「千鳥屋」の版間の差分

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== 複数の千鳥屋 ==
== 複数の千鳥屋 ==
[[Image:西新店.jpg|thumb|right|200px|千鳥饅頭西新店([[福岡市]][[早良区]]・()千鳥饅頭総本舗が運営)]]
[[Image:西新店.jpg|thumb|right|200px|千鳥饅頭西新店([[福岡市]][[早良区]]・株式会社千鳥饅頭総本舗が運営)]]
現在は、グループ中興の祖・亡き原田つゆの子たちがそれぞれ暖簾分けを行い、全国にて商品展開を行っている。<br />出自をじくする同根の企業ではあるものの、4社<ref>それぞれの子会社などは除く。</ref>々に分かれ、法人として各々独立している。<br />「千鳥饅頭」自体のブランドイメージに関して4社で大きな違いはないが、取り扱っている商品のラインアップについては、各社でそれぞれ違いがみられる。また、商品のパッケージ・商品内容・味・原材料についても、各社によって違いがみられる。<br />
現在は、グループ中興の祖・亡き原田つゆの子どもたちがそれぞれ暖簾分けを受けて、全国商品展開を行っている。いずれも原田家が創業した企業ではある、4社<ref>それぞれの子会社などは除く。</ref>別法人としてそれぞれ独立している。「千鳥饅頭」のブランドイメージに関して4社で大きな違いはないが、取り扱っている商品のラインアップについては、各社でそれぞれ違いがみられる。また、商品のパッケージ・商品内容・味・原材料についても、違いがみられる。なお、4社のうち千鳥屋総本家は[[神戸市]]に本社を置くジーライオングループ傘下となり、原田家は経営権を失っている。
なお、原田一族は、千鳥饅頭総本舗、千鳥屋本家、千鳥屋宗家の3社で社長を務め、千鳥屋総本家は原田一族が経営から退き、[[神戸市]]に本社を置くジーライオングループ傘下となっている。


=== 株式会社[[千鳥饅頭総本舗]] ===
=== 株式会社[[千鳥饅頭総本舗]] ===
原田つゆの次男が創業した会社で、[[福岡県]][[福岡市]][[博多区]]に本社を置き、[[糟屋郡]][[新宮町]]に工場兼旗艦店の「セントラル店」を置く<ref name="the3rd"/>。店舗展開は福岡市周辺、[[久留米市]]、[[春日市]]、[[大牟田市]]、[[八女市]]、[[佐賀県]][[唐津市]]などを中心に行われている<ref>千鳥饅頭総本舗の商品そのものは、千鳥饅頭総本舗の店舗が存在しない地域である[[北九州市]]のJR[[小倉駅 (福岡県)|小倉駅]](例:新幹線コンコース内の売店、「小倉エキナカひまわりプラザ」内「小倉おみやげ市場(お土産店)」)などの一部の店舗でも販売されており、入手が可能。</ref><ref>1968年(昭和43年)にチロル高原にて撮影された「チロリアン」CM等は、同社の公式サイトにて視聴できる。</ref>。
原田つゆの次男が創業した会社で、[[福岡県]][[福岡市]][[博多区]]に本社を置き、[[糟屋郡]][[新宮町]]に工場兼旗艦店の「セントラル店」を置く<ref name="the3rd"/>。店舗展開は福岡市周辺、[[久留米市]]、[[春日市]]、[[大牟田市]]、[[八女市]]、[[佐賀県]][[唐津市]]などを中心に行われている<ref>千鳥饅頭総本舗の商品そのものは、千鳥饅頭総本舗の店舗が存在しない地域である[[北九州市]]のJR[[小倉駅 (福岡県)|小倉駅]](例:新幹線コンコース内の売店、「小倉エキナカひまわりプラザ」内「小倉おみやげ市場(お土産店)」)などの一部の店舗でも販売されており、入手が可能。</ref><ref>1968年(昭和43年)にチロル高原にて撮影された「チロリアン」CM等は、同社の公式サイトにて視聴できる。</ref>。


=== 株式会社千鳥屋本家 ===
=== 株式会社[[千鳥屋本家]] ===
原田つゆの四男が創業した会社で、福岡県[[飯塚市]]に本社を置き、福岡市[[中央区 (福岡市)|中央区]]天神2丁目に「新天町福岡本店」を置く<ref name="the3rd"/>。店舗展開は福岡市周辺、[[北九州市]]周辺、[[飯塚市]]、[[久留米市]]、[[福津市]]、[[山口県]][[下関市]]などを中心に行われている<ref>特に福岡市内・久留米市内・大牟田市内等においては、前述の千鳥饅頭総本舗の店舗と混在して存在するため、両者の混同に注意が必要である。</ref>。
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=== 株式会社千鳥屋宗家 ===
=== 株式会社[[千鳥屋宗家]] ===
原田つゆの三男が創業した会社で、[[兵庫県]][[西宮市]]に本社を、[[大阪市]][[中央区 (大阪市)|中央区]]に本店を置く<ref name="the3rd"/>。「みたらし小餅」など、他の3社にはない独自の大阪に根付いた商品を展開している。尚、4社中、唯一「千鳥饅頭」を「本千鳥」という商品名で販売しており、また、唯一「チロリアン」の製造・販売をしていない<ref>現在[[ABCテレビ|朝日放送]]の[[ABCニュース]]枠(9時前・水曜)にて各社扱い(30秒CM付き)で提供している。</ref>。
原田つゆの三男が創業した会社で、[[兵庫県]][[西宮市]]に本社を、[[大阪市]][[中央区 (大阪市)|中央区]]に本店を置く<ref name="the3rd"/>。「みたらし小餅」など、他の3社にはない独自の大阪に根付いた商品を展開している。尚、4社中、唯一「千鳥饅頭」を「本千鳥」という商品名で販売しており、また、唯一「チロリアン」の製造・販売をしていない<ref>現在[[ABCテレビ|朝日放送]]の[[ABCニュース]]枠(9時前・水曜)にて各社扱い(30秒CM付き)で提供している。</ref>。


=== 千鳥屋総本家株式会社 ===
=== [[千鳥屋総本家]]株式会社 ===
[[東京都]][[豊島区]]に本社を置く、1964年に原田つゆの長男が暖簾分けして設立された会社。主に関東地区を中心に展開しているが、[[北海道]]・[[沖縄県]]にも店舗が存在する。[[東京ディズニーランド]]の人気商品のお土産用チョコレートも製造している。また、4社の中で、唯一黄味あん入りの「千鳥饅頭」も製造・販売している<ref name="the3rd">『あの会社はこうして潰れた』日本経済新聞出版社、2017年4月10日初版、50-53頁、 ISBN 9784532263379。</ref>。
[[東京都]][[豊島区]]に本社を置く、1964年に原田つゆの長男が暖簾分けして設立された会社。主に関東地区を中心に展開しているが、[[北海道]]・[[沖縄県]]にも店舗が存在する。[[東京ディズニーランド]]の人気商品のお土産用チョコレートも製造している。また、4社の中で、唯一黄味あん入りの「千鳥饅頭」も製造・販売している<ref name="the3rd">『あの会社はこうして潰れた』日本経済新聞出版社、2017年4月10日初版、50-53頁、 ISBN 9784532263379。</ref>。



2019年3月31日 (日) 12:10時点における版

千鳥屋(ちどりや)は1630年寛永7年)、佐賀県で創業し、昭和以降福岡県などで発展した製菓業者グループである。

「千鳥屋」の生い立ちと概要

1630年(寛永7年)、現在の佐賀市久保田町で創業。創業当時の屋号は「松月堂」であり、長崎に渡来していた南蛮菓子の製法をいち早く学び、丸ボーロカステラを専門に作っていた。昭和になり、当時の店主であった原田政雄は、当時の筑豊炭田で賑わっていた福岡県の飯塚の地に着目、松月堂の支店として「千鳥屋」を開いた。1939年(昭和14年)には、佐賀の松月堂を閉じ、飯塚の千鳥屋を千鳥屋の本店とした。

福岡進出の際に考案された「千鳥饅頭」は、丸ボーロに白餡を入れた菓子で、現在まで千鳥屋の中心商品となっており、饅頭の表面に押してある特徴的な千鳥の焼印が特徴である。

1949年(昭和24年)には福岡市に進出。その後は関東・関西などに相次いで進出し、現在では全国区の土産菓子として定着している。

また、千鳥屋の代表的な菓子としては、「チロリアン」も有名である。戦後復興の中で、飯塚に次いで福岡に会社を設立していた千鳥屋による第1次洋菓子ブームを起こした。「チロリアン」はオーストリアチロル州に古くから伝わっていたロールクッキーをアレンジして作った洋菓子である[1]

複数の千鳥屋

ファイル:西新店.jpg
千鳥饅頭西新店(福岡市早良区・株式会社千鳥饅頭総本舗が運営)

現在は、グループ中興の祖・亡き原田つゆの子どもたちがそれぞれ暖簾分けを受けて、全国で商品展開を行っている。いずれも原田家が創業した同族企業ではあるが、4社[2]は別法人としてそれぞれ独立している。「千鳥饅頭」のブランドイメージに関して4社で大きな違いはないが、取り扱っている商品のラインアップについては、各社でそれぞれ違いがみられる。また、商品のパッケージ・商品内容・味・原材料についても、違いがみられる。なお、4社のうち千鳥屋総本家は神戸市に本社を置くジーライオングループ傘下となり、原田家は経営権を失っている。

株式会社千鳥饅頭総本舗

原田つゆの次男が創業した会社で、福岡県福岡市博多区に本社を置き、糟屋郡新宮町に工場兼旗艦店の「セントラル店」を置く[1]。店舗展開は福岡市周辺、久留米市春日市大牟田市八女市佐賀県唐津市などを中心に行われている[3][4]

株式会社千鳥屋本家

原田つゆの四男が創業した会社で、福岡県飯塚市に本社を置き、福岡市中央区天神2丁目に「新天町福岡本店」を置く[1]。店舗展開は福岡市周辺、北九州市周辺、飯塚市久留米市福津市山口県下関市などを中心に行われている[5]

株式会社千鳥屋宗家

原田つゆの三男が創業した会社で、兵庫県西宮市に本社を、大阪市中央区に本店を置く[1]。「みたらし小餅」など、他の3社にはない独自の大阪に根付いた商品を展開している。尚、4社中、唯一「千鳥饅頭」を「本千鳥」という商品名で販売しており、また、唯一「チロリアン」の製造・販売をしていない[6]

千鳥屋総本家株式会社

東京都豊島区に本社を置く、1964年に原田つゆの長男が暖簾分けして設立された会社。主に関東地区を中心に展開しているが、北海道沖縄県にも店舗が存在する。東京ディズニーランドの人気商品のお土産用チョコレートも製造している。また、4社の中で、唯一黄味あん入りの「千鳥饅頭」も製造・販売している[1]

ピークの2008年12月期には年商約39億円を計上し、品質の良さにも定評があったが、早期から大口取引先であったオリエンタルランドへの1社依存が進んでおり、オリエンタルランドへの他社の参入が進むにつれてコスト競争によって、シェア、採算ともに苦戦を強いられるようになった。さらに東日本大震災によって東京ディズニーランドも浦安市の震災復興まで一時休業や営業時間の短縮を余儀なくされ、総本家の売上は一時、全盛期の4分の1に激減。その結果、無理な設備投資、低い収益性、販売先の集中といった経営リスクが露呈。2012年頃からは支払いの遅れが業界で囁かれるようになり、2013年には貸金業からの資金調達も始めた。チョコレートクランチの原料供給先である大手メーカーが取引を次第に縮小、不動産の売却などを進めて乗り切ろうとしたが、最終的に自力再建を断念した[1]

2016年5月16日東京地裁民事再生法の適用を申請。負債総額は債権者約180名に対して約23億円[7]。事業は2016年6月に民事再生スポンサーとなった、兵庫県の自動車メガディーラー「ジーライオングループ」が設立した(新)千鳥屋総本家株式会社へ譲渡され[8]、同時に原田一族は経営から離れた。(旧)千鳥屋総本家株式会社はTB管理株式会社へ商号変更[9]

脚注

  1. ^ a b c d e f 『あの会社はこうして潰れた』日本経済新聞出版社、2017年4月10日初版、50-53頁、 ISBN 9784532263379
  2. ^ それぞれの子会社などは除く。
  3. ^ 千鳥饅頭総本舗の商品そのものは、千鳥饅頭総本舗の店舗が存在しない地域である北九州市のJR小倉駅(例:新幹線コンコース内の売店、「小倉エキナカひまわりプラザ」内「小倉おみやげ市場(お土産店)」)などの一部の店舗でも販売されており、入手が可能。
  4. ^ 1968年(昭和43年)にチロル高原にて撮影された「チロリアン」CM等は、同社の公式サイトにて視聴できる。
  5. ^ 特に福岡市内・久留米市内・大牟田市内等においては、前述の千鳥饅頭総本舗の店舗と混在して存在するため、両者の混同に注意が必要である。
  6. ^ 現在朝日放送ABCニュース枠(9時前・水曜)にて各社扱い(30秒CM付き)で提供している。
  7. ^ 千鳥屋総本家(株) - 株式会社東京商工リサーチ[TSR] 2016年5月16日
  8. ^ 千鳥屋総本家株式会社国税庁法人番号公表サイト
  9. ^ TB管理株式会社国税庁法人番号公表サイト

外部リンク