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年間スケジュールにおいて[[オーストラリアグランプリ|オーストラリアGP]]が開幕戦に移動したため、日本GPは[[1977年日本グランプリ (4輪)|1977年]]以来となるシーズン最終戦として開催された。
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[[ウィリアムズF1|ウィリアムズ]]に所属する[[デイモン・ヒル]]、[[ジャック・ヴィルヌーヴ]]両名によるドライバーズチャンピオン争いは、ヒルが9ポイントリードして最終戦を迎えた。ヴィルヌーヴが逆転ためには優勝(10ポイント)が最低条件となる。ヴィルヌーヴが優勝しヒルが6位(1ポイント)に終わると、合計88ポイントで並ぶが、優勝回数の差(ヒル7勝、ヴィルヌーヴ5勝)でヒルがチャンピオンとなる。ヒルはすでにウィリアムズ離脱が決定しており、悲願のタイトルまであと1ポイントという状況で日本GPを迎えた。
[[ウィリアムズF1|ウィリアムズ]]に所属する[[デイモン・ヒル]]、[[ジャック・ヴィルヌーヴ]]両名によるドライバーズチャンピオン争いは、ヒルが9ポイントリードして最終戦を迎えた。ヴィルヌーヴが逆転チャンピオンとなるには優勝(10ポイント)かつヒル無得点以外に無かった。ヴィルヌーヴが優勝しヒルが6位(1ポイント)の場合、合計88ポイントで並ぶが、優勝回数の差(ヒル7勝、ヴィルヌーヴ5勝)でヒルがチャンピオンとなる。ヒルはすでにウィリアムズ離脱が決定しており、悲願のタイトルまであと1ポイントという状況で日本GPを迎えた。


== 予選 ==
== 予選 ==
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グリッド上でスタートを待つ間に予選8位の[[デビッド・クルサード]]([[マクラーレン]])がエンジンストールし、[[フォーメーションラップ]]がやり直しとなった。クルサードは最後尾にまわり、決勝は1周減算して52周で行われる。
グリッド上でスタートを待つ間に予選8位の[[デビッド・クルサード]]([[マクラーレン]])がエンジンストールし、[[フォーメーションラップ]]がやり直しとなった。クルサードは最後尾にまわり、決勝は1周減算して52周で行われる。


仕切り直しのスタートでは、ポールシッターのヴィルヌーヴの加速が鈍く、ヒル、[[ゲルハルト・ベルガー]]([[ベネトン・フォーミュラ|ベネトン]])、[[ミカ・ハッキネン]](マクラーレン)、[[ミハエル・シューマッハ]]([[スクーデリア・フェラーリ|フェラーリ]])、[[エディ・アーバイン]](フェラーリ)に抜かれて6番手にまで後退た。S字コーナー手前で[[ジャン・アレジ]](ベネトン)がスピンし、バリアに激突して早々とリタイアした。
仕切り直しのスタートでは、ポールシッターのヴィルヌーヴの加速が鈍く、ヒル、[[ゲルハルト・ベルガー]]([[ベネトン・フォーミュラ|ベネトン]])、[[ミカ・ハッキネン]](マクラーレン)、[[ミハエル・シューマッハ]]([[スクーデリア・フェラーリ|フェラーリ]])、[[エディ・アーバイン]](フェラーリ)に抜かれて6番手にまで後退、ヴィルヌーヴにとっては痛恨の、ヒルにとっては圧倒的有利な情勢となった。S字コーナー手前で[[ジャン・アレジ]](ベネトン)がスピンし、バリアに激突して早々とリタイアした。


3周目、2位のベルガーがシケインでヒルのインを狙うが、追突してフロントウィングを損傷した。ヒルのマシンへの影響が懸念されたが、ダメージもなく走行を続けた。
3周目、2位のベルガーがシケインでヒルのインを狙うが、追突してフロントウィングを損傷した。ヒルのマシンへの影響が懸念されたが、ダメージもなく走行を続けた。
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31周目、シューマッハ、ハッキネン、ヴィルヌーヴの3者が同時にピットインし、2回目のタイヤ交換を行った。ヴィルヌーヴはフロントウィングを調節したため若干タイムロスし、ポジションは変わらず。ヒルは34周目に無難にタイヤ交換を済ませ、トップを堅持した。
31周目、シューマッハ、ハッキネン、ヴィルヌーヴの3者が同時にピットインし、2回目のタイヤ交換を行った。ヴィルヌーヴはフロントウィングを調節したため若干タイムロスし、ポジションは変わらず。ヒルは34周目に無難にタイヤ交換を済ませ、トップを堅持した。


ヴィルヌーヴは33周目にこのレースの[[ファステストラップ]]を記録し、チャンピオンを諦めない姿勢をみせた。しかし、37周目の1コーナーを通過したところで突然右リアタイヤが外れ、2コーナーのサンドラップに突っ込んだ。タイヤは勢いよくフェンスを飛び越えたが、幸運にも観客席への被害は免れた。ヴィルヌーヴはマシンを降り、この瞬間ヒルのワールドチャンピオンが決定した。ルーキーチャンピオンの期待は潰えたが、ヴィルヌーヴはすっきりした表情で観客の拍手に応えた。
ヴィルヌーヴは33周目にこのレースの[[ファステストラップ]]を記録し、チャンピオンを諦めない姿勢をみせた。しかし、37周目の1コーナーを通過したところで突然右リアタイヤが外れ、2コーナーのサンドラップに突っ込んだ。タイヤは勢いよくフェンスを飛び越えたが、幸運にも観客席への被害は免れた。ヴィルヌーヴはマシンを降り、この瞬間ヒルのワールドチャンピオンが決定した。ルーキーチャンピオンの可能性は潰えたが、ヴィルヌーヴはすっきりした表情で観客の拍手に応えた。


ヒルはシューマッハの追撃をかわして残り周回を走り切り、今季8勝目のチェッカーフラッグを受けた。亡き父[[グラハム・ヒル]]に続く、親子2代でのチャンピオン獲得はF1史上初となる。ウィニングランを終えてピットでマシンを降りると、苦楽を共にしてきたジョージー夫人と熱い抱擁を交わした。
ヒルはシューマッハの追撃をかわして残り周回を走り切り、今季8勝目のチェッカーフラッグを受けた。亡き父[[グラハム・ヒル]]に続く、親子2代でのチャンピオン獲得はF1史上初となる。ウィニングランを終えてピットでマシンを降りると、苦楽を共にしてきたジョージー夫人と熱い抱擁を交わした。

2017年5月27日 (土) 11:50時点における版

日本の旗 1996年日本グランプリ
レース詳細
日程 1996年シーズン第16戦
決勝開催日 10月13日
開催地 鈴鹿サーキット
日本 三重県 鈴鹿市
コース長 5.86403km
レース距離 52周(304.92956km)
決勝日天候 晴れ(ドライ)
ポールポジション
ドライバー
タイム 1'38.909
ファステストラップ
ドライバー カナダの旗 ジャック・ヴィルヌーヴ
タイム 1'44.043(Lap 34) 
決勝順位
優勝
2位
3位

1996年日本グランプリ (1996 Japanese Grand Prix) は1996年のF1世界選手権第16戦として10月13日に鈴鹿サーキットで決勝レースが開催された。

概要

年間スケジュールにおいてオーストラリアGPが開幕戦に移動したため、日本GPは1977年以来となるシーズン最終戦として開催された。

ウィリアムズに所属するデイモン・ヒルジャック・ヴィルヌーヴ両名によるドライバーズチャンピオン争いは、ヒルが9ポイントリードして最終戦を迎えた。ヴィルヌーヴが逆転チャンピオンとなるには優勝(10ポイント)かつヒルが無得点以外に無かった。ヴィルヌーヴが優勝しヒルが6位(1ポイント)の場合、合計88ポイントで並ぶが、優勝回数の差(ヒル7勝、ヴィルヌーヴ5勝)でヒルがチャンピオンとなる。ヒルはすでにウィリアムズ離脱が決定しており、悲願のタイトルまであと1ポイントという状況で日本GPを迎えた。

予選

順位 No ドライバー コンストラクター タイム
1 6 カナダの旗 ジャック・ヴィルヌーヴ ウィリアムズルノー 1:38.909
2 5 イギリスの旗 デイモン・ヒル ウィリアムズルノー 1:39.370 +0.461
3 1 ドイツの旗 ミハエル・シューマッハ フェラーリ 1:40.071 +1.162
4 4 オーストリアの旗 ゲルハルト・ベルガー ベネトンルノー 1:40.364 +1.455
5 7 フィンランドの旗 ミカ・ハッキネン マクラーレンメルセデス 1:40.458 +1.549
6 2 イギリスの旗 エディ・アーバイン フェラーリ 1:41.005 +2.096
7 15 ドイツの旗 ハインツ=ハラルド・フレンツェン ザウバーフォード 1:41.277 +2.368
8 8 イギリスの旗 デビッド・クルサード マクラーレンメルセデス 1:41.384 +2.475
9 3 フランスの旗 ジャン・アレジ ベネトンルノー 1:41.562 +2.653
10 12 イギリスの旗 マーティン・ブランドル ジョーダンプジョー 1:41.600 +2.691
11 11 ブラジルの旗 ルーベンス・バリチェロ ジョーダンプジョー 1:41.919 +3.010
12 9 フランスの旗 オリビエ・パニス リジェ無限ホンダ 1:42.206 +3.297
13 14 イギリスの旗 ジョニー・ハーバート ザウバーフォード 1:42.658 +3.749
14 18 日本の旗 片山右京 ティレルヤマハ 1:42.711 +3.802
15 19 フィンランドの旗 ミカ・サロ ティレルヤマハ 1:42.840 +3.931
16 10 ブラジルの旗 ペドロ・ディニス リジェ無限ホンダ 1:43.196 +4.287
17 17 オランダの旗 ヨス・フェルスタッペン フットワークハート 1:43.383 +4.474
18 20 ポルトガルの旗 ペドロ・ラミー ミナルディフォード 1:44.874 +5.965
19 16 ブラジルの旗 リカルド・ロセット フットワークハート 1:45.412 +6.503
DNQ 21 イタリアの旗 ジョバンニ・ラバッジ ミナルディフォード 1:46.795 +7.886

[1][2]

決勝

展開

グリッド上でスタートを待つ間に予選8位のデビッド・クルサードマクラーレン)がエンジンストールし、フォーメーションラップがやり直しとなった。クルサードは最後尾にまわり、決勝は1周減算して52周で行われる。

仕切り直しのスタートでは、ポールシッターのヴィルヌーヴの加速が鈍く、ヒル、ゲルハルト・ベルガーベネトン)、ミカ・ハッキネン(マクラーレン)、ミハエル・シューマッハフェラーリ)、エディ・アーバイン(フェラーリ)に抜かれて6番手にまで後退、ヴィルヌーヴにとっては痛恨の、ヒルにとっては圧倒的有利な情勢となった。S字コーナー手前でジャン・アレジ(ベネトン)がスピンし、バリアに激突して早々とリタイアした。

3周目、2位のベルガーがシケインでヒルのインを狙うが、追突してフロントウィングを損傷した。ヒルのマシンへの影響が懸念されたが、ダメージもなく走行を続けた。

ヴィルヌーヴはアーバインの後方に詰まっていたが、12周目のシケインでオーバーテイクに成功し4位に浮上した。続けて3位のシューマッハに迫り、14周目にピットインしてポジションアップを狙ったが、シューマッハも翌周ピットインしてヴィルヌーヴの前に戻った。

19周目、1・2位のヒル、ハッキネンが同時にピットイン。ヒルは首位を守ってコースに復帰するが、ハッキネンはシューマッハにかわされ、3位に後退した。ヒルと4位ヴィルヌーヴの間にはホームストレート1本分ほどのギャップがある。

31周目、シューマッハ、ハッキネン、ヴィルヌーヴの3者が同時にピットインし、2回目のタイヤ交換を行った。ヴィルヌーヴはフロントウィングを調節したため若干タイムロスし、ポジションは変わらず。ヒルは34周目に無難にタイヤ交換を済ませ、トップを堅持した。

ヴィルヌーヴは33周目にこのレースのファステストラップを記録し、チャンピオンを諦めない姿勢をみせた。しかし、37周目の1コーナーを通過したところで突然右リアタイヤが外れ、2コーナーのサンドラップに突っ込んだ。タイヤは勢いよくフェンスを飛び越えたが、幸運にも観客席への被害は免れた。ヴィルヌーヴはマシンを降り、この瞬間ヒルのワールドチャンピオンが決定した。ルーキーチャンピオンの可能性は潰えたが、ヴィルヌーヴはすっきりした表情で観客の拍手に応えた。

ヒルはシューマッハの追撃をかわして残り周回を走り切り、今季8勝目のチェッカーフラッグを受けた。亡き父グラハム・ヒルに続く、親子2代でのチャンピオン獲得はF1史上初となる。ウィニングランを終えてピットでマシンを降りると、苦楽を共にしてきたジョージー夫人と熱い抱擁を交わした。

結果

順位 No ドライバー コンストラクター 周回 タイム/リタイア グリッド ポイント
1 5 イギリスの旗 デイモン・ヒル ウィリアムズルノー 52 1:32:33.791 2 10
2 1 ドイツの旗 ミハエル・シューマッハ フェラーリ 52 + 1.883 3 6
3 7 フィンランドの旗 ミカ・ハッキネン マクラーレンメルセデス 52 + 3.212 5 4
4 4 オーストリアの旗 ゲルハルト・ベルガー ベネトンルノー 52 + 26.526 4 3
5 12 イギリスの旗 マーティン・ブランドル ジョーダンプジョー 52 + 67.120 10 2
6 15 ドイツの旗 ハインツ=ハラルド・フレンツェン ザウバーフォード 52 + 81.186 7 1
7 9 フランスの旗 オリビエ・パニス リジェ無限ホンダ 52 + 84.510 12  
8 8 イギリスの旗 デビッド・クルサード マクラーレンメルセデス 52 + 85.233 8  
9 11 ブラジルの旗 ルーベンス・バリチェロ ジョーダンプジョー 52 + 101.065 11  
10 14 イギリスの旗 ジョニー・ハーバート ザウバーフォード 52 + 101.799 13  
11 17 オランダの旗 ヨス・フェルスタッペン フットワークハート 51 + 1 Lap 17  
12 20 ポルトガルの旗 ペドロ・ラミー ミナルディフォード 50 + 2 Laps 18  
13 16 ブラジルの旗 リカルド・ロセット フットワークハート 50 + 2 Laps 19  
Ret 2 イギリスの旗 エディ・アーバイン フェラーリ 39 接触 6  
Ret 18 日本の旗 片山右京 ティレルヤマハ 37 エンジン 14  
Ret 6 カナダの旗 ジャック・ヴィルヌーヴ ウィリアムズルノー 36 ホイール 1  
Ret 19 フィンランドの旗 ミカ・サロ ティレルヤマハ 20 エンジン 15  
Ret 10 ブラジルの旗 ペドロ・ディニス リジェ無限ホンダ 13 スピン 16  
Ret 3 フランスの旗 ジャン・アレジ ベネトンルノー 0 スピン 9  
DNQ 21 イタリアの旗 ジョバンニ・ラバッジ ミナルディフォード   DNQ 20  

[1][2]

エピソード

脚注

  1. ^ a b 1996 Japanese Grand Prix” (英語). Formula1.com. 2012年2月15日閲覧。
  2. ^ a b 日本GP 1996”. ESPN F1. 2012年2月15日閲覧。
前戦
{{{前戦のグランプリ名}}}
FIA F1世界選手権
1996年シーズン
次戦
{{{次戦のグランプリ名}}}
前回開催
{{{前回のグランプリ名}}}
{{{開催グランプリ名}}} 次回開催
{{{次回のグランプリ名}}}