蔵本由紀

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蔵本 由紀(くらもと よしき、男性、1940年 - )は、日本物理学者京都大学数理解析研究所客員教授。京都大学名誉教授理学博士(京都大学、1970年)。

人物[編集]

専門は非線形動力学(非線形科学)、非平衡統計力学。特にリミットサイクル振動子の作るネットワークダイナミクス。業績として、振動場の位相不安定性を記述した蔵本-Sivashinsky方程式を導出したことがある。これは時空カオスの最初の例である。もう1つの業績として、振動子集団の可解模型(現在では蔵本モデルと呼ばれる)を提唱したことがある。その他、反応拡散系における複素ギンツブルグ-ランダウ方程式の導出、結合振動子系における引き込み現象の研究などの業績がある。

冨田和久森肇の弟子に当たる。元々は相転移の統計力学を研究していたが、散逸構造論でノーベル賞を受賞したプリゴジンらの研究に対する疑問から、非線形動力学の研究を始めた。

著書の"Chemical Oscillations, Waves, and Turbulence"は非線形動力学の分野でもっとも引用される文献の1つで、「出版部数より引用件数のほうが多い」などと言われている。

略歴[編集]

主な著作[編集]

  • Chemical Oscillations, Waves, and Turbulence Springer-Verlag, 1984(2003年にDover publicationsより再版)
  • 『岩波講座 物理の世界 統計力学 1 ミクロとマクロをつなぐ—熱・統計力学の考え方』(岩波書店、2002)
  • 『新しい自然学—非線形科学の可能性』(岩波書店、2003) ちくま学芸文庫、2016
  • 『非線形科学』(集英社新書、2007)
  • 『非線形科学同期する世界』集英社新書 2014

共著[編集]

  • 『パターン形成』山田道夫,篠本滋,川崎恭治,甲斐昌一共著 朝倉書店 1991
  • 『岩波講座現代の物理学 第15巻 散逸構造とカオス』森肇共著 岩波書店 1994
  • Dissipative Structures and Chaos 森肇共著; translated by Glenn C. Paquette. Springer c1998.
  • 『リズム現象の世界』編 東京大学出版会 非線形・非平衡現象の数理 2005
  • 『同期現象の数理 位相記述によるアプローチ』河村洋史共著 培風館 非線形科学シリーズ 2010

脚注[編集]

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  1. ^ 朝日賞:過去の受賞者”. 朝日新聞. 2009年11月7日閲覧。

外部リンク[編集]