宴会

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宴会場

宴会(えんかい)とは、飲食を共にすることによりお互いのコミュニケーションを深める行為をいう。通常2 - 3人程度で行うものは宴会とはいわず、ある程度まとまった人数で行う場合に宴会という。類義語として、(うたげ)、饗宴(きょうえん)、飲み会(のみかい)、パーティなどがある。

概説

宴会は通常、職場、労働組合政治団体、各種団体などで行われる。新年会、歓迎会、送別会など名目はさまざま。取引先企業の接待のために行われる場合もある。若者の同好のグループが行う宴会は、コンパ、飲み会などと呼ばれる。

小規模の宴会は、居酒屋などの飲み屋で開かれる事が多い。ある程度規模が大きい場合にはホテルが用いられる。企業の慰安旅行などでは宿泊施設の宴会場を利用する事が多い。政治団体などは料亭で宴会を行うことが多い。

「宴会」と「パーティー」について、違いを厳密に定義づけることは不可能である。しかし、座敷で座っておこなう和風の場合、「宴会」とよぶことが一般的であろう。また、宴会は無礼講も許されるざっくばらんな場であり、パーティーは礼儀や節度を守って行われるものであるという傾向がある。コンパニオンを呼ぶこともある。特にコンパニオンと遊ぶ事を目的とした宴会は「艶会」(えんかい)と呼ばれる事がある。コンパニオンと宴会場の手配を一緒に行うという業者もある。

宴会を企画する人は幹事と呼ばれる。設宴の場所や日時の調整、経費の管理だけではなく、場合によっては参加者の選定や宴会場における配置、挨拶、プレゼントなどにまで気を配ることもある。

歴史

現在確認されている最古の宴会の事例は、約1万2000年前に遡る。料理は、野牛や亀の肉と思われ、全部で17キロ以上(35人分以上)あったと推定される。このような宴会を通じて、地域社会が発展して農耕中心の生活に移行していったと考えられる[1]

日本では平安時代には貴族の間で儀式的な饗宴が行われた。平安期の饗宴は儀式的な酒宴・儀礼食で、平安貴族が大臣に任官したときに開かれる「大臣大饗」や正月の「正月大饗」などが存在した。

日本の宴会は酒礼・饗膳・酒宴の三部から構成、後に一同にを振る舞う酒礼は式三献と呼ばれ、三献以下の饗膳は座を移して行われ、酒肴が振る舞われた。饗膳の料理は後に本膳料理として成立する。

日本の宴会

企業社会における宴会

企業社会において、宴会は切っても切り離せないものである。多くの企業社員福利厚生の一環として社員旅行を行っているが、旅行そのものよりも宴会が主目的になっている事も多い。また、新年・新入社員の入社期など、折につけ宴会を開くことによって、仕事のマンネリ化を防ぎ、また新人教育にもなると考える人もいる[2]

普段の業務とは違った立場で意見を交換する事ができるため、業務上ではわかり合えなかった部分でも相互理解が深まり、人間関係が良好になることも多い。これはひいては業務の効率向上につながることもある。しかし、一方では宴会は業務時間以外に行われる事が多いので、プライベートな時間にまで会社の環境が入り込む事に強い不快感を抱く人も多い。特に、最近では若者をはじめ、40代以上でも宴会を敬遠する人が増えている[3]。 また、飲み会でなければ情報を収集できなかったり、コミュニケーションを取れない会社は事業活動においてデメリットが多いとされる[4]

日本人は、白人など他人種に比較するとアセトアルデヒドを分解するALDH2の活性が弱いか欠けているため、アルコールに弱い体質の人の割合が多い[5]。一般には楽しく酒を酌み交わし懇親を深めればよいが、宴会参加への強制や酒の一気飲みや酒の苦手な人に対する飲酒の強制があってはならない。宴会の場の強制行為はパワーハラスメントアルコールハラスメントなどのハラスメント行為にあたり、企業の場合はコンプライアンス違反にもなる。

宴会における会計

宴会の通常の出費形態が割り勘である。それは緩やかな定額会費制と、会計業務の負担軽減であると理解されていることが多い。飲食量と費用が比例しないことから、団体への適応を強要するものと言う意味が含まれている。2016年10月現在の国税庁の規定では、資本金などの規模に応じた計算方法によって、交際費は原則的に損金不算入となる[6]

地域社会における宴会

地域社会においても宴会は多い。多くの場合形式ばったものではなく、また供される酒食も通常のおつまみ感覚のもので済ませる場合もある。ただ、会社以上に、何かの口実がないと参加を断ることは難しい場合もある。会社等の宴会と一番異なるのは、長幼の序が厳しいことであろう。会社の宴会の場合、上司や同僚を人間的に信頼できない等の事情があっても、転勤退社等による入れ替わりがあり、半永久的に上下や同僚の人間関係が続くわけではない。そう思えば、一時の辛抱と割り切ることが出来なくもない。一方、地域社会においては、その隣人・近隣住民としての人間関係を(転勤族でない限り)半ば一生引きずるわけであり、たとえ酒癖が悪くとも、相手が年長者・居住歴の長い人であればそれに腹を立てて人間関係を壊すと、住みづらくなる。

また、飲食店においてではなく、個人の家庭において催されることがあるのも特徴といえる。この場合、主催者の家族に理解があればよいが、そうでない場合、仲間に入らない家族にとっては酔客に長時間居座られ、また飲食物の補充を催促される等、単なる迷惑行為といえる。

宴会芸

宴会では、よく芸達者な者たちがをはじめたりすることがある。楽器の演奏やカラオケなどが多い。また、簡単な手品が披露される事もよくある。このような、一般に芸として認められているものを素人が行う場合、隠し芸という。

これに対して、宴会でしか通用しないと思われる芸が各界で伝承されていて、それらを宴会芸という。かつては、座布団を指先で回してみせる「座布団回し」が宴会芸の典型であるとされたが、現在実際にこれを行う者は少ないと思われる。

芸者太鼓持ちがいる場合には、いわゆるお座敷芸が行われる。そうでない場合には、素人による芸が出るわけである。いわゆる野球拳などもこの範疇である。猥歌なども多くはこのようにして伝承された。

ただ、普段の抑圧の反動なのか羽目を外しすぎてしまう者が出ることがある。「裸踊り」「ちょんまげ」といった体を張った芸をする人もいるが、こういった宴会芸を強要する事もハラスメント行為であるとみなされる[7]

中国の宴会

中国式の宴会は、円卓を囲んで中華料理を食べながら行うことが基本である。通常、正面奥に、ホスト役もしくは上役が座り、その反対側にはホストに次ぐ位のものが座り、ホスト側の両脇に客が座る。

宴会における酒には、白酒(パイチュウ)を用いることが基本で、これを小さい杯に入れて、乾杯し、一気に飲み干す。最近はワインに代える例もある。最初に出席者全員で乾杯する他は、出席者が他の出席者と言葉を交わしながら、個別に乾杯を繰り返す。ホスト側が客に酒を勧めるだけでなく、客側もホストの「酒を借りて」乾杯を勧める。乾杯が届かない位置にいる時は、中華式の中央テーブルを杯の底で数回叩くことがある。

体面を考えて、しばしば、食べきれないほどの料理が用意される文化があるため、食べ残しなど浪費をしないように政府が呼びかけることもあるが、実効性は低い。宴会芸が行われる事はまれであるが、歌が得意な人が披露をする場合もある。

宴会を通じて、同席者と面識を深めてゆく形態は、他国と同じである。

脚注

関連項目