RPGツクールMV

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RPGツクール MV
ジャンル RPG 製作ツール
対応機種 Microsoft Windows 7/ 8.1 / 10
OS X 10.10
開発元 KADOKAWA
尾島陽児
発売元 スパイク・チュンソフト
→ KADOKAWA
プロデューサー 一之瀬裕之
プログラマー 尾島陽児
シリーズ RPGツクールシリーズ
人数 1人
メディア DVD-ROM
ダウンロード
発売日 日本の旗 2015年12月17日
アメリカ合衆国の旗 2015年10月23日
最新版 1.6.2/ 2019年2月4日
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
ESRBE(6歳以上)
必要環境 CPU: Intel Core 2 Duo相当以上 / HDD 空き容量2GB以上 / OpenGLに対応したグラフィック機能 / 1280×768以上の解像度 / ネットワーク認証を行う為のインターネット接続環境
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RPGツクールMV』(アールピージーツクールエムブイ、英語:RPG MAKER MV)は、RPG制作ソフト。開発はKADOKAWAおよび尾島陽児、販売はKADOKAWA。英語版の発売日は2015年10月23日、日本語版の発売日は2015年12月17日。なお、2016年11月30日まではスパイク・チュンソフト(移植前のパソコン版)が販売元だった。

2018年11月15日にコンシューマ移植版となる『RPGツクールMV Trinity』がPlayStation 4Nintendo Switch向けに発売された(Xbox One向けは2019年初冬に配信を予定していたが発売中止となった)。また、パソコン版からコンシューマー向けに移植された以下Trinity版についてもここで解説する。

概要[編集]

RPGツクールVX Aceの後継で、PC版ツクールシリーズの11作目となる。販売されたパッケージによって収録素材数は異なるが、グラフィック素材・音楽素材ともに過去最大規模のゲーム素材が発売時に用意された。一部はSteamにてDLCとして追加購入できる。

パッケージイラストレータはトリダモノで、本体とは別にパッケージキャラクター素材が発売された。これは歴代のパッケージキャラにはなく、ツクール初。

基本的な操作性は前作VX Aceに近い。タッチパネル対応の為か、旧作に比べメニューボタンが拡大化されている。戦闘画面は、サイドビューとフロントビューの2種類が用意されており、公式プラグイン(※ユーザー登録が必要なプラグイン素材あり。)、様々な企業による公式コラボ素材なども配布されている。

体験版[編集]

Windows版のみ、体験版が利用できる。(各種コンシューマーゲーム機向けには体験版自体は存在しておらず、また、ライセンスキーによるライセンス認証も無い)体験版で制作されたゲームデータは、製品版や海外版(RPG MAKER MV)に引き継いで開発が可能である。体験版と製品版は機能面はほぼ同一であるが、以下の違いがある。

  • 30日間経過すると、ライセンスキーを入力しないとRPGツクールMVエディターが使えなくなる。入力するとそのまま製品版として使用可能になる。(エディターの最新版においてはライセンス認証を行わないままでそのまま起動をすると30日間の期間限定起動可能な体験版として起動する仕様になっている。(コンシューマー向けには無く、ネットワークライセンス認証機能はWindowsパソコン版とMacintosh上記のMacOS)パソコン版のみ)
  • 同梱されている素材が必要最小限しかない。(コンシューマー向けのTrinity版ではプリインストール素材が旧版よりも増量した。)
  • 書き出されたゲームは2015年12月21日当時は公開禁止であったが、後日変更された(2018年7月6日現在では、体験版で作成したゲームは公開可能である事が、利用規約に定められている[1])。
  • 製品版よりバージョンが古く、バグ修正が適用されていない(2015年12月21日現在)。ただし、エディター自体のバグ修正がされた公式サイト配布のアップデーターを使えばバグ修正された状態で使う事は可能だが、ライセンス認証を行わないと同一の30日間の体験版として機能する。(ただし、アップデートやアンインストールのいずれかを行っても、修正前のバージョンで既に日数が経過してからアップデート後に起動していた場合は体験版が起動可能な残り日数の経過期間は変わらない。)

マルチプラットフォーム対応[編集]

RPGツクールMVの「MV」は、マルチ・ビューを意味する。ゲームの書き出し形式はWindowsMacAndroidiOSウェブブラウザ出力に対応している。

基本形態はHTML5+JavaScriptのブラウザゲームとして出力され、それを各種プラットフォームに応じて変換する方式をとる。Windows形式、Mac形式の場合はNW.jsを用いてゲームファイルが書き出される。Google Android、Apple iOSの場合はCrosswalkApache Cordovaを利用して書き出される。公式サポートされていないが、ビルド環境を用意すれば、Linux向けやWindows Store向けゲームとして出力する事も可能である。

書き出されたプラットフォームによって、読み込まれる音楽データ形式が異なる。たとえばWindows版ではogg形式を読み込むが、スマホ版ではm4a形式を必要とする。必要なファイルを用意しないとゲーム(ゲーム内にあるイベントデータ内に存在している処理をする順序に従って配置されている音楽、効果音を鳴らす、イベントの呼び出し処理をする作業)が停止するが、デバッグ時は気がつきにくい為、実際に実機の端末でバグを確認してプレイしながら修正作業をして対処したりなどを怠らないようにその点に十分注意する必要がある。標準サポートはうたわれていないが、WebM形式やWebP形式のファイルも動作する。※ゲームの書き出しはパソコン版のみの機能。

WindowsとMac OS X両対応[編集]

過去のツクールシリーズはWindows PCのみ対応だったが、本作よりMac版も販売された。Windows/Mac対応の為に、エディター部分はQtで開発されている。Windows版は複数のパブリッシャーによりパッケージ販売、ダウンロード販売されている。Mac版は日本語版・英語版ともにSteamからのみ販売されている(2015年12月現在)。

マウス操作[編集]

マウス操作とキーボード操作に対応している。またスマートフォーンやタッチディスプレイでは、タッチ操作となる。マウス操作の搭載は、RPGツクール95以来である。(コンシューマー向けのTrinity版ではキーボードに対応しており。Nintendo Switchのみタッチ操作が可能。PS4ではキーボードでのみ操作可能でタッチ操作はできない。)

JavaScriptプラグイン機構[編集]

JavaScriptでプラグインにより、標準搭載されていない様々な機能を実装ができる。RPGツクールXP、VX、VX Aceで用いられていたRGSS(Ruby準拠)はJavaScriptに置き換わった形である。基本的な命令はRPGツクールVX Aceとほぼ同一である。

ゲームエンジンがJavaScriptで記述された事が、国内外のJavaScriptプログラマーに話題となった。英語版発売直後から多くフロントエンドエンジニアがRPGツクールMVの改造に取り組み、日本語版販売前からJavaScript素材が大量に公開される、アドベントカレンダーが埋まるなどの注目を見せた。また、KADOKAWAによる公式のプラグインも存在し自由に使用することが出来る。[2]

RTPの廃止[編集]

RTP(ランタイムパッケージ)が廃止となった。これにより、ゲームプレイ時に追加でRTPをインストールする面倒が解消された。反面、RTPの廃止はゲームファイル本体の容量肥大化に繋がる。たとえば製品版付属素材を使い、軽量化を施さなければ、約300MBを越えるゲームデータが出力されてしまう。ゲーム制作者は容量を削減する工夫が必要である。(元からコンシューマー向けにはランタイムパッケージの概念自体は存在しない。)

外部企業とのコラボレーション[編集]

ツクールシリーズ全体としては過去にも数回外部とのコラボレーションはあったが、今作は版権物の素材の配布などが行われ、それらとは比較にならないほどの多くの企業や作品がコラボレーション先として関わっている。 主なコラボレーション元として、発売元であるスパイク・チュンソフトの「風来のシレン」や開発元のKADOKAWAによる「ニンジャスレイヤー」などが挙げられる。全容は公式サイトを参照。(※Trinity版では制約上使用不可能。)

ウェブコンテンツへの投稿とプレイ[編集]

niconicoでは投稿サービス「RPGアツマール」が用意されている。製作者はツクールMVで制作したゲームを投稿でき、ユーザーはウェブブラウザ上で遊ぶことができる。(Trinity版ではツクール広場でゲーム作者達から配信されている作品のみプレイが可能)

また、AndAppでもプラットフォームが用意されており、ウェブブラウザ上で遊ぶことが出来る。

サンプルゲーム一覧[編集]

※パソコン版とコンシューマー向けの各版に収録されているサンプルゲーム作品が異なる。

パソコン版
  • FILAMENT
    • リンネ堂
  • diable caprice
    • 地獄カバ
  • エミールの小さな冒険(Android版有り)(作者によるGoogle playにて配信)
    • 神無月サスケ
  • Sea Pirate
    • tachi
  • FantasicReverie -ファンタジックレヴェリエ-
    • ImCyan (アイムシアン)
  • 羊ノ海
    • ゆうやけ
  • MV Magic Victory
    • minaki2424
  • LivingShip Cowboy
    • 岩田文人 ENTACL GRAPHICXXX
  • ニナと鍵守の勇者(Android版有り)(作者によるGoogle playにて配信)
    • ゆわか
  • サンプルマップ制作
    • 花姫パパ
Trinity版のサンプルゲーム
配信予定等の詳細情報については公式サイト[3]を参照。なお、パソコン版にある各サンプルゲームの作品はTrinity版への移植は一切されていない。
  • AA:アジュールアーソニスト ~盲目少女の復讐アクションADV
    • terunon
  • グラン・サンセット
    • 新谷一帆
  • 破境の福引所
    • フォトショ職人
  • 完全超悪モモタロンド
    • 湿度ケイ
  • New Lands Memoir
    • 道楽
  • 嘘吐きのノブレス・オブリージュ
    • kuro

ラジオ[編集]

『RPGツクールMV Trinity』と連動したラジオ番組『RPGツクールMV Trinity presents 佳奈と英美里のツクラー'sスタジオ』が2018年10月6日から12月29日まで超!A&G+で毎週土曜日 17:00 - 17:30 の枠で配信された。パーソナリティは、植田佳奈加藤英美里[4]

Trinity版[編集]

RPGツクールMV Trinity
ジャンル コンストラクション
対応機種 Nintendo Switch PlayStation 4
開発元 KADOKAWA GAMES epics
発売元 KADOKAWA GAMES
販売元 KADOKAWA GAMES
プログラマー 尾島陽児
シリーズ ツクールシリーズ
バージョン 1.10
人数 1人
メディア

Nintendo Switch ゲームカード ダウンロード

PlayStation 4 BD-ROM ダウンロード
発売日 2015年10月23日(日本)
最新版 1.10/ 2019年5月30日
対象年齢 A CERO:日本
コンテンツ
アイコン
なし
ダウンロード
コンテンツ
ゲーム制作用画像、音楽(音声)、素材
解像度 それぞれの機種の仕様により異なる(Nintendo Switch版の場合は携帯モードで最高画質は720pとなる。)PlayStation 4(Proモデルは通常モデルよりも画質が向上する。)
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※Xbox One版は発売中止のため掲載は無しとする。

ゲームシステム[編集]

パソコン版とは異なる特徴と搭載機能があり。ソフト自体の性能はいままでリリースされてきた過去のRPGツクールシリーズ(コンシューマー向けにおいて)よりもできる事が増えている。(※2019年7月現在、多少の不具合はあり。)パソコン版との主な違いでは特にインターネット経由でのライセンスキーによるネットワーク認証(アクテイベート)はない。また、キャラクターの作成においては「キャラクタージェネレーター」にて行う様になった。Nintendo Switch版とPlayStation 4版に移植したものにおいてはパソコン版では使えたはずの素材サイトから入手した各種素材ファイル(スクリプト、プラグイン、画像、音楽、効果音等)についてはコンシューマーゲーム機の制約上使う事はできない。その為、最初からあらかじめ用意された素材か今後提供されるオンラインサービスにてインターネット経由配信による素材のみを使用する事になる。[5]素材はあらかじめ用意された物か配信素材を使う。また、ツクール広場からダウンロードコンテンツの素材販売提供が予定されているらしく。その全容はゲーム内のツクール広場と公式サイトを参照のこと。パソコン版には無かった初回起動時の初心者向けのチュートリアルを実装した。また、作品の制作作業をしやすくするために「ファンタジー」、「SF」、「和風」、「中華」、「アラビアン」、「現代」、「スチームパンク」、「ダークファンタジー」の全8種類のテーマの中からマップのタイルを選んで(組み合わせは自由)作品が作れる様になった。

サンプル素材[編集]

イラストレータlackによるパッケージキャラを含む、263点の会話部分で使える立ちが収録されている。

あらかじめ収録されている音楽素材についてはコンシューマー向けにおいては史上初である豪華な歌唱付きのBGM(サウンドトラック)が使用可能になっている。(公式サイトによる情報)女性歌手のエリアンナの歌唱によるサンプル楽曲素材[6](※歌唱無しのインストゥルメンタル版は収録されていない。)が収録されている。

収録キャラクター素材と出演声優[編集]

ゲームソフトのパッケージを飾るキャラクターはゲーム作品内のキャラクター素材の一部として使用が可能である。(その他にもキャラクターがいくつか収録されている。)色んなアニメのキャラクターを演じる有名声優のキャラクターボイスを収録[7]した。

バトル(戦闘)システム[編集]

RPGツクール2003(パソコン版)で初登場したサイドビューバトルとフロントビューが混在的に実装が可能となった。(パソコン版のツクールMVでは混在実装用のプラグイン素材を素材サイトからインターネットでダウンロードして導入作業をしなければ実質的には実装自体が不可能だった。)

スクリプトとプラグイン[編集]

コンシューマーゲーム機種特有の制約上、コンシューマー向けでは廃止はされているが、実質的にスクリプトとプラグインは一切不要で、ゲームが簡単に作成可能となっている。パソコン版特有であった一部の機能がいくつか廃止されたり変更されたりする点もあるが、その分搭載機能はかなり豊富である。

RPGツクールMVプレイヤー[編集]

Trinity版で創られたゲームをプレイする人向けに配信されている。Trinityにて作成された作品をプレイするための専用の無料ダウンロードソフト(いわゆる3DS版のフェスプレイヤーに当たるNintendo Switchダウンロード専用のゲーム作品のプレイに特化したソフト。)。(ハードが異なるとプレイは不可とのこと。例えば、Switchで作成されたゲーム作品のプレイが可能なのはNintendo Switch本体でのみとなる。)作成されたハードのみしかプレイできないというこういった少しのデメリットがある。(両方のハード向けに同一タイトル同一内容の作品を用意するのには制作作業時間、費用(ソフトと素材の購入費用等がその分お金がそれなりにかかるため。)がかなり要するため現実的には難しいところだろう。)また、この仕様上、ツクールアツマールで公開されたゲーム作品は一切遊べない。

ツクール広場[編集]

Nintendo DS版(続編の2を含む)のツクールDSではWi-Fiコネクションサービス(元から素材が販売されるという要素は無し、当然、ログインボーナス要素も無し)のツクール城(正しくはショップではなく作品の無料配信に特化していた無料サービスだった。)で作品をダウンロードしてプレイするだけだった。しかし、今回新たに実装されたツクール広場ではアップロードが可能になり、プレイヤーが作成したRPGをインターネットで互いに売買することが可能になった。

ツクール広場は、現在Nintendo SwitchPS4に対応しており、いずれかのハードを持っていればクロスプラットフォーム的にプレイが可能になる。これは、RPGツクールMV自体がハード間の仕様の違いを吸収しているためである。

コンシューマー向けにおいて初の課金要素の実装となったのは3DS版「RPGツクールフェス」の素材・作品ショップに相当する課金要素だが、シリーズ(コンシューマー向けにおいて)ひとつ前の3DS版にはないログインボーナスという要素があり、この「ツクール広場」というインターネットサービスに毎日通う様にログインをすると(いわゆるログイン報酬)、ログイン日数に応じて様々な画像素材や音声データ素材などの素材がもらえる仕組みになっている。ゲーム内課金については、PlayStation 4のPSNアカウントの残高で、Nintendo Switchのニンテンドーアカウントの残高で購入できる有料素材が配信されるログインボーナス付きインターネット上のコンテンツ購入サービスがある。(ゲーム機の制約(サービス規約)上と運営するサービス会社が異なるため、それぞれの機種で購入した素材コンテンツはそれぞれのハード同士で共用しての素材利用(有料素材)はできない。)

脚注[編集]

  1. ^ 無料体験版ダウンロード | ツクール公式ストア”. store.tkool.jp. 2018年7月5日閲覧。
  2. ^ プラグイン無料ダウンロード”. RPGツクールMV. 2017年4月4日閲覧。
  3. ^ 公式サイト
  4. ^ 新番組「佳奈と英美里のツクラー'sスタジオ」10月6日(土)から超!A&G+にて放送開始!”. 文化放送. 2018年10月17日閲覧。
  5. ^ RPGツクールMV Trinity FAQ”. KADOKAWA. 2019年7月13日閲覧。
  6. ^ RPGツクールMV Trinity - ツクールWeb”. tkool.jp. 2019年8月10日閲覧。
  7. ^ RPGツクールMV Trinity - ツクールWeb”. tkool.jp. 2019年8月10日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]