「暗峠」の版間の差分

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[[ファイル:Kuragari.jpg|300px|暗峠の石畳。奥(東側)のガードレールがある道路は[[信貴生駒スカイライン]]。]]
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|画像キャプション = 暗峠の石畳。奥(東側)のガードレールがある道路は[[信貴生駒スカイライン]]。<br/>県境標識の上にある標識は直後にある旧道の幅員制限の標識(現在は撤去)
|標高 = 455
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|緯度度 = 34|緯度分 = 39|緯度秒 = 57
|緯度度 = 34|緯度分 = 39|緯度秒 = 57

2016年9月12日 (月) 15:48時点における版

暗峠
国道308号標識
大阪府道702号標識
奈良県道702号標識
暗峠の石畳。奥(東側)のガードレールがある道路は信貴生駒スカイライン。
暗峠の石畳。奥(東側)のガードレールがある道路は信貴生駒スカイライン
県境標識の上にある標識は直後にある旧道の幅員制限の標識(現在は撤去)
所在地 奈良県生駒市大阪府東大阪市
座標
暗峠の位置(日本内)
暗峠
北緯34度39分57秒 東経135度40分17秒 / 北緯34.66583度 東経135.67139度 / 34.66583; 135.67139座標: 北緯34度39分57秒 東経135度40分17秒 / 北緯34.66583度 東経135.67139度 / 34.66583; 135.67139
標高 455 m
山系 生駒山地
通過路 国道308号標識国道308号
大阪府道・奈良県道702号大阪枚岡奈良線
プロジェクト 地形
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峠に続く国道308号線大阪側の最急勾配31%の場所。

暗峠(くらがりとうげ)は、奈良県生駒市西畑町と大阪府東大阪市東豊浦町との境にある。古くは闇峠とも書かれた。現在は国道308号及び大阪府道・奈良県道702号大阪枚岡奈良線(重複)が通る。 標高は455m。

概要

暗越奈良街道生駒山地における難所で、つづら折りの少ない直線的な急勾配が続く。特に大阪府側は、麓から峠まで約2.5kmにわたる勾配である。峠道の沿道や道端に、古寺や地蔵、石仏も多くあり、ハイキングコースとしても有名である[1]

峠の頂上には小さな集落があり、茶店もあり、この付近の路面は江戸時代に郡山藩により敷設された石畳となっている。この50mほどあるコンクリート舗装の石畳は、暗峠が急坂であることから、参勤交代で殿様が乗った籠が滑らないようにするために敷かれたものである[1]

「暗がり」の名称の起源は、樹木が鬱蒼と覆い繁り、昼間も暗い山越えの道であったことに由来している。 また、「鞍借り」、「鞍換へ」あるいは「椋ケ嶺峠」といったものが訛って「暗がり」となったとする異説もある。上方落語の枕では、「あまりに険しいので馬の鞍がひっくり返ることから、鞍返り峠と言われるようになった」と語られている。

暗峠を通る暗越奈良街道は「日本の道100選」に選定されており、峠頂部の石畳の道端には、日本の道100選の顕彰碑が置かれている[1]今西祐行作の絵本『とうげのおおかみ』の舞台。

歴史

江戸時代に暗峠の村に大和郡山藩の本陣が置かれ、参勤交代路になっていた[1]。同時代に刊行された『河内名所図会』には、「世に暗峠という者非ならん……(中略)……生駒の山脈続て小椋山という。故尓椋ケ根の名あり、一説尓は此山乃松杉大ひ尓繁茂し、暗かりぬればかく名付くともいう。」と記されている。また、「大阪より大和及び伊勢参宮道となり、峠村には茶屋旅舎多し」とも記されており、江戸時代後期は庶民の伊勢参宮道となり、旅籠や茶屋が立ち並び賑わっていた[1]

井原西鶴の『世間胸算用』にはこの峠の近くで追い剥ぎが出たという記述がある。

1694年10月27日元禄7年9月9日)、松尾芭蕉が奈良から大坂へ向かう途中この峠を通った。このときに「菊の香に くらがり越ゆる 節句かな」という重陽の節句にちなんだ句が詠まれたといわれる[1]

1970年昭和45年)、暗峠を通る暗越奈良街道国道308号に指定された。

峠周辺の道路状況

暗峠越えの峠道は国道(国道308号)に指定されているとはいえ、自動車で通行するのは困難なほど道幅は狭く、頂上付近では民家の軒先をかすめながら通行する箇所も存在する。大阪側ではきつい所で最大傾斜勾配31%[2]の急勾配がS字カーブになっており、慣れない者が走行すると登りきることができず立ち往生するほどともいわれる[3]。ヤマハ電動アシスト自転車PAS激坂チャレンジNo.1のイントロ[どれ?]でのきつい所の傾斜計での簡易測定では、傾斜角度26度 (勾配48.7%) であった。

冒頭の写真のとおり峠のすぐ東側を信貴生駒スカイラインが通っているが、付近に出入口が無いため直接暗峠にアクセスすることはできない。 このため、大阪側からアクセスする際は車で国道308号を利用するか、枚岡駅から歩いて登るしかないが、生駒側からは平日のみ生駒市コミュニティバス「たけまる号」の西畑線が南生駒駅から終点の「暗峠」停留所まで運行[4]しており、それを使うと歩いて登ることなく生駒側の峠直前まで容易にアクセスできる。

脚注

  1. ^ a b c d e f 「日本の道100選」研究会 2002, pp. 144–145.
  2. ^ ベタ踏み坂より急 酷道308号、東大阪・暗峠をゆく”. 日本経済新聞 電子版 (2014年2月15日). 2015年7月17日閲覧。
  3. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 150、「最も急な坂」より。
  4. ^ 生駒コミュニティバス路線図【西畑線・有里線】 (PDF)生駒市、2016年4月9日閲覧。

参考文献

  • 佐藤健太郎『ふしぎな国道』講談社〈講談社現代新書〉、2014年10月20日、150頁。ISBN 978-4-06-288282-8 
  • 「日本の道100選」研究会 著、国土交通省道路局(監修) 編『日本の道100選〈新版〉』ぎょうせい、2002年6月20日。ISBN 4-324-06810-0 

関連項目