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| 和名 = ニセクロハツ |
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| 中国語名 = 亚稀褶黑菇 |
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== 毒性 == |
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[[File:Cycloprop-2-ene carboxylic acid.svg|left|100px|thumb|ニセクロハツの毒成分・2-シクロプロペンカルボン酸]] |
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致命的であり、患者数は少ないものの致死率も高い。猛毒で有名な[[ドクツルタケ]](''Amanita virosa''、[[テングタケ科]])よりも致死率は高く、日本では1989年(平成元年)から2010年(平成22年)までの期間中に本種が原因と断定されたもので3件件9人の中毒患者が発生し、この内4人が死亡している。致死率は4人/9人で約44%となる、同期間中のドクツルタケは同21人/52人で約21%で[[シロタマゴテングタケ]](''Amanita verna)もほぼ同じ<ref name="登田ら(2012)">登田美桜・畝山智香子・豊福肇・森川馨 (2012) わが国における自然毒による食中毒事例の傾向(平成元年~22年). 食品衛生学雑誌53(2), pp105-120. {{doi|10.3358/shokueishi.53.105}}</ref>。 |
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毒成分は2008年に京都産の個体から分離された、[[シクロプロペン]]誘導体の[[2-シクロプロペンカルボン酸]] (C<sub>4</sub>H<sub>4</sub>O<sub>2</sub>) が骨格筋の組織を溶解し、その溶解物が臓器に障害を与えることが判明した<ref name=kagakutoseibutsu.47.600>橋本貴美子, 松浦正憲, 犀川陽子 ほか、「[https://doi.org/10.1271/kagakutoseibutsu.47.600 致死性毒きのこ,ニセクロハツの毒成分 横紋筋融解をひき起こす原因物質を解明]」 『化学と生物』 2009年 47巻 9号 p.600-602, {{DOI|10.1271/kagakutoseibutsu.47.600}}</ref>。2008年の解明以前はルスフェリン類が毒性物質と考えられていた<ref>糸川嘉則編 (1992),毒性試験講座 食品,食品添加物,地人書館 (東京),57</ref>がマウスに対し毒性を示さず否定された<ref name=kagakutoseibutsu.47.600 /><ref name="pharmacia">{{cite journal|author=松浦正憲、加藤優、犀川陽子、乾公正、橋本貴美子、中田雅也|title=P-51 致死性猛毒きのこニセクロハツ(Russula subnigricans)の毒成分研究(ポスター発表の部)|journal=天然有機化合物討論会講演要旨集 |volume= (50)|year= 2008-09-01|pages= 415-420|naid=110007066729}}</ref>。なお、上記のルスフェリン類と3-ヒドロキシバイキアインは[[宮城県]]で採取されたニセクロハツ類似種からのみ検出されており、京都府で採取した真のニセクロハツからはシクロプロピルアセチルカルニチンが発見されている。この物質は、'''真のニセクロハツと類似種とを見分ける指標になる'''と見られている<ref name=kagakutoseibutsu.47.600 />。 |
毒成分は2008年に京都産の個体から分離された、[[シクロプロペン]]誘導体の[[2-シクロプロペンカルボン酸]] (C<sub>4</sub>H<sub>4</sub>O<sub>2</sub>) が骨格筋の組織を溶解し、その溶解物が臓器に障害を与えることが判明した<ref name=kagakutoseibutsu.47.600>橋本貴美子, 松浦正憲, 犀川陽子 ほか、「[https://doi.org/10.1271/kagakutoseibutsu.47.600 致死性毒きのこ,ニセクロハツの毒成分 横紋筋融解をひき起こす原因物質を解明]」 『化学と生物』 2009年 47巻 9号 p.600-602, {{DOI|10.1271/kagakutoseibutsu.47.600}}</ref>。2008年の解明以前はルスフェリン類が毒性物質と考えられていた<ref>糸川嘉則編 (1992),毒性試験講座 食品,食品添加物,地人書館 (東京),57</ref>がマウスに対し毒性を示さず否定された<ref name=kagakutoseibutsu.47.600 /><ref name="pharmacia">{{cite journal|author=松浦正憲、加藤優、犀川陽子、乾公正、橋本貴美子、中田雅也|title=P-51 致死性猛毒きのこニセクロハツ(Russula subnigricans)の毒成分研究(ポスター発表の部)|journal=天然有機化合物討論会講演要旨集 |volume= (50)|year= 2008-09-01|pages= 415-420|naid=110007066729}}</ref>。なお、上記のルスフェリン類と3-ヒドロキシバイキアインは[[宮城県]]で採取されたニセクロハツ類似種からのみ検出されており、京都府で採取した真のニセクロハツからはシクロプロピルアセチルカルニチンが発見されている。この物質は、'''真のニセクロハツと類似種とを見分ける指標になる'''と見られている<ref name=kagakutoseibutsu.47.600 />。 |
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=== 症状 === |
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喫食後1時間から半日程度で嘔吐、下痢などの症状が出ることが多い<ref name="上田ら(2019)">上田錠ら(2019)[P61-4] ニセクロハツ中毒の治療に難渋した1例. 第46回日本集中治療医学外学術集会</ref><ref name="有馬ら(2022)">有馬一ら(2022)ニセクロハツによる重症キノコ食中毒の1例. 日本農村医学会雑誌71(4), p.357-362. {{doi|10.2185/jjrm.71.357}}</ref>。また上半身などに痛みを訴えることが多く<ref name="有馬ら(2022)"/><ref name="太田ら(2009)">太田好紀ら(2009)ニセクロハツ中毒の1例. 日本救急医学会雑誌 20(10, p.836-842, {{doi|10.3893/jjaam.20.836}}</ref>、これは[[横紋筋融解症]]によるものと見られている。[[縮瞳]]、[[呼吸困難]]、[[言語障害]]、重症例では[[腎臓]]を中心に[[多臓器不全]]で死亡する。 |
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=== 診断と治療 === |
=== 診断と治療 === |
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キノコが原因だと思われるときは、図鑑などを患者に見せながらの問診、未調理のキノコや食べ残しの分析、時には現地で類似種を採取するなどして食べたキノコを推定を行う。問診の際にキノコを食べた旨を医師に伝えず(もしくは病院側の過失で伝わらず)、適切な治療を受けられずに重症化した例がしばしばみられる。主な治療法は[[胃洗浄]]、利尿薬投与、[[人工透析]]。 |
キノコが原因だと思われるときは、図鑑などを患者に見せながらの問診、未調理のキノコや食べ残しの分析、時には現地で類似種を採取するなどして食べたキノコを推定を行う。問診の際にキノコを食べた旨を医師に伝えず(もしくは病院側の過失で伝わらず)、適切な治療を受けられずに重症化した例がしばしばみられる。 |
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特効薬的な治療法はなく対処療法となる。主な治療法は[[胃洗浄]]、利尿薬投与、[[人工透析]]など。 |
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=== 中毒事例 === |
=== 中毒事例 === |
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ニセクロハツによる中毒事故は[[1954年]]に[[京都市]]で初めて報告され、以降 |
ニセクロハツによる中毒事故は[[1954年]]に[[京都市]]で初めて報告され、以降散発的に報告されている。日本では数年に一度程度の頻度。これまで知られている中毒事例はいずれも愛知県、[[富山県]]以西からのもので東海地方、関西地方での事例が多い。 |
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[[中国]]では南部で中毒事故が多発しており、1994年から2012年までに発生したキノコ中毒患者852人のうち4分の1を占め、死亡率は20%以上に上った<ref>{{cite journal|author=Zuohong Chen, Ping Zhang, Zhiguang Zhang|title=Investigation and analysis of 102 mushroom poisoning cases in Southern China from 1994 to 2012|journal=Fungal Diversity|volume= 64|issue= 01|year= 2013-08-15|pages= 123-131|doi=10.1007/s13225-013-0260-7}}</ref>。 |
[[中国]]では南部で中毒事故が多発しており、1994年から2012年までに発生したキノコ中毒患者852人のうち4分の1を占め、死亡率は20%以上に上った<ref>{{cite journal|author=Zuohong Chen, Ping Zhang, Zhiguang Zhang|title=Investigation and analysis of 102 mushroom poisoning cases in Southern China from 1994 to 2012|journal=Fungal Diversity|volume= 64|issue= 01|year= 2013-08-15|pages= 123-131|doi=10.1007/s13225-013-0260-7}}</ref>。 |
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== 類似種 == |
== 類似種 == |
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[[クロハツ]](''Russula nigricans'')は傘の色が黒色で環状の模様は出ない。ひだが白色で間隔は疎。柄も幼菌は白色。変色性が強く、肉は傷つくと赤色を経て濃い黒色に変わる。老菌になるにつれてひだや柄も含め全体が黒色になる。[[マツ科]]針葉樹やブナ科広葉樹など様々な森林に発生するが、針葉樹林に多いといわれる。 |
[[クロハツ]](''Russula nigricans'')は傘の色が黒色で環状の模様は出ない。ひだが白色で間隔は疎。柄も幼菌は白色。変色性が強く、肉は傷つくと赤色を経て数十分で濃い黒色に変わる。老菌になるにつれてひだや柄も含め全体が黒色になる。[[マツ科]]針葉樹やブナ科広葉樹など様々な森林に発生するが、針葉樹林に多いといわれる。 |
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[[クロハツモドキ]](''Russula densifolia'')は傘の色が褐色から黒色で環状の模様は出ない。ひだが白色で間隔は極めて密。変色性が強く、肉は傷つくと赤色を経て濃い黒色に変わる。老菌になるにつれてひだや柄も含め全体が黒色になる。各種林内に生える。 |
[[クロハツモドキ]](''Russula densifolia'')は傘の色が褐色から黒色で環状の模様は出ない。ひだが白色で間隔は極めて密。変色性が強く、肉は傷つくと赤色を経て数十分で濃い黒色に変わる。老菌になるにつれてひだや柄も含め全体が黒色になる。各種林内に生える。 |
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[[チチタケ]](''Lactarius volemus'')は傘の色が褐色で環状の模様は出ない。ひだは白色から黄色味を帯びた白色で密。柄は傘と同色の褐色。肉は傷つくと大量の乳液を出し乾くと褐変する。ブナ科森林に発生し、夏にシイ・カシ林にも生える。ヒロハチチタケ (''L. hygrophoroides '')はひだが疎であるが、肉は傷つくと大量の乳液を出す。 |
[[チチタケ]](''Lactarius volemus'')は傘の色が褐色で環状の模様は出ない。ひだは白色から黄色味を帯びた白色で密。柄は傘と同色の褐色。肉は傷つくと大量の乳液を出し乾くと褐変する。ブナ科森林に発生し、夏にシイ・カシ林にも生える。ヒロハチチタケ (''L. hygrophoroides '')はひだが疎であるが、肉は傷つくと大量の乳液を出す。 |
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== 名前 == |
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ニセクロハツはクロハツに形態的に似ていることから。種小名 ''subnigricans''(''nigricans''に近い)という意味で、''Russula nigricans''(和名クロハツ)に似ていることに由来する。命名は[[菌類学者]]の[[本郷次雄]]。''nigricans''自体は「黒く変わる」という意味がありクロハツを傷つけたとき、もしくは老菌になったときに見られる強い変色性に由来する。[[中国語]]名は亚稀褶黑菇 |
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== 脚注 == |
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2023年10月16日 (月) 04:20時点における版
ニセクロハツ | |||||||||||||||||||||||||||
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画像はありません | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Russula subnigricans Hongo (1955) | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ニセクロハツ |
ニセクロハツ(偽黒初、Russula subnigricans Hongo)は、ベニタケ目ベニタケ科ベニタケ属クロハツ節の毒キノコ。
形態
子実体は柄が短く傘の中央部がへこんだ典型的なベニタケ型で全体的に褐色である。大型の種で傘の直径は5cm-10cm程度。クロハツという名前だが傘の色は茶色に近く、色味は全体に均一で環状の模様(zonation)は無い。ひだは柄に対して離生し間隔は疎。色はやや黄色味を帯びた白色でクリーム色と言われることも多い。柄は褐色。肉は白色だが弱い変色性があり、ゆっくりと僅かに赤変しその後少し黒ずむ。
生態
子実体は常緑ブナ科林(いわゆるシイ、カシ)林の林床に発生する。ツブラジイ(Castanopsis cuspidata)に限るという説もあるがよくわかっていない。ベニタケ科の多くの種と同様に樹木の根との間に外生菌根を形成し、栄養や抗生物質のやりとりを行う共生関係にあると考えられている。子実体の発生時期は主に夏である。
分布
シイ、カシ類は東北地方の宮城県付近まで分布しているが、本種による中毒事故は愛知県以西に集中して発生しており、日本での分布範囲については不明な点が多い。韓国、中国南部などにも分布するという。アメリカ合衆国南東部にも本種が分布すると報告されていた[1]が、その後別種と判明してR. cantharellicolaと命名された[2]。
毒性
致命的であり、患者数は少ないものの致死率も高い。猛毒で有名なドクツルタケ(Amanita virosa、テングタケ科)よりも致死率は高く、日本では1989年(平成元年)から2010年(平成22年)までの期間中に本種が原因と断定されたもので3件件9人の中毒患者が発生し、この内4人が死亡している。致死率は4人/9人で約44%となる、同期間中のドクツルタケは同21人/52人で約21%でシロタマゴテングタケ(Amanita verna)もほぼ同じ[3]。
毒成分は2008年に京都産の個体から分離された、シクロプロペン誘導体の2-シクロプロペンカルボン酸 (C4H4O2) が骨格筋の組織を溶解し、その溶解物が臓器に障害を与えることが判明した[4]。2008年の解明以前はルスフェリン類が毒性物質と考えられていた[5]がマウスに対し毒性を示さず否定された[4][6]。なお、上記のルスフェリン類と3-ヒドロキシバイキアインは宮城県で採取されたニセクロハツ類似種からのみ検出されており、京都府で採取した真のニセクロハツからはシクロプロピルアセチルカルニチンが発見されている。この物質は、真のニセクロハツと類似種とを見分ける指標になると見られている[4]。
症状
喫食後1時間から半日程度で嘔吐、下痢などの症状が出ることが多い[7][8]。また上半身などに痛みを訴えることが多く[8][9]、これは横紋筋融解症によるものと見られている。縮瞳、呼吸困難、言語障害、重症例では腎臓を中心に多臓器不全で死亡する。
診断と治療
キノコが原因だと思われるときは、図鑑などを患者に見せながらの問診、未調理のキノコや食べ残しの分析、時には現地で類似種を採取するなどして食べたキノコを推定を行う。問診の際にキノコを食べた旨を医師に伝えず(もしくは病院側の過失で伝わらず)、適切な治療を受けられずに重症化した例がしばしばみられる。
特効薬的な治療法はなく対処療法となる。主な治療法は胃洗浄、利尿薬投与、人工透析など。
中毒事例
ニセクロハツによる中毒事故は1954年に京都市で初めて報告され、以降散発的に報告されている。日本では数年に一度程度の頻度。これまで知られている中毒事例はいずれも愛知県、富山県以西からのもので東海地方、関西地方での事例が多い。
中国では南部で中毒事故が多発しており、1994年から2012年までに発生したキノコ中毒患者852人のうち4分の1を占め、死亡率は20%以上に上った[10]。
類似種
クロハツ(Russula nigricans)は傘の色が黒色で環状の模様は出ない。ひだが白色で間隔は疎。柄も幼菌は白色。変色性が強く、肉は傷つくと赤色を経て数十分で濃い黒色に変わる。老菌になるにつれてひだや柄も含め全体が黒色になる。マツ科針葉樹やブナ科広葉樹など様々な森林に発生するが、針葉樹林に多いといわれる。
クロハツモドキ(Russula densifolia)は傘の色が褐色から黒色で環状の模様は出ない。ひだが白色で間隔は極めて密。変色性が強く、肉は傷つくと赤色を経て数十分で濃い黒色に変わる。老菌になるにつれてひだや柄も含め全体が黒色になる。各種林内に生える。
チチタケ(Lactarius volemus)は傘の色が褐色で環状の模様は出ない。ひだは白色から黄色味を帯びた白色で密。柄は傘と同色の褐色。肉は傷つくと大量の乳液を出し乾くと褐変する。ブナ科森林に発生し、夏にシイ・カシ林にも生える。ヒロハチチタケ (L. hygrophoroides )はひだが疎であるが、肉は傷つくと大量の乳液を出す。
ニセクロハツ(広義)事態も毒を持たない未知の類似種の存在が複数確認されており[11]。遺伝子解析により5型が確認された[12]。
-
参考:クロハツ。ひだは疎。下の切断個体は肉が強く赤変している。
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参考:クロハツ老菌
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参考:クロハツモドキ。ひだは密。
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参考:チチタケ。ひだは密。大量の乳液を出す
名前
ニセクロハツはクロハツに形態的に似ていることから。種小名 subnigricans(nigricansに近い)という意味で、Russula nigricans(和名クロハツ)に似ていることに由来する。命名は菌類学者の本郷次雄。nigricans自体は「黒く変わる」という意味がありクロハツを傷つけたとき、もしくは老菌になったときに見られる強い変色性に由来する。中国語名は亚稀褶黑菇
脚注
- ^ A deadly Russula、2013年12月30日、コーネル大学
- ^ David Arora, Nhu Nguyen,. "A new species of Russula, subgenus Compactae from California." 2014, doi:10.2509/naf2014.009.008
- ^ 登田美桜・畝山智香子・豊福肇・森川馨 (2012) わが国における自然毒による食中毒事例の傾向(平成元年~22年). 食品衛生学雑誌53(2), pp105-120. doi:10.3358/shokueishi.53.105
- ^ a b c 橋本貴美子, 松浦正憲, 犀川陽子 ほか、「致死性毒きのこ,ニセクロハツの毒成分 横紋筋融解をひき起こす原因物質を解明」 『化学と生物』 2009年 47巻 9号 p.600-602, doi:10.1271/kagakutoseibutsu.47.600
- ^ 糸川嘉則編 (1992),毒性試験講座 食品,食品添加物,地人書館 (東京),57
- ^ 松浦正憲、加藤優、犀川陽子、乾公正、橋本貴美子、中田雅也 (2008-09-01). “P-51 致死性猛毒きのこニセクロハツ(Russula subnigricans)の毒成分研究(ポスター発表の部)”. 天然有機化合物討論会講演要旨集 (50): 415-420. NAID 110007066729.
- ^ 上田錠ら(2019)[P61-4] ニセクロハツ中毒の治療に難渋した1例. 第46回日本集中治療医学外学術集会
- ^ a b 有馬一ら(2022)ニセクロハツによる重症キノコ食中毒の1例. 日本農村医学会雑誌71(4), p.357-362. doi:10.2185/jjrm.71.357
- ^ 太田好紀ら(2009)ニセクロハツ中毒の1例. 日本救急医学会雑誌 20(10, p.836-842, doi:10.3893/jjaam.20.836
- ^ Zuohong Chen, Ping Zhang, Zhiguang Zhang (2013-08-15). “Investigation and analysis of 102 mushroom poisoning cases in Southern China from 1994 to 2012”. Fungal Diversity 64 (01): 123-131. doi:10.1007/s13225-013-0260-7.
- ^ 毒キノコ「ニセクロハツ」の有毒成分を同定、日本薬学会、2009年6月
- ^ 下野義人, 広井勝, 上田俊穂 ほか、ニセクロハツには5型がある 『日本菌学会第53回大会講演要旨集』 日本菌学会第53回大会セッションID:B2 p.52, doi:10.11556/msj7abst.53.0.41.0、日本菌学会
関連項目
外部リンク
- ニセクロハツ - 厚生労働省
- ニセクロハツ - 遅スギル
- ニセクロハツ - きのこ図鑑
- 下野義人、広井勝、高松進、「リボソームDNAの大サブユニット領域およびITS領域の塩基配列にもとづくベニタケ科クロハツ節の分子系統[」 『三重大学大学院生物資源学研究科紀要』 2014年 40号 p.65-75, NAID [https://ci.nii.ac.jp/naid/120005863779 120005863779, hdl:10076/13865