自画像 (ゴッホ)

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本項ではオランダの画家、フィンセント・ファン・ゴッホの自画像について述べる。

ファン・ゴッホは10年ほどの画業の中で、パリに移住して以降約37点の自画像を描き残した。これは、彼がモデルを雇う金がなかったため、手っ取り早く自身を描くことにしたというものと、まず自画像を描くことで他人をモデルにした肖像画を上手く描けるようになるための習作としたという理由が考えられている。また、パリ移住以前の自画像がないのは、像が映るほどの大きさの鏡を持っていなかったためとされている。

パリ[編集]

ファン・ゴッホが描いた自画像のうち、現存するもっとも古いものは1886年に描かれた。また、パリ時代に最も多くの自画像が描かれた。

アルル[編集]

サン=レミ=ド=プロヴァンス[編集]

サン=レミ=ド=プロヴァンスで仕上げられた自画像では、画家の頭部はすべて左側、つまり耳が切断されていない側から描かれている。

オーヴェル=シュル=オワーズ[編集]

人生最後の数週間、ファン・ゴッホはオーヴェル=シュル=オワーズでは自画像を描かなかった。

真贋[編集]

『耳を失くした自画像 à l'oreille mutilé』 1889年?(F 528)
カンバスに油彩、40 × 31 cm、オスロ国立美術館

ゴッホのカタログ・レゾネ(類型別全作品目録)を出版した当時から、ジャコブ・バート・ド・ラ・ファイユは、真贋の怪しい絵が含まれていたことを認めている。1930年ド・ラ・ファイユは、それまでに排除した100点以外にも、自身がカタログ・レゾネに掲載していた作品のうち、およそ30余りの絵の信頼性を否定した。彼が信頼性を否定した絵画は、『自画像』や『ひまわり (絵画)』などが突出して多かった。1970年、ド・ラ・ファイユの死後、原稿を管理する編集者は、それらの『自画像』が偽物であると看破したが[38] 、すべての論争を解決できたわけではなかった。少なくとも1つは次のようなものである。

一方2枚目の『自画像』は、その信憑性に疑いがもたれている。

  • 『耳を切った自画像』は1910年にオスロ国立美術館が購入したが、この作品について、近年の学者、数十年来の技術研究者などは、全員一致でファン・ゴッホの真作ではないと考えている。その出自を研究していたスタッフは、正反対の考え「 pro domo 」を持っている。議論は進行中である。

テオの肖像[編集]

テオの肖像

パリ時代の1887年4月に描かれたとされる自画像のうちの一枚は、2011年にファン・ゴッホ美術館の調査により、ファン・ゴッホの弟テオを描いたものであると断定されている。

ゴッホの写真[編集]

ファン・ゴッホの肖像であるという説のある写真

ファン・ゴッホの肖像写真はオランダ時代のものしか残っていないが、1990年代始め、パリに移り住んだ1886年頃に彼を写したものではないかと推定される写真が発見されている[41]

参照[編集]

ファン・ゴッホの描いた自画像はかなりの枚数に上る。識別のため、ジャコブ・バート・ド・ラ・ファイユのカタログ・レゾネ(類型別全作品目録)(1928 & 1970) (F) やヤン・フルスカーによる改定版(1978年、1989年修正) (JH)の数字を参照している。

脚注[編集]

  1. ^ 紙に鉛筆、31.5 × 24.5 cm、ファン・ゴッホ美術館
  2. ^ ファン・ゴッホ美術館蔵
  3. ^ ファン・ゴッホ美術館蔵
  4. ^ ファン・ゴッホ美術館蔵
  5. ^ ファン・ゴッホ美術館蔵
  6. ^ ハーグ市立美術館
  7. ^ ワズワース・アセニウム
  8. ^ ファン・ゴッホ美術館
  9. ^ ファン・ゴッホ美術館蔵
  10. ^ クレラー・ミュラー美術館
  11. ^ 厚紙に油彩、41 x 32 cm、アムステルダム国立美術館
  12. ^ ゴッホ美術館蔵
  13. ^ 厚紙に油彩、19 × 14 cm、ファン・ゴッホ美術館蔵
  14. ^ 厚紙に油彩、42 × 33.7 cm、シカゴ美術館
  15. ^ ファン・ゴッホ美術館蔵
  16. ^ ファン・ゴッホ美術館蔵
  17. ^ 厚紙に油彩、24.9 × 26.7 cm、デトロイト美術館
  18. ^ メトロポリタン美術館
  19. ^ ファン・ゴッホ美術館蔵
  20. ^ ファン・ゴッホ美術館蔵
  21. ^ ファン・ゴッホ美術館蔵
  22. ^ ファン・ゴッホ美術館蔵
  23. ^ 厚紙に油彩、42 × 31 cm、ファン・ゴッホ美術館蔵
  24. ^ キャンバスに油彩、47 × 35 cm、オルセー美術館
  25. ^ バーゼル市立美術館蔵(エミリー・ドレイファス財団より寄託)
  26. ^ キャンバスに油彩、44 × 37.5 cm、ファン・ゴッホ美術館蔵
  27. ^ オーストリア・ギャラリー
  28. ^ Foundation E.G. Bührle Collection
  29. ^ キャンバスに油彩、65 × 50.5 cm、ゴッホ美術館蔵
  30. ^ カンバスに油彩、48 × 44 cm、第二次世界大戦で焼失(カイザー・フリードリヒ・ムゼウム旧蔵)。モンマジュールへ行く途中のゴッホが描かれている。
  31. ^ カンバスに油彩、62 × 52 cm、フォッグ美術館蔵。
  32. ^ 個人蔵
  33. ^ カンバスに油彩、51 × 45 cm、個人像
  34. ^ カンバスに油彩、60 × 49 cm、コートールド・ギャラリー
  35. ^ カンバスに油彩、57 × 43,5 cm、ナショナル・ギャラリー
  36. ^ カンバスに油彩、65 × 54 cm、オルセー美術館
  37. ^ カンバスに油彩、40 × 31 cm、個人蔵。ファン・ゴッホは髭を剃った直後に本作を描いた。この作品は最も高価な価格がついた絵画の1つで、1998年にニューヨークにて7150万ドルで売却された。当時これは史上3番目に高価(インフレーションを考慮すると4番目)な売却価格であった。
  38. ^ ド・ラ・ファイユ 1970年
  39. ^ (英語版ウィキペディアによる表現、フランス語で『浮世絵の自画像』の意。『耳を切った自画像』のことか?)
  40. ^ ド・ラ・ファイユ 1970年、no. 476a: 『ろうそくの習作 étude à la bougie 』
  41. ^ https://www.theguardian.com/world/2004/feb/24/arts.highereducation

参考文献[編集]

  • Hammacher, A. M.: Van Gogh: Selbstbildnisse, Philipp Reclam jun., Stuttgart 1960; 2nd edition 1970
  • Van Lindert, Juleke, & Van Uitert, Evert: Een eigentijdse expressie: Vincent van Gogh en zijn portretten, Meulenhoff/Landshoff, Amsterdam 1990 ISBN 90-290-8350-6
  • Dorn, Roland: Vincent, portraitiste: Bemerkungen zu ein paar heissen Eisen, in: Lukas Gloor, ed.: Van Gogh echt falsch: Zwei Selbstbildnisse der Sammlung Emil Bührle, Zürich 2005, pp. 7 - 21