「上昇婚」の版間の差分

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ピュー研究所調査
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* 国立社会保障・人口問題研究所が行った第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)における「(3)結婚相手に求める条件 『図表I-3-4 調査別にみた、結婚相手の条件として考慮・重視する割合の推移』」では、学歴、職業、経済力、人柄、容姿、趣味、仕事への理解、家事・育児といった項目に関して、1997年、2002年、2010年、2015年にわたる推移が掲載されているが、結婚相手の条件で重視する点に関して、容姿の項目だけは男性が女性の割合を超えるが、その他のすべての項目では男性よりも女性が重視する割合がいずれも高い<ref name=":2">{{Cite web|title=第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)|国立社会保障・人口問題研究所|url=http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/gaiyou15html/NFS15G_html04.html|website=www.ipss.go.jp|accessdate=2019-07-27|publisher=}}</ref>。
* 国立社会保障・人口問題研究所が行った第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)における「(3)結婚相手に求める条件 『図表I-3-4 調査別にみた、結婚相手の条件として考慮・重視する割合の推移』」では、学歴、職業、経済力、人柄、容姿、趣味、仕事への理解、家事・育児といった項目に関して、1997年、2002年、2010年、2015年にわたる推移が掲載されているが、結婚相手の条件で重視する点に関して、容姿の項目だけは男性が女性の割合を超えるが、その他のすべての項目では男性よりも女性が重視する割合がいずれも高い<ref name=":2">{{Cite web|title=第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)|国立社会保障・人口問題研究所|url=http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/gaiyou15html/NFS15G_html04.html|website=www.ipss.go.jp|accessdate=2019-07-27|publisher=}}</ref>。
* [[ミネソタ大学]]による37の[[文化圏]]の男女を対象に調査したところ、女性は自分よりも優れた条件を持つ男性を選ぼうとする傾向が示された。女性の75%は自国の[[平均]]を上回る「社会的・経済的地位を持つ男性」と結婚することを望んだ。更に研究によると、パートナーを選ぶ時に女性の方が男性よりも厳しく慎重なことが判明している<ref name=":7">{{Cite web |title=【萬物相】「私たちは結婚で得をした」と金建希夫人を立てたバイデン米大統領 |url=http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/05/23/2022052380768.html?ent_rank_news |website=www.chosunonline.com |date=2022-05-23 |access-date=2022-05-23 |language=ja |last=朝鮮日報/朝鮮日報日本語版}}</ref>。
* [[ミネソタ大学]]による37の[[文化圏]]の男女を対象に調査したところ、女性は自分よりも優れた条件を持つ男性を選ぼうとする傾向が示された。女性の75%は自国の[[平均]]を上回る「社会的・経済的地位を持つ男性」と結婚することを望んだ。更に研究によると、パートナーを選ぶ時に女性の方が男性よりも厳しく慎重なことが判明している<ref name=":7">{{Cite web |title=【萬物相】「私たちは結婚で得をした」と金建希夫人を立てたバイデン米大統領 |url=http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/05/23/2022052380768.html?ent_rank_news |website=www.chosunonline.com |date=2022-05-23 |access-date=2022-05-23 |language=ja |last=朝鮮日報/朝鮮日報日本語版}}</ref>。
* 2022年1月29日付けで発表された[[スウェーデン]]のビネット研究では、男女平等先進とされるスウェーデンにおいても、経済的に貧しい男性はあまり魅力的ではないと評価される傾向がある事が報告されている<ref>{{Cite journal|last=Ngaosuvan|first=Leonard|last2=Holmberg|first2=Linus Carl|last3=Saleh Al-Basri|first3=Naila|last4=Elshani|first4=Rebecca|date=2022-01-29|title=Sexual Economics in Swedish Dating: Pity Poor Men|url=https://papers.ssrn.com/abstract=4020856|location=Rochester, NY|language=en}}</ref>。
* 2022年1月29日付けで発表された[[スウェーデン]]のビネット研究では、国においても、経済的に貧しい男性はあまり魅力的ではないと評価される傾向がある事が報告されている<ref>{{Cite journal|last=Ngaosuvan|first=Leonard|last2=Holmberg|first2=Linus Carl|last3=Saleh Al-Basri|first3=Naila|last4=Elshani|first4=Rebecca|date=2022-01-29|title=Sexual Economics in Swedish Dating: Pity Poor Men|url=https://papers.ssrn.com/abstract=4020856|location=Rochester, NY|language=en}}</ref>。


比較的に男女平等な社会では、若い女性は時に権力のある年配の男性とパートナーを組むことがあるというのが一般的に受け入れられている<ref>{{Cite book|title=The Social Psychology of Gender: How Power and Intimacy Shape Gender Relations|last=Rudman|first=Laurie|publisher=The Guilford Press|year=2010|isbn=1606239635|page=249}}</ref>。一般的な原則では、高齢の男性は若い男性よりも富と地位を獲得する時間が長く、平均して富裕で地位も高いためである。<!-- なお、日本において男性は結婚相手の条件として、女性に経済力や学歴を重視する人の割合は数%程度であるので<ref name=":2" />、上昇婚指向や下降婚忌避は多くの場合、女性から男性に対して生じると考えられる。←対立するソースがあるためコメントアウトhttps://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0146167219883611-->
比較的に男女平等な社会では、若い女性は時に権力のある年配の男性とパートナーを組むことがあるというのが一般的に受け入れられている<ref>{{Cite book|title=The Social Psychology of Gender: How Power and Intimacy Shape Gender Relations|last=Rudman|first=Laurie|publisher=The Guilford Press|year=2010|isbn=1606239635|page=249}}</ref>。一般的な原則では、高齢の男性は若い男性よりも富と地位を獲得する時間が長く、平均して富裕で地位も高いためである。<!-- なお、日本において男性は結婚相手の条件として、女性に経済力や学歴を重視する人の割合は数%程度であるので<ref name=":2" />、上昇婚指向や下降婚忌避は多くの場合、女性から男性に対して生じると考えられる。←対立するソースがあるためコメントアウトhttps://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0146167219883611-->
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* 一般に高学歴が要求される医師では、日本の男女の未婚率において男性が6.1%なのに対し、女性は28.7%と大きな差がある<ref>{{Cite web|title=そりゃあんまりな「職業別・年収別の未婚率」 {{!}} プレジデントオンライン|url=https://president.jp/articles/-/21243|website=PRESIDENT Online - PRESIDENT|date=2017-02-08|accessdate=2019-07-27}}</ref>。また、女医の生涯未婚率は35.9%である<ref>{{Cite web|title=女医が早婚逃すと生涯独身になりやすい原因 {{!}} ワークスタイル|url=https://toyokeizai.net/articles/-/182702|website=東洋経済オンライン|date=2017-08-03|accessdate=2019-07-27|language=ja}}</ref>
* 一般に高学歴が要求される医師では、日本の男女の未婚率において男性が6.1%なのに対し、女性は28.7%と大きな差がある<ref>{{Cite web|title=そりゃあんまりな「職業別・年収別の未婚率」 {{!}} プレジデントオンライン|url=https://president.jp/articles/-/21243|website=PRESIDENT Online - PRESIDENT|date=2017-02-08|accessdate=2019-07-27}}</ref>。また、女医の生涯未婚率は35.9%である<ref>{{Cite web|title=女医が早婚逃すと生涯独身になりやすい原因 {{!}} ワークスタイル|url=https://toyokeizai.net/articles/-/182702|website=東洋経済オンライン|date=2017-08-03|accessdate=2019-07-27|language=ja}}</ref>
* 「次世代を担う男女産婦人科医師キャリアサポート委員会」が日産婦学会員に対する調査を行った結果、産婦人科女性医師の未婚率、離婚率は男性より高く、子どもの数は少ないことがわかった<ref name=":3">{{Cite web|url=http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20101105_jisedai_report.pdf|title=次世代を担う男女産婦人科医師キャリアサポート委員会調査結果報告書|accessdate=2019-07-27|publisher=}}</ref>。また、女性医師の43.3%が「産婦人科医であることが結婚や婚活の妨げになる」と感じていて、女性医師の配偶者は産婦人科医を含む医師が多く(63.9%、内、産婦人科医14.0%)、男性医師の配偶者は専業主婦が53.7%を占めていた<ref name=":3" />。
* 「次世代を担う男女産婦人科医師キャリアサポート委員会」が日産婦学会員に対する調査を行った結果、産婦人科女性医師の未婚率、離婚率は男性より高く、子どもの数は少ないことがわかった<ref name=":3">{{Cite web|url=http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20101105_jisedai_report.pdf|title=次世代を担う男女産婦人科医師キャリアサポート委員会調査結果報告書|accessdate=2019-07-27|publisher=}}</ref>。また、女性医師の43.3%が「産婦人科医であることが結婚や婚活の妨げになる」と感じていて、女性医師の配偶者は産婦人科医を含む医師が多く(63.9%、内、産婦人科医14.0%)、男性医師の配偶者は専業主婦が53.7%を占めていた<ref name=":3" />。
* 第6回『世界価値観調査』(2010~14年)の調査によると、タイでは30~40代の有配偶女性のうち、「主たる家計支持者」の割合において、56.8%の女性が「自分が主たる家計支持者」であるが<ref>{{Cite web|title=そりゃあんまりな「職業別・年収別の未婚率」 {{!}} プレジデントオンライン|url=https://president.jp/articles/-/21243|website=PRESIDENT Online - PRESIDENT|date=2017-02-08|accessdate=2019-07-27}}</ref>、タイの都市部の高学歴の女性は理想の相手を見つけることが出来ないため、結婚を避けるようになってバンコクの合計特殊出生率は0.8になったと言われている<ref>{{Cite web|title=老人の国へまっしぐら、高学歴女性ほど結婚しないタイ アジアの少子高齢化(2)~バンコクの合計特殊出生率は0.8 {{!}} JBpress(Japan Business Press)|url=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45255|website=JBpress(日本ビジネスプレス)|accessdate=2019-07-27|language=ja}}</ref>。
* タイの都市部の高学歴の女性は理想の相手を見つけることが出来ないため、結婚を避けるようになってバンコクの合計特殊出生率は0.8になったと言われている<ref>{{Cite web|title=老人の国へまっしぐら、高学歴女性ほど結婚しないタイ アジアの少子高齢化(2)~バンコクの合計特殊出生率は0.8 {{!}} JBpress(Japan Business Press)|url=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45255|website=JBpress(日本ビジネスプレス)|accessdate=2019-07-27|language=ja}}</ref>。
* 香港の女性の中には、不動産王の末裔と結婚しようとする人はほとんどいないが、多くの女性は月収が8万香港ドル(約111万円)から10万香港ドル(約139万円)の男性との結婚を目指している<ref>{{Cite web|title=Some Hong Kong women would rather die alone than date Hong Kong men|url=https://qz.com/662605/some-hong-kong-women-would-rather-die-alone-than-date-hong-kong-men/|website=Quartz|accessdate=2019-07-27|language=en|first=Vivienne|last=Chow}}</ref>。なお香港の男性は経済的な関係のため、中国本土の女性と結婚する割合が増加している<ref>{{Cite web|title=Hong Kong's Troubling Shortage of Men|url=https://www.theatlantic.com/china/archive/2013/12/hong-kongs-troubling-shortage-of-men/281942/|website=The Atlantic|date=2013-12-02|accessdate=2019-07-27|language=en-US|first=David|last=Cox}}</ref>。
* 香港の女性の中には、不動産王の末裔と結婚しようとする人はほとんどいないが、多くの女性は月収が8万香港ドル(約111万円)から10万香港ドル(約139万円)の男性との結婚を目指している<ref>{{Cite web|title=Some Hong Kong women would rather die alone than date Hong Kong men|url=https://qz.com/662605/some-hong-kong-women-would-rather-die-alone-than-date-hong-kong-men/|website=Quartz|accessdate=2019-07-27|language=en|first=Vivienne|last=Chow}}</ref>。なお香港の男性は経済的な関係のため、中国本土の女性と結婚する割合が増加している<ref>{{Cite web|title=Hong Kong's Troubling Shortage of Men|url=https://www.theatlantic.com/china/archive/2013/12/hong-kongs-troubling-shortage-of-men/281942/|website=The Atlantic|date=2013-12-02|accessdate=2019-07-27|language=en-US|first=David|last=Cox}}</ref>。
* ノルウェーは2008年には世界で最も女性の労働参加率高い国(79%)であったが、2008年の調査では10人の女性のうち7人が男性が主たる家計の支持者であることを好む<ref>{{Cite web|url=http://pure.iiasa.ac.at/id/eprint/9831/1/IR-11-003.pdf|title=Young Adult Failure to Thrive Syndrome|accessdate=2019-07-27|publisher=}}</ref>。2023年の調査でもノルウェー女性の上昇婚の姿勢は変化していない<ref name=":10" />。
* ノルウェーは、2008年の調査では10人の女性のうち7人が男性が主たる家計の支持者であることを好む<ref>{{Cite web|url=http://pure.iiasa.ac.at/id/eprint/9831/1/IR-11-003.pdf|title=Young Adult Failure to Thrive Syndrome|accessdate=2019-07-27|publisher=}}</ref>。2023年の調査でもノルウェー女性の上昇婚の姿勢は変化していない<ref name=":10" />。
<!-- * 朝鮮日報によると、パートナーを選ぶ時に75%の女性が上昇婚を望むこと、男性よりも異性選択に厳しく慎重だったこと、インドでハイパーガミー(女性の上昇婚傾向)が顕著見られたことを報道している<ref name=":7" />。インドの農村部に住む人々にとって、上昇婚は近代化をする機会である。インドの農村部における結婚生活は、ますます上昇婚の例となっている<ref>{{Cite journal|last=Caldwell, J.C.|last2=P.H. Reddy|last3=Pat Caldwell|year=1983|title=The Causes of Marriage Change in South India|journal=Population Studies|volume=37|issue=3|pages=343–361|doi=10.1080/00324728.1983.10408866}}</ref>。大都市圏とつながることによって、インターネットへのアクセス、より良い雇用機会、そして上流階級の社交界といったことがもたらされるため<ref>{{Cite journal|last=Barber, Jennifer|year=2004|title=Community Social Context and Individualistic Attitudes toward Marriage|journal=Social Psychology Quarterly|volume=67|issue=3|pages=236–256|doi=10.1177/019027250406700302}}</ref>、農家やその他の農村労働者は、自分の娘たちが都市での生活へ進出できるようにしたいと考えている。さらに都市部でのつながりは、新婦の家族にとってより広い社会的地平線を作り、より良い学校教育のために家族の幼い子供たちを、その夫婦と一緒に住むように送ることができる。一方、上昇婚にはコストがかかり、持参金は家全体の額と同じかそれ以上かかることが多い<ref>{{Cite journal|last=Thornton, Arland|last2=Dirgha J. Ghimire|last3=William G. Axinn|last4=Scott T. Yabiku|year=2006|title=Social Change, Premarital Nonfamily Experience, and Spouse Choice in an Arranged Marriage Society|url=http://perl.psc.isr.umich.edu/papers/Ghimire.etal.2006.pdf|journal=American Journal of Sociology|volume=111|issue=4|pages=1181–1218|accessdate=2016-06-23|doi=10.1086/498468}}</ref>。そのため、娘にふさわしい結婚を手配するために両親が負担しなければならない費用が高いので、女性の胎児の中絶率は上昇した<ref>{{Cite journal|last=Srivinsan, Padma|last2=Gary R. Lee|year=2004|title=The Dowry System in Northern India: Women's Attitudes and Social Change|journal=Journal of Marriage and Family|volume=66|issue=5|pages=1108–1117|doi=10.1111/j.0022-2445.2004.00081.x}}</ref>。対立するソースが多数存在するためコメントアウト。https://ideas.repec.org/a/spr/demogr/v57y2020i4d10.1007_s13524-020-00888-2.html など-->
<!-- * 朝鮮日報によると、パートナーを選ぶ時に75%の女性が上昇婚を望むこと、男性よりも異性選択に厳しく慎重だったこと、インドでハイパーガミー(女性の上昇婚傾向)が顕著見られたことを報道している<ref name=":7" />。インドの農村部に住む人々にとって、上昇婚は近代化をする機会である。インドの農村部における結婚生活は、ますます上昇婚の例となっている<ref>{{Cite journal|last=Caldwell, J.C.|last2=P.H. Reddy|last3=Pat Caldwell|year=1983|title=The Causes of Marriage Change in South India|journal=Population Studies|volume=37|issue=3|pages=343–361|doi=10.1080/00324728.1983.10408866}}</ref>。大都市圏とつながることによって、インターネットへのアクセス、より良い雇用機会、そして上流階級の社交界といったことがもたらされるため<ref>{{Cite journal|last=Barber, Jennifer|year=2004|title=Community Social Context and Individualistic Attitudes toward Marriage|journal=Social Psychology Quarterly|volume=67|issue=3|pages=236–256|doi=10.1177/019027250406700302}}</ref>、農家やその他の農村労働者は、自分の娘たちが都市での生活へ進出できるようにしたいと考えている。さらに都市部でのつながりは、新婦の家族にとってより広い社会的地平線を作り、より良い学校教育のために家族の幼い子供たちを、その夫婦と一緒に住むように送ることができる。一方、上昇婚にはコストがかかり、持参金は家全体の額と同じかそれ以上かかることが多い<ref>{{Cite journal|last=Thornton, Arland|last2=Dirgha J. Ghimire|last3=William G. Axinn|last4=Scott T. Yabiku|year=2006|title=Social Change, Premarital Nonfamily Experience, and Spouse Choice in an Arranged Marriage Society|url=http://perl.psc.isr.umich.edu/papers/Ghimire.etal.2006.pdf|journal=American Journal of Sociology|volume=111|issue=4|pages=1181–1218|accessdate=2016-06-23|doi=10.1086/498468}}</ref>。そのため、娘にふさわしい結婚を手配するために両親が負担しなければならない費用が高いので、女性の胎児の中絶率は上昇した<ref>{{Cite journal|last=Srivinsan, Padma|last2=Gary R. Lee|year=2004|title=The Dowry System in Northern India: Women's Attitudes and Social Change|journal=Journal of Marriage and Family|volume=66|issue=5|pages=1108–1117|doi=10.1111/j.0022-2445.2004.00081.x}}</ref>。対立するソースが多数存在するためコメントアウト。https://ideas.repec.org/a/spr/demogr/v57y2020i4d10.1007_s13524-020-00888-2.html など-->
* 20年以上大学進学率において女性が男性を上回っているデンマークでは、優秀な女性が自分以上の男性を探すため、ミスマッチが起こり、晩婚化がますます進んだという<ref>{{Cite web|title=【杉田水脈のなでしこリポート(20)】「民主主義は進み、妥協するのが下手になった」…デンマークで聞いた興味深いエピソード|url=https://www.sankei.com/premium/news/161113/prm1611130008-n1.html|website=産経ニュース|accessdate=2019-07-27|language=ja|first=SANKEI DIGITAL|last=INC}}</ref>。なお、女性に選ばれなかった男性は、東南アジアなどの移民との結婚を目指している<ref>{{Cite web|title=Why are western men marrying Asian women?|url=https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/mind-the-gap/why-are-western-men-marrying-asian-women/|website=Times of India Blog|date=2016-10-29|accessdate=2019-07-27|language=en-US}}</ref>
<!-- * 20年以上大学進学率において女性が男性を上回っているデンマークでは、優秀な女性が自分以上の男性を探すため、ミスマッチが起こり、晩婚化がますます進んだという<ref>{{Cite web|title=【杉田水脈のなでしこリポート(20)】「民主主義は進み、妥協するのが下手になった」…デンマークで聞いた興味深いエピソード|url=https://www.sankei.com/premium/news/161113/prm1611130008-n1.html|website=産経ニュース|accessdate=2019-07-27|language=ja|first=SANKEI DIGITAL|last=INC}}</ref>。なお、女性に選ばれなかった男性は、東南アジアなどの移民との結婚を目指している<ref>{{Cite web|title=Why are western men marrying Asian women?|url=https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/mind-the-gap/why-are-western-men-marrying-asian-women/|website=Times of India Blog|date=2016-10-29|accessdate=2019-07-27|language=en-US}}</ref> https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6241077/ に照らして一般化できるか疑問なためコメントアウト -->
*アメリカにおいて黒人女性の大学進学率は57%であるものの、黒人男性の大学進学率は48%に過ぎず、さらに黒人男性の収監率は黒人女性や他の人種と比べて高く、黒人女性は黒人男性を選好する(既婚黒人女性の96%は黒人男性の配偶者)ため、1970年には30歳から44歳までの黒人女性の婚姻率は62%であったが、2007年には44%にまで下がった<ref name=":5">{{Cite book|title=Dollars and sex : how economics influences sex and love|url=https://www.worldcat.org/oclc/808684442|publisher=Chronicle Books|date=2013|location=San Francisco|isbn=9781452109220|oclc=808684442|last=Adshade, Marina.|year=|pages=109-112}}</ref>。なお、希少である高学歴の黒人男性の既婚率も低下している<ref name=":5" />。これはカジュアル・デートやセックス市場でも大きな交渉力を持ち、結婚を先送りしてカジュアル・セックスを楽しめるからだと考えられる<ref name=":5" />。
*アメリカにおいて黒人女性の大学進学率は57%であるものの、黒人男性の大学進学率は48%に過ぎず、さらに黒人男性の収監率は黒人女性や他の人種と比べて高く、黒人女性は黒人男性を選好する(既婚黒人女性の96%は黒人男性の配偶者)ため、1970年には30歳から44歳までの黒人女性の婚姻率は62%であったが、2007年には44%にまで下がった<ref name=":5">{{Cite book|title=Dollars and sex : how economics influences sex and love|url=https://www.worldcat.org/oclc/808684442|publisher=Chronicle Books|date=2013|location=San Francisco|isbn=9781452109220|oclc=808684442|last=Adshade, Marina.|year=|pages=109-112}}</ref>。なお、希少である高学歴の黒人男性の既婚率も低下している<ref name=":5" />。これはカジュアル・デートやセックス市場でも大きな交渉力を持ち、結婚を先送りしてカジュアル・セックスを楽しめるからだと考えられる<ref name=":5" />。


=== 男女平等と格差対策との関連・少子化対策におけるトリレンマ ===
<!-- === 男女平等と格差対策との関連・少子化対策におけるトリレンマ ===
赤川は自身の著作の中で、女性上昇婚志向とその放棄が容易でないことを前提とした[https://crossacross.org/ky/Tradeoffs+among+gender+equality+and+birth+rate 男女平等・格差対策・少子化対策のトリレンマ論]を紹介した{{Sfn|赤川|2017|p=92}}。これは、女性は自分より年収の高い男性としか結婚したがらないという前提では、男女平等・格差対策・少子化対策のいずれか2つまでしか並列で達成できず、1つは達成できないことを論証したものである。そして、赤川は学歴下降婚が少ないことの説明として、女性が包括適応度を高めている進化上の理由があるという可能性を示唆した。後に赤川は、ISSP(The International Social Survey Programme)の2012年度のデータを利用して、下降婚の比率を計算し下降婚率が増えるほど出生率が高まる関係を明らかにした{{Sfn|赤川|2018|p=|pp=14&ndash;18}}。さらに赤川はこの調査から下降婚が多くの国で実際にあることを確認して、下方婚を避けるという進化的基盤を打ち破り少子化を克服する可能性を示している{{Sfn|赤川|2018|p=|pp=14&ndash;18}}。
赤川は自身の著作の中で、女性上昇婚志向とその放棄が容易でないことを前提とした[https://crossacross.org/ky/Tradeoffs+among+gender+equality+and+birth+rate 男女平等・格差対策・少子化対策のトリレンマ論]を紹介した{{Sfn|赤川|2017|p=92}}。これは、女性は自分より年収の高い男性としか結婚したがらないという前提では、男女平等・格差対策・少子化対策のいずれか2つまでしか並列で達成できず、1つは達成できないことを論証したものである。そして、赤川は学歴下降婚が少ないことの説明として、女性が包括適応度を高めている進化上の理由があるという可能性を示唆した。後に赤川は、ISSP(The International Social Survey Programme)の2012年度のデータを利用して、下降婚の比率を計算し下降婚率が増えるほど出生率が高まる関係を明らかにした{{Sfn|赤川|2018|p=|pp=14&ndash;18}}。さらに赤川はこの調査から下降婚が多くの国で実際にあることを確認して、下方婚を避けるという進化的基盤を打ち破り少子化を克服する可能性を示している{{Sfn|赤川|2018|p=|pp=14&ndash;18}}。下記内容に照らして一般化できるか疑問なためコメントアウト -->


== 同類婚の事例 ==
== 同類婚の事例 ==
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* 2023年のピュー研究所調査では、アメリカで妻が夫と同等かそれ以上に収入を得ている世帯が異性婚のほぼ半数に達し、50年間で約3倍増している<ref name="saraiva"/>。
* 2023年のピュー研究所調査では、アメリカで妻が夫と同等かそれ以上に収入を得ている世帯が異性婚のほぼ半数に達し、50年間で約3倍増している<ref name="saraiva"/>。
* 2012年のOECD生徒の学習到達度調査に表れる両親の学歴では、64の国と地域のうち5か所で8割以上、14か所で7割以上、40か所で6割以上が同類婚を行っている(すべての平均では同類婚が67.64%、上昇婚が15.28%、下降婚が17.09%)<ref>{{cite web|title= Educational Assortative Marriage and Its Consequence for Children’s Academic Achievement: Evidence from PISA 2012|author= Yifan Bai and Soo-yong Byun|url= https://paa.confex.com/paa/2016/meetingapp.cgi/Paper/5458|date= 2016-04-02|accessdate= 2023-05-14|publisher= Population Association of America|pages= 3-4}}</ref>。
* 2012年のOECD生徒の学習到達度調査に表れる両親の学歴では、64の国と地域のうち5か所で8割以上、14か所で7割以上、40か所で6割以上が同類婚を行っている(すべての平均では同類婚が67.64%、上昇婚が15.28%、下降婚が17.09%)<ref>{{cite web|title= Educational Assortative Marriage and Its Consequence for Children’s Academic Achievement: Evidence from PISA 2012|author= Yifan Bai and Soo-yong Byun|url= https://paa.confex.com/paa/2016/meetingapp.cgi/Paper/5458|date= 2016-04-02|accessdate= 2023-05-14|publisher= Population Association of America|pages= 3-4}}</ref>。
* 欧州社会調査、国際応用システム分析研究およびウィーン人口統計研究所の2012年までのデータでは、ヨーロッパ地域のカップルの約64%が学歴同類婚を行っている(女性が自分より高学歴あるいは低学歴の男性と交際する割合は約18%ずつと拮抗し、男性が自分より高学歴の女性と交際する割合は約16%、低学歴の女性と交際する割合は約21%であった)<ref name="hauw">{{cite journal|author= Yolien De Hauw, André Grow, and Jan Van Bavel|journal= European Journal of Population|title= The Reversed Gender Gap in Education and Assortative Mating in Europe|date= 2017-10|volume= 33|issue= 4|pages= 445-474|url= https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6241077/}}</ref>。
* 今日では、ほとんどの人が社会的に同等な人と結婚しており、世界の一部の地域では上昇婚が減少している。女性が年上の男性と結婚することは少なくなってきている(上昇婚は、男性がより高齢であることを要求せず、より高い地位だけを要求し、社会的平等は通常、経済的平等よりも社会的集団を指す) <ref>{{Cite book|title=The Gender of Sexuality: Exploring Sexual Possibilities|last=Rutter|first=Virginia|publisher=Rowman & Littlefield Publishers (Gender Lens Series)|year=2011|isbn=0742570037|page=19}}</ref><ref>{{Cite book|title=Gender and Families (Gender Lens Series)|last=Coltrane|first=Scott|publisher=Rowman & Littlefield Publishers|year=2008|isbn=0742561518|page=94}}</ref><ref name=":0" />。
* スウェーデン、チェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリー、イタリアの6か国では、1990年から2016年前の間に女性の絶対的学歴同類婚が増加した<ref name="katrnak"/>。
<!-- * 今日では、ほとんどの人が社会的に同等な人と結婚しており、世界の一部の地域では上昇婚が減少している。女性が年上の男性と結婚することは少なくなってきている(上昇婚は、男性がより高齢であることを要求せず、より高い地位だけを要求し、社会的平等は通常、経済的平等よりも社会的集団を指す) <ref>{{Cite book|title=The Gender of Sexuality: Exploring Sexual Possibilities|last=Rutter|first=Virginia|publisher=Rowman & Littlefield Publishers (Gender Lens Series)|year=2011|isbn=0742570037|page=19}}</ref><ref>{{Cite book|title=Gender and Families (Gender Lens Series)|last=Coltrane|first=Scott|publisher=Rowman & Littlefield Publishers|year=2008|isbn=0742561518|page=94}}</ref><ref name=":0" />。曖昧なデータであるためコメントアウト -->
* 国立社会保障・人口問題研究所の調査では、1980年から2010年までの間に日本では高卒・大卒女性の下降婚忌避選好は年々弱まり、高卒者および中卒者同士の同類婚選好は強まっている<ref>{{cite web|url= https://www.ipss.go.jp/publication/j/WP/IPSS_WPJ14.pdf|pages= 14-15|title= 日本における学歴同類婚の趨勢:1980年から2010年国勢調査個票データを用いた分析|accessdate= 2023-05-13|publisher= 国立社会保障・人口問題研究所|date= 2017-03|author= 福田節也・余田翔平・茂木良平}}</ref>。
* 国立社会保障・人口問題研究所の調査では、1980年から2010年までの間に日本では高卒・大卒女性の下降婚忌避選好は年々弱まり、高卒者および中卒者同士の同類婚選好は強まっている<ref>{{cite web|url= https://www.ipss.go.jp/publication/j/WP/IPSS_WPJ14.pdf|pages= 14-15|title= 日本における学歴同類婚の趨勢:1980年から2010年国勢調査個票データを用いた分析|accessdate= 2023-05-13|publisher= 国立社会保障・人口問題研究所|date= 2017-03|author= 福田節也・余田翔平・茂木良平}}</ref>。
* 1964年前後に生まれた東大女子学生126人について2004年に集計されたデータでは、結婚している105人のうち、夫も東大卒という人が70人いた。東大以外の国公立大卒を含めると、94人になる{{Sfn|橘木,追田|2013|p=74}}。なお、橘木科学研究費調査に基づく年収1000万以上の東大卒男性19人の妻の学歴と勤務状況に関する調査では、妻の学歴が短大卒4名、大学卒(ハーバード、京大、慶応、上智、お茶の水、津田塾、フェリスなど名門)が13名であり、勤務状況は専業主婦が12名であった{{Sfn|橘木,追田|2013|p=75}}。
* 1964年前後に生まれた東大女子学生126人について2004年に集計されたデータでは、結婚している105人のうち、夫も東大卒という人が70人いた。東大以外の国公立大卒を含めると、94人になる{{Sfn|橘木,追田|2013|p=74}}。なお、橘木科学研究費調査に基づく年収1000万以上の東大卒男性19人の妻の学歴と勤務状況に関する調査では、妻の学歴が短大卒4名、大学卒(ハーバード、京大、慶応、上智、お茶の水、津田塾、フェリスなど名門)が13名であり、勤務状況は専業主婦が12名であった{{Sfn|橘木,追田|2013|p=75}}。
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* 中国では、1980年から2015年までに女性の学歴下降婚が増加している<ref>{{cite web|title= Internal Migration and Marriage in China: The Rising Educational Hypogamy|url= http://paa2019.populationassociation.org/uploads/193709|author= Yu Wang; Lidan Lv|publisher= Extended PAA Abstract 2019|accessdate= 2023-05-13}}</ref>。
* 中国では、1980年から2015年までに女性の学歴下降婚が増加している<ref>{{cite web|title= Internal Migration and Marriage in China: The Rising Educational Hypogamy|url= http://paa2019.populationassociation.org/uploads/193709|author= Yu Wang; Lidan Lv|publisher= Extended PAA Abstract 2019|accessdate= 2023-05-13}}</ref>。
* 韓国では、1993年から2009年までに大卒女性の下降婚が増加している<ref>{{cite journal|title= 대졸여성 강혼 (hypogamy) 증가와 원인|author= 이한얼|location= 서울|publisher= 고려대학교 대학원|year= 2012|url= }}</ref>。
* 韓国では、1993年から2009年までに大卒女性の下降婚が増加している<ref>{{cite journal|title= 대졸여성 강혼 (hypogamy) 증가와 원인|author= 이한얼|location= 서울|publisher= 고려대학교 대학원|year= 2012|url= }}</ref>。
* 第6回『世界価値観調査』(2010~14年)の調査によると、タイでは30~40代の有配偶女性のうち、「主たる家計支持者」の割合において、56.8%の女性が「自分が主たる家計支持者」である<ref>{{Cite web|title=そりゃあんまりな「職業別・年収別の未婚率」 {{!}} プレジデントオンライン|url=https://president.jp/articles/-/21243|website=PRESIDENT Online - PRESIDENT|date=2017-02-08|accessdate=2019-07-27}}</ref>。
* 2004-2005年のフランスの「家族と雇用主に関する調査」においては、25歳から30歳の女性の学歴下降婚割合は、40歳から50歳の女性のおよそ2倍である<ref name="bouchervalat">{{cite journal|title= Fewer Singles among Highly Educated Women. A Gender Reversal of Hypergamy across Cohorts in France|author= Milan Bouchet-Valat|translator= Catriona Dutreuilh|volume= 70|issue= 4|year= 2015|journal= Population|pages= 665-688|url= https://www.cairn-int.info/revue-population-2015-4-page-665.htm&wt.src=pdf?contenu=article}}</ref>。
* 2004-2005年のフランスの「家族と雇用主に関する調査」においては、25歳から30歳の女性の学歴下降婚割合は、40歳から50歳の女性のおよそ2倍である<ref name="bouchervalat">{{cite journal|title= Fewer Singles among Highly Educated Women. A Gender Reversal of Hypergamy across Cohorts in France|author= Milan Bouchet-Valat|translator= Catriona Dutreuilh|volume= 70|issue= 4|year= 2015|journal= Population|pages= 665-688|url= https://www.cairn-int.info/revue-population-2015-4-page-665.htm&wt.src=pdf?contenu=article}}</ref>。労働力調査に基づいた30歳から60歳までの同棲カップル研究においても、女性の学歴下降婚の頻度は2000年ごろに上昇婚の頻度と逆転した<ref name="bouchervalat"/>。
* スウェーデン、チェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリー、イタリアの6か国では、1990年から2016年前の間に女性の絶対的学歴下降婚が増加した<ref name="katrnak">{{cite journal|title= Change in prevalence or preference? Trends in educational homogamy in six European countries in a time of educational expansion|url= https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0049089X20300582|author= Tomáš Katrňák, Beatrice Chromková Manea|journal= Social Science Research|date= 2020-08|volume= 91}}</ref>。
* Esteve, García-Román and Permanyer (2012) によると、全大陸の様々な発展レベルの51か国で、2000年代初頭までに26か国で女性の下降婚が上昇婚を上回るようになった<ref name="bouchervalat"/>。
* Esteve, García-Román and Permanyer (2012) によると、全大陸の様々な発展レベルの51か国で、2000年代初頭までに26か国で女性の下降婚が上昇婚を上回るようになった<ref name="bouchervalat"/>。
* 欧州社会調査、国際応用システム分析研究およびウィーン人口統計研究所の2012年までのデータでは、1970年代生に優勢であった女性の学歴下降婚は、1950年代生に優勢であった上昇婚を逆転している<ref name="hauw"/>。また、高学歴女性が高学歴男性と交際する確率は大幅に低下し、未婚でいるよりも中程度学歴の男性と交際する確率が増加している<ref name="hauw"/>。
* フランスの労働力調査に基づいた30歳から60歳までの同棲カップル研究において、女性の学歴下降婚の頻度は2000年ごろに上昇婚の頻度と逆転した<ref name="bouchervalat"/>。
* ポルトガルでは、1998年の新婚夫婦のうち女性の学歴上昇婚が14.1%であったのに対し、下降婚は24.3%であった<ref>{{cite journal|title= Higher male educational hypergamy: evidence from Portugal|url= https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12664964/|journal= Journal of Biosocial Science|date= 2003-04|volume= 35|issue= 2|pages= 303-313|publisher= Cambridge University Press|author= Hamilton R Correia}}</ref>。
* Monaghan (2014) によると、1980年から2010年までに調査された先進国26か国中、13か国で若い同棲カップルの女性の相対的下降婚傾向が上昇婚傾向より強くなっている<ref name="bouchervalat"/>。これを補強する各国の研究として、アメリカの Rose (2004)、Schwartz and Mare (2005)、中国の Qian (1998)、rスペインの Esteve and Cortina (2006)、フィンランドの Mäenpää and Jalovaara (2014)、南米の Esteve and McCaa (2007)、López-Ruiz et al. (2009)、Rodríguez (2014) がある<ref name="bouchervalat"/>。
* Monaghan (2014) によると、1980年から2010年までに調査された先進国26か国中、13か国で若い同棲カップルの女性の相対的下降婚傾向が上昇婚傾向より強くなっている<ref name="bouchervalat"/>。これを補強する各国の研究として、アメリカの Rose (2004)、Schwartz and Mare (2005)、中国の Qian (1998)、rスペインの Esteve and Cortina (2006)、フィンランドの Mäenpää and Jalovaara (2014)、南米の Esteve and McCaa (2007)、López-Ruiz et al. (2009)、Rodríguez (2014) がある<ref name="bouchervalat"/>。
* アメリカの国勢調査データでは、共働き世帯のうちで妻の収入が夫の収入を上回る割合は、1981年の15.9%から2021年の30.6%まで増加傾向にある<ref>{{cite web|title= Women Who Earn More Than Their Husbands Share What Their Marriages Are Really Like|url= https://www.buzzfeed.com/venessawong/women-who-earn-more-than-their-husbands-marriages|last= Wong|first= Vanessa|date= 2023-04-17|publisher= Buzzfeed News|accessdate= 2023-05-13}}</ref>(2023年のピュー研究所調べでは、妻が主要ないし唯一の稼ぎ手である世帯は16%<ref name="saraiva">{{cite web|title= US Women Now Make as Much or More Than Men in Half of Marriages|url= https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-04-13/women-earn-the-same-or-more-than-their-husbands-in-nearly-half-of-marriages#xj4y7vzkg|date= 2023-04-14|accessdate= 2023-05-13|author= Saraiva, Augusta; Cachero, Paulina|publisher= Bllomberg}}</ref>)。
* アメリカの国勢調査データでは、共働き世帯のうちで妻の収入が夫の収入を上回る割合は、1981年の15.9%から2021年の30.6%まで増加傾向にある<ref>{{cite web|title= Women Who Earn More Than Their Husbands Share What Their Marriages Are Really Like|url= https://www.buzzfeed.com/venessawong/women-who-earn-more-than-their-husbands-marriages|last= Wong|first= Vanessa|date= 2023-04-17|publisher= Buzzfeed News|accessdate= 2023-05-13}}</ref>(2023年のピュー研究所調べでは、妻が主要ないし唯一の稼ぎ手である世帯は16%<ref name="saraiva">{{cite web|title= US Women Now Make as Much or More Than Men in Half of Marriages|url= https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-04-13/women-earn-the-same-or-more-than-their-husbands-in-nearly-half-of-marriages#xj4y7vzkg|date= 2023-04-14|accessdate= 2023-05-13|author= Saraiva, Augusta; Cachero, Paulina|publisher= Bllomberg}}</ref>)。
* イギリス国家統計局調べでは、妻の収入が夫より多い世帯の割合は、2004年の19.8%から2019年には23.3%まで増加している<ref>{{cite web|title= Rise of the female breadwinner: Woman earns the most in one-in-four households|url= https://www.royallondon.com/about-us/media/media-centre/press-releases/archive/female-breadwinner-rise/|date= 2020-05-27|publisher= Royal London|accessdate= 2023-05-15}}</ref>。
* カナダの国勢調査データでは、妻の収入が夫より多い世帯の割合は、1985年の8%から2016年の17.3%まで増加している<ref>{{cite news|title= Working women bearing more of the breadwinning burden, 2016 census shows
|url= https://www.cbc.ca/news/politics/2016-census-income-couples-1.4287483|author= Cassandra Szklarski|publisher= CBS|date= 2017-09-14|accessdate= 2023-05-15}}</ref>。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2023年5月14日 (日) 21:56時点における版

旧約聖書で記載されているペルシャ王の妃となるエステルが王冠を戴いている様子の木版画(ユリウス・シュノル・フォン・カロルスフェルトが1851- 1860年製作)。

上昇婚(英:hypergamy)は、自分又は自分の両親家柄よりも高い階級社会的地位高学歴、あるいは高収入の異性の者と結婚・結婚希望する行為や傾向を示す言葉である。主に女性多数派に見られるため、基本的に女性が自分の両親よりも高い社会的地位や経済力のある男性と結婚しようとする通婚上の慣行を意味する用語[1][2][3]。「上方婚」・「ハイパーガミー」とも言われ[4][5][1][6]口語で「玉の輿にのる」とも言われる。「ハイパーガミー」という英語は、インド亜大陸サンスクリット語の 「アヌロマ(高位結婚)」 と 「プラティロマ(低位結婚)」 が記述されていた古典的なヒンドゥー教の法律書を19世紀に翻訳した際に造語された[7]

現代では上昇婚は本来の学術的用語としての意味を離れて、自分(や親)の学歴あるいは収入よりも高い異性と結婚するという意味で使われることもある[2]

家族社会学者の山田昌弘によると、自分の父越えの社会的・経済的地位を持つ男性と結婚出来た女性にとっては、ハイパーガミーでの結婚が「生まれ変わり」に相当すると述べている[8]。社会学者の赤川学はハイパーガミー(女性の上昇婚指向)を「結婚相手となるべき女性が、自分よりも経済的・社会的に有利な地位を持つと期待される男性との結婚を求める傾向」と定義している[9]

なお、同じ不等婚であるが、対義語である「下方婚」又は「下降婚」は逆に自分や両親よりも社会的階級や地位が低い人、低学歴、あるいは低収入の異性と結婚することを意味し、ハイポガミー(英hypogamy[10])とも言われる[4][1][11][2]

女性の配偶者選択の傾向・上昇婚姿勢を示す統計や事例

女性の配偶者選択におけるハイパーガミー傾向

赤川の定義のように、女性が自分よりも経済的・社会的に有利な地位を持つと期待される男性との結婚を求める傾向を上昇婚指向とすると、一般に配偶者選択の際に男性よりも選り好みを行う女性の性質[12]が関係していると考えられ、実際に女性が男性よりも選り好みをすることはいくつかの調査から明らかになっている。

  • 世界中の数十カ国で行われた配偶者選択の研究によると、男性は若くて魅力的な女性を好む傾向があり、女性は裕福で、教養があり、野心的で魅力的な男性を好む傾向がある[13]進化心理学者は、これは性選択から生じる固有の性差であり、男性は健康な赤ん坊を産む女性を求め、女性は家族の生存に必要な資源を提供できる男性を求めていると主張する[14]
  • タウンゼント(1989)は医学生を対象に、結婚相手の可能性がどのように変化したかについての認識を調査した。女性では85%が「自分の地位が上がるにつれて、受け入れてくれるパートナーの数が減っていく」と回答したのに対し、男性では90%が「私の地位が上がるにつれて、受け入れてくれるパートナーの数が増えてくる」と回答している [15] :246
  • ギルス・セントポール(2008)は、数学的モデルに基づいて、女性の上昇婚は、女性が一夫一婦制(生殖率が遅く生殖可能な範囲が限られているため)によって配偶機会コストを大きく失っているために起こり、そのため、この結婚コストを補償しなければならないと主張した。結婚は、親からの投資がないにもかかわらず、遺伝的により質の高い男性による受精の可能性を排除することによって、子供の全体的な遺伝的質を低下させる。しかし、この減少は、遺伝的に質の低い夫によるより高いレベルの親からの投資の増加によって相殺されることも考えられる[16]
  • ある実証研究では、性比が非常に偏っている(男性646人、女性1,000人)イスラエルのオンラインデートサービス加入者の配偶者選択に関する調査がある。この偏った性比にも関わらず、「教育と社会経済的地位については、女性は平均してより高い上昇婚的選択性を表している。彼女たちはこれらの特徴において自分より優れている配偶者を好む。一方、男性は身体的な魅力に基づいた上昇婚に似たものを求めている。自分よりも外見的な魅力の尺度で上位にランクされる配偶者を望んでいる」という調査結果が見出された [17] :51
  • アメリカのオンラインデートサービスのOkキューピッドを利用した調査によると、女性に対する男性の評価は対称ベータ分布の曲線からわずか6%しかずれておらず[18]、データ上は男性が女性の外見に対して非現実的な期待をしているわけではなく、女性と比べると異性の外見への評価はかなり寛容である[18]。女性が男性を評価した場合、1-5点の前半4分の1に集中しており、絶対値の「平均点以上」は6人に1人しかいない[18]。このことを著者のクリスチャン・ラダーはわかりやすく表現するために評価の対象をIQに例えて、女性は男性の58%は頭脳に問題あり(男性の58%はIQが85未満)と思っていることになると表現している[19]。この偏りは、Okキューピッドに似たサービスであるTinder、マッチ・ドットコム、デートファックアップでも同じものが確認された[19]
  • 国立社会保障・人口問題研究所が行った第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)における「(3)結婚相手に求める条件 『図表I-3-4 調査別にみた、結婚相手の条件として考慮・重視する割合の推移』」では、学歴、職業、経済力、人柄、容姿、趣味、仕事への理解、家事・育児といった項目に関して、1997年、2002年、2010年、2015年にわたる推移が掲載されているが、結婚相手の条件で重視する点に関して、容姿の項目だけは男性が女性の割合を超えるが、その他のすべての項目では男性よりも女性が重視する割合がいずれも高い[20]
  • ミネソタ大学による37の文化圏の男女を対象に調査したところ、女性は自分よりも優れた条件を持つ男性を選ぼうとする傾向が示された。女性の75%は自国の平均を上回る「社会的・経済的地位を持つ男性」と結婚することを望んだ。更に研究によると、パートナーを選ぶ時に女性の方が男性よりも厳しく慎重なことが判明している[6]
  • 2022年1月29日付けで発表されたスウェーデンのビネット研究では、同国においても、経済的に貧しい男性はあまり魅力的ではないと評価される傾向がある事が報告されている[21]

比較的に男女平等な社会では、若い女性は時に権力のある年配の男性とパートナーを組むことがあるというのが一般的に受け入れられている[22]。一般的な原則では、高齢の男性は若い男性よりも富と地位を獲得する時間が長く、平均して富裕で地位も高いためである。

下降婚忌避と上昇婚指向の事例

経済力や学歴に関して下降婚忌避もしくは上昇婚指向となる事例がいくつか見られる。

  • 一般に高学歴が要求される医師では、日本の男女の未婚率において男性が6.1%なのに対し、女性は28.7%と大きな差がある[23]。また、女医の生涯未婚率は35.9%である[24]
  • 「次世代を担う男女産婦人科医師キャリアサポート委員会」が日産婦学会員に対する調査を行った結果、産婦人科女性医師の未婚率、離婚率は男性より高く、子どもの数は少ないことがわかった[25]。また、女性医師の43.3%が「産婦人科医であることが結婚や婚活の妨げになる」と感じていて、女性医師の配偶者は産婦人科医を含む医師が多く(63.9%、内、産婦人科医14.0%)、男性医師の配偶者は専業主婦が53.7%を占めていた[25]
  • タイの都市部の高学歴の女性は理想の相手を見つけることが出来ないため、結婚を避けるようになってバンコクの合計特殊出生率は0.8になったと言われている[26]
  • 香港の女性の中には、不動産王の末裔と結婚しようとする人はほとんどいないが、多くの女性は月収が8万香港ドル(約111万円)から10万香港ドル(約139万円)の男性との結婚を目指している[27]。なお香港の男性は経済的な関係のため、中国本土の女性と結婚する割合が増加している[28]
  • ノルウェーでは、2008年の調査では10人の女性のうち7人が男性が主たる家計の支持者であることを好む[29]。2023年の調査でもノルウェー女性の上昇婚の姿勢は変化していない[3]
  • アメリカにおいて黒人女性の大学進学率は57%であるものの、黒人男性の大学進学率は48%に過ぎず、さらに黒人男性の収監率は黒人女性や他の人種と比べて高く、黒人女性は黒人男性を選好する(既婚黒人女性の96%は黒人男性の配偶者)ため、1970年には30歳から44歳までの黒人女性の婚姻率は62%であったが、2007年には44%にまで下がった[30]。なお、希少である高学歴の黒人男性の既婚率も低下している[30]。これはカジュアル・デートやセックス市場でも大きな交渉力を持ち、結婚を先送りしてカジュアル・セックスを楽しめるからだと考えられる[30]


同類婚の事例

人間には自分と似た性質をもった人と繋がりやすい傾向であるホモフィリーが存在する[31]。実際に恋人たちは教育水準や政治的意見が近いという調査結果がある[32]。更には、収入、各種身体的魅力(身長、体重、美醜)についてでさえ、当人とよく似た相手と収まっていることを示す論文は多くある[33]

  • 英国では、1950年代以降から上昇婚が大幅に減少している[34]
  • 2012年の国際社会調査プログラム調べでは、夫と対等以上に稼ぐ妻の割合が5割を超えている諸国にはインド (52.9%)、ポルトガル (52.0%)、スイス (51.9%) があり、その他4割を超えている国も9か国、3割を超えている国も22か国存在する[35]
  • 2023年のピュー研究所調査では、アメリカで妻が夫と同等かそれ以上に収入を得ている世帯が異性婚のほぼ半数に達し、50年間で約3倍増している[36]
  • 2012年のOECD生徒の学習到達度調査に表れる両親の学歴では、64の国と地域のうち5か所で8割以上、14か所で7割以上、40か所で6割以上が同類婚を行っている(すべての平均では同類婚が67.64%、上昇婚が15.28%、下降婚が17.09%)[37]
  • 欧州社会調査、国際応用システム分析研究およびウィーン人口統計研究所の2012年までのデータでは、ヨーロッパ地域のカップルの約64%が学歴同類婚を行っている(女性が自分より高学歴あるいは低学歴の男性と交際する割合は約18%ずつと拮抗し、男性が自分より高学歴の女性と交際する割合は約16%、低学歴の女性と交際する割合は約21%であった)[38]
  • スウェーデン、チェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリー、イタリアの6か国では、1990年から2016年前の間に女性の絶対的学歴同類婚が増加した[39]
  • 国立社会保障・人口問題研究所の調査では、1980年から2010年までの間に日本では高卒・大卒女性の下降婚忌避選好は年々弱まり、高卒者および中卒者同士の同類婚選好は強まっている[40]
  • 1964年前後に生まれた東大女子学生126人について2004年に集計されたデータでは、結婚している105人のうち、夫も東大卒という人が70人いた。東大以外の国公立大卒を含めると、94人になる[41]。なお、橘木科学研究費調査に基づく年収1000万以上の東大卒男性19人の妻の学歴と勤務状況に関する調査では、妻の学歴が短大卒4名、大学卒(ハーバード、京大、慶応、上智、お茶の水、津田塾、フェリスなど名門)が13名であり、勤務状況は専業主婦が12名であった[42]
  • 2007年に発表された日経メディカルオンラインの調査では、女性医師(140人)の配偶者の職業は、医師が67.9%、医療従事者が6.4%、その他が25%、無回答が0.7%であった[43]。一方、男性医師(170人)の配偶者の職業は、医師が22.9%、医療従事者が36.5%、その他が38.8%、無回答が1.8%であった[43]
  • 2008年に調査が実施された「法律家の仕事と家庭のバランスに関する調査」によると、日本女性法律家協会会員318人の配偶者の職業は、弁護士が48.11%、裁判官が9.12%、検察官が4.40%、会社員が12.26%、無職が3.14%、その他が21.38%であった[44]。日本弁護士連合会の女性395人の配偶者の職業は、弁護士が42.53%、裁判官が2.78%、検察官が1.77%、会社員が25.82%、無職が2.78%、その他が23.4%であった[44]。一方、日本弁護士連合会の男性631人の配偶者の職業は、無職が63.39%、その他が24.72%、無回答が1.43%、弁護士が6.66%、裁判官が0.32%、検察官が0.16%であった[44]
  • 文部科学省「平成13・14年度科学技術振興調整費科学技術政策提言プログラムによる調査結果」から明らかになった研究者の配偶者について、女性研究者の配偶者の職業は、大学教員・研究者などが51.9%、その他教員(小中高教師など)が1.9%、その他勤め人が33.8%、自営業・自由業が5.3%、派遣・パート・アルバイトが0.6%、学生が0.8%、無職が0.5%、その他が4.4%、無回答が0.9%であった[45]。男性研究者の配偶者の職業は、無職が43.2%、その他勤め人が20.8%、派遣・パート・アルバイトが11.9%、大学教員・研究者などが10.3%、その他教員(小中高教師など)が5.4%、その他が4.7%、自営業・自由業が2.4%、無回答が0.8%、学生が0.7%であった[45]
  • ハリウッド俳優トップ400人を調査した研究では、ハリウッドスターの結婚や恋愛事情は一般の米国平均とそれほど変わらなかった。そして職業の性質上、学歴はそれほど職業で重視されないが、ハリウッドスターは自分と同程度の学歴を持つ配偶者を選んでいた[46]
  • アメリカでは1960年にはどちらも大学卒という組み合わせは全米のカップルのわずか3%であったが、2010年には25%になっていた[47]。また、名門校出身同士の結婚も増加している[48]

学歴や経済力で同類婚が生じると、高収入同士のカップルであるパワーカップルと低収入同士のカップルであるウィークカップルとの間で世帯間格差ができ、社会の格差が広がるという指摘がある[49][50]

下降婚の事例

  • ロデリック・ダンカンの研究によると、1940年にはアメリカの高卒女性の45%は高校終了未満の男性と結婚していて、カレッジ入学以上の男性と結婚した高卒女性は20%程度しかいなかった[51]。1960年には高卒女性のうち高校未終了の男性と結婚した女性は33%で、カレッジ入学以上の男性と結婚した女性は23%であった[51]。1990年になると、カレッジ以上の学歴を持つ男性と結婚する女性の方が多くなった[51]。このような推移をした理由として考えられるのは、昔は高校を卒業していない男性でも高卒の妻以上の収入が得られたものの、ここ30年間で低学歴労働者の賃金が低下し、女性の賃上げがあり男女の賃金格差は縮まり、低学歴女性も自分以上の学歴の男性を求めるようになったというものである[51]
  • 赤川の調査によると、2012年のデータで女性の学歴下降婚が3分の1を上回っている諸国には、ベネズエラ (45.2%)、ポーランド (38.0%)、スウェーデン (37.0%)、クロアチア (35.4%)、フィンランド (34.8%)、リトアニア (33.3%)、インド (33.1%)、フランス (30.6%) がある[52]
  • 日本家族社会学会全国家族調査委員会が2004年に実施した「第2回家族についての全国調査」では、バブル期を除いて女性の学歴下降婚は増加傾向にある[53]
  • オーストリアでは、1990年から2007年までに女性の学歴同類婚は減少し、下降婚が増加している[54]
  • ベルギーでは、1940年代生から1975年生までの女性において学歴上昇婚が減少傾向にあり、1910年生から1975年生までの女性において学歴下降婚は増加傾向にある[55]
  • 中国では、1980年から2015年までに女性の学歴下降婚が増加している[56]
  • 韓国では、1993年から2009年までに大卒女性の下降婚が増加している[57]
  • 第6回『世界価値観調査』(2010~14年)の調査によると、タイでは30~40代の有配偶女性のうち、「主たる家計支持者」の割合において、56.8%の女性が「自分が主たる家計支持者」である[58]
  • 2004-2005年のフランスの「家族と雇用主に関する調査」においては、25歳から30歳の女性の学歴下降婚割合は、40歳から50歳の女性のおよそ2倍である[59]。労働力調査に基づいた30歳から60歳までの同棲カップル研究においても、女性の学歴下降婚の頻度は2000年ごろに上昇婚の頻度と逆転した[59]
  • スウェーデン、チェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリー、イタリアの6か国では、1990年から2016年前の間に女性の絶対的学歴下降婚が増加した[39]
  • Esteve, García-Román and Permanyer (2012) によると、全大陸の様々な発展レベルの51か国で、2000年代初頭までに26か国で女性の下降婚が上昇婚を上回るようになった[59]
  • 欧州社会調査、国際応用システム分析研究およびウィーン人口統計研究所の2012年までのデータでは、1970年代生に優勢であった女性の学歴下降婚は、1950年代生に優勢であった上昇婚を逆転している[38]。また、高学歴女性が高学歴男性と交際する確率は大幅に低下し、未婚でいるよりも中程度学歴の男性と交際する確率が増加している[38]
  • ポルトガルでは、1998年の新婚夫婦のうち女性の学歴上昇婚が14.1%であったのに対し、下降婚は24.3%であった[60]
  • Monaghan (2014) によると、1980年から2010年までに調査された先進国26か国中、13か国で若い同棲カップルの女性の相対的下降婚傾向が上昇婚傾向より強くなっている[59]。これを補強する各国の研究として、アメリカの Rose (2004)、Schwartz and Mare (2005)、中国の Qian (1998)、rスペインの Esteve and Cortina (2006)、フィンランドの Mäenpää and Jalovaara (2014)、南米の Esteve and McCaa (2007)、López-Ruiz et al. (2009)、Rodríguez (2014) がある[59]
  • アメリカの国勢調査データでは、共働き世帯のうちで妻の収入が夫の収入を上回る割合は、1981年の15.9%から2021年の30.6%まで増加傾向にある[61](2023年のピュー研究所調べでは、妻が主要ないし唯一の稼ぎ手である世帯は16%[36])。
  • イギリス国家統計局調べでは、妻の収入が夫より多い世帯の割合は、2004年の19.8%から2019年には23.3%まで増加している[62]
  • カナダの国勢調査データでは、妻の収入が夫より多い世帯の割合は、1985年の8%から2016年の17.3%まで増加している[63]

関連項目

脚注

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  9. ^ 赤川 2017, p. 85.
  10. ^ "hypogamous"という植物学用語と混同しない
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参考文献

外部リンク

  • ウィクショナリーには、上昇婚の項目があります。