フェンダー・デュオソニック

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フェンダー・デュオソニック
Fender Duo-Sonic
メーカー/ブランド フェンダー
製造時期 1956年 - 1969年、1994年 - 1997年、2008年 -、2016年 -
構造
ボディタイプ ソリッド
スケール長 22.5インチ / 24インチ
フレット 20 / 21 / 22
ネックジョイント ボルト・オン
材質
ボディ アルダー / バスウッド / ポプラ
ネック メイプル
フィンガーボード ローズウッド / メイプル
ハードウェア
ブリッジ 固定
電気系統
ピックアップ ヴィンテージ・スタイル・シングルコイルx2
コントロール 3ウェイ・トグルスイッチ、ボリューム、トーン
カラーバリエーション
デザート・サンド、ソニック・ブルー、ダコタ・レッド
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フェンダー・デュオソニック (FENDER DUO-SONIC) は1956年に発売開始されたフェンダー社エレクトリックギター。現在新品で入手できるのはフェンダーメキシコ製(オフセット・シリーズ)とスクワイア製(クラシックヴァイブ・シリーズ)の2つがある。


デュオソニック[編集]

最初のデュオソニックは1956年に学生でも買える値段のスチューデントモデルとして発表された。2ヶ月早く発表されたミュージックマスターと同様に22.5インチのショートスケール(標準的なフェンダーのギターは25.5インチスケール)とスリムなボディ、そしてミックスポジションでハムバッカーの効果が得られる2基のピックアップが特徴である。デュオソニックの発売はレスポールがハムバッカーを搭載する以前の事で、いかにフェンダーが革新的であったかがうかがえる。

デュオソニックII[編集]

1964年、両モデルは新たにスチューデントシリーズに追加されたムスタングをベースにして再設計された。これら3つのギターは若干のオフセットボディと、ラージヘッドのネック、ローズウッド指板とプラスティック・ピックガード、ボリュームとトーンノブをマウントする独立した金属プレートを特徴とする。デュオソニックとムスタングではピックアップ・セレクタはピックアップ上部に移され、2つの3ポジションスイッチでフェイズ効果の選択ができた。それぞれのピックアップはコイル/磁石が逆巻/逆磁極で、合わせて使用した時にはハムバッカーの機能も得られた。この時に22.5インチスケールに加え24インチスケールのネックも用意された。このモデルは「デュオソニックII」と改名されたが、ヘッドのデカールには「II」が付いたり付かなかったりしている。1969年にデュオソニックIIは製造終了となった。おそらくトレモロ付きのムスタングばかり人気が出たことが原因。

メキシコ製デュオソニック[編集]

1990年にはメキシコ製のリイシュー・デュオソニックが生産開始された。ボディ材は軽量なポプラ、ネックは22.5インチスケールのメイプルウッド、フレット数は少なめの20、メイプル張り指板、シャーラータイプのペグ、そしてデュオソニックIIの様に並行で斜めに並べられた2つのピックアップはミックスポジションにするとハムバッカーの効果が出るようになっていた。見た目やスイッチ等のコントロール系統は初期のデュオソニックに近いが、ブリッジはデュオソニックIIのものに近い。色はブラック、レッド、ホワイトの3種類。1997年にこのメキシコ製デュオソニックは製造終了となった。

スクワイア・デュオソニック[編集]

2007年にフェンダー傘下のスクワイアからクラシックヴァイブ(Classic Vibe)シリーズの一つとして50年代のデュオソニックを模した'50sデュオソニックが発表された。クラシックヴァイブシリーズは中国製の安価なギターながら、厳しい検品によるクオリティーの高さで人気を博す。ボディ材はバスウッド、ネックは24インチスケールのメイプルウッド、21フレット、チューニングペグは白いプラスチックノブのクルーソンタイプ、そしてピックアップはデュオソニックカスタムアルニコVを2基搭載。ボディはデザートサンドの1色のみで、金色のアノダイズド・アルミニウム・ピックガードが取り付けられている。しかし、ピックアップを直列に繋げてハムバッカーの音をだすというデュオソニックならではの伝統芸は、ピックアップを交換しない限りできない。しかしデュオソニックでは珍しくストラトキャスターのようなハーフトーンを出せるので、一長一短といったところである。

オフセット・シリーズ:メキシコ製デュオソニック[編集]

2016年のSUMMER NAMMで販売が発表されたシリーズで、メキシコ製である。シングルコイルを2基搭載した「Duo-Sonic」と、フロントにシングルコイル・リアにハムバッカーを搭載した「Duo-Sonic HS」の2機種がある。ピックアップは並列配線になっている。

デュオソニック使用ミュージシャン[編集]

デュオソニックとの関係が強いミュージシャンはリズ・フェアだが、トーキング・ヘッズデヴィッド・バーンも使用しており、ジミ・ヘンドリックスアイズレー・ブラザーズにジミー・ジェームズ名義で参加していた時に使用している。ジョニー・ウィンターも1960年代から1970年代にかけて、特に初期の数枚のアルバムでデュオソニックを使用している。パティ・スミスはデュオソニックを使うだけでなく、歌詞にも登場させている。

その他[編集]

デュオソニックI、II共にコレクションとしての価値は高い。特にデュオソニックIIはトレモロユニットのないムスタングとしての需要がある。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

Fender's 3/4 Scale Guitars, a two-part article by Tim Pershing in 20th Century Guitar Magazine, December 1996 and January 1997.

外部リンク[編集]