りゅうこつ座イータ星

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りゅうこつ座イータ星
Eta Carinae
EtaCarinae.jpg
ハッブル宇宙望遠鏡による擬似カラー画像[1]。りゅうこつ座イータ星と、それを包む双極型の人形星雲とが示されている。りゅうこつ座イータ星自体は画像中央の白い点であり、人形星雲のくびれの部分に位置する。
仮符号・別名 イータ・カリーナ
星座 りゅうこつ座
視等級 (V) (V) 6.21 (-0.8 ... 7.9)
発見
発見方法 目視
位置
元期:J2000
赤経 (RA, α) 10h 45m 03.6s
赤緯 (Dec, δ) -59° 41′ 04″
固有運動 (μ) 赤経:75.52 mas/yr
赤道緯度:−427.13 mas/yr
距離 7,500 光年
(2,400 パーセク
物理的性質
半径 80 ... 180 R
質量 70 / 30 M
スペクトル分類 Peculiar
光度 5 ×106 (bolometric) L
表面温度 36,000 ... 40,000 K
色指数 (B-V) -0.45
色指数 (U-B) +0.61
年齢 最大 3 ×106
別名称
別名称
Foramen, 天社 (Tseen She), HR 4210,
CD−59°2620, HD 93308,
SAO 238429, WDS 10451-5941,
IRAS 10431-5925, GC 14799,
CCDM J10451-5941
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りゅうこつ座イータ星 (Eta Carinae, η Car) は、りゅうこつ座恒星で、太陽系から約7,500光年離れている。太陽質量のおよそ70と30倍の大質量星同士の連星であり、高光度の青色超巨星高輝度青色変光星、LBV)である。絶対光度太陽のおよそ40万倍である。銀河系内でも特に異色の大質量星である。

イータ(エータ)・カリーナという名でも知られている。過去に恒星から放出された大量の物質が星雲人形星雲)となって周囲を取り巻いており、この星雲を含めてイータ・カリーナと呼ぶ事もある。

特徴[編集]

2011年現在、りゅうこつ座イータ星は太陽系近傍において詳細な研究ができる最も大質量な恒星であるとされている。地球に近い他の恒星がより高光度・大質量である可能性もあるものの、りゅうこつ座イータ星の光度は広い波長域でのデータに基づいて確認されたものとしては最高である。非常に大質量であるとみられるピストル星などの他の恒星でも、りゅうこつ座イータ星よりは質量は小さいと考えられている。

りゅうこつ座イータ星のように質量が太陽質量の数十倍以上の恒星は、明るさが太陽の10万倍以上になる。このような規模の恒星は極めて稀で、銀河系と同程度の規模の銀河1つあたり数十個程度である。これらの星はエディントン限界に達しつつある(あるいは超えうる)のではないかと考えられている。つまり、恒星を膨張させる輻射圧がそれを抑える重力と同じくらい強いということである。太陽質量の120倍を超える超巨星は理論的なエディントン限界を超えるため、輻射や吹き飛ぶガスを重力で保持できず、結果として超新星爆発を遂げてブラックホールとして終焉を迎える。

光度変化[編集]

りゅうこつ座イータ星はこれまでに数度、異常な増光が記録されている。1677年エドモンド・ハレーはこの星を4等級と記録しているが、1730年頃に増光が観察され、1782年には元に戻った。さらに19世紀前半には0等級前後という異常な光度の増加を少なくとも4回起こしている。中でも1841-43年には-0.8等級に達し、カノープスを抜いて全天でもシリウスに次ぐ明るさとなった[2][3]。シリウスが8.6光年の距離にあるのに対し、この星が7,500光年の距離にあることを考えると驚くべき光度であり、超新星爆発を起こしたかともいわれた。

結局これは超新星爆発ではなかったものの、りゅうこつ座イータ星は数年で超新星爆発と同レベルの光を放った。その後は減光し1900年から1940年ごろには8等級ほどの肉眼では見えない星となった。さらに後には再びやや明るくなり、2000年代初頭の現在は6等級ほどの明るさを保っている。

今のところこうした光度変化を説明できるモデルは見つかっていない。

他の銀河でも、一時は超新星だとされながらそうでなかった例として NGC 1058SN 1961VUGC 4904SN 2006jc などがある。これらは、超新星爆発寸前の超巨星の表面が一部爆発したか、エネルギーが爆発に足らず完全な超新星になり損ねたなどの可能性が考えられている。りゅうこつ座イータ星の巨大爆発は、こうした現象発見のための原点となった。このような現象は、超新星とスペクトル型が似ていることから、擬似的超新星 (Supernova impostor) と名づけられている。

なお、現在のりゅうこつ座イータ星は約5.5年の周期で小規模な増光を繰り返している。また、この星はX線源でもあり、増光に合わせてX線も増加するが、そのピーク付近で急減する。この現象について、ブラジルの Damineli や Lopes らは以下のように説明している。

約70太陽質量の主星を約30太陽質量の伴星が離心率の高い(近点では伴星が主星の外層部に入り込むほどの)楕円軌道を描いて、約5.5年の周期で公転している。両者は共に激しく恒星風を噴き出しており、近点のあたりでは恒星風同士が衝突して、その衝撃波面でX線が発生する。しかし太陽系から見て伴星(および衝撃波面)が主星に掩蔽された状態になるとX線は急減する[3]

付近の天体[編集]

りゅうこつ座イータ星の付近には恒星自体と混同されやすい天体がいくつかある。

  1. イータ・カリーナという呼称は星自体を指す。
  2. 人形星雲 (en:Homunculus Nebula) は双極型の星雲で、主として1840年代の大爆発の残骸だと考えられる。ハッブル宇宙望遠鏡による画像で有名である。
  3. 鍵穴星雲はより拡がった構造を持つ散光領域である。
  4. イータカリーナ星雲 (NGC 3372) は明るい星形成領域であり、多数の大質量星を生成している。
  5. トランプラー16はりゅうこつ座イータ星を含む散開星団で、イータカリーナ星雲の内部にある。その他にもトランプラー14などの散開星団がイータカリーナ星雲に含まれている。

脚注[編集]

  1. ^ 赤色フィルタと近紫外線フィルタにより撮影したものを、りゅうこつ座イータ星本体と星雲の明るさの違い(約10万倍)を補正しつつ合成した擬似カラー画像である。肉眼でこのように見えるわけではない。 — HubbleSite - NewsCenter - Doomed Star Eta Carinae (06/10/1996)[1]
  2. ^ 国立天文台・天文ニュース (149) イータ・カリーナ星に変化が起こるか?
  3. ^ a b 天文ガイド』2003年8月号「変光星ガイド」高橋進ダイニックアストロパーク天究館

外部リンク[編集]