「科学衛星」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
1行目: 1行目:
'''科学衛星'''(かがくえいせい)とは、日本の宇宙科学・宇宙工学・宇宙開発の「お家事情」のせいによる[[宇宙機]]の分類のひとつであり、例えば'''科学的には'''「衛星」ではない宇宙機、すなわちその軌道から[[人工惑星]]に'''科学的には分類される'''ような惑星[[探査機]]なども、この記事の記事名における「科学衛星」には含まれる。おおむね、対象に接近する観測(探査)を行う[[探査機]]か、そうではない[[宇宙望遠鏡]]に大別できる。
'''科学衛星'''(かがくえいせい)とは、[[宇宙空間]]を観測するために打ち上げられた[[人工衛星]]。主に[[宇宙望遠鏡]]と[[惑星探査機]]に大別される。


== 概要 ==
== 概要 ==
科学衛星には、上層大気の密度、温度、イオン化を測定する装置や、[[宇宙線]]、微小[[隕石]]の数・大きさ・[[地磁気]]の強さと方向などを測定する装置が搭載されている。また、衛星に搭載された[[天文学]]装置は、大気によって放射が吸収されてしまうため地上では不可能な観測をするのにつかわれている。1960年代末から70年代にかけて、多くの[[X線]]源が衛星搭載のX線検出器と[[望遠鏡]]によって発見された([[X線天文学]])。天体が放出する[[紫外線]]の観測と、[[ガンマ線]]の検出も可能になった。[[1983年]]にアメリカがうちあげた赤外線天文観測衛星[[IRAS]]によって、[[銀河]]の中心部がはじめてくわしく観測された([[赤外線天文学]])。現在では、[[チャンドラ (人工衛星)|チャンドラ]]や[[ハッブル宇宙望遠鏡]]などが大きな成果をあげている。
たとえば、上層大気の密度、温度、イオン化を測定する装置や、[[宇宙線]]、微小[[隕石]]の数・大きさ・[[地磁気]]の強さと方向などを測定する装置が搭載されている。また、衛星に搭載された[[天文学]]装置は、大気によって放射が吸収されてしまうため地上では不可能な観測をするのにつかわれている。1960年代末から70年代にかけて、多くの[[X線]]源が衛星搭載のX線検出器と[[望遠鏡]]によって発見された([[X線天文学]])。天体が放出する[[紫外線]]の観測と、[[ガンマ線]]の検出も可能になった。[[1983年]]にアメリカがうちあげた赤外線天文観測衛星[[IRAS]]によって、[[銀河]]の中心部がはじめてくわしく観測された([[赤外線天文学]])。現在では、[[チャンドラ (人工衛星)|チャンドラ]]や[[ハッブル宇宙望遠鏡]]などが大きな成果をあげている。


== 科学衛星の分類 ==
== 科学衛星の分類 ==
いくつかの例を挙げる。
科学衛星は目的により以下のような分類がされる。


=== 宇宙望遠鏡 ===
=== 宇宙望遠鏡 ===
24行目: 24行目:


== 科学衛星一覧 ==
== 科学衛星一覧 ==
日本の「お家事情」とは、一言でまとめると、[[宇宙航空研究開発機構]](JAXA)への「三組織統合」以前の、[[宇宙科学研究所]]の宇宙機のうち、専ら工学的な技術確立などを目的としたものなど(例えば初の人工衛星「[[おおすみ]]」など)ではなく、専ら宇宙科学における成果を期待し目的としているものを「科学目的である」として、「科学衛星」という分類とした、ということである。
=== 日本 ===
日本においては[[宇宙科学研究所]](現[[宇宙航空研究開発機構]]宇宙科学研究本部)が科学衛星の開発を行っている。


{|class="wikitable"
{|class="wikitable"
181行目: 180行目:
* 木星探査機 [[JUICE (探査機)|JUICE]] - ESA
* 木星探査機 [[JUICE (探査機)|JUICE]] - ESA


==海外の科学衛星一覧==
(参考。冒頭で述べているように、本質的にこの分類は日本の国内的な事情による分類でしかない)
=== アメリカの科学衛星一覧 ===
=== アメリカの科学衛星一覧 ===
==== 宇宙望遠鏡 ====
==== 宇宙望遠鏡 ====
235行目: 236行目:


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[宇宙科学]]
* [[宇宙科学研究所]]
* [[宇宙科学研究所]]
* [[宇宙航空研究開発機構]]
* [[アメリカ航空宇宙局]]
* [[ジェット推進研究所]]
* [[欧州宇宙機関]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==

2018年2月8日 (木) 12:38時点における版

科学衛星(かがくえいせい)とは、日本の宇宙科学・宇宙工学・宇宙開発の「お家事情」のせいによる宇宙機の分類のひとつであり、例えば科学的には「衛星」ではない宇宙機、すなわちその軌道から人工惑星科学的には分類されるような惑星探査機なども、この記事の記事名における「科学衛星」には含まれる。おおむね、対象に接近する観測(探査)を行う探査機か、そうではない宇宙望遠鏡に大別できる。

概要

たとえば、上層大気の密度、温度、イオン化を測定する装置や、宇宙線、微小隕石の数・大きさ・地磁気の強さと方向などを測定する装置が搭載されている。また、衛星に搭載された天文学装置は、大気によって放射が吸収されてしまうため地上では不可能な観測をするのにつかわれている。1960年代末から70年代にかけて、多くのX線源が衛星搭載のX線検出器と望遠鏡によって発見された(X線天文学)。天体が放出する紫外線の観測と、ガンマ線の検出も可能になった。1983年にアメリカがうちあげた赤外線天文観測衛星IRASによって、銀河の中心部がはじめてくわしく観測された(赤外線天文学)。現在では、チャンドラハッブル宇宙望遠鏡などが大きな成果をあげている。

科学衛星の分類

いくつかの例を挙げる。

宇宙望遠鏡

惑星探査機

科学衛星一覧

日本の「お家事情」とは、一言でまとめると、宇宙航空研究開発機構(JAXA)への「三組織統合」以前の、宇宙科学研究所の宇宙機のうち、専ら工学的な技術確立などを目的としたものなど(例えば初の人工衛星「おおすみ」など)ではなく、専ら宇宙科学における成果を期待し目的としているものを「科学目的である」として、「科学衛星」という分類とした、ということである。

通番 愛称 開発名 用途
第1号科学衛星 しんせい MS-F2 電離層観測
第2号科学衛星 でんぱ REXS プラズマ観測
第3号科学衛星 たいよう SRATS 熱圏観測
第4号科学衛星 はくちょう CORSA-b X線天文衛星
第5号科学衛星 きょっこう EXOS-A 磁気圏観測衛星
第6号科学衛星 じきけん EXOS-B 磁気圏観測衛星
第7号科学衛星 ひのとり ASTRO-A 太陽観測衛星
第8号科学衛星 てんま ASTRO-B X線天文衛星
第9号科学衛星 おおぞら EXOS-C 磁気圏観測衛星
第10号科学衛星 すいせい PLANET-A ハレー彗星探査機
第11号科学衛星 あけぼの EXOS-D 磁気圏観測衛星
第12号科学衛星 ぎんが ASTRO-C X線天文衛星
第13号科学衛星 ひてん MUSES-A 工学実験衛星
第14号科学衛星 ようこう SOLAR-A 太陽観測衛星
第15号科学衛星 あすか ASTRO-D X線観測衛星
第16号科学衛星 はるか MUSES-B 電波天文衛星
第17号科学衛星 LUNAR-A 月探査機
第18号科学衛星 のぞみ PLANET-B 火星探査機
第19号科学衛星 ASTRO-E X線天文衛星
第20号科学衛星 はやぶさ MUSES-C 工学実験衛星
第21号科学衛星 あかり ASTRO-F 赤外線天文衛星
第22号科学衛星 ひので SOLAR-B 太陽観測衛星
第23号科学衛星 すざく ASTRO-EII X線天文衛星
第24号科学衛星 あかつき PLANET-C 金星探査機
第25号科学衛星 ASTRO-G 電波天文衛星
第26号科学衛星 ひとみ ASTRO-H X線天文衛星
戦略的中型計画
  • MMX - 火星衛星サンプルリターン
公募型小型計画(旧小型科学衛星)
  • れいめい(INDEX) - 新規工学技術実証・オーロラ観測
  • ひさき(SPRINT-A) - 惑星宇宙望遠鏡
  • あらせ(ERG、旧SPRINT-B) - ジオスペース探査衛星
  • SLIM - 月着陸実証機
他の機関との共同開発を行った科学衛星

海外の科学衛星一覧

(参考。冒頭で述べているように、本質的にこの分類は日本の国内的な事情による分類でしかない)

アメリカの科学衛星一覧

宇宙望遠鏡

惑星探査機(JPL)

ヨーロッパの科学衛星一覧

宇宙望遠鏡

惑星探査機

ソビエト連邦(現ロシア)の科学衛星一覧

関連項目

外部リンク