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アヴァロン (アルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『アヴァロン』
ロキシー・ミュージックスタジオ・アルバム
リリース
録音 1981年-1982年
ジャンル ソフィスティ・ポップポップ・ロックシンセポップ、アート・ポップ
時間
レーベル イギリスの旗EG(オリジナル盤)
アメリカ合衆国の旗[ワーナー・ブラザーズ](オリジナル盤)
プロデュース レット・デイヴィスロキシー・ミュージック
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 1位(イギリス
  • 53位(アメリカ
  • ロキシー・ミュージック アルバム 年表
    フレッシュ・アンド・ブラッド
    (1980年)
    アヴァロン
    (1982年)
    ザ・ハイ・ロード
    (1983年)
    ミュージックビデオ
    「More Than This」 - YouTube
    「Avalon」 - YouTube
    テンプレートを表示

    アヴァロン』(Avalon)は、ロキシー・ミュージック1982年に発表したアルバム。通算8作目のスタジオ・アルバムで、2024年現在、最後のオリジナル作品。

    本作は全英アルバムチャート1位に輝く大ヒットになった[2]。『ローリング・ストーン』誌が選んだ「歴代最高のアルバム500選」において336位に選ばれている[3]

    解説

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    経緯

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    1980年5月に発表された前作『フレッシュ・アンド・ブラッド』は、6月に全英アルバムチャートの首位を記録し、一週間でその座を降りたが、8月末に再度返り咲いて9月にかけて3週間居座った。彼等のアルバムが全英アルバムチャートの1位を記録したのは、サード・アルバム『ストランデッド』(1973年)以来のことだった。

    同年12月8日にジョン・レノン射殺されると、彼等はドルトムントWestfalenhallenで12月19日と20日に開かれたRock Popに両日出演してコンサートを開いた際、最後にレノンを追悼して「ジェラス・ガイ」を披露した。彼等は翌週に同曲を録音して1981年2月にシングル発表すると、全英シングルチャートの首位を記録する大ヒットになった。これは彼等にとって初の快挙だった[4]。1981年の彼等は、1976年から約3年間の解散期間を除いた約7年間の活動期間の中で、商業上の成功の頂点を極めていた。

    内容

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    アーサー王が死後に赴いたとされる伝説の極楽島「アヴァロン」をモチーフに、ブライアン・フェリーの美学が最高点に到達した作品。

    正式メンバーのフェリー(ヴォーカル、キーボード)、フィル・マンザネラ(ギター)、アンディ・マッケイ(オーボエ、サクソフォーン)は、前作に起用したセッション・ミュージシャンに加えてパーカッショ二ストとヴォーカリストを招聘して、ナッソーコンパス・ポイント・スタジオとニューヨークのザ・パワー・ステイション・スタジオで本作を録音した[5]

    タイトル曲でスキャットを歌うヤニック・エティエンヌハイチ出身のヴォーカリスト。本作がニューヨークで録音されていたある日曜日、フェリーがスタジオの廊下にあったコーヒーの自動販売機の側でハイチのコーラス・グループを偶然見かけて、そのメンバーだった彼女の歌声に圧倒されて起用したという[6]

    「トゥ・ターン・ユー・オン」は、シングル『ジェラス・ガイ』[7]のB面収録曲として既に発表されていた[注釈 1]

    ジャケットに後ろ姿が映る女性は、後に元フェリー夫人になったLucy Helmoreである[8][注釈 2]

    収録曲

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    特記なき楽曲は、全曲ブライアン・フェリー作。

    LP

    サイド1

    1. 「夜に抱かれて」 - "More Than This" 4:30
    2. 「ザ・スペース・ビトウィーン」 - "The Space Between" 4:30
    3. 「アヴァロン」 - "Avalon" 4:16
    4. 「インディア」 - "India" (インストゥルメンタル) 1:44
    5. 「我が胸のときめきを」 - "While My Heart Is Still Beating" (フェリー、アンディ・マッケイ) 3:26

    サイド2

    1. 「ザ・メイン・シング」 - "The Main Thing" 3:54
    2. 「テイク・ア・チャンス・ウィズ・ミー」 - "Take a Chance with Me" (フェリー、フィル・マンザネラ) 4:42
    3. 「トゥ・ターン・ユー・オン」 - "To Turn You On" 4:16
    4. 「トゥルー・トゥ・ライフ」 - "True to Life" 4:25
    5. 「タラ」 - "Tara" (インストゥルメンタル) (フェリー、マッケイ) 1:43
    CD
    トラックリスト
    #タイトル作詞・作曲時間
    1.「夜に抱かれて(More Than This)」 
    2.「ザ・スペース・ビトウィーン(The Space Between)」 
    3.「アヴァロン(Avalon)」 
    4.「インディア(India)」(インストゥルメンタル) 
    5.「我が胸のときめきを(While My Heart Is Still Beating)」フェリー、マッケイ
    6.「ザ・メイン・シング(The Main Thing)」 
    7.「テイク・ア・チャンス・ウィズ・ミー(To Turn You On)」フェリー、マンザネラ
    8.「トゥ・ターン・ユー・オン(To Turn You On)」 
    9.「トゥルー・トゥ・ライフ(True to Life)」 
    10.「タラ(Tara)」(インストゥルメンタル)フェリー、マッケイ
    合計時間:

    パーソネル

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    ロキシー・ミュージック

    アディショナル・ミュージシャン ※番号はCDのトラック・ナンバーを示す。

    ツアーから解散へ

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    本作は1982年5月に発表され、全英アルバムチャートの1位を記録したあと、トップ75に一年以上登場し続けた[9]

    本作発表後のツアーは、1982年8月中旬から10月1日までヨーロッパ各国とイギリス、1983年2月に日本[注釈 3]、同年4月末から5月末までアメリカとカナダで行なわれた。メンバーはフェリー、マンザネラ、マッケイ、アラン・スペナー(ベース)、ニール・ハバード(ギター)、アンディ・ニューマーク(ドラム)、ガイ・フレッチャー英語版(キーボード)、ジミー・マーレン(パーカッション)、フォンジ・ソ―ントン(バック・ヴォーカル)、ミシェル・コブス[10](バック・ヴォーカル)、タワサ・アジー(バック・ヴォーカル)の計11名[11]

    1982年8月27日のフレジュス公演の模様は、VHS『ザ・ハイ・ロード』(1983年)[12]とアルバム『ハート・スティル・ビーティング』(1990年)として発表された。また同年9月30日のグラスゴー公演の音源からは、4曲入りEPザ・ハイ・ロード』(1983年)が発表された。

    ツアー終了後、ロキシー・ミュージックは解散した[13]

    脚注

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    注釈

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    1. ^ この曲は本来フェリーがソロ・アルバムの為に録音した未発表音源だったが、『ジェラス・ガイ』を急いで発表する為に使用された。
    2. ^ 1981年にフェリーに出会い、本作発表直後の1982年6月26日に結婚。男子4人の母になるが2002年に離婚。再婚後、2018年7月に自殺により他界。
    3. ^ 1979年4月の初公演に続く2度目の公演。

    出典

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    1. ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Avalon – Roxy Music”. AllMusic. 17 March 2010閲覧。
    2. ^ ROXY MUSIC | full Official Chart History | Official Charts Company
    3. ^ The 500 Greatest Albums of All Time” (英語). Rolling Stone (2020年9月22日). 2021年12月28日閲覧。
    4. ^ Buckley (2004), pp. 243–245.
    5. ^ Buckley (2004), pp. 248–249.
    6. ^ Buckley (2004), p. 249.
    7. ^ Discogs”. 2024年3月16日閲覧。
    8. ^ Buckley (2004), pp. 248, 255–256, 293.
    9. ^ Buckley (2004), p. 251.
    10. ^ Discogs”. 2024年3月16日閲覧。
    11. ^ Buckley (2004), pp. 252–255.
    12. ^ Discogs”. 2024年3月16日閲覧。
    13. ^ Buckley (2004), p. 256.

    引用文献

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    • Buckley, David (2004). The Thrill of It All: The Story of Bryan Ferry & Roxy Music. London: Andre Deutsch. ISBN 0-233-05113-9 

    外部リンク

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