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2007年5月2日 (水) 11:16時点における版

防犯ブザー(ぼうはんブザー)とは、何らかの危険を察知した時に大音量を鳴らす事によって、周囲の人へ注意を促す防犯用品である。

携帯型防犯ブザー

主に子供や女性が外出時に携帯し、何らかの危険な状況に巻き込まれそうになった場合、ブザーを鳴らして周囲に危険を知らせる。周囲の注意を喚起し助けを求めることができると共に、犯罪心理学の観点からは犯罪者は周囲に犯罪行為が露見することを非常に警戒している・むしろ恐怖心すら抱いているとされ、周囲に犯罪行為の発生を知らしめることで実質的な被害を防止できるものと考えられている。古くは呼子笛ホイッスル)も同様の理由で用いられた。

こういった製品は1970年代には既に女性向けの痴漢強盗避けに家電メーカー(松下電工など)より販売されていたが、1990年代にはストーカーの問題もあって、また2000年代に入ってマスメディアで大きく取り上げられるようになった児童誘拐強制猥褻変質者による付きまといといった事件にも絡み、保護者や教育委員会・自治体などが児童に持たせるケースも増加している(後述)。

形状としては、直径3センチ程度の楕円形の円盤状ないし扁平な形状のものが多い。ひも状のスイッチを引っ張る事によって大音量が鳴り響くタイプが主流である。またテスト用に押しボタンを備えるものや懐中電灯の機能を備える多機能化製品などもあり、他方では携帯電話でも児童に持たせるのに特化した「キッズケータイ(SA800i)」のように、他の機器組み込みといった製品も見られる。同様の組み込みは、一部のランドセルauの「ジュニアケータイ」などが挙げられる。いずれにしても携帯の便が良いように、小型軽量な機器である。

一見すると防犯ブザーに見えないマスコット・キャラクターの形をしたものもある。こちらはマスコットのストラップを引き抜くと大音量を発する。

なお女性向のものは携帯電話が普及して何処でも通報できるようにもなっていることにも絡むのか、2000年代の製品では児童向けの製品が主流であるが、引ったくり(窃盗ないし強盗)などの被害では荷物に入れたブザーの紐を服のベルトに取り付けておくなどして、奪われた際に鳴るようにするといった自衛策を取る高齢者もみられ、また海外旅行などでも邪魔にならないこの小型機器を荷物に入れて同様に日本国外での引ったくり被害に備える人もいる。

現時点では、大音響で相手を怯ませる為の物か、はたまた警報で周囲の注意を惹く為の物か、曖昧な製品もある(ピンを抜くと「コラ!なにすんねん!」と喚く“清原ブザー”などのような、防犯用なのかジョークグッズなのか区別の付き難い製品も)。製品によっては長い紐を備え、ホテルのドアノブに仕掛けて一種のトラップ的に利用することも可能な製品も見られないことではない。またドアノブ用に、振動検知機能を備える防犯ブザーも見られる。

具体的取り組み

以前から一部の親が事件に巻き込まれることを危惧してパターナリズムの延長もあり児童等に携帯型防犯ブザーを本人の意思無しで持ち歩かせるケースは珍しくないが、防犯対策に積極的な自治体では、防犯対策の一環として児童に携帯型防犯ブザーを無料配布している。

東京都品川区では区内小学校の全児童に対して、防犯ブザーに替わるものとして小型通信機の「まもるっち」というものを配布している。

ただこういった活動は各々の連携が十分でないこともあり、大阪府の教育委員会が2006年に府内の新一年生に同機器の配布を計画していたところ、府内の市町村など各自治体でも同種機器の配付を計画していたなどとしてバッティング、「一人最大で4個」などというケースが2006年2月6日に報じられている。

購入や注意点など

家電量販店ホームセンターなどで入手可能。価格は1000円前後。自治体による児童への配布需要の増加で品質が安定しない傾向にあり、音量が小さすぎて役に立たないものもあるので、購入前に店内で鳴らしてみて音量を確認した方が良い。同様に、内蔵電池の消耗にも注意し、外出前に動作テストを行うことが勧められる。

また製品によっては端子部分の鍍金がされておらず、放置するとスイッチ部分の接触不良を起こす可能性もあるため、定期的なチェックも進められる。特に電池は自然放電の形で消耗するため、定期的な動作チェックと電池交換も勧められよう。

問題点

子供が携帯する場合、防犯ブザーをおもちゃのように鳴らして回るというケースがある。これが横行すると鳴っている状態が普通になってしまい、本当に子供の身体生命が危険に晒されているときと遊びのときの区別がつかなくなり、意味を為さなくなってしまう(狼少年)。もちろん近所迷惑でもあるので、防犯ブザーで遊ばないように注意しておく必要がある。

またこういった機器を所持していても、周囲が無関心である場合なども致命的である。近年ではコンビニエンスストアの中には、不審者から逃げるための「SS活動」とも呼ばれる避難場所としての機能を提供するサービスを展開している所も見られ、この他にも地域自治体などが駈け込み用のシェルターとして民家や商店に協力を呼びかける運動も見られる。不審者に付きまとわれたりして身の危険を感じるなどの緊急時には、そういった逃げ込める場所を提供する地域活動の存在を確認、同機器携帯者にも徹底させておく必要も指摘できる(→コンビニエンスストア#営業時間)。

関連項目

外部リンク