ギャング・オブ・フォー (バンド)

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ギャング・オブ・フォー
2011年シカゴにて
基本情報
出身地 イングランドの旗 イングランド リーズ
ジャンル ポストパンク
アート・パンク
ニュー・ウェイヴ
活動期間 1976年 - 1984年
1990年 - 1991年
1993年
1995年
2004年 - 2020年
2021年 -
レーベル V2レコード
EMI
ワーナー・ブラザース・レコード
ファスト・プロダクト
公式サイト Gang of Four (英語)
メンバー ジョン・キング
ヒューゴー・バーナム
サラ・リー
デヴィッド・パジョー
旧メンバー アンディ・ギル
デイブ・ウルフソン
デイブ・アレン
バスタ・チェリー・ジョーンズ
マーク・ヒーニー
ゲイル・アン・ドロシー
ジョニー・フィニガン
トーマス・マックニース
ジョン・ジェイラー
トビアス・ハンブル

ギャング・オブ・フォーGang of Four)は、1976年に結成されたイングランドリーズ出身のポストパンクバンドである。硬質なギターファンク色の強いサウンド、政治的な歌詞が特徴。1984年に解散したが、その後1990年に再結成し、2枚のスタジオ・アルバムを録音した。2004年から2006年に再々結成している。

パンクロックファンクダブミックスさせ、社会的、政治的な悪事を叙情的に強調させた。1970年代後半から1980年代初頭までのポストパンクムーブメントを代表するバンドの1つと考えられている。デビュー・アルバム『エンターテイメント!』は、史上5番目に偉大なパンク・アルバムにランクされ、雑誌『ローリング・ストーン』の「500 Greatest Albums of All Time」では、483位になった。

来歴[編集]

結成から解散まで[編集]

1976年にジョン・キング、アンディ・ギル、ヒューゴー・バーナム、デイブ・ウルフソンによって結成。2~3回のライブの後、程なくしてウルフソンが脱退し、デイブ・アレンが加入。バンド名は新聞で見つけた「四人組(英語だと"Gang of four")」の記事から付けられた。

1978年に『ダメージド・グッズ』でデビューすると、同楽曲はUKのインディー・チャートで1位を記録し、ジョン・ピールのラジオ番組でもお気に入りの楽曲として流された。

1979年EMIからデビュー・アルバム『エンターテイメント!』をリリース。パンクムーブメントの最中に発表されたこのデビューアルバムは、ウィルコ・ジョンソンに影響されたアンディ・ギルの特徴的なギターサウンドに彩られた作品となった。

1981年に2ndアルバム『ソリッド・ゴールド』をリリース。同年にデイブ・アレンが脱退。後任のベーシストとして、バスタ・チェリー・ジョーンズが一時的に加入、脱退したのち、リーグ・オブ・ジェントルメンのサラ・リーが加入。

1982年に3rdアルバム『ソングス・オブ・ザ・フリー』をリリース。シングルカットされた『アイ・ラヴ・ア・マン・イン・ア・ユニフォーム』は、同年に起きたフォークランド紛争の影響で、ラジオやテレビで放送禁止処分を受けてしまった。

1983年にヒューゴー・バーナムが脱退。同年、残された3人で制作された4thアルバム『ハード』をリリース。

1984年にバンドは解散。サラ・リーは渡米し、B-52'sなどを含む数々のバンドで活動した。

再結成から現在[編集]

1991年にジョン・キングとアンディ・ギルによって一時的に再結成され、同年に5thアルバム『モール』、1995年に6thアルバム『シュリンクラップト』をリリースした。『モール』には、のちに長年にわたってデヴィッド・ボウイのセッション・ミュージシャンを務めたゲイル・アン・ドロシーがベーシストとして参加している。

2004年にオリジナル・メンバー4人によって再結成。日本を含む世界各地でライブ・ツアーを行った。2005年には過去の作品をリ・レコーディングした『リターン・ザ・ギフト』を発表。2008年にはデイヴ・アレンとヒューゴー・バーナムが脱退し、代わってトーマス・マックニース、マーク・ヒーニーが加入した。

2011年1月に約15年ぶりの新作アルバム『コンテント』をリリース[1]

2012年にジョン・キングが脱退し、代わってジョン・ジェイラーが加入した。

2015年にアルバム『ホワット・ハプンズ・ネクスト』(布袋寅泰がギターで参加)、2018年にEP『コンプリシット』、2019年にアルバム『ハッピー・ナウ』と続々と新作をリリースし、メンバーを入れ替えつつ精力的に活動を続けていたが、2020年2月1日、アンディ・ギルが呼吸器疾患のため、64歳で死去[2][3]。これを受け、当初進められていた『エンターテインメント!』40周年記念盤の制作の予定を変更し、トリビュート・アルバム『The Problem Of Leisure: A Celebration of Andy Gill and Gang Of Four』の制作に切り替えられた。同アルバムは、翌2021年にリリースされた。

2021年10月、創設メンバーのジョン・キングとヒューゴー・バーナムによって再始動することがSNSで発表された[4]。同じくオリジナルメンバーであるデイブ・アレンは「個人的な理由」で参加せず、彼の代わりにサラ・リーが復帰する。アンディ・ギルの後任として、スリントのデヴィッド・パジョーがギターを担当する。また、このメンバーによる2022年の北米ツアーも併せて発表された。

影響[編集]

後進への影響[編集]

様々な要素が含まれたサウンドと斬新なスタイルで、レッド・ホット・チリ・ペッパーズニルヴァーナINXSR.E.M.U2レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンザ・ラプチャーなどに影響を与えた[5]ファレル・ウィリアムスは、ニューヨーク・タイムズ誌上でギャング・オブ・フォーからの影響を語り[5]フランク・オーシャンは、自身の無料配布マガジンに好きな50曲を載せ、『エンターテインメント!』の「Anthrax」を挙げている[6]。また、ナイン・インチ・ネイルズはライヴで、ゲイリー・ニューマンと共に「Anthrax」をカヴァーした[7]など、ジャンルを問わずギャング・オブ・フォーは現在もクリエイティブな人々へ大きなインパクトを与え、バンド自体も進化を続けている。

メンバー[編集]

現在のメンバー[編集]

  • ジョン・キング - Jon King (ボーカル) (1976年~1984年、1990年~1991年、1993年、1995年、2004年~2012年、2021年~)
  • デヴィッド・パジョー - David Pajo (ギター) (2021年~)
  • サラ・リー - Sara Lee (ベース) (1980年~1984年、2021年~)
  • ヒューゴー・バーナム - Hugo Burnham (ドラムス) (1976年~1982年、2004年~2006年、2021年~)

旧メンバー[編集]

  • アンディ・ギル - Andy Gill (ギター) (1976年~1984年、1990年~1991年、1993年、1995年、2004年~2020年) ※2020年死去
  • デイブ・ウルフソン - Dave Wolfson (ベース) (1976年)
  • デイブ・アレン - Dave Allen (ベース) (1977年~1981年、2004年~2008年)
  • スティーブ・ゴールディング - Steve Goulding (ドラムス) (1983年~1984年)
  • バスタ・チェリー・ジョーンズ - Busta "Cherry" Jones (ベース) (1980年) ※1995年死去
  • ゲイル・アン・ドロシー - Gail Ann Dorsey (ベース) (1990年~1991年)
  • マーク・ヒーニー - Mark Heaney (ドラムス) (2006年~2013年)
  • ジョニー・フィニガン - Jonny Finnegan (ドラムス) (2014年~2016年)
  • トーマス・マックニース - Thomas McNeice (ベース) (2008年~2020年)
  • ジョン・ジェイラー - John "Gaoler" Sterry (ボーカル) (2012年~2020年)
  • トビアス・ハンブル - Tobias Humble (ドラムス) (2016年~2020年)

作品[編集]

アルバム[編集]

  • エンターテイメント! - Entertainment!(1979年)
  • ソリッド・ゴールド - Solid Gold(1981年)
  • ソングス・オブ・ザ・フリー - Songs of the Free(1982年)
  • ハード - Hard(1983年)
  • モール - Mall(1991年)
  • シュリンクラップト - Shrinkwrapped(1995年)
  • コンテント - Content(2011年)
  • ホワット・ハプンズ・ネクスト - What Happens Next(2015年)
  • ハッピー・ナウ - Happy Now(2019年)

ライブ・アルバム[編集]

  • アット・ザ・パレス - At the Palace(1984年)
  • ライブ...イン・ザ・モーメント- Live...In The Moment(2016年)

コンピレーション・アルバム[編集]

  • ア・ブリーフ・ヒストリー・オブ・ザ・トゥエンティー・センチュリー - A Brief History of the Twentieth Century(1990年)
  • ザ・ピール・セッションズ - The Peel Sessions(1990年)
  • 100フラワーズ・ブルーム - 100 Flowers Bloom(1998年)
  • リターン・ザ・ギフト - Return the Gift(2005年)
    • 初期の楽曲のセルフ・カヴァー

EP[編集]

  • イエローEP - Yellow EP(1980年)
  • アナザー・デイ・アナザー・ダラー - Another Day / Another Dollar(1982年)
  • コンプリシット - Complicit(2018年)

日本公演[編集]

2005年
2013年
  • 3月23日、24日  – 下北沢GARDEN
2019年

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]