 RV.590[編集]

紛失している。楽器編成のみが知られる(5声とオーボエ・トロンバ)。

グローリア ニ長調 RV.Anh.23[編集]

偽作で、ジョヴァンニ・マリア・ルギエリGiovanni Maria Ruggieri)の作と判明。RV.588と589に関連しているとされる。

グローリア ト長調 RV.Anh.24[編集]

偽作で、同じくジョヴァンニ・マリア・ルギエリの作。

参考資料[編集]