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{{Notice|[[安藤健二]]が『'''封印作品'''』として書籍で取り上げているもの以外、作品の記述はおやめください。公開できなくなった表現物は'''非常に'''多岐にわたり、それらのリストを恣意的に列挙することは不可能です。([[WP:IINFO|ウィキペディアは情報を無差別に収集する場ではありません]])|お願い}}
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'''封印作品'''(ふういんさくひん)は、何らかの事情により公開できなくなった作品を指す[[ルポライター]]の[[安藤健二]]によって発せられた[[造語]]である。
'''封印作品'''(ふういんさくひん)は、何らかの事情により公開できなくなった作品を指す[[ルポライター]]の[[安藤健二]]によって広められた[[造語]]である。


== 概要 ==
== 概要 ==
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ルポライターの[[安藤健二]]は、その範疇に含まれるいくつかの作品について「'''封印作品'''('''ふういんさくひん'''。'''[[お蔵入り]]'''とも)」と称して取材を行い、『封印作品の謎』・『封印作品の謎2』として単行本にまとめた。公開できない表現物についての噂話が市井で飛び交うことがあっても、公式に封印作品という単語が出版物で定義されたのはこれが初めてのことであった。
ルポライターの[[安藤健二]]は、その範疇に含まれるいくつかの作品について「'''封印作品'''('''ふういんさくひん'''。'''[[お蔵入り]]'''とも)」と称して取材を行い、『封印作品の謎』・『封印作品の謎2』として単行本にまとめた。公開できない表現物についての噂話が市井で飛び交うことがあっても、公式に封印作品という単語が出版物で定義されたのはこれが初めてのことであった。


この出版以降、トラブルを抱えたがために公開・流通に何らかの影響が出た著作物と関連づけて「封印作品」という語は、頻繁に用いられるようになってきている。
この出版以降、トラブルを抱えたがために公開・流通に何らかの影響が出た著作物と関連づけて「封印作品」という語は、頻繁に用いられるようになってきている。かつては「お蔵入り<ref group="注釈">江口寿史のお蔵出しの初版が1994年である。</ref>」という単語のほうが多く使われていた


== 異論 ==
== 異論 ==
上記のように便宜的に用いられている語であり、何をもって「封印作品」とみなすのか、なぜ「封印作品」「欠番」としたのか、原作者や制作スタッフも公式の場でその理由を語らないため、必ずしも共通の理解がされているわけでは'''全く'''ない。典型例は[[近藤譲]]の未出版作品で、「これは、未出版作品であって撤回作品ではありません<ref group="注釈">2014年7月23日開催:近藤譲×佐々木敦トークショーで質疑応答に答える形で撤回ではないことを発言。</ref><ref>{{Cite web |url = http://espacebiblio.superstudio.co.jp/?p=407|title = 近藤譲×佐々木敦トークショー「いま、「音楽を聴くこと」について」|website = espacebiblio.superstudio.co.jp|publisher = espace biblio|date = |accessdate = 2020-03-08}}</ref>
上記のように便宜的に用いられている語であり、何をもって「封印作品」とみなすのか、なぜ「封印作品」「欠番」としたのか、原作者や制作スタッフも公式の場でその理由を語らないため、必ずしも共通の理解がされているわけでは'''全く'''ない。典型例は[[近藤譲]]の未出版作品で、「これは、未出版作品であって撤回作品ではありません<ref group="注釈">2014年7月23日開催:近藤譲×佐々木敦トークショーで質疑応答に答える形で撤回ではないことを発言。</ref><ref>{{Cite web |url = http://espacebiblio.superstudio.co.jp/?p=407|title = 近藤譲×佐々木敦トークショー「いま、「音楽を聴くこと」について」|website = espacebiblio.superstudio.co.jp|publisher = espace biblio|date = |accessdate = 2020-03-08}}</ref>」と本人から正式に回答があった。この種の受け手の勘違いといった問題は、[[メインカルチャー]]ではないカルチャーでは、[[コミケ]]で自由に出版できる場を持たない当時には頻繁に発生していた。
」と本人から正式に回答があった。この種の受け手の勘違いといった問題は、メインカルチャーではないカルチャーでは、コミケで自由に出版できる場を持たない当時には頻繁に発生していた。


『封印作品の謎2』でとりあげられた『[[キャンディ・キャンディ]]』について、安藤の取材を受けた原作者の水木杏子([[名木田恵子]])は、「『封印』という呼び方は適当ではない」という旨の発言をしている。これは、「封印」という言葉を使うと、誰かが意図的に作品の公開を妨げているとの印象があるが、『キャンディ・キャンディ』に関しては「問題が解決され、再び公開されることを望んでいるから」と述べている。
『封印作品の謎2』でとりあげられた『[[キャンディ・キャンディ]]』について、安藤の取材を受けた原作者の水木杏子([[名木田恵子]])は、「『封印』という呼び方は適当ではない」という旨の発言をしている。封印作品という単語の発案者はもしも別人である可能性があったとしても、安藤による流布が効いていることが深く認識された。これは、「封印」という言葉を使うと、誰かが意図的に作品の公開を妨げているとの印象があるが、『キャンディ・キャンディ』に関しては「問題が解決され、再び公開されることを望んでいるから」と述べている。


原板メディアの不良が発生し再生が困難、または原板自体が紛失した場合については[[1970年代]]後半頃までは記録用のVTRやフィルムの質が低く、また使い回しが多かった為、含めるべきではない。ただし、過去のTV制作者は公的にマスターテープの紛失を理由にしながら、実際には放映時に家庭用のVTRで収録していたケース<ref group="注釈">[[プリンプリン物語]]</ref>があるなど、意図して使いまわしたのか不可抗力で使いまわしたのかは不明なケースが多くある。
原板メディアの不良が発生し再生が困難、または原板自体が紛失した場合については[[1970年代]]後半頃までは記録用のVTRやフィルムの質が低く、また使い回しが多かった為、含めるべきではない。ただし、過去のTV制作者は公的にマスターテープの紛失を理由にしながら、実際には放映時に家庭用のVTRで収録していたケース<ref group="注釈">[[プリンプリン物語]]</ref>があるなど、意図して使いまわしたのか不可抗力で使いまわしたのかは不明なケースが多くある。

2020年3月8日 (日) 10:02時点における版

封印作品(ふういんさくひん)は、何らかの事情により公開できなくなった作品を指すルポライター安藤健二によって広められた造語である。

概要

文学漫画アニメ映画テレビ番組歌謡曲その他の作品の中には、製作あるいは公開された後、市場原理による淘汰を除く、「特別な支障」(後述)が生じたため公開・流通がなされなくなった、あるいは「封印」(欠番)の理由を述べないまま公開をストップすることがままあり、背景には「特別な支障」が存在しているのではないかと噂されている作品が多く存在する。

需要の有無や、作品の人気と無関係に公開・流通が止められるため、かえって読者・視聴者の興味を惹き、かつて正規ルートで出回っていた単行本・映像ソフトが中古市場で高値をつけたり、海賊版ビデオDVDが出回るなどの闇市場が形成されている事例もある。また、YouTube等の動画投稿サイトにて無断配信されている場合もある。

過去にはインターネットオークションでこのような海賊版も大量に出品されていたが、監視と規制が強化されたため、たとえ非公開の作品であれ著作権を有することに変わりはないため見かけることは少なくなった。

ルポライターの安藤健二は、その範疇に含まれるいくつかの作品について「封印作品ふういんさくひんお蔵入りとも)」と称して取材を行い、『封印作品の謎』・『封印作品の謎2』として単行本にまとめた。公開できない表現物についての噂話が市井で飛び交うことがあっても、公式に封印作品という単語が出版物で定義されたのはこれが初めてのことであった。

この出版以降、トラブルを抱えたがために公開・流通に何らかの影響が出た著作物と関連づけて「封印作品」という語は、頻繁に用いられるようになってきている。かつては「お蔵入り[注釈 1]」という単語のほうが多く使われていた。

異論

上記のように便宜的に用いられている語であり、何をもって「封印作品」とみなすのか、なぜ「封印作品」「欠番」としたのか、原作者や制作スタッフも公式の場でその理由を語らないため、必ずしも共通の理解がされているわけでは全くない。典型例は近藤譲の未出版作品で、「これは、未出版作品であって撤回作品ではありません[注釈 2][1]」と本人から正式に回答があった。この種の受け手の勘違いといった問題は、メインカルチャーではないカルチャーでは、コミケで自由に出版できる場を持たない当時には頻繁に発生していた。

『封印作品の謎2』でとりあげられた『キャンディ・キャンディ』について、安藤の取材を受けた原作者の水木杏子(名木田恵子)は、「『封印』という呼び方は適当ではない」という旨の発言をしている。封印作品という単語の発案者はもしも別人である可能性があったとしても、安藤による流布が効いていることが深く認識された。これは、「封印」という言葉を使うと、誰かが意図的に作品の公開を妨げているとの印象があるが、『キャンディ・キャンディ』に関しては「問題が解決され、再び公開されることを望んでいるから」と述べている。

原板メディアの不良が発生し再生が困難、または原板自体が紛失した場合については1970年代後半頃までは記録用のVTRやフィルムの質が低く、また使い回しが多かった為、含めるべきではない。ただし、過去のTV制作者は公的にマスターテープの紛失を理由にしながら、実際には放映時に家庭用のVTRで収録していたケース[注釈 3]があるなど、意図して使いまわしたのか不可抗力で使いまわしたのかは不明なケースが多くある。

封印作品の例

以下の作品は、安藤が「封印作品」として著書で取り上げている作品。「※」がついているのは「封印作品」や「欠番」とされた理由と経緯が公式で説明され、また何らかの措置(作品の打ち切り、絶版、制作スタッフによる謝罪、掲載誌の回収など)が執られた作品を示す。

一部(欠番回が存在する作品、欠番の理由を明言している作品など)のみの例
作品自体の例

参考文献

関連文献

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ 江口寿史のお蔵出しの初版が1994年である。
  2. ^ 2014年7月23日開催:近藤譲×佐々木敦トークショーで質疑応答に答える形で撤回ではないことを発言。
  3. ^ プリンプリン物語

出典

  1. ^ 近藤譲×佐々木敦トークショー「いま、「音楽を聴くこと」について」”. espacebiblio.superstudio.co.jp. espace biblio. 2020年3月8日閲覧。
  2. ^ a b 安藤健二『封印作品の憂鬱』洋泉社、2008年。ISBN 978-486248-3386 
  3. ^ 現在では単行本自体が絶版となっている。
  4. ^ 2010年に原作者・名木田恵子による小説版が加筆修正の上祥伝社より復刊された。