オガラバナ

オガラバナ
	オガラバナ（北海道斜里岳・2007年7月）
分類
学名
	Acer ukurunduense Trautv. et C.A.Mey. (1856)
シノニム
	Acer caudatum Wall. subsp. ukurunduense (Trautv. et C.A.Mey.) Edwards (1966);
和名
	オガラバナ（麻幹花）

オガラバナ（麻幹花^[4]、学名: Acer ukurunduense）はムクロジ科カエデ属^{[注 1]}の落葉小高木。高山に見られるカエデの一種で、同じ株に両性花と雄花が出る雄性同株^[5]。別名、ホザキカエデ^[5]^[6]。和名の由来は、樹木が麻幹（おがら：皮をはいだ麻の茎のこと）のように柔らかいことからオガラバナ、花穂が直立することからホザキカエデとも呼ばれる^[5]。中国名は、花楷槭^[1]。

分布と生育環境[編集]

日本では北海道、本州の中部地方以北と四国に分布し^[5]、山地または亜高山帯の林縁に生育する^[6]。アジアでは、東シベリア、樺太、南千島、中国東北部、朝鮮に分布する。一般に、ミネカエデと共に、一般に亜高山帯の森林限界付近で見られる^[4]。北海道では標高200 - 300メートル (m) の樹林でも見られる^[4]。

特徴[編集]

落葉広葉樹の小高木^[4]。樹高は3メートル (m) から10 mに達する^[4]。冬芽の鱗片は2-3対ある。今年枝には黄褐色の短毛が密生する。

葉は長さ4 - 8センチメートル (cm) の葉柄をもって対生する。葉身は長さ、幅ともに6 - 13 cm、掌状に5 - 7浅裂・中裂し、裂片の先端は鋭くとがり、基部は浅心形から切形になり、縁には欠刻状の鋸歯がある^[6]。葉の表面は全体に短毛が散生し、裏面の脈上に淡褐色の短軟毛が生え、裏面全体に灰白色の軟毛が密生する^[4]。秋には紅葉し、ややくすんだ橙色から赤色に紅葉する^[4]。一般に森林限界付近で見られる紅葉したカエデで、葉の表面にシワがあり赤色系であれば本種、葉の表面がすべすべして黄色系であればミネカエデである^[4]。

花期は初夏（6 - 8月）。花序は穂状で目立ち^[4]、長さ10 - 20 cmの円柱形の複総状花序を有花枝の先端に直立させる。花は花序に100 - 200個つき、黄緑色になる。花弁、萼片は5個、雄蕊は8個ある。子房には細軟毛があり、2分する花柱は外曲する。果期は9 - 10月。果実は翼果で2個の分果からなり、分果の長さは1.5 - 2 cmになる。

ギャラリー[編集]

葉の裂片の先端は鋭くとがる。

下位分類[編集]

ウスゲオガラバナ Acer ukurunduense Trautv. et C.A.Mey. f. pilosum (Nakai) Nakai ex H.Hara -葉裏の毛が少なく、葉脈のみに短毛があるもの。

脚注[編集]

注釈[編集]

^ 最新の植物分類体系であるAPG体系ではムクロジ科に分類されるが、古い新エングラー体系、クロンキスト体系ではカエデ科に分類されている^[1]。

出典[編集]

^ ^a ^b ^c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Acer ukurunduense Trautv. et C.A.Mey.　オガラバナ（標準）”. BG Plants 和名−学名インデックス（YList）. 2023年12月28日閲覧。
^ William Henry Edwards or シデナム・エドワーズ
^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Acer caudatum Wall. subsp. ukurunduense (Trautv. et C.A.Mey.) E.Murray　オガラバナ（シノニム）”. BG Plants 和名−学名インデックス（YList）. 2023年12月28日閲覧。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ 林将之 2008, p. 49.
^ ^a ^b ^c ^d “オガラバナ”. www.rinya.maff.go.jp. 東北森林管理局. 2022年3月18日閲覧。
^ ^a ^b ^c “オガラバナ（ホザキカエデ）”. www.rinya.maff.go.jp. 北海道森林管理局. 2022年3月18日閲覧。

参考文献[編集]

林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日。ISBN 978-4-8299-0187-8。

佐竹義輔ほか編『日本の野生植物木本Ⅱ』平凡社、1989年。
茂木透、石井英美ほか『樹に咲く花（離弁花2）山渓ハンディ図鑑4』山と渓谷社、2000年。