3モードフロッピーディスクドライブ

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2種類のフロッピーディスクフォーマットで供給されたMicrosoft Office 4.3 日本語版のセットアップディスク

3モードフロッピーディスクドライブとは、通常、3種類のフォーマットにアクセスできるフロッピーディスクドライブのことである。

世界的には3.5インチで、2DD(720KB)、2HD(1.44MB)、2ED(2.88MB)の3つのフォーマットにアクセスできるものが一般的であるが、日本では同じ3.5インチで、2DD(720KB)、2HD(1.23MB)、2HD(1.44MB)の3つのフォーマットにアクセスできるものを指す。

概要[編集]

日本における「3モードフロッピーディスクドライブ」とは通常、720KB(2DD)と1.23MB(2HD)[1]、1.44MB(2HD)の3つのディスクへのアクセスモードを持つ、3.5インチのフロッピーディスクドライブのことである。この内、1.44MBフォーマットは、IBM PS/2および以後のPC/AT互換機で主流となった、2HDフロッピーディスクのフォーマット方式である。また、1.23MBフォーマットは、日本のコンピュータメーカーがPC-9800シリーズNEC)、FMRシリーズFM TOWNS富士通)、2020・B16/B32(日立)、X68000シャープ)などのパソコンで主に採用していた、2HDフロッピーディスクのフォーマット方式である。

ただし、PC/AT互換機にとっての3モードとPC-9800シリーズにとっての3モードは歴史的意味と2DDモードでの回転速度が違う。PC/AT互換機にとっての3モードは、720KBの2DDと1.44MBの2HDを毎分300回転(以下、300rpmと表記)で回転させ読み書き出来る2モードのドライブを拡張し、360rpmで回転させる1.23MBの2HDも読み書き出来るように設計を施したものである。それに対して、PC-9800シリーズにとっての3モードとは、720KBの2DDと1.23MBの2HDを360rpmで回転させ読み書き出来る2モード(5.25インチと同様の動作)のドライブを拡張し、300rpmで回転させる1.44MBの2HDも読み書き出来るように設計を施したものである。そのため、両者は1.44MB(300rpm)と1.23MB(360rpm)の2HDはそれぞれ回転速度が同じであるが、2DDモードでの回転速度が異なるのである。

3モードアクセスを成り立たせる3階層[編集]

3モードアクセスは大きく分けて以下の三階層によって成り立つ。

  • 上位層 - FDに3モードアクセスを行うアプリケーション(Windowsのエクスプローラ、ディスクコンバートソフト等)
  • 中位層 - 3モード動作をサポートしたデバイスドライバ(国産メーカー製PC付属ドライバ等)
  • 下位層(ハードウェア)- 3モード動作可能なフロッピーディスクコントローラおよびフロッピーディスクドライブ。
    • フロッピーディスクコントローラは、フロッピーディスクドライブがパソコンに内蔵されている場合はメインボードに搭載されている場合が多い。USB接続のフロッピーディスクドライブではドライブに内蔵されている。

上位層は下位層の状態に依存する。ドライブ装置、デバイスドライバが3モード対応であっても、アプリケーションが完全に対応していない場合がある。

Windows 2000のエクスプローラは、3モード対応のドライブがあって、かつ、3モード対応のドライバがインストールされていれば、PC-98の1.23MBのディスクを読み書きフォーマット全て出来る。しかしながら、Windows XPのエクスプローラは、3モード対応のドライブがあり、3モード対応のドライバがインストールされていても、PC-98の1.23MBのディスクに対しては読み書きは行えるものの、フォーマットが出来ない[2]

Windowsと3モード[編集]

ここではWindowsにおけるフロッピーディスクドライブの3モード動作について述べる。

  • Windows XPの標準ドライバでエクスプローラからアクセスした場合
    1. 2DD形式(640KB) - アクセス不能。
    2. 2DD形式(720KB) - 右側の穴がふさがれたディスクのみ、読み書き可能。フォーマット不能。
    3. 2HC形式(1.21MB) - アクセス不能。
    4. 2HD形式(1.23MB) - アクセス不能。
    5. 2HD形式(1.44MB) - 読み書きフォーマット可能。
    6. 2HD形式(IBM形式) - アクセス不能。
    • ただし、MPF82E(中身はSONY MPF820U)やFD-05PUB(中身はTEAC FD-005U)を使うと、2HC形式(1.21MB)や2HD形式(1.23MB)でフォーマットされているメディアでも読み書きできるようである。特に、FD-05PUBは3モード対応であることをメーカーが明記している。
    • なおWindows XPでの2DD(720KB)のフォーマットは、GUIではサポートされていないが、コマンドラインからのformatコマンドでは可能(コマンド例は「format A: /FS:FAT /T:80 /N:9」)。
  • PCメーカー製3モードドライバにて、エクスプローラからアクセスした場合
    • FD装置が3モード対応である場合のみ
    1. 2DD形式(640KB) - アクセス不能。
    2. 2DD形式(720KB) - 右側の穴がふさがれたディスクのみで読み書き可能。フォーマット不能。
    3. 2HC形式(1.21MB) - 読み書き可能。フォーマット不能。
    4. 2HD形式(1.23MB) - 読み書き可能。フォーマット不能。
    5. 2HD形式(1.44MB) - 読み書きフォーマット可能。
    6. 2HD形式(IBM形式) - アクセス不能。
  • PCメーカー製3モードドライバにフィルタドライバを被せて、アプリケーションソフト独自のディスクアクセス機能を利用した場合
    • FD装置が3モード対応でFMアクセス可能である場合のみ
    1. 2DD形式(640KB) - 読み書きフォーマット可能。
    2. 2DD形式(720KB) - 読み書きフォーマット可能。
    3. 2HC形式(1.21MB) - 読み書きフォーマット可能。
    4. 2HD形式(1.23MB) - 読み書きフォーマット可能。
    5. 2HD形式(1.44MB) - 読み書きフォーマット可能。
    6. 2HD形式(IBM形式) - 読み書きフォーマット可能。
  • Windows2000でPCメーカー製3モードドライバを用いて、エクスプローラからアクセスした場合
    • FD装置が3モード対応である場合のみ
    1. 2DD形式(640KB) - アクセス不能。
    2. 2DD形式(720KB) - 読み書きフォーマット可能。
    3. 2HC形式(1.21MB) - 読み書きフォーマット可能。
    4. 2HD形式(1.23MB) - 読み書きフォーマット可能。
    5. 2HD形式(1.44MB) - 読み書きフォーマット可能。
    6. 2HD形式(IBM形式) - アクセス不能。

PCメーカーの対応[編集]

日本IBMが日本市場向けに展開していたPS/55は、もともとPS/2と同様に720KBと1.44MBのフォーマットのみをサポートしていたが、1990年に発売されたPS/55Z モデル5530 (5530-S4*, SJ*) で1.23MBフォーマットの読み書きに対応した。

NECのPC-9800シリーズでは720KBと1.2MBのフォーマットのみをサポートしていたが、1993年1月に発売されたモデルより1.44MBフォーマットに対応した[3][4]

その他、デルヒューレット・パッカード等の世界的に展開しているメーカーにおいても、日本で独自に使われていた1.23MBフォーマットを読めるように3モードFDDと3モードFDDドライバを提供していたが、2000年代中期に入るとFDDそのものがレガシーデバイスとなり[5]、使われなくなっていった。

脚注[編集]

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  1. ^ J-3100シリーズ・初期のDynaBook東芝)が採用していた1.21MB(2HD)を含める場合もある
  2. ^ 製品情報 FD-2USB”. バッファロー. 2019年5月8日閲覧。
  3. ^ 小高, 輝真 (1997年9月26日). “小高輝真の「いまどきの98」 : PC-9800からPC98-NXへ” (Japanese). Impress PC Watch. 2019年3月16日閲覧。
  4. ^ 3.5インチフロッピィディスクドライブが標準でついている機種のうち、1.44MBを読めない機種とそれがいつからいつまで発売されていたかをを教えてください。”. NECパソコンインフォメーションセンター. 1997年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月8日閲覧。
  5. ^ Floppy disks ejected as demand slumps”. The Daily Telegraph (2007年1月30日). 2019年5月8日閲覧。

関連項目[編集]