クァール

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クァール(Coeurl)とは、A・E・ヴァン・ヴォークトの古典SF小説『宇宙船ビーグル号の冒険』の第一話「Black Destroyer」に登場する架空の生物

特徴[編集]

人間並みかそれ以上の高い知能を有する。巨大な型で体色は黒。耳の代わりに巻きひげの様な触角が生えており、あらゆる電磁波の送受信が可能である。肩から生えた2本の長い触手の先端は吸盤状になっており、人間の手と同様、細かい作業をする事ができる。他の生物を襲って殺し、細胞原形質(イド)からカリウムを吸収する。細胞中のカリウムは死後時間が経つと血液中に流出してしまう為、クァールは殺した直後の獲物しか食べないとされる。全身から様々な放射線を発する事もでき、レントゲン写真による透視を阻害する事も可能。また振動波銃の直撃を受けても全く影響を受けない。

性格は残忍で狡猾。巨体にふさわしい膂力も有しており、「黒い破壊者(ブラック・デストロイヤー)」の名で呼ばれる事もある。典型的な猫族の例に漏れず好奇心が旺盛であり、臆病でもある。外部からの刺激に対しての適応力も驚異的なものがある。原住惑星は塩素が大気の主成分であったが、酸素も呼吸することが出来、フッ素大気や真空中でも生存可能と推測されている。

探検宇宙船「スペース・ビーグル号」で航行中の学術探検隊が立ち寄ったある惑星で発見された。滅亡した文明が生み出した実験動物の生き残りであると推測されている。正確な個体数は不明だが、発見当時、既に絶滅の危機に瀕していた。発見された個体は餓死寸前の状態であったが、無害な獣を装い、生体サンプルとして捕獲される事で探検隊に潜り込む事に成功。数十人を殺傷した挙句、救命艇を奪って脱出を試みるが、原子熱線砲の攻撃で撃墜され、死亡した。

日本語訳[編集]

同作の日本語訳でのクァールの表記には揺れがあり、早川書房版『ビーグル号』では「クァール」だが創元SF文庫版などでは「ケアル」と表記されている。

他作品での登場[編集]

  • ファイナルファンタジーシリーズの通常の敵「クアール」として登場する。
    相手を麻痺、或いは一撃で戦闘不能に陥らせる効果を持つブラスターが得意技。初登場のFFIIでは直接攻撃の追加効果として死亡が設定されている。いずれにせよ高い殺傷能力を持つ危険なモンスターという位置づけはシリーズで共通。
    姿は原典と同じだが、能力は異なる。
  • テーブルトークRPGの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』 (D&D) に登場する、「ディスプレイサー・ビースト」は、能力は違うが、姿が酷似している。
  • ダーティペア』には、人間に馴れるよう改造を受けた個体「ムギ」が、主人公のパートナーとして登場する。元々はオリジナルの生物を考えていたが設定を考えて行くうちにクァールと殆ど同じになったことからクァールそのものとし、原作小説には本作が出典であることが明記されている。