コマンドラインインタプリタ

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bashのスクリーンショット

コマンドラインインタプリタ (command line interpreter) は、コンピュータのコマンドライン、すなわち、ユーザによりキーボードなどから入力される文字列の行(ライン)のコマンドを解釈[1]し、オペレーティングシステム(以下、OS)やプログラミング言語処理系などに渡す、コマンドラインインタフェースであり、キャラクタユーザインタフェースを構成する要素である。OSの標準ユーティリティとしてはコマンドラインシェルがあり、いくつかのプログラミング言語処理系が持つそれに関してはen:Read–eval–print loopも参照。

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ユーザインタフェースとしてのコマンドライン[編集]

コマンドラインインタプリタによって実現されるユーザインタフェース (「コマンドラインインタフェース」、CLI) は、有効で簡潔なたくさんのコマンドを発行する環境をユーザに提供する。一方でこの環境は、コマンドやそのパラメータの内容や、それらの構文を覚えることを(多かれ少なかれ)ユーザに要求する。

1963年のSketchpadなど研究室レベルの成果などがあるので「キャラクタユーザインタフェース(CUI)が先にあり、グラフィカルユーザインタフェース (GUI) が後から生まれた」というような「定向進化論」的な見方は(非常に良く見られるが[2])ほぼ誤りではあるものの、ウィンドウなど一般的な操作系としてのGUIの発展は1970年代であり、それが個人が容易に購える安価な市販製品として流通するには1980年代から1990年代のパーソナルコンピュータ市場の拡大を待たねばならなかったわけであり、それ以前には[3]、もっぱらCUIベースのコマンドラインインタフェースが、コンピュータのコンピュータらしい使用のための唯一の(たとえば、自動販売機にコンピュータが内蔵されていても、それを使用する購買者が「コンピュータを使って」いるとは言えない)インタフェースであった。

その後GUIも発達したが、Unix系環境におけるコマンドラインシェルや、NT系以降のWindowsにおけるcmd.exe(なぜかアイコンに付けられているキャプションが「コマンドプロンプト」だが)など、GUI経由の操作では煩雑になり過ぎる指示や作業を簡潔に効率良く行うためのインタフェースとして、GUIと相互に補完する関係にあり、必要に応じて使い分けるという住み分けになっている。

また、シスコシステムズなどのルーターの操作インタフェースとしては GUI も提供されているものの、大半のユーザは CLI を使用している。3D CADソフトウェアのひとつRhinoceros 3Dでも、アイコンによるGUIやプルダウンメニューに加えコマンドラインが用意されている。

スクリプト言語[編集]

多くのコマンドラインインタプリタは、1個の動詞的な語による表現から成るような、単純な命令だけではなく、条件分岐による繰返し等に代表されるある種の制御構造などといった、スクリプト言語的機能も持ち合わせていて、特に操作者にとって苦痛となる単純な繰り返し作業などを軽減できることが多い。またシェルにおけるシェルスクリプトのように、外部ファイルにまとめて記述されたコマンドを実行できるコマンドラインインタプリタもある。

あるいは逆に、多くのスクリプト言語の処理系は、ソースコードが書かれたファイルを指定して実行するだけではなく、内蔵の、あるいは外付けのコマンドラインインタプリタを持っている。(例えばPythonの場合、CPythonは何もコマンドライン引数を付けずに起動すると内蔵の簡易なコマンドラインインタプリタが入出力するモードになる他、外付けのIPythonがある。一方、Rubyの場合は、CRuby(en:Ruby MRI)は内蔵のコマンドラインインタフェースを持たず、標準添付のirbコマンド(en:Interactive Ruby Shell)が標準のコマンドラインインタプリタで、より強化された環境としてはPry(en:Pry (software))がある)

BASIC(本来のBASICであるダートマスBASICでは少し異なるのだが)のように、言語自体がコマンドラインインタプリタからのコマンドで操作されるよう設計されている場合もある(たとえば、行番号を前提とした構文は、入力の先頭にあるトークンが整数として解釈できればプログラムの入力であると判断する、などといったように、テレタイプ機を入出力装置として利用していた時代に便利なように設計されたことを反映している)。

LISPなどの一部の言語では、入力された文字列を構文解析してプログラムの構造を読み込むことができる「read」、それを評価する「eval」、評価結果を(値を)文字列として出力する「print」、といったルーチンがユーザに公開されているので、それらを組み合わせて繰り返す(loop)ことで簡単に簡易コマンドラインインタプリタを作ることができる。それを read–eval–print loop(en:Read–eval–print loop)、略してREPLという(実際には例外処理やデバッグ支援など多くの機能が追加されていることが専らだが)。

IBMのREXXのように、他の言語を入力中に含ませられるようなフレームワークを持っているものもある。

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  1. ^ ここの動詞 interpret を「通訳」とするのは誤訳で、解釈とするのが適切。
  2. ^ ロクに歴史を調べずに書かれたと思われる入門書などに
  3. ^ 個人が所有するには高価過ぎるシロモノだった時代のワークステーションと、パーソナルコンピュータとの間などには、5年~10年程度の「時差」が以前は存在したことなどにも注意が必要である。