スクロールホイール

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中央の"ホイール"がスクロールホイールである。

スクロールホイール英語: Scroll wheel)またはマウスホイール英語: Mouse wheel)とは、通常左右マウスボタンの間に垂直に備え付けられた、プラスチック製またはラバー製の円盤のことである。

機能

名前の通りスクロールに使われ、基本的に垂直方向のスクロールはスクロールホイールがついたマウスならどういったマウスでも可能である。ホイールを押せば(これをミドルクリックなどと言う)3番目のマウスボタン英語版として使用できる。一般的なスクロールホイールには段階的に回転するための戻り止め英語版が装着されており、ユーザーが直覚的にスクロールの距離を調整できるようになっている。

僅かだがマウスの中には水平方向にスクロールできるものも実在している。その方式としては以下のものがある。

ロジクールのフリースクロール機能が搭載されたマウスでは、フライホイールのような慣性がつく14グラムのスクロールホイールを使用することで、長いページやリストを素早くスクロールできる[3]

異例としてはジョイスティックタイプのスイッチを装着したサイテック英語版のマウスがある[4]

Trackwheel (1) on a BlackBerry

2016年現在、スクロールホイールのあるマウスは世に出回っており、一般的なコンピューターで対応され、特にパーソナルコンピューターにおいてもセット販売されるなど、必要不可欠なハードウェアインタフェースとなりつつあるが、スクロールホイールのないマウスも残存している。

また、スクロールホイールは、PDAiPodのような携帯音楽プレーヤーや、初期のソニーBlackBerryなどの携帯電話にも備え付けられている。

歴史

1985年NTTスイスチューリッヒ工科大学 (Kunio Ohno, Ken'ichi Fukaya and Jürg Nievergelt) は、世界初のスクロールマウスMighty Mouse発明開発した。このマウスには側面にホイールがついていたが、スクロール操作には親指部のスライド機構付きアナログボタンを使用した[5]

アップルのDaniel S. Venoliaは、側面に親指用スクロールホイールを持つマウスの試作品を、1989年から1993年にかけて開発した[5]。これは、1992年アメリカ合衆国特許第 5,313,230号として特許申請され、1994年に受理された。

1995年台湾KYE Systems英語版は、史上初の天辺にスクロールホイールがついた市販のスクロールマウスをリリースした。これはGenius EasyScrollと名付けられ、マウス・システムズ英語版 ProAgioとしても販売されていた[6][7][8]

スクロールホイールは、Microsoft Office 97でのマウスホイールのサポートと共に、Microsoft IntelliMouseによって普及した。これは1993年からChris Grahamの助言を受けてエリック・マイケルマン英語版が開発したものである[9][10]1997年にマイクロソフトは、マウスボタンとスクロールホイールを組み合わせたマウスをアメリカ合衆国特許第 5,912,661号として申請し、その結果1999年に受理された。

21世紀に入り、スクロールホイールはロジクールマイクロソフトの一部のキーボードに搭載され始めている。通常CapsLockキーの左側に配置されていることが多い。その反面、ノートパソコンの組み込みスクロールホイールは減ってきており、以下のようにタッチパッドのジェスチャーで代用されるようなものが過半数を占めるようになった。

  • ポインタの移動に優先して)パッドの縁を操作できるようにし、スクロールホイールの代わりとする。
  • マルチタッチジェスチャー搭載のタッチパッドで、2本の指でタッチパッドをドラッグした際にスクロールするようにする。
  • 多くのLinuxディストリビューションでは、タッチパッドの角をタップするとスクロールモードが有効化し、離すと無効化する。スクロールモード中はパッド内で円を描くようにドラッグすることでスクロールできる[11]

その他の用途

アプリケーション

ウェブブラウザを含む多くのアプリケーションでは、コントロールキーを押しながらスクロールホイールを回すことでテキストの拡大・縮小ができるように、かつリンク先をミドルクリックすると新しいタブで開かれ、タブをミドルクリックするとそのタブが閉じられるようになっている。また、画像編集ソフト地図ソフトでは、同様の操作で画像のズームインズームアウト英語版することができる機能を搭載していることがある。

AutoDesk AutoCADのようなCADアプリケーションではユーザーが描画している空間を、ホイールスクロールで拡大縮小、ホイールクリックしながらのドラッグで回転させることができる。この操作はTrimble SketchUpのような3DCGソフトウェアでもデファクトスタンダードとなっている。

コンピュータゲーム

ファーストパーソン・シューティングゲーム (FPS) では武器の変更に使われる。これを受けて、一部のゲーミングマウス(ロジクールG500英語版など)には、ゲームに必要な段階的なスクロールと、ネットサーフィンに便利な継続的なスクロールを切り替えられるものもリリースされている。スクロールホイールは、スコープ付き武器や双眼鏡をズームさせるために使われることがある。リアリティを重視したFPSの中には、体勢や照準器調節の切り替えにスクロールホイールを使うものも実在する。ホイールを左右に傾ける機能があるマウスのスクロールホイールでは、多くのFPSゲームでプレイヤーを左右に傾かせるためにスクロールホイールの左右の動きが利用される[要出典]。一般的ではないが、マウスホイールでプレイヤーの移動速度変更を行えるものもある。

リアルタイムストラテジーゲームでは、カメラの高さの調整にスクロールホイールが使われる。中にはスクロールホイールボタンを押しながら動かすことで、傾きや回転を行うことができるものもある[要出典]

関連リンク

脚注