エマ (小説)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

エマ』(Emma)は、ジェーン・オースティンの長編小説。1814年1月21日に起稿し、翌年3月29日に完成、12月に刊行された。

恋愛の橋渡しを気取るエマが、紳士的男性ナイトリーによって自らを見つめ直し、成長し結婚するまでを描いた恋愛小説。『高慢と偏見』と並ぶオースティンの傑作。当時摂政王太子であったジョージ4世に献呈された。

あらすじ[編集]

エマ・ウッドハウスは美しく、機知に富む女性である。母が亡くなり姉が結婚して家を出て行った後、父と2人で暮らしている。

ウッドハウス家の家庭教師を16年務めたアナ・テーラーは、ウェストンに嫁いだ。ウェストン氏にテーラーを紹介したのはエマで、自らが恋の仲介役であることを知る。するとエマは、友人であるハリエット・スミスを牧師のエルトンと結び付けようとするが、エルトンが結婚しようとしているのが自分だと知り、この計画は失敗する。

ウェストンの前妻との子であるフランク・チャーチル、ウッドハウス家の隣人ベイツの姪であるジェーン・フェアファクスが登場する。チャーチルには好感を持ったエマだったが、ジェーンとは馬が合わない。エマは、今度はチャーチルとハリエットをくっつけようとするが、エマがミス・ベイツを侮辱してしまったためにナイトリーにたしなめられ、自らの欠点を認識する。

ハリエットは当初エマによって結婚を拒絶したロバート・マーティンと結ばれ、エマはナイトリーと結婚する。

主な登場人物[編集]

エマ・ウッドハウス
美しく機知に富む女性。南イングランドのハイベリー村の裕福な家の娘。21歳。
ヘンリー・ウッドハウス
ハートフォードの住人。エマの父。すきま風と消化不良を恐れる気鬱症の老人。
ジョージ・ナイトリー
ドンウェルの住人。エマに意見できる唯一の人物。
ハリエット・スミス
エマの友人。エマのために何度も結婚をさせられそうになる。
アナ・テーラー
ウッドハウス家の家庭教師を16年間務める。小説の冒頭でウェストンと結婚。
ジェーン・フェアファクス
ベイツ夫人の孫、早くに両親を亡くす。知的だが心の扉が堅い。キャンベル家で第二の娘のように育てられるが、そろそろ自立しなければならない。
ベイツ夫人
ハイベリー教区の元牧師の未亡人。耳が遠く、夫の死後貧しい境遇を余儀なくされている。
ミス・ベイツ
ベイツ夫人の娘、天真爛漫のおしゃべり。ジェーンの伯母。
キャンベル大佐
戦死したフェアファクス中尉の戦友、遺児のジェーンを引き取る。
ディクソン夫人
キャンベル大佐のひとり娘。新婚。
ウェストン氏
ランドルーズの住人。ミス・チャーチルと結婚するも3年で死別、アナ・テーラーと再婚。
フランク・チャーチル
ウェストンと前妻との間の子、裕福な母方の伯父伯母に溺愛され遠方で育てられる。
イザベラ・ナイトリー
エマの姉、ジョージ・ナイトリーの弟ジョンと結婚、6歳の長男ヘンリーを頭に5人の子持ち。
フィリップ・エルトン
ハイベリーの新しい牧師。エマの仲介熱の最初の犠牲者、本命のエマにふられてからすぐにオーガスタ・ホーキンズと結婚する。
オーガスタ・エルトン
エルトン夫人。傍若無人のお節介屋。
ロバート・マーティン
農夫。ハリエットに求婚するが、あっさり断られる。
フォード夫妻
ハイベリー村の衣料品店主。
ゴダード夫人
ハリエットが通う女学校の校長。
コール夫妻
事業が成功して今や上流の人々との交際を望んでいる。
ペリー氏
ウッドハウス氏の友人で医師。

作品解説[編集]

エマの結婚にいたる道筋が、オースティンの他の作品と同じ型にはまっていた作品である。

特にこの作品では登場人物の多くが誤解を起こし、またそれが節介焼きであったり、上流志向であったりと、一癖ある人たちばかりであるから、ますます思い違いが起きる。この人間関係を鋭い視点で描き、ユーモアを最大限に引き出している。その点でオースティン作品の中でも一番の傑作であるといえる。

主人公エマ・ウッドハウスを、作者オースティン自身は「私のほかには誰も好きになれそうにない女主人公」としている。

日本語訳[編集]

映像化作品[編集]

外部リンク[編集]