ちょこっとバス

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ちょこっとバスに使用する車両
(2016年、「八日市駅」停留所)

ちょこっとバスは、滋賀県東近江市で運行されているコミュニティバスの愛称。近江鉄道バス永源寺タクシーが受託している。ここではちょこっとタクシーについても解説する。

概要[編集]

東近江市内を運行するコミュニティバスの愛称であり、旧市町のバス事業を引き継いでそれを統合・再編したバス路線を「ちょこっとバス」、タクシー路線を「ちょこっとタクシー」と呼ぶ。2009年平成21年)にバス車内で廃食油の回収活動を開始したが、これは滋賀県内初の試みであった(※同活動は現在も継続中[1])。

歴史[編集]

年表[編集]

旧市町のバス事業[編集]

2007年に「ちょこっとバス」へ統合する前に運行していた路線の情報は下記の通り。なお、カッコ内は当時の路線本数である。

運賃制度[編集]

ちょこっとバス」・「ちょこっとタクシー」ともに共通。なお、ちょこっとバスではICOCAなどの交通系ICカードを使用することができる(先述)[5]

運賃
  • 大人200円、小人(小学生)100円。
※全区間共通。障がい者は半額、未就学児(幼児・乳児)は無料[注 1]
回数券
  • 一般2,500円(200円券 15枚綴り)
  • 学生2,000円(200円券 15枚綴り)
  • 子供1,000円(100円券 15枚綴り)
※バス・タクシー車内・近江トラベル八日市支店・各地区まちづくり協議会などで販売。
1日乗車券
  • 大人500円、小人(小学生)250円。
障がい者は半額。バス・タクシー車内・近江トラベル八日市支店・各地区まちづくり協議会などで販売。
定期券
  • 「1か月用」・「3か月用」・「6か月用」の3種を扱う。こちらも、「一般」・「学生」・「子供」で区分する。
※近江トラベル八日市支店・各地区まちづくり協議会(湖東を除く)などで販売。
乗継制度(乗継割引

下記の各停留所で乗り継ぎを行う場合は、降車の際にその旨を乗務員に告げると乗り継ぎ整理券(※乗り継ぎ先で使用することができる割引乗車券)が発行される。しかし、「乗り継ぎ整理券」を発行した路線で使用することはできない。

  1. 八日市駅
  2. 東近江総合医療センター
  3. ハートピア
  4. 永源寺支所
  5. 永源寺図書館
  6. 愛東支所・診療所
  7. 湖東支所
  8. 槌の宮・平和堂
  9. 小田苅
  10. 小田苅中央
  11. 下岸本

路線[編集]

「バス路線」と「タクシー路線」に分けて解説する。なお、お盆8月13日 - 8月16日)と年末(12月29日 - 12月31日)は土曜・日曜・祝日ダイヤで運行し、正月三が日は全路線の全便が運休する[5]

バス路線[編集]

下記の各路線を運行するが、カッコで記載した停留所を経由しない便がある。なお、各路線ごとの運行本数に関する案内は省略する。

八日市駅発着[編集]

市原線[編集]
1系統:「中小路」という停留所は御園線(近江鉄道バス)と同名であるが、位置は異なる。
愛東線[編集]
  • 八日市駅 → 八日市高校 → 市役所 → 関電前 → 野村 → 御河辺神社前 → 小神田 → 上岸本 → 妹 → 妹北口 → マーガレットステーション → 愛東支所・診療所 → 上中野 → 読合堂 → 近江温泉病院 → 百済寺町 → 百済寺本坊前 → 愛東北小前 → 上中野 → (往路と同じ) → 八日市駅
  • 八日市駅 → 八日市高校 → 市役所 → 関電前 → 野村 → 御河辺神社前 → 小神田北 → 下岸本 → 梅林 → 大萩 → 池之尻 → マーガレットステーション → 愛東支所・診療所 → 上中野 → 愛東北小前 → 大覚寺 → 愛東外町 → 小倉 → 妹北口 → 愛東支所・診療所 → (往路と同じ) → 八日市駅
  • 八日市駅 - 八日市高校( ← 西友前 ← 東本町・敬愛病院前 ← 八日市営業所前) - 市役所 - (関電前 → )野村 - 御河辺神社前 - 上岸本 - (妹 - )(梅林 → 大萩 → 池之尻 → 上中野 → )( ← 妹北口)(マーガレットステーション - )愛東支所・診療所
2系統:近江温泉病院経由は「北回り循環」、大覚寺・妹北口(または妹北口・大覚寺)経由は「南回り循環」と呼ばれる[注 2]。なお、愛東支所・診療所を発着する路線には愛称は制定されていない。
湖東線[編集]
  • 八日市駅 → 八日市高校 → 市役所 → 堺 → 南町 → 北町 → 滋賀学園・河辺の森前 → すこやかの杜口 → 小田苅 → 下岸本 → 診療所前 → 湖東支所 → 探検の殿堂・味咲館 → 湖東ひばり幼稚園前 → 今在家口 → 湖東記念病院 → 僧坊 → 中里 → ひばり公園 → 湖東支所 → (往路と同じ) → 八日市駅
3系統:湖東町へ向かう路線である。なお、この路線は循環系統として運行するが、その路線は「右回り」しか設定されていない。
沖野玉緒線[編集]
  • 八日市駅 - 八日市高校 - 西友前 - 東本町・敬愛病院前 - 八日市営業所前 - 東沖野一丁目 - 沖野 - 聖徳 - ハートピア - 芝原 - 下二俣 - 玉緒駐在所 - 新大森団地 - 宝積 - 東近江総合医療センター
4系統:沖野通り(市道)と滋賀県道170号高木八日市線を経由する。「沖野」停留所は御園線(近江鉄道バス)と同名であるが、位置は異なる。
南部御園線[編集]
  • 八日市駅 - 八日市高校 - 市役所 - 関電前 - 大凧会館前 - 敬愛病院 - 八日市営業所前 - 八日市南高校 - 生長の家前 - 葵町 - 玉園中学校前 - 妙法寺・中村医院前 - 東近江総合医療センター - わかたけ公園 - 岡田 - 今代 - 如来東 - 瓜生津 - 土器
5系統:[東近江総合医療センター - 如来東]間は滋賀県道328号五個荘八日市線回りで運行するが、区間内に御園線(近江鉄道バス)と同名の停留所が2つ混在する[注 3]
市街地循環線[編集]
  • 八日市駅 - 八日市北小前 - 南眼科医院前 - つちだ内科医院前 - 市役所 - 西友前 - 東本町・敬愛病院前 - 八日市営業所前 - 東沖野一丁目 - 生長の家前 - ひばり丘団地 - マックスバリュ東近江店 - 図書館・江州音頭会館前 - 八日市駅
6系統:[→]は右回り、[←]は左回り(※この路線は「右回り」と「左回り」が交互に運行される[8])。
市辺上平木線[編集]
  • 八日市駅 ← 図書館・江州音頭前 ← 文芸会館・青葉メディカル前 ← ハートピア ← 今堀 ← 蛇溝 ←市辺 ← 野口 ← あかね幼児園 ← 三津屋 ← 平田駅前 ← 柏木 ← 平田コミュニティセンター ← 野端 ← 下羽田 ← 上平木 ← 鳴谷
系統番号なし:朝1便のみ運行。ただし、土曜・日曜・祝日は運休。

永源寺支所発着[編集]

「市原線」は八日市駅発着を参照。

政所線[編集]
  • 永源寺支所 - (診療所前 - 山上 - 山上小学校前 - 紅葉橋北 - 永源寺駐在所 - 永源寺前 - )永源寺車庫 - 相谷 - 永源寺ダム - 萱尾 - 如来堂 - 蓼畑 - 奥永源寺渓流の里 - 杠葉尾 - 黄和田 - 政所 - 君ヶ畑
系統番号なし:永源寺地区の北部をゆく路線。夕方以降の一部便はデマンド運行。
甲津畑線[編集]
  • 永源寺支所 - 診療所前 - 山上小学校前 - 山上東口 - 山上 - 山上新田口 - 山上新田 - 永源寺図書館 - 和南 - 和南新田 - 甲津畑口 - 甲津畑
系統番号なし:永源寺地区の南部をゆく路線。「山上新田」停留所付近にはかかしアートがある[注 4][9]

能登川病院発着[編集]

大中線(バス)[編集]
  • 能登川病院 - 能登川駅東口 - 能登川駅西口( ← 水谷整形外科1) - (水谷整形外科2 → )能登川支所 - 能登川グラウンド前 - 図書館・能登川アリーナ前 - (山路 - 伊庭 - 伊庭西 - )山路西 - 乙女浜 - 福堂東 - 福堂 - 能登川北小前 - 宮前 - 栗見出在家 - 栗見新田 - 大中
※バスは平日のみ運行(予約不要)[10]。土曜・日曜・祝日はデマンドタクシー(要予約。詳細は後述)に変更[10]。大中始発で運行する便のうち、朝の1便は「山路」・「伊庭」・「伊庭西」の各停留所を通過する。

タクシー路線[編集]

東近江市では予約制乗合タクシーとして「ちょこっとタクシー」も運行している。なお、タクシー路線の運行は近江タクシーと永源寺タクシー(甲津畑線)と滋賀第一交通(旧滋賀京阪タクシー)の3社が受託する。

ここでは、「路線運行」と「エリア運行」に分類して解説する。なお、各路線ごとの運行本数に関する案内は省略する。

路線運行[編集]

バス路線と同様に停留所間をなぞって運行する。

平田線[編集]
  • 八日市駅 - ハピネス前 - ハートピア - 今堀 - 布引台 - 長谷野 - 東近江市総合運動公園 - 大学前 - 六ッ木( ← 八日市西小前) - 羽田南 - 羽田西 - ( ← 平田コミュニティセンター) - 中羽田 - 上羽田平石
※上羽田平石発は「八日市西小前」(朝1便のみ)または「平田コミュニティセンター」(それ以外の全便)を経由する。なお、八日市駅発はこの両停留所を通過する。
市辺線[編集]
  • 八日市駅 - ハピネス前 - ハートピア - 蛇溝 - 東市辺 - 市辺 - 市辺コミュニティセンター - 糠塚 - 野口町自治会館 - 野口 - あかね幼児園 - 三津屋 - 平田コミュニティセンター - 野端 - 下羽田 - 上平木 - 鳴谷
※市辺上平木線(バス)の補完路線として運行される。
大中線(タクシー)[編集]
  • 能登川病院 - 能登川駅東口 - 能登川駅西口( ← 水谷整形外科1) - (水谷整形外科2 → )能登川支所 - 能登川グラウンド前 - 図書館・能登川アリーナ前 - 山路 - 伊庭 - 伊庭西 - 山路西 - 乙女浜 - 福堂東 - 福堂 - 能登川北小前 - 宮前 - 栗見出在家 - 栗見新田 - 大中
※バス(前述)と同じ区間を運行する[10]。土曜・日曜・祝日のみ運行[10]
ドリーム城東線[編集]
  • ドリームハイツ集会所 - 今団地 - 金岡医院前 - 能登川プール - 能登川駅東口 - 能登川病院 - 能登川駅西口( ← 水谷整形外科1) - (水谷整形外科2 → )能登川支所 - (図書館・能登川アリーナ前 - )山路 - 猪子 - 伊庭 - 城東東
※朝の2往復は「能登川グラウンド前」と「図書館・能登川アリーナ前」を通過する。
神郷線[編集]
  • 神郷 - 佐生 - 神郷団地 - 新種しんたね - 金岡医院前 - 能登川病院 - 能登川駅東口 - 能登川病院 - 能登川駅西口( ← 水谷整形外科1) - (水谷整形外科2 → )能登川支所 - (図書館・能登川アリーナ前 - ) - 猪子 - 愛宕神社
※朝の2往復は「能登川グラウンド前」と「図書館・能登川アリーナ前」を通過する。
新宮須田線[編集]
  • やわらぎの郷公園 - 安楽寺 - 能登川病院 - 能登川駅東口 - 能登川病院 - 能登川駅西口( ← 水谷整形外科1) - (水谷整形外科2 → )能登川支所 - (図書館・能登川アリーナ前 - ) - 躰光寺 - 尾芼台おすべだい - 川南 - 新宮西
※朝の2往復は「能登川グラウンド前」と「図書館・能登川アリーナ前」を通過する。

エリア運行[編集]

予約があったバス停間を最短距離で運行するが、予約が重なった場合は近いほうの停留所を先に経由する。なお、下記の経路は運行例として記載した。

小脇・建部エリア[編集]
愛東・湖東エリア[編集]
  • 愛東支所・診療所 - 槌の宮・平和堂、小田苅中央、安楽寺、愛東外町、百済寺本坊前、南清水、平成の杜、歴史民俗資料館、勝堂、湖東支所 方面と東近江総合医療センター[注 6][12]
五個荘エリア[編集]
  • 五箇荘駅 - 五個荘支所、近江商人屋敷前、ぷらざ三方よし、観音寺口、石馬寺、七里、日吉、河曲地蔵前、簗瀬団地、出町、資料館前、観峰館前、奥、神崎中央病院、伊野部 方面[13]
蒲生エリア[編集]

主な取り組み[編集]

菜の花プロジェクト[編集]

  • 東近江市では廃食油を精製してバイオディーゼル燃料に再生する「菜の花プロジェクト」を推進しており、ちょこっとバスの一部でも軽油にバイオディーゼル燃料を混合して運行する[2]

利用促進策[編集]

  • ちょこっとバスのオリジナルチョロQの発売や、ブログの開設、バス車内に市民の絵画・俳句作品などを展示する「ちょこっとバス美術館」、マスコットキャラクター「ポンチョくん」[15]のお面やペーパークラフトの無料配布、テーマソング「虹色の町をかけぬけよう」(作詞・作曲:安堂ヒロヤ)とそれに合わせた「ちょこっとダンス」[16]の製作などが行われた[2]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 未就学児が無料となるのは同伴者1人につき、未就学児2人まで(※3人目から小児運賃が必要)。
  2. ^ [池之尻 → 愛東支所・診療所前 → 妹北口 → 愛東支所・診療所前]間の先回り経路は午前・午後で異なる。なお、記載した経路は「午前の運行経路」である(※午後は「妹北口」先回り、「大覚寺」後回り)。
  3. ^ 「林田」と「如来」の各停留所が該当する(※かつては「岡田」もその対象だったが、近江鉄道バスの停留所名が「岡田ノエビア前」に改称されたため、この対象から外れた)。
  4. ^ (「永源寺案山子ワールド」と呼ばれる)
  5. ^ ※「太郎坊宮」(太郎坊阿賀神社)のこと。
  6. ^ ※「東近江総合医療センター」はエリア外となるが、この停留所との行き来は特例が適用されるため、乗車することができる(※愛東・湖東エリアのみ)。

出典[編集]

  1. ^ 廃食油の回収について”. 東近江市 (2019年4月1日). 2023年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  2. ^ a b c d 「ちょこっとバス」が東近江市を元気にする!” (PDF). 国土交通省. 2023年6月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  3. ^ 予約制乗合タクシー「ちょこっと号」運行」『滋賀報知新聞』、2009年6月5日。2023年10月10日閲覧。オリジナルの2018年5月9日時点におけるアーカイブ。
  4. ^ ちょこっとバス・近江鉄道路線バスでICOCAの利用開始!!”. 東近江市. 2022年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  5. ^ a b c ちょこっとバス・ちょこっとタクシーをご利用下さい(運賃ほか)” (PDF). 東近江市. 2023年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。 “(※利用案内に関する情報)”
  6. ^ 【2022年4月1日から】ちょこっとバス・タクシーのダイヤ改正を行います”. 東近江市. 2023年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  7. ^ a b c d 中村功一(八日市市・永源寺町・五個荘町・ 愛東町・湖東町合併協議会会長): “協議第27号 交通政策事業について” (PDF). 東近江市 (2003年). 2023年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  8. ^ ちょこっとバス 市街地循環線” (PDF). 東近江市. 2023年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  9. ^ 喜ぶ笑顔が見たいから リアルでユーモラスなかかしが大人気”. 素敵な人. 滋賀ガイド (2015年11月12日). 2022年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  10. ^ a b c d ちょこっとバス・タクシー 大中線時刻表” (PDF). 東近江市. 2023年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  11. ^ ちょこっとタクシー 小脇・建部エリア” (PDF). 東近江市. 2022年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  12. ^ ちょこっとタクシー 愛東・湖東エリア” (PDF). 東近江市. 2023年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  13. ^ ちょこっとタクシー 五個荘エリア” (PDF). 東近江市. 2022年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  14. ^ ちょこっとタクシー 蒲生エリア” (PDF). 東近江市. 2022年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  15. ^ ポンチョくんを紹介します”. ちょこっとバス日記 (2007年12月27日). 2008年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月10日閲覧。
  16. ^ ちょこっとダンスが出来ました!”. ちょこっとバス日記. 2011年6月28日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]