西方の人

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西方の人
作者 芥川龍之介
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 随筆評論
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出改造1927年8月号
出版元 改造社
刊本情報
出版元 岩波書店
出版年月日 1929年12月
装画 小穴隆一
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西方の人』(せいほうのひと、さいほうのひと)は、芥川龍之介随筆エッセイ)、評論。1927年8月、雑誌『改造』に初出。1927年7月10日に書き上げられ、「続」と銘打たれた『続西方の人』(『改造』1927年9月)は、自殺前夜に脱稿された。

読み方には「せいほうのひと」、「さいほうのひと」の両説がある(青空文庫では後者を採っている)。

内容[編集]

芥川が自裁を前にしてクリスト(キリスト)の一生を自身の一生となぞらえ、あるいは対置しながら描いたものとされる。新約聖書福音書、特にマタイ福音書をベースに、項目を拾い出し、37の短い章が立てられている。「西方の人」が語られる時は、必然的に「作者の死」と深く関わってくる。「作者の自画像=クリスト」なのか、あるいは「クリストと作者の距離」があるのかという議論が繰り返されてきた。芥川の作品の中でも特に論評が多い作品である。[1]

また、作品の末尾に描かれるクリストの最後を表現した「折れた梯子」が、「天上から地上へ登る」と形容されている事から、生への希求が表現されていると主張する一派が生まれた。「地上から天上へ登る」の誤記ではないかとする人たちとの論争は、平行線のまま解消されていない。最近は当時の言説全体からの位置づけなどが課題になっている。

脚注[編集]

  1. ^ 『芥川龍之介必携』学燈社 1981年

外部リンク[編集]