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2006年4月3日 (月) 13:35時点における版

スライス後、皿に盛り付けられたフォアグラ。中央にある肌色をした円盤状の食品。

フォワ・グラ Foie gras は強制肥育によって脂肪肝を発症するほどに肥大させた鵞鳥または肝臓世界三大珍味の1つに数えられる食品である。

古代ローマ人が、干し無花果をガチョウに与えて飼育し、その肝臓を食べたのが始まりと言われる。大プリニウスの『博物誌』によると、古代ローマではガリアからもたらされたガチョウに強制肥育を施して食材としていたことが記録されている。これにある美食家がさらに工夫を加えて、無花果で肥育させた上に、肥大した肝臓を蜂蜜入りの牛乳に浸して調理する技法を発案したと伝えられている。

ローマ帝国崩壊後にこれらの技法はいったん衰退したが、徐々に復活し、ルネッサンス期にはフォアグラ生産業が定着して食材として認知されるようになった。フランス革命前まではフォアグラの製造にはガチョウだけではなくニワトリなども用いられたが、19世紀になるとガチョウがフォアグラの素材の定番として定着した。ガチョウは牧草などの粗食で大きく育つため、あまり地味の豊かでない土地で多く飼育され、またそうした地方には17世紀に新大陸からトウモロコシが導入されて農業生産がようやく向上した。後述のような今日のフランスの主要フォアグラ産地は、このような地理的、歴史的条件を背景とし、ガチョウ飼育農業とトウモロコシの出会いの上に成立したのである。今日ではガチョウ以外に鴨のフォアグラも作られており、野生的な味がガチョウのものと異なるものとして評価されているが、火を通したときに溶けやすいこともあって、料理法の許容範囲はガチョウのものほど広くはない。

今日では、ガヴァージュ gavage と呼ばれる飼育法により、トウモロコシなどの飼料を大量に無理矢理食べさせて脂肪肝を発症するまで肥大させることで製造する。そのため、一部の動物愛護団体は動物虐待であるとして反発している。

今日フランスでフォアグラ用に供されるガチョウは Oie de Toulouse(トゥールーズのガチョウの意)などの大型品種で、初夏に生まれた雛を野外の囲い地で牧草を餌に十分運動させて育て、基礎体力をつけさせる。夏を越して秋になると狭い場所に閉じ込めて運動できないようにし、消化がよいようにやわらかくなるまで蒸したトウモロコシを、じょうごで強制的に胃に詰め込む強制給餌を1日に3回繰り返す。これを1ヶ月続けると、脂肪肝になった肝臓は2kgに達するほどに肥大し、頭部と胴体を水平にする姿勢しかとれなくなるに至る。フォアグラはこの段階のガチョウをしめて取り出し、余分な脂肪、血管、神経などを丁寧に除いてから冷水に浸して身を締める。

2004年9月29日、カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガー2012年までにカリフォルニア州内で鳥に強制的に食事を与えて作られたフォアグラの生産と販売を禁止する法律を施行した。同法では、動物虐待ではない方法で生産されたフォアグラの販売は認められる。

2005年10月、フランス国民議会が農業政策に関する包括法の一部としてフォアグラは仏文化の遺産であるとした法案を全会一致で可決し、フランスが世界でフォアグラの80%以上を生産していることを指摘し、保護すべき仏文化、料理の貴重な遺産であると宣言。カモやガチョウの強制肥育についても、他に方法はなく止むを得ないとして擁護する姿勢を鮮明にした。

フランス国内では、南西部のペリゴール地方とランド地方が主産地で、ガチョウと鴨の両方のフォアグラが生産されている。またアルザス地方のストラスブールやラングドック地方のトゥールーズも産地としてよく知られている。不足分はオーストリアなどからの輸入品でまかなわれている。

ソテーして食べるのが一般的だが、トリュフ入りのパイ包み焼きのような、パイ料理の素材としてもよく使われる。フォアグラを乗せて焼いたステーキは、ロッシーニ風トゥルヌドステーキと呼ばれる。

関連項目