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ウバガイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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ウバガイ
ウバガイ 福島県いわき市
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 二枚貝綱 Bivalvia
亜綱 : 異歯亜綱 Heterodonta
: バカガイ科 Mactridae
: ウバガイ属 Pseudocardium
: ウバガイ P. sachalinense
学名
Pseudocardium sachalinense (Sehrenck, 1862)
シノニム

Spisula sachalinense (Sehrenck, 1862)

和名
ウバガイ
英名
Sakhalin surf clam

ウバガイ姥貝、学名: Pseudocardium sachalinense)は、二枚貝綱異歯亜綱バカガイ上科バカガイ科の1である。

日本海北部と茨城県以北の太平洋シベリア沿岸まで分布し、冷水域の外洋に面した浅い海の砂底に生息している。

北海道ではホッキガイ(北寄貝)と呼び、アイヌ語ではポセイ(poksey[1])、トゥットゥレプ(tutturep)などの呼び名がある。季語、三冬。

形態

成貝は殻長10 cm以上と大型で、殻は厚く、淡色であるが、褐色の殻皮におおわれるため全体に黒ずんだ色に見える。

浅海の細砂底に棲息し、春から夏に産卵期を迎え、幼生は20 - 30日間回遊したのちに着生する。成長は遅く、漁獲対象(7 - 8 cm)になるまで4 - 6年かかるが、寿命は30年に達する。

幼貝のうちは、殻全体が白色から黄白色で、同科のシオフキに似るが、これは内湾性で生息環境から区別できる。一方、ヒメバカガイ学名: Mactra crossei)は成貝では全く異なるが、1 cm以下の幼貝は区別が難しい。

殻頂に残る初期稚貝の殻を高倍率で観察すると、全く色彩のないものがウバガイで、褐色から帯紅色が点状に見られるのがヒメバカガイ[注釈 1]

同科のミルクイにも似るが、殻長や水管、殻の後端の隙間がそれほど大きくなく、殻を閉じると完全に内部に収納され、ほとんど隙間がなくなる点で区別が可能。

利用

小型底曳網(桁曳網)や、ジェット水流による掘削漁獲が普及している。一方、目視で挟み採る伝統漁法も行われ、品質(傷が少ない)から高価で取引されている。

北海道や東北地方では以前から広く食用とされ、寿司ネタとしても一般的であった。現在は、関東地方以西でも一般に流通するようになった。宮城県亘理郡山元町では、毎年2月に「ホッキ祭り」が開かれる。

実際には国内資源は衰退しており、消費量の大半は輸入に依っている。カナダペルー産のナガウバガイという同属の貝が冷凍品で流通している。

漁獲量

第1位 - 苫小牧漁港 825 t北海道):「苫小牧市の貝」に指定されている
第2位 - 別海漁港 549 t(北海道)
第3位 - 三沢漁港 489 t(青森県
第4位 - 根室漁港 460 t(北海道)
第5位 - 釧路漁港 324 t(北海道)

保護・増殖

地域によっては、稚貝の放流による増殖や、大きさによる漁獲制限による保護が行われる(例:青森県では7 cm以下のウバガイは漁獲禁止[2])。苫小牧では、ウバガイの生育上競合関係となるハスノハカシパンウニの仲間)の駆除も試みられている[3]

食用

はま寿司の「ホッキ貝」の握り寿司

主に加熱済みのむき身の冷凍状態で流通し、生や殻付きは少ない。生の斧足の縁は黒っぽいが、加熱すると鮮やかな赤に変わる。市場ではサイズにもよるが1個あたり平均200 - 500円前後と、食用の二枚貝としてはやや高価である。

生体は斧足内に砂が多く、さらにアサリハマグリのように砂を吐かせることが難しい。一方で貝柱が発達していないため、殻を閉じる力は弱い。このため、下ごしらえはナイフやヘラでこじ開け、身を切り開いて水洗いする(丸ごと茹でると砂や泥が食味を損なう)。

生のまま刺身寿司に用いるほか、炊き込みご飯混ぜご飯の具、煮付け佃煮、バター焼き、天麩羅などに用いる。

茹でたむき身に関しては、1990年代以降、寿司種として全国的に普及し、回転寿司でも見かけるようになった。

脚注

注釈

  1. ^ これは内湾性のシオフキとバカガイの幼貝の区別でも同様で、通常色彩の無いものがシオフキ、彩色されるのがバカガイ。

出典

  1. ^ a b アイヌ語地名リスト ヒラタ~ホロナ P111-120”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2018年1月3日閲覧。
  2. ^ 青森のホッキガイ(ウバガイ)”. 全国漁業協同組合連合会. 2018年7月3日閲覧。
  3. ^ ホッキ貝の天敵「カシパン」 苫小牧沖の海底に多数生息-東海大・櫻井教授が調査”. 苫小牧民報 (2018年6月28日). 2018年7月3日閲覧。