IBM PC DOS

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PC DOS (IBM DOS)
開発者 IBMマイクロソフト
OSの系統 MS-DOS
開発状況 歴史上のオペレーティングシステム
ソースモデル クローズドソース
最新安定版リリース PC DOS 2000 / 1998年
既定のユーザインタフェース コマンドラインインターフェース
ライセンス プロプライエタリ
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IBM PC DOSThe IBM Personal Computer Disk Operating System)は、IBMが1980年代から2000年代初めにかけて供給していた、IBM PC 向けの「IBM公式版」MS-DOSである。元々はマイクロソフトMS-DOSに、OEMでIBMブランドを付けたものであったが、徐々にIBMの開発による独自の部分が増えていった(システムファイルの名前等)。

歴史[編集]

IBM でパーソナルコンピュータ (PC) を開発するために集まったタスクフォースは、オペレーティングシステムを含む重要なコンポーネントを社外から導入することを決めた。全てを社内で開発するというIBMの伝統を打ち破ったこの方針は、後知恵として見れば、IBM PCが業界標準となり、次いでIBM自身の手から主導権が喪失したそもそもの原因となった重大な決定である。しかし、この決断は時間を節約する必要性から仕方なくなされたものだった。オペレーティングシステムの導入元としてマイクロソフトが選ばれた。IBM はマイクロソフトが開発したソフトウェアについてはマイクロソフトが所有権を保持すべきだと考え、若干の示唆を与える以外にマイクロソフトを助けるつもりもなかった。タスクフォースの一員だったジャック・サムズは「その理由は (IBM) 社内にあった。我々はある人々に彼らの所有物を盗んだとして訴えられるという問題を抱えていた。こちらのプログラマが他者のソースコードを見た場合、そのプログラマが IBM に戻ってきてそのソースコードを利用して儲けたと言われる可能性があり、結局非常に高くつくかもしれないと恐れた。我々はそのような一連の訴訟で負けており、他社が所有する製品の開発にIBMが手を貸すということをしたくなかった。だから我々はマイクロソフトに行き、彼らが自らの製品として開発してほしいという立場を明らかにした」と述べている。IBMは1980年7月に初めてマイクロソフトに接触し、調査した。翌月も交渉が続き、最終的に契約が結ばれたのは11月初めのことである。マイクロソフト社内の文献によれば、DOSの最初のバージョンはIBMに15,000ドルでライセンス供与された。マイクロソフトはライセンスの一部としてロイヤルティも受け取ったが、ロイヤルティの合意事項はいつも厳重に守られた秘密だった[1]

マイクロソフトはシアトル・コンピュータ・プロダクツ (SCP) から86-DOSを当初はライセンス供与を受け、後に買い取った。それをマイクロソフトの従業員ボブ・オレアがSCP従業員(後にマイクロソフトに移籍)ティム・パターソンの助けを得てIBM PC向けに改造した。1981年2月、オレアは86-DOSをPCのプロトタイプ機上で動作させることに成功。86-DOSは8インチフロッピーディスクから5.25インチフロッピーディスクに変換され、マイクロソフトの支援を受けてIBMが書いたBIOSと組み合わされた[2]。IBMで要求仕様を書いた人数はマイクロソフトでコードを書いた人数よりも多い。オレアはボカラトンのIBMエントリーシステム部門でやり取りしなければならない人数にしばしば圧倒された。86-DOSはIBM PC DOS 1.0とブランド名変更され、1981年8月にIBM PCと共にリリースされた。1981年末までパターソンは改良に取り組み、それがPC DOS 1.1と呼ばれるようになった。大きな改良点はフロッピーディスクを両面使えるようにした点で、記憶容量が160KBから320KBに倍増した。PC DOS 1.1は1982年3月に完成。その後マイクロソフトのプログラマ達(主なメンバーはポール・アレンマーク・ズビコウスキ、アーロン・レイノルズ)[2]ハードディスクに対応したIBM PC/XT向けにPC DOS 2.0の開発を始めた。最初のPC DOS 1.0がアセンブリ言語で4,000行だったのに対して、2.0は20,000行になっている。2.0は1983年3月に正式発表された。1984年3月、IBM PCjrが登場。PCjrの持つROMカートリッジと若干差異のあったディスクコントローラに対応したPC DOS 2.1が動作した[2]。1984年8月、インテル80286プロセッサを搭載したIBM PC/ATが登場。より大きなハードディスクドライブと高密度のフロッピーディスク (1.2MB) に対応したPC DOS 3.0が動作した[1]

1985年8月、IBMとマイクロソフトは新たに一からオペレーティングシステムを共同で開発する契約を結んだ。当初Advanced DOSアドバンスト・ドスと呼ばれていたが、1987年4月2日、OS/2がその共同開発の最初の成果として発表された[3]。同時にIBMは次世代のパーソナルコンピュータ IBM Personal System/2 をリリースした[1]

1988年7月に出荷されたPC DOS 4.0はIBM社内で試作されたDOS 5をベースにしたものでバグが多く失敗に終った。その機能は後にOS/2に採用された[要出典]

デジタルリサーチDR DOS 5.0をリリースし、マイクロソフトに対抗しようとした。それに対してマイクロソフトはまだ存在しないPC DOS 5.0 (MS-DOS 5.0) を発表し、急ピッチで開発を進めて対抗した。PC DOS 5.0はIBMとマイクロソフトがコード全体を共有した最後のDOSであり、OS/2 2.0にも組み込まれ、後にWindows NTの仮想DOSマシンのベースとなった。

分裂の際の条件に基づき、IBMは自前のDOSを保持できることになり、(権利を買い取って)DOSの開発を続けた。また、OS/2上でWindowsアプリケーションが動作する機能も保持できることになった。マイクロソフトはDOSの範囲を限定し、OEM版ディスケットには「MS-DOS and Additional Tools」とふたつの製品が含まれていることを明示していた。IBMは、独自のエディタや各種ツールを同梱した自前のDOSをリリースした。

最終的な分裂はPC DOS 6.30以降である。PC DOS 6.30はPowerPC版OS/2にも使われた。ボカラトンが閉鎖される前にリリースされた最後のバージョンであるPC DOS 7.0はSAA準拠機能(REXX、IPF方式のヘルプ、unpack2など全てOS/2から導入された機能)を追加し、DOS版の古いツールの大半を削除した。

PC DOS 2000はオースティンで開発された。IBMはPC DOSのコードをサーバのブートディスク用に使い続けている。

マイクロソフトとの決別[編集]

1993年まで、PC DOSはMS-DOSのブランド名を付け替えただけのものだった。MS-DOS 6が同年3月にリリースされ、IBM独自開発のPC DOS 6.1が6月にリリースされ、両社は決別することになった。PC DOSからQBasicが無くなり、エディタも独自のE英語版に置き換えられた。同年12月にはPC DOS 6.3がリリースされている。

1994年11月、PC DOS 7をリリース。プログラミング言語 REXX を追加し、フロッピーディスクの新フォーマット XDF英語版 をサポートし、1.44MBから1.86MBに容量を増やした。

商品としての最後のリリースはPC DOS 2000で組み込みシステム市場などで使われた。PC DOS 7をベースとして、2000年問題に対処している。

その後もFAT32対応などを行った7.1が開発されたが商品としてではなく、保守部品的な位置づけである。

ThinkPad製品では今もレスキュー及びリカバリー・パーティションのためにPC DOSの最新版を搭載している[要出典]

日本語版[編集]

PC DOS (IBM DOS)の日本語版には以下がある。

PC DOS (IBM DOS)の日本語版
英語版(IBM PC版) 日本語版 リリース 種類(通称) 備考
PC DOS 1.0 - - -
PC DOS 2.0 日本語DOS 2.0 1983年 KDOS マルチステーション5550用。
日本語DOS 2.10 1984年10月 KDOS JX用。英語モードはオプションのPC DOS 2.1(英語版)を使用。
PC DOS 3.0 日本語DOS 3.0 KDOS マルチステーション5550用。
IBM DOS 4.0 IBM DOS J4.0 1989年4月 JDOS PS/55用(日本語ディスプレイアダプター搭載モデル用)。コマンドで英語モードに切替可。
IBM DOS J4.0/V 1990年10月 DOS/V 最初のバージョンはJ4.05/V。PC/AT互換機でも稼働。
IBM DOS 5.0 IBM DOS J5.0/V 1991年 DOS/V PC/AT互換機を正式サポート。
IBM DOS J5.0 JDOS PS/55用(日本語ディスプレイアダプター搭載モデル用)。DOS/Vモードも内蔵。JDOSの最終版。
PC DOS 6.1 PC DOS J6.1/V 1993年12月 DOS/V マイクロソフトとの共同開発終了後。V-Textを標準搭載。
PC DOS 6.3 PC DOS J6.3/V 1994年5月 DOS/V
PC DOS 7 PC DOS J7.0/V 1995年8月 DOS/V
PC DOS 2000 PC DOS 2000 日本語版 1998年7月 DOS/V IBM製DOSの最終版。

脚注・出典[編集]

  1. ^ a b c Wallace, J. & Erickson, J. (1992). Hard Drive, John Wiley & Sons. ISBN 0-471-56886-4.
  2. ^ a b c Duncan, Ray (1988). 「The MS-DOS Encyclopedia」Microsoft Press. ISBN 1-55615-049-0.
  3. ^ Michal Necasek (2004年6月24日). “Microsoft Operating System/2 With Windows Presentation Manager Provides Foundation for Next Generation of Personal Computer Industry”. The History of OS/2. 2011年3月4日閲覧。 — a copy of Microsoft's 1987-04-02 press release announcing OS/2

参考文献[編集]

  • IBM Corporation and Microsoft, Inc、「Dos 3.30: User's Guide」、IBM Corporation、1987年、Part number 80X0933.
  • IBM Corporation and Microsoft, Inc、「Dos 3.30: Reference (Abridged)」、IBM Corporation、1987年、Part number 94X9575.
  • IBM Corporation、「Getting Started with Disk Operating System Version 4.00」、IBM Corporation、1988年、Part number 15F1370.
  • IBM Corporation、「Using Disk Operating System Version 4.00」、IBM Corporation、1988年、Part number 15F1371
  • IBM Corporation、「IBM Disk Operating System Version 5.0. User Guide and Reference、IBM Corporation、1991年、Part number 07G4584.
  • IBM Corporation、「PC DOS 7 User's Guide」、IBM、1995年
  • IBM Corporation、「IBM PC DOS and Microsoft Windows User's Guide」インディアナポリス、Que Corporation、1995年、ISBN 0-7897-0276-2.
  • 『IBM DOS バージョン J5.0 ユーザーズ・ガイド』、日本アイ・ビー・エム、1991年、Part number SC18-2493-00
  • 『PC DOS J6.1/V カンタンDOS』、日本アイ・ビー・エム、1993年、Part number SC88-3049-00

外部リンク[編集]