JR貨物クム1000系貨車

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クム1000系(クム1000けい)とは、日本貨物鉄道(JR貨物)が4 トントラックピギーバック輸送用として1989年平成元年)から製造した貨車車運車)である。全車日本フレートライナー株式会社所有の私有貨車であった。2003年度までに全車廃車となり、形式消滅している。この項目では、試作車クサ1000形についても記述する。

登場までの経緯[編集]

既に欧米では、トラックないしはトレーラーを貨車に積載するピギーバック輸送が定着しており、トラックが交通渋滞に悩まされている日本でもピギーバック輸送を行うことが検討されていた。日本国有鉄道(国鉄)時代にクム80000形が登場していたが、更なる高速化のため、コキ100系コンテナ車と同じ110km/hで走行可能な車両を製作することとなった。これが本系列である。

構造[編集]

本系列は、クム1000形クム1001形の2形式からなる。どちらの形式も全長は19,910 ミリ、全幅は2,720 ミリ、全高は1,992 ミリ、荷重は20.2 トン、自重16トンで、FT1形台車を装備している。電磁自動空気ブレーキを装備しているが、給排気用電磁弁はクム1000形にのみ装備されており、クム1001形は元空気だめ管と制御引き通しのみで、両形式が1両ずつでユニットを組むことが前提となっている。ただし、クム1000形の500番台は単車での運用を前提としている。ブレーキは他に手ブレーキを側面に設置している。外観はコキ100系によく似ており、部品なども共通のものが多い。車体長や台車中心間距離も同一である。車体の塗装はファーストブルー、台車と連結器灰色1号である。

荷役ランプウェイを利用して昇降し、貨車上を自走することによる。これはクム80000形と同様である。そのため、タイヤガイドや隣接車両への渡り板を備えている。緊締は車止めとラッシングによる。1両あたり4 トントラックを2台積載する。

クム1000形・クム1001形共に、1989年・1990年(平成2年)の両年で日本車輌製造川崎重工業で合わせて37両が製造されて1 - 37となった。またクム1000形の500番台は1990年から1992年(平成4年)にかけて同じく日本車輌製造と川崎重工業で54両が製造されて501 - 554となった。

運用[編集]

1989年6月から、主に東海道本線山陽本線向けに投入された。1990年3月ダイヤ改正から、東京貨物ターミナル駅 - 梅田駅間の5093列車、5092列車で本系列22両とコキ100系4両を連結して運行されるようになった。1992年3月ダイヤ改正では西岡山駅 - 東京貨物ターミナル駅間の5054列車が110 km/h運転を開始している。また500番台についてはクム80000形と混用される形で主に東北方面で使用された。

しかし、バブル崩壊に伴い輸送需要が低迷すると、積載効率の低いピギーバック輸送は特に需要が落ち込むようになった。トラックの自重が貨物運賃に加算されることや、トラック運転手の確保難が緩和したことなどが理由として挙げられている。ピギーバック輸送列車は次第に運転が取りやめられていき、最終的に2000年(平成12年)3月ダイヤ改正で全廃された。最終期のピギーバック輸送列車が、クム80000形によるものか本系列によるものかははっきりとしていないが、1999年(平成11年)6月末までクム1000系の運用があったことは確認されている。

廃車[編集]

1993年(平成5年)以降のピギーバック輸送の需要落ち込みに伴い、1994年(平成6年)に最初の4ユニット8両が廃車となっている。この台車はコキ104形の1981 - 1988に流用されている。

ピギーバック輸送列車の運行打ち切りが進んでも、本系列は留置されたままで廃車はそれほど進行しなかった。ピギーバック輸送列車が全廃された後も2形式で104両が残されていたが、2003年(平成15年)に残っていた全ての車両が廃車となり、形式消滅した。

クサ1000形[編集]

4トントラックピギーバック輸送は、1両にトラックを2台しか積載できず、積載効率が低かった。そこで低床貨車の技術を取り入れて床面高さを低くし、車体断面が大きくかつ車体長の短い特殊トラックを3台積載できるようにしたクサ1000形が開発された。1993年(平成5年)に1ユニット2両(901, 902)が川崎重工業で試作された。トラック3台を搭載できる新方式として「スーパーピギーバック」と呼ばれる。

本形式は、全長21,300 ミリ、全幅2,674 ミリ、全高1,920 ミリ、自重20.2 トン、荷重24 トンで、FT12形台車を装備し、CLE方式電磁自動空気ブレーキと手ブレーキを備える。901と902でユニットを組むことを前提としているため、給排気電磁弁が一方の車両にのみあるのはクム1000系と同じである。コキ70形をベースとしており、FT12形台車はコキ70形のFT11形台車の軸距を1,800 ミリに延長したものである。車輪は直径610 ミリの小径車輪で、踏面ブレーキではなくディスクブレーキとなっている。車体全体が低床化されており床面高さが700 ミリとなっている。ユニット間の連結器は低床に合わせて低い位置にあるが、機関車や他形式との連結を考慮して、ユニット外方の連結器は通常の高さに設置されている。塗装はクム1000系と同じである。

荷役などの方式はクム1000系と同様である。ユニット外との連結用の高い位置の連結器をクリアするために油圧昇降装置が組み込まれており、トラックが自走する際には持ち上がって床面上に斜路を形成する。トラックが積載されると水平に戻されてトラックの車高を下げるようになっている。

搭載するトラックは専用のもので、日野・レンジャー(4代目)をベースに車体長を通常の8.5 メートルから6.5 メートルへ短縮し、代わりに高さを3,200 ミリから3,490 ミリに拡大して容積を確保している。外観は運転台と荷台が一体化したワンボックスカーのような車両となっている。貨車と同時に3台が試作されている。

1993年9月から東京貨物ターミナル駅 - 熱海駅間で試運転が行われた。1994年6月から小名木川駅 - 新潟貨物ターミナル駅間で運用が開始される計画で、貨車は日本フレートライナーの所有、専用トラックは利用運送会社各社が用意するという手はずで準備が進められていたが、ピギーバック輸送の需要が急速に落ち込んだことから導入は撤回された。本形式は、正式に車籍に編入されることはなかった。

参考文献[編集]

  • 渡辺 一策『RM LIBRARY 84 車を運ぶ貨車(下)』ネコパブリッシング、2006年、初版。ISBN 4-7770-5173-0

関連項目[編集]