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2011年議会任期固定法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
議会の解散、議会の総選挙の選挙期日の決定等に関する法律[1]
原語名 Fixed-term Parliaments Act 2011
通称・略称 2011年議会任期固定法
国・地域 イギリスの旗 イギリス
日付 2011年9月15日
効力 廃止
主な内容 議会解散権の制約
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2011年議会任期固定法(2011ねんぎかいにんきこていほう、: Fixed-term Parliaments Act 2011)はイギリスの法律2011年9月15日に成立し、2022年議会解散・召集法の成立によって廃止された。イギリスの不成典憲法に含まれる法律の一つであった。

長文題名は「議会の解散、議会の総選挙の選挙期日の決定等に関する法律」(ぎかいのかいさん、ぎかいのそうせんきょのせんきょきじつのけっていとうにかんするほうりつ)(: An Act to make provision about the dissolution of Parliament and the determination of polling days for parliamentary general elections; and for connected purposes.)。

概要

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本法は、従来の庶民院を解散する国王大権(実質的には首相の判断による解散権)を廃止し[2]、庶民院の解散を内閣不信任が決議された場合と庶民院が自ら3分の2以上の多数で解散を決議した場合にのみに限定した。

2019年にはボリス・ジョンソン首相の主導により成立した「2019年12月12日に総選挙を実施する」とした特例法により、本件が定めた要件によらずに議会は解散された。

2022年3月に2022年議会解散・召集法が成立することで、解散に関わる国王大権は本法の制定がなかったのように復活し、議会解散に関係する手続きは従来通りに戻った。

沿革

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本法の制定以前の憲法的習律では、首相の助言をうけて国王(または女王)の宣言により解散されていた(国王大権)。実質的に、首相は自らの判断のみで議会を解散できた。なお、第一次世界大戦の頃までは内閣全体の専権事項とされていたが、その後に先例が誤解され首相の専権事項となったとされる[2]

1715年成立の法律により、「議会は召集されてから7年後にその効力を失う」と規定された。1911年議会法により「議会任期を5年」に短縮された。この規定は第一次世界大戦・第二次世界大戦時に制定された特別法を除いて任期を超えることはなかった[3]。また5年というのは前回総選挙から次回総選挙の間隔ではなく、議会任期の期間である。例えば、1992年4月9日に行われた1992年の総選挙次の総選挙は5年22日後の1997年5月1日に実施され、2010年の総選挙は、2005年の総選挙の5年1日後に行われている 。

国王大権による解散は歴史上、政治的な論争となった[2]。1974年にハング・パーラメントとなって首相が解散を請求した場合など、選挙と選挙との期間が近接している場合には解散の正当性が議論された。1990年頃からは首相が政権与党に有利なタイミングを選んで解散することへのの批判も見られるようになった[2][4]

こうした国王大権への批判から、2010年イギリス総選挙において労働党自由民主党は議会任期を固定することを、保守党は国王大権の民主的コントロールを政権公約とした[2]。総選挙後、自由民主党は保守党と連立する前提として解散権の制限を求めた。これは、保守党出身の首相が連立政権を解消して議会を解散することを防ぐ意図があったともされる。結局、任期固定法の制定に合意がなされたため、連立内閣(第1次キャメロン内閣)成立後に本法が成立した[2][4]。これにより、国王大権・実質的な首相の解散権がが廃止された。

2019年イギリス総選挙において保守党は、欧州連合離脱などを争点とした他、本法が国政に麻痺をもたらしたとして本法の廃止も公約とした[5][6]。保守党は選挙に勝利し、2020年2月には本法を廃止して実質的にそれ以前の状況に戻す法案が、議員により貴族院に提出された。しかし、この法案の第二読会は実施されなかった[7]

2020年12月1日にイギリス政府は、議会任期固定法を廃止して、従前のように首相の判断で解散できるようにすることを目的とする法案を公表した[8][9]。法案の序文には「議会任期固定法は議会のまひを引き起こした。必要な選挙の実施を困難にして、民主主義の機能を妨げた」と記載されている[9]2021年5月11日女王スピーチにて、この法律を廃止し、解散権を首相に返すことを目指す法案が正式に発表された。この法案は、最終的に上下両院で可決の後、女王裁可を経て「2022年議会解散・召集法」として成立した[10][11][12]

状況

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本法第1条の定める日に開催の選挙

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2015年5月7日に総選挙が実施された。

本法第1条の定める日以外の日程で開催の選挙

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2017年総選挙

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2017年6月8日に総選挙が実施された。テリーザ・メイ首相による議会解散の提案を受け、議会下院が解散総選挙の早期実施について採決した結果、賛成522、反対13で、これを承認したことから実施された。

2019年総選挙

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ボリス・ジョンソン首相が議会に提出した、2019年12月12日に総選挙を実施するとした特例法案が、上下両院で可決後、エリザベス2世の裁可を経て成立した[13]

なお、ジョンソン首相は上記以前に下院の三分の二の多数で解散を決議しようと提案したものの、3回失敗していた。

脚注

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  1. イギリスの2011年議会任期固定法 - 国立国会図書館
  2. 1 2 3 4 5 6 小松浩「イギリス連立政権と解散権制限立法の成立」『立命館法学』第341巻、立命館大学法学会、2012年1月、1-19頁、CRID 1390009224877656320doi:10.34382/00006785hdl:10367/3573ISSN 0483-1330NAID 110009523714
  3. Anthony Wilfred Bradley, Keith D. Ewing (2006). Constitutional and Administrative Law. Pearson Education. pp. 187–189. ISBN 1-4058-1207-9
  4. 1 2 木村草太「解散権の制限を議論すべき」、現代ビジネス、2016年7月2日
  5. Get Brexit Done: the Conservative and Unionist Party Manifesto 2019”. 保守党. p. 48. 2020年5月30日閲覧。
  6. 解散権制約の落とし穴 英国EU離脱の教訓から考察する:調査研究 読売新聞オンライン 2020年11月1日公開
  7. Fixed-term Parliaments Act 2011 (Repeal) Bill [HL] 2019-20 (HL Bill 86)”. services.parliament.uk. 2020年5月30日閲覧。
  8. 英首相の下院解散権の制限廃止、法案を公表…ジョンソン氏の求心力高める狙い 読売新聞 2020年12月3日公開
  9. 1 2 英、首相の解散制約廃止へ 日本の改憲論議に波及 日本経済新聞 2020年12月2日公開
  10. Dissolution and Calling of Parliament Bill - Parliamentary Bills - UK Parliament (英語). bills.parliament.uk. 2021年10月16日閲覧。
  11. “Queen's Speech 2021: Key points at-a-glance” (英語). BBC News. (2021年5月11日) 2021年10月16日閲覧。
  12. 英首相の解散権、制限廃止が成立 「EU離脱で混乱」教訓”. 2022年3月26日閲覧。
  13. 英女王、12月12日の総選挙を裁可 - 日本経済新聞、2019年11月1日配信

外部リンク

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