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無党派層が候補者の所属団体のみにこだわり、政策を考慮しない姿勢を逆手に取り、団体に所属しないことのみを強調し、政策を全く語らない候補者も出てくる。これらの候補者を'''無党派候補'''と称する。
無党派層が候補者の所属団体のみにこだわり、政策を考慮しない姿勢を逆手に取り、団体に所属しないことのみを強調し、政策を全く語らない候補者も出てくる。これらの候補者を'''無党派候補'''と称する。


古くは「[[良識の府]]」として党派に所属すべきで無いという意識が[[参議院議員]]の間に広まった。これは旧[[貴族院]]の影響を受けており、「無党派」とはやや異なるが、[[緑風会]]が非政党の会派として初期には大きな影響力を持った。
古くから[[国会議員#参議院議員|参議院議員]]の間で「[[良識の府]]」として党派に所属すべきで無いという意識が広まっていた。これは旧[[貴族院_(日本)|貴族院]]の影響を受けており、「無党派」とはやや異なるが、[[緑風会]]が非政党の会派として初期には大きな影響力を持った。


それに続くのが、[[青島幸男]]や[[横山ノック]]などであった。この2人は後に東京都・大阪府両知事選で当選し、「'''無党派知事'''」と持てはやされた。なお、無党派知事の先駆けとして、保守分裂で自民党系ながらも本部の推薦を受けられなかった[[鈴木俊一 (東京都知事)|鈴木俊一]]([[東京都]])や[[天野建]]([[山梨県]])を挙げる説もある。
それに続くのが、[[青島幸男]]や[[横山ノック]]などであった。この2人は後に東京都・大阪府両知事選で当選し、「'''無党派知事'''」と持てはやされた。なお、無党派知事の先駆けとして、保守分裂で自民党系ながらも本部の推薦を受けられなかった[[鈴木俊一 (東京都知事)|鈴木俊一]]([[東京都]])や[[天野建]]([[山梨県]])を挙げる説もある。

2009年8月4日 (火) 04:21時点における版

無党派(むとうは)とは特定の政党の思想に属していないこと。公職議員首長が党派に即していない場合は主に無所属といい、一般的に無党派は公職選挙における有権者をさすことが多い。この場合無党派層NHKでは支持なし層)ともいう。

概説

日本では特定の政党に帰属せず、支持政党をはっきり決めていない有権者が多い。そして、選挙の度に公職選挙の候補を変えることもある。そのため、公職選挙において当選するには、無党派の支持を拡大することが重要といわれている。

1995年東京都知事選挙と大阪府知事選挙で無所属の青島幸男横山ノック両候補が当選し、既成政党の候補が敗れた時、無党派が注目されるようになった。同年、「無党派」は新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれた。

無党派拡大の背景

無党派層が拡大した背景として、ひとつには従来の政党にとって重要な「票田」となっていた諸団体に帰属する有権者が減少していることが挙げられる。例えば、業種・職種・職能ごとの団体・組合は多くの場合それぞれにいずれかの政党と関係が深い場合が多い。しかしこれらの団体は、特にバブル経済崩壊前後よりその構成員を減らしている場合が多い。例えば農業協同組合労働組合はそれぞれ自由民主党日本社会党の有力支持母体であったが、前者は農業従事者の高齢化などで、後者は組合結成率の低下や非正規雇用の増加によって、いずれも構成員が減少傾向にある。

それ以外にも度重なる政治家の汚職や政治不信などが有権者の政治に対する無関心を増大させつつあり、低投票率の場合、近年は組織票で勝る政党が勝利するケースが多いため選挙に行く事自体が無意味と考える人々が多く、そのため更に投票率が下がるという悪循環に陥ってしまう。

個々人の価値観が極度に多様化していることも、特定の政党を支持しづらいことに繋がっている。

無党派の分類

無党派は大きく、積極的無党派と消極的無党派とに分かれる。積極的無党派は、政治自体に対する関心はあるが、その考え方に一致する政党が無いなどの理由で支持する政党が無いものである。ただし考え方が一致していなくても「次善の策」としてある政党に票を投じたり、あるいはある政党の政策に強く反対するために対抗する政党に票を投じたりする可能性がある。また、無政府主義的に棄権や白票投票を積極的に行ない抗議の意志を表す可能性もある。消極的無党派は、政治に対する関心自体を喪失しているものを指し、「政治的無関心層」(ノンポリとも称される。

積極的無党派の中には、政党・団体への加入そのものを否定し、いかなる団体へも加入していない候補者以外支持しなかったり、候補者が政党・団体の推薦・支持を受けることを否定する急進的な考えの持ち主もいる。しかし彼らが問題にするのは候補者が団体との何らかのつながりがあるかどうかであり、政策についてはあまりこだわらない。故に無党派の推す候補者の傾向に一貫性が見られないこともある。

急進的な無党派主義がエスカレートすると、候補者や議員に対してあらゆる団体からの脱退を求めたりする。さらに、政党関係者が無党派候補への支持を表明することに嫌悪感を示し、無党派候補支持者に特定政党関係者・支持者がいる場合は排除する。こうなると無党派も一種の党派性を帯びてくる。

無党派候補

無党派層が候補者の所属団体のみにこだわり、政策を考慮しない姿勢を逆手に取り、団体に所属しないことのみを強調し、政策を全く語らない候補者も出てくる。これらの候補者を無党派候補と称する。

古くから参議院議員の間では、「良識の府」として党派に所属すべきで無いという意識が広まっていた。これは旧貴族院の影響を受けており、「無党派」とはやや異なるが、緑風会が非政党の会派として初期には大きな影響力を持った。

それに続くのが、青島幸男横山ノックなどであった。この2人は後に東京都・大阪府両知事選で当選し、「無党派知事」と持てはやされた。なお、無党派知事の先駆けとして、保守分裂で自民党系ながらも本部の推薦を受けられなかった鈴木俊一東京都)や天野建山梨県)を挙げる説もある。

政策を全く異にする候補者がひと括りにされることも多い(例えば川田悦子江田憲司橋本大二郎田中康夫東国原英夫石原慎太郎中田宏など)。

無党派と称される、もしくは自称する候補者が必ずしも政党・団体に全く所属していないとは限らない。石原慎太郎などは自民党所属であるし、田中康夫は任期途中で新党日本代表に就任した。また、「政治団体無党派」(辻山清)「無党派市民連合」(中山千夏矢崎泰久永六輔ら)など、無党派を冠する団体もある。

なお、泡沫候補は無所属が多く、組織のバックアップのない純粋な無党派候補も多い。

無党派への選挙活動

特に2003年以降、各政党は国政選挙にこぞってマニフェストと称する政治公約を公開している。これは積極的無党派へのアピールとして有効であると考えられている。

また消極的無党派を取り込むための策として、タレント候補を立てることがある。多くは比例代表制非拘束名簿式の候補者名簿に置かれ、そのファンなどの票に期待するものである。

関連項目