アルコPA

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アルコPA
Wiki-PAs.jpg
デラウェア・アンド・ハドソン鉄道のPA。
動力方式 電気式ディーゼル
製造所 アメリカン・ロコモティブ (アルコ)
ゼネラル・エレクトリック
製造日 1946年1月 - 1953年12月
総製造数 297両
軸配置(アメリカ式) A1A-A1A
全長 65フィート8インチ (20.02 m)
総重量 30万6,000ポンド (138.8 t)
主動力 ALCO244型 1基
エンジン回転数 1000rpm
エンジン形式 4ストロークディーゼルエンジン (175.051 cc)
気筒 V型16気筒
変速機 直流発電機・直流駆動用モーター
最高速度 117 mph (188 km/h)
出力 2,000 - 2,250馬力
(1,490 - 1,680 kW)
引張力 5万1,000重量ポンド (226.86 kN)

アルコPAは、車軸配置A1A-A1Aの旅客用電気式ディーゼル機関車である。車体はアメリカン・ロコモティブ(アルコ)、電装品はゼネラル・エレクトリック(GE)が担当し、1946年から1953年にかけてシリーズ合計で297両がニューヨーク州スケネクタディにて製造された。

外見は同時期に製造されたアルコFAとほぼ同様のキャブ・ユニットと呼ばれる箱形車体であり、片運転台のAユニットと運転台のないBユニットがある。デザインはGEのレイ・パテン(Ray Patten)による。

解説[編集]

正式なバリエーションは2つあり、出力2,000馬力(1,500kW)のPA-1/PB-1、同2,250馬力(1680kW)のPA-2/PB-2に分けられる。メーカーによる正式名称ではない俗称として、PA-2/PB-2のエンジンを2,400馬力(1,800kW)のものに換装したものをPA-3/PB-3と呼ぶことがある。PA-3/PB-3は、内的にはターボチャージャーを水冷化するなど原動機周辺に手を加え、外観では、運転室側窓に「アイ・ブロー」と呼ばれた飾り帯がないことと、ラジエターシャッター後部に舷窓があることが特徴である。

後期に製造されたPA-2は水冷ターボチャージャーを装備しているが、とくに独立した形式とはなっていない。代わりに、従来形式をメンテナンスする時等に、同様の装備になるように改造をしている。

本シリーズのバリエーションは以下の通りである。

形式 設計記号 搭載エンジン 出力(馬力) 両数 製造期間
PA-1 DL-304 244 2000 32 1946/6-1948/12
PB-1 DL-305 244 2000 18 1946/6-1948/12
PA-1 DL-304A 244 2000 58 1946/11-1949/8
PB-1 DL-305A 244 2000 19 1946/11-1949/8
PA-1 DL-304B 244 2000 77 1948/3-1949/12
PB-1 DL-305B 244 2000 4 1949/1-1949/8
PA-2 DL-304C 244 2250 54 1950/3-1952/9
PB-1 DL-305C 244 2250 5 1950/3-1952/4
PA-1 DL-304D 244 2250 27 1953/5-1953/12
PB-1 DL-305D 244 C 3 1953/5

FAシリーズをPAシリーズとともに特徴づけるのは、長く直線的な前頭部に長方形のフィルターを備え、その中にヘッドライトを収めたスタイルである。スリット形状のグリル、運転席側窓から流線型に下部へとカーブした飾り帯も特徴的である。

PAシリーズも含め、デザインとしてはフェアバンクス・モースエリービルトの強い影響下にある。エリービルトはアルコのパートナーでもあるGEが製造したもので、前述のとおり、FAのデザインはそのGEのデザイナーであるレイ・パテンによる。そのため多くの人が、エリービルトのデザインから直線を強調し、より力強い外観にしたものがFAシリーズのデザインとなったと信じている。

本シリーズが搭載している244型ディーゼルエンジンは信頼性に欠け、FAとPAでGM-EMDが席巻しているディーゼル機関車市場に割り込むことができなかった。GEとの協業が終了したのも、エンジンの信頼性の低さが原因であった。アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道(ATSF)に納めた3両(ロードナンバー51L、51A、51B)は1954年8月にEMD 567系エンジンに換装され、出力は1,750馬力(1305kW)となった[要出典]

PA-2・PB-2で採用された新型の251型エンジンは大きく進化しており信頼性も向上したが、時既に遅く、アルコが失ったシェアを奪い返すまでには至らなかった。251型エンジンが広く使用されるようになったころ、GEは自社で開発したU25Bでディーゼル機関車市場に乗り込んでいた。GEは機関車メーカーとしてアルコに取って代わり、アルコは1969年に市場から撤退することになった。

特記事項のある車両[編集]

PAシリーズの第一号は、アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道(ATSF)の51号として納められた。この車両は、同時にアルコの製造番号75,000番の機関車でもあった。

PA-1はアメリカン・フリーダム・トレインを牽引した。この車両はアルコの所有で、ロードナンバーはアメリカ建国の年である1776とした。側面にはアメリカの国鳥であるのエンブレムが付けられている。製造は前述のATSF51号より11ヶ月遅いが、製造番号は74,696である。これはPAシリーズの第一号にキリのよい番号を付与した結果である。

新製時の所有者[編集]

鉄道運行会社 PA1 PB1 PA2 PB2 備考
ALCO-GE デモ車 1 1 ニューヨーク・セントラル鉄道(NYC)へ
ALCO-GE デモ車 2 CNグリーンと金色塗装にてカナディアン・ナショナル鉄道(CN)で、のちにミズーリ・カンザス・テキサス鉄道(MKT)にPA-2となった。
アメリカン・フリーダム・トレイン 1 1947年版。のち、ガルフ・モバイル・アンド・オハイオ鉄道(GM&O)へ
アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道(ATSF) 28 16 1946年に、最初にリーハイ・バレー鉄道(LV)にて試運転されたA及びBユニットを含む
デンバー・アンド・リオグランデ・ウェスタン鉄道 4 2
エリー鉄道(ERIE) 12 2
ガルフ・モバイル・アンド・オハイオ鉄道(GM&O) 2
リーハイ・バレー鉄道(LV) 14
ミズーリ・カンザス・テキサス鉄道(MKT) 4 8
ミズーリ・パシフィック鉄道(MP) 8 29
ニューヨーク・ニューヘイブン・アンド・ハートフォード鉄道(NH) 27
ニューヨーク・シカゴ・アンド・セント・ルイス鉄道 (ニッケル・プレート鉄道、NKP) 11
ニューヨーク・セントラル鉄道(NYC) 8 4 6
ペンシルバニア鉄道(PRR) 10 5
セント・ルイス・サザンウェスタン鉄道 (SSW、コットンベルト) 2 のちサザン・パシフィック鉄道(SP)へ
サザン・パシフィック鉄道(SP) 24 6 27 7
サザン鉄道(SOU) 5
ユニオン・パシフィック鉄道(UP) 8 6
ウォーバッシュ鉄道(WAB) 4
サン・パウロ鉄道(ブラジル) 3 1,600mm軌間
合計 169 39 81 8

輸出された車両[編集]

PA-2は、1,600mm軌間(5フィート3インチ)であるブラジルサンパウロ州のCompanhia Paulista de Estradas de Ferroに納められたものがある。特徴として、カウキャッチャーを備えている。

保存車両[編集]

6両のPAが保存されている。16号から19号の4両は、デラウェア・アンド・ハドソン鉄道(DH)にて運行されていたものである。1974年から1975年にかけ、この4両はモリソン・ヌードセンによりリビルドされ、2,400馬力の251型エンジンに換装された。このリビルドにより、モリソン・ヌードセンによりPA-4と命名された。のちにメキシコの鉄道運行会社に譲渡された。

16・18号はアメリカ国内にある。16号はメキシコにおいて脱線により大きな損傷を受けたが、外観はきれいに修復され、スミソニアン博物館で保存されるためにATSFのウォーボンネットカラーに塗装された。18号は、ドイル・マコーマックの所有となり(彼の父が乗務員であった)、ニッケル・プレート鉄道(NKP)190号としてレストア中である。18号には、BCレールモントリオール・ロコモティブ・ワークス(MLW)のM420形から取り外したMLW251型エンジンが搭載されている。

17・19号はメキシコのプエブラ博物館にある。17号は、SPの旧塗装であるデイライトカラーに塗られている。

残る2両は、前項のブラジルに輸出された3両中の2両である。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

関連項目[編集]