ウィキメディア財団

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Wikimedia Foundation, Inc.
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ウィキメディア財団のロゴ
団体種類 米国内国歳入法501条(c)(3)認定を受けた慈善団体
設立 2003年6月20日(米国フロリダ州セントピーターズバーグ
所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ
北緯37度47分13秒 西経122度23分59秒 / 北緯37.78694度 西経122.39972度 / 37.78694; -122.39972座標: 北緯37度47分13秒 西経122度23分59秒 / 北緯37.78694度 西経122.39972度 / 37.78694; -122.39972
主要人物 キャット・ウォルシュ(理事長)
ジミー・ウェールズ(名誉理事長)[1]
スー・ガードナー(事務長)
活動地域 世界
主眼 ウィキを利用したフリーかつオープンコンテントのインターネットプロジェクト
活動内容 Wikipedia, Wiktionary, Wikiquote, WikibooksWikijuniorを含む), Wikisource, Wikimedia Commons, Wikispecies, Wikinews, Wikiversity, Wikimedia Incubator, MetaWiki
収入 $2,478万ドル(2010-2011年会計年度)[2]
従業員数 142名(2012年9月)[3]
ウェブサイト wikimediafoundation.org
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ウィキメディア財団 (サンフランシスコ)
ウィキメディア財団の紹介動画 (2009年4月製作)

ウィキメディア財団(ウィキメディアざいだん、英語:Wikimedia Foundation, Inc.)は、ウィキペディアを運営し、その母体となる団体である。米国フロリダ州法による非営利組織(非営利コーポレーション)であり、ウィキペディアの創立者の一人でもあるジミー・ウェールズによって設立された。財団名称のウィキメディアは英語版ウィキペディアの参加者シェルドン・ランプトンの命名により、ウィキマルチメディアから造語された。

同財団の目的は、ウィキを用いたオープンコンテントの知的資源を開発するプロジェクトの促進、およびその資源を無料、広告なしで広く公衆に提供することにある。多言語百科事典ウィキペディアの運営に加え、多言語辞書兼シソーラスであるウィクショナリー、警句箴言集のウィキクォート、主に学生向けの電子書籍集であるウィキブックスのサポートなどを行っている。ウィキメディア財団が運営するプロジェクトについては、Wikipedia:ウィキメディア・プロジェクトを参照。

しばしば誤解されることであるが、全プロジェクトに共通の方針や法的措置にかかわる場合を除き、財団は各プロジェクトのコンテンツの内容にかかわる議論や個別の運用方針には関わらない。また各プロジェクトの代表者というものも存在しない。

組織[編集]

ウィキメディア財団の最高意志決定機関は、2008年現在で7名からなる理事会である。フロリダ州法の規定により理事は無給である。

歴代理事長

理事会構成メンバー 2008年9月現在は7人[4]:

ジミー・ウェールズはしばしば愛称のジンボ・ウェールズの名で言及され、本人もプロジェクト内ではこの名前で活動している。ドゥヴアール・ウォルシュはコミュニティ代表理事であり、プロジェクト参加者の互選による選挙によって信任された。ドゥヴアールは2004年以来、ウォルシュは2006年以来、理事職にある。ウォルシュは2007年の選挙で信任された。デ・フレーデは任命による理事である。前理事ティム・シェルの退任に伴い、就任した[5]

理事会は、財団とプロジェクトに対する最終的な決定権を持ち、また定款を変える権限をもつ。2006年12月付けで定款が改正された。2006年現在、理事の任期は、任命による理事が1年、ユーザ選出による理事が2年である。2006年より2008年にかけて理事会は漸進的拡大を行っており、この間、任命による理事の任期はかならずしも1年に満たない場合がある。理事の定員は財団創設以来5人とされていたが、2006年に7人に拡大された。2008年7月までに定員を9人に拡大することが予定されているが、任命により2人を増員するか、それとも選挙により新たに理事を加えるかはまだ発表されていない。

会員資格[編集]

ウィキメディア財団は会員資格を持たない。会員制度は2006年以前の定款に記述があるが、実現には到らなかった。この改定以前の定款で「会員よりの選出」とされた理事枠は、「コミュニティ」の投票による理事枠として残された。投票権者の詳細は理事会がこれを定める。2007年の選挙では、一定の編集回数と編集歴によるほか、システム管理者、職員で一定の活動歴をもつもの、および理事に投票権が与えられた。

国別協会[編集]

ウィキメディアを名乗る資格を財団から認められたユーザ団体を、国別協会(local chapter)と呼ぶ。財団の下部組織ではなく、それぞれ独立した組織である。以前は「地方支部」と訳されていたが、下部組織と誤解を招きやすかったので「国別協会」と翻訳されるようになった。国別協会と財団の法的関係は、必ずしも一様ではなく、個別に契約を締結する。ウィキメディア財団を現地で法的に代表する資格を持つものから、独立な法人格をもち非公式な協力関係にあるものまで、主に現地の法律上の理由にもとづきさまざまな関係が存在する。

ウェブサイト上のコミュニティでもある各プロジェクトと、国別協会の間には法的には関係がない。国別協会は企業・学校・他の社会団体と現地ユーザとの連携を図ると共に、また独自の資産をもち、財団の活動の支援を行う。国別協会はそれぞれ独自の会計をもち、国別協会への寄付はウィキメディア財団の直接の収入とはならない。一方で国別協会が取得した財産がウィキメディア財団の活動の支援のために利用されることがある。代表的な例として、ドイツ・チャプターからのウィキマニア2005(後述)への寄付、ドイツ・チャプターの保有する計算機資源の提供(toolserver)などがある。

2009年3月現在、ウィキメディア財団から公式に認められた国別協会は所在地別に21存在し、日本ではまだ設立されていない。それぞれの協会の設立年次および法人格等についてはLocal chaptersを参照。

職員[編集]

ウィキメディア財団はカリフォルニア州サン・フランシスコ(2008年1月まではフロリダ州セントピータースバーグ)に事務所をもっており、約10名の常勤職員がこの事務所で働いている。またサーバの管理等に数人の契約職員を雇用している。国外にいる職員はフルタイム契約・パートタイム契約を問わず、すべて契約職員である。[6]

職員が最初に雇用されたのは2005年で、この年、3人の職員が雇用された(ブライアン・ヴィバー、ダニー・ウール、サーバ担当の非常勤職員1名)。以後、業容の拡大に伴い、順次職員を採用している。

2008年2月現在、以下の常勤職員がいる。また2007年より、地元で採用したインターンが管理部門の業務を補助している。

ウィキメディア財団組織図(2008年2月1日現在)
管理部門
  • スー・ガードナー:事務長
  • エリック・メラー:副事務長
  • マイク・ゴドウィン(Mike Godwin):法律顧問・法務調整担当
  • ケアリー・バス:ボランティア調整担当
  • ジェイ・ウォルシュ:コミュニケーション担当
  • ヴェロニク・ケスラー:最高財務・管理責任者
  • クール・ワドゥワ:業務推進担当
  • エリカ・オルテガ:オフィス・マネージャ
  • オレタ・マッケンリー:会計係
  • シェリル・オーウェンズ:秘書
技術部門
  • ブライアン・ヴィバー:最高技術責任者
  • ロブ・ハルシェル:ネットワーク管理

また、以下の契約職員がいる。

  • ティム・スターリング:(在オーストラリア)
  • マーク・ベルグスマ:ネットワーク調整担当(在オランダ)
  • デルフィーヌ・メナール:支部調整担当(在ドイツ)

歴史[編集]

サン・フランシスコ事務所の一隅

ウィキペディアを初めとするプロジェクトは、当初ジミー・ウェールズの個人プロジェクトとして開始された。諸プロジェクトのサーバドメイン名およびデータは、ジミー・ウェールズが当時、最高経営責任者であったインターネット会社 Bomis によって所有されてきた。2003年6月にウェールズがウィキメディア財団の設立を発表すると同時に、これらの所有権は財団に寄付された。

財団設立後も、プロジェクトの消費電力ネットワーク費用は、Bomisの寄付によって賄われてきた。非営利団体の設立によって、寄付金や米国連邦政府からの研究資金などを獲得しやすくすることで、これらのプロジェクトの安定した発展が保証されるとの見方が大勢を占めた。財団設立後、2004年から2005年初頭には他の団体からの寄付や助成の申し出があり、2005年3月現在、Bomis の寄付は、プロジェクトの使用する全帯域の2/3に相当する。

当初、財団の定款では理事会の定員は5人とされ、うち2人がユーザ代表であるとされた(2007年現在では定員7名)。しかしほぼ1年間ユーザ代表理事は置かれず、その間、財団のガバナンスのあり方、理事会などについての詳細が関連プロジェクトのメンバーによって議論された。2004年6月、最初のユーザ代表理事が選ばれた。このときの任期は1年であったが、のち2005年にはユーザ代表理事の任期は2年に延長された。

財団の活動をより強化し、また財団運営へのユーザの参加を促すことがしばしば課題として指摘される。これに対し、地方支部理事の財団理事会へのオブザーバーとしての招聘、および各種テクノロジー法務広報などの分野にユーザから選ばれた委員をおくなどの措置が2005年に取られた。また2006年には、これら委員が個人で分掌していた仕事をさらに効率的にすすめるべく、ユーザーからなる委員会がいくつかの分野に設置された。

委員会はすべて理事会決議によって設置され、設置と同時に委員長を含む原初構成員が指名される。構成員には、議決権をもつメンバーと議決権をもたないアドバイザーの二種があり、理事、地方支部理事、一般ユーザ、外部のエキスパートなどが構成員となりうる。構成員は理事の指名または委員会メンバーからの推薦および承認によって決定される。

ただしこのような委員職や委員会の設置は、その職にない一般ユーザが自分の裁量で行動することをさまたげるものではない。ユーザの裁量による行動は、サイト上のコンテンツ制作にとどまらず、外部資金の獲得や、企業との提携などにも及んでいる。財団は法的な権利を保持しつつ、ユーザの自主的な活動を積極的に奨励している。したがって、ユーザーはアグレッシブに参加でき、その点においてユーザー主導の立体的な辞典の構築が可能である。ただ、この点については逆にデメリットであるという指摘もあることを見落とすべきではないだろう。

なお、2007年10月9日には、財団の本部をフロリダ州セントピーターズバーグからカリフォルニア州サンフランシスコテクノロジハブへ移転することが発表され、2008年1月末に移転を実施した。財団は、サンフランシスコへ移転する理由として、アメリカのハイテクの中心地であること、展開しているプロジェクトに関連した優秀な人材やサポートを確保できること、地理的にアジアでの事業パートナー候補との結び付きを深めることができること、などを挙げている[7]

2008年3月25日ベンチャー投資家コースラ夫妻から50万ドルを寄付される[8]3月28日アルフレッド・P・スローン財団から300万ドルを寄付される[9]2010年2月22日検索サイトを運営するGoogleから200万ドルを寄付される。

交流の支援[編集]

ウィキメディア財団の事業のなかには、ユーザ同士の交流の促進も含まれる。ウィキメディア財団は、2005年以降、毎年国際会議・通称ウィキマニアを開催している。1開催地は次の通り。

毎年350人から400人程度、国・地域別では50ヶ国前後から出席者がある。

2004年ごろから、ユーザ主体によるミーティングが主にヨーロッパで催される中、多言語プロジェクトゆえの国際的な交流の要望が高まり、ウィキメディア財団主催による国際的会議の構想につながった。

ウィキマニアはユーザの交流と同時にウィキメディア・プロジェクト全般に対する研究の促進を目標にしており、外部から優れた招待講演者を招くことにも力をいれている。これまでの招待講演者には、リチャード・ストールマンウォード・カニンガムローレンス・レッシグブリュースター・カール伊藤穣一などがいる。

この試みは他の同種の非営利団体からも好感されており、Open Source Initiativeからは発展途上国からのウィキマニア参加希望者に3年連続で旅費の援助がなされている。

プロジェクトの拡大[編集]

2004年には3つの新規プロジェクトが発足した。画像や音声リソースを扱い各ローカルプロジェクトへ供給するウィキメディア・コモンズ(しばしばコモンズと略称される)、生物種分類を扱うウィキスピーシーズ、ニュース報道を扱うウィキニュースである。

またウィキペディアのコンテンツを使った若年層向けの教育コンテンツウィキジュニアの作成も新規プロジェクトとして進められている。またウィキバーシティもベータ版プロジェクトとして2006年に開始された。

財務[編集]

2006年初には財団の純資産(net assets)は 270,000ドルであった。2006年中に財団は総計1,510,00ドルに及ぶ資金援助および収益を得て、790,000ドルの支出があった。純資産は720,000ドル増え、総計100万ドルを超えた[10]。2007年、財団は拡大しつづけ、純資産が1,700,000ドルとなった[11]。2007年に収入も支出も、ほぼ2倍になった[11]。財団はen:Cahrity Navigatorによって三ツ星のレイティングを与えられた[12]

寄付[編集]

2008年3月、財団はアルフレッド・P・スローン財団から3年で300万ドルの寄付を受けることを発表した[13]。2009年、財団は3つの贈与を受けた。ひとつはフランク・スタントンによるスタントン財団から890,000ドルで、初めて使用する人のために、ユーザーインタフェースの研究と簡素化を支援することを目的としている[14]。ふたつめはフォード財団en:Ford Foundation)によるもので、ウィキメディアコモンズに対して、ウィキメディアのウェブサイト群のインタフェースとワークフローの改良のためのものである[15]。2009年8月、ウィキメディア財団はヒューレット財団から500,000ドルの贈与を受けた。2009年8月、en:Omidyar Networkはウィキメディア財団に対して200万ドルの提供を申し出た。2010年、Google社が200万ドルを財団に寄付した。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

サイト
動画
  • Inside Wikimedia - 事務長のスー・ガードナーを中心に複数のスタッフがWikimedia財団の紹介を行っているビデオ(英語)