半片
半片 | |
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おでん鍋のはんぺん |
半片・半弁・半平(はんぺん)は、関東、東海地方の食材でスケトウダラなどの魚肉のすり身にすりおろしたヤマノイモなどの副原料を混ぜてよく摺り、調味して薄く四角形または半月型にしてゆでた魚肉練り製品である。
製法
原料
原料魚には、スケトウダラのほかに、ヨシキリザメ、アオザメ、オナガザメなどのサメ類やカジキなどが使われることもある。しかし、現在では新鮮なものが入手しにくいなどの問題から、サメなどを原料とするのは極上品とされる。
加工
標準的な作り方としては、すり身400g、ヤマノイモ100g、塩小さじ1、昆布だしをよく摺り混ぜ、平らに成型し、約10分ゆでる。
料理
はんぺんは主に、煮物、揚げ物、フライ、バター焼き、おでんだね、椀だねなどに用いられる。ふんわりとした滑らかな舌触りで、煮物の場合は煮汁を良く吸い込む。煮汁は片面だけに吸わせた方が美味であり、コンビニのおでんに用いられているドーム型のはんぺんなどは最初からそのような形状に製造されている。
名称
名前の由来には、江戸時代の駿河の料理人・半平(はんぺい)が創案したところからこの名がついた、また椀蓋で半月型に整形したことから名がついたなどの多くの説がある。
漢字では「半片」か「半平」と書くが、「半弁」「鱧餅」などとあてられることもある。
種類
元々は関東周辺のみで食されていた地域色の強い食品であった。戦後になって東京の紀文食品が「紀文のはんぺん」として全国的に販売するようになって以降はこの白いはんぺんが「はんぺん」として定着したが、現在も消費の殆どは関東周辺である。はんぺんの大量生産化を最初に可能にしたのはこの紀文食品であり、特許が失効するまでは今日のように多くのメーカーから販売されることはなかった。
静岡県では、イワシなどを丸ごと用いて作った青灰色のいわゆる黒はんぺんを「はんぺん」と呼び、上記の白いはんぺんは「白はんぺん」と区別して呼称する。尚、はんぺんの製造工場の多い焼津市近隣では、昔から「はんべ(半平)」と呼んできた。
広島県などでは、魚の練り物を揚げたものの総称として「はんぺん」と呼ぶ。これを、いわゆる薩摩揚げと同じだと他の地方の人が誤解することが多い。上記の白いはんぺんは「紀文のはんぺん」などとメーカー名などをつけて区別する。
関西地方にはあんぺいと呼ばれるハモなど白身魚のすり身から作った魚肉練り製品がある。語感や外見が似ているためによく混同されるが、こちらはむしろ「しんじょ」に近い蒸しかまぼこの一種である。
長崎県で「はんぺん」というと主に食紅などで色付けした短冊状の練り物のことを指す。これもどちらかというとかまぼこなどに近く、県内ではちゃんぽんや皿うどんなどでよく提供される[1]。
はんぺんに由来する名称
かつて西日本車体工業が製造していたバス車両「53MC」はその形状からバスファンを中心に「ハンペン(型)」という愛称で呼ばれている。
出典
- ^ 「ナガジン」発見!長崎の歩き方『長崎土産名鑑VOL.1 冬が食べどき!長崎かんぼこ』 - 長崎市(2018年4月20日閲覧)