琉球エキスプレス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
琉球エキスプレス
六甲船客ターミナルに接岸中の「琉球エキスプレス」
基本情報
船種 フェリー
船籍 日本の旗 日本(2003-2017)
大韓民国の旗 韓国(2017-)
所有者 鉄道建設・運輸施設整備支援機構
マルエーフェリー(2003-2017)
運用者 マルエーフェリー(2003-2017)
南海高速(2017-)
建造所 ヤマニシ(1028番船)
母港 名瀬(2003-2017)
航行区域 近海(非国際)
船級 JG
信号符字 JM6696(無線局免許状情報
IMO番号 9291523
MMSI番号 431602153
改名 ARION JEJU(2017-)
経歴
起工 2002年5月
進水 2002年
竣工 2003年
就航 2003年2月
運航終了 2017年10月10日
現況 韓国に売却
要目
総トン数 6,266 トン
全長 145.62 m
垂線間長 137.84 m[1]
全幅 22.00 m[1]
型深さ 14.25 m[1]
満載喫水 7.67 m[1]
機関方式 ディーゼル
主機関 2機
推進器 2軸2舵
出力 13,230 kW(18,000 PS)[1]
航海速力 21.0ノット
旅客定員 240名
乗組員 23名
積載能力 10ftコンテナ92個
車両搭載数 トラック94台、乗用車72台
テンプレートを表示

琉球エキスプレス(りゅうきゅうエキスプレス)は、マルエーフェリーが運航していたフェリー

概要[編集]

ニューあかつきの代船としてヤマニシで建造され、2003年2月に阪神 - 沖縄航路に就航した。本船の就航によりニューあかつきは鹿児島航路へ転配された。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の共有建造制度を利用して建造された鉄道・運輸機構との共有船である。

本船は就航から一貫して阪神航路に配船されているが、阪神航路は離島住民の少子高齢化、格安航空会社の新規参入などにより乗船客が減少、将来的な旅客需要も見込めず、早急に航路の収支改善を図る必要があることから、旅客輸送を行わないRORO船による運航への転換が決定され、本船は2017年10月10日に運航を終了。本船の代船として「琉球エキスプレス5」が建造され10月12日より東京航路に就航、阪神航路には従来東京航路に配船されていた「琉球エキスプレス2」が10月11日より就航する[2][3]。その後、本船は韓国に売却され「ARION JEJU」に改名した。

就航航路[編集]

阪神航路

月間6往復から7往復のダイヤで運航される。うち2往復は、徳之島と沖永良部島には寄港しない。与論島は臨時寄港のみで通常は寄港しない。 標準ダイヤでは、下り便は神戸出港が1日目14時、名瀬入港が2日目21時40分、那覇入港が3日目8時30分で所要時間は42時間30分、上り便は那覇出港が1日目16時、名瀬入港が2日目3時30分、神戸入港が3日目10時で所要時間は42時間となっている。

2006年10月までは、宮崎港に寄港していた。

設計[編集]

船首右舷と船尾両弦にランプウェイを装備する。本船はトラック、乗用車のほか、コンテナもロールオン・ロールオフ方式で車両甲板に搭載する。

船内[編集]

旅客定員800名のニューあかつきに対して、本船は240名と旅客定員が3分の1以下に削減された。予約制となっており、繁忙期などに予約が無い場合は乗船できないことがある。長距離航路であるが、レストランは設置されておらず、供食設備は自動販売機(食品・飲料)のみとなっている。

高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)に基づいて作成された鉄道・運輸機構の旅客船バリアフリー設計マニュアルに準拠したバリアフリー高度化船である。通常の船内設備に加えて、高齢者や身障者に対応した客室、多機能トイレ、車いす対応エスカレーター、エレベーターなどのバリアフリー設備を備える。

船室[編集]

船室タイプの一覧
等級 部屋数 定員 設備
デラックス(1等) 2名×2室 4名 ツインベッド、シャワー・トイレ・テレビ付
キャビンA(2等寝台) 4名×2室 8名 2段ベッド4名、洗面台付
6名×3室 18名 2段ベッド4名、和室2名、洗面台付
キャビンB(2等洋室) 8名×5室 40名 2段ベッド8名
キャビン(2等和室) 2室 170名 マット

設備[編集]

パブリックスペース

  • 案内所
  • エントランスホール
  • 展望室

供食・物販設備

  • 自販機コーナー

入浴設備

  • シャワー室

娯楽設備

  • ゲームコーナー

事故・インシデント[編集]

漁船との衝突[編集]

2012年6月18日、4時30分ごろ、名瀬港から大阪南港へ向かって航行していた本船は、大阪湾東部の阪南港阪南2区北防波堤灯台から西北西5.3海里の地点で、阪南港から神戸空港沖の漁場へ向かっていた船びき網漁船住吉丸と衝突した。衝突により琉球エキスプレスは右舷船首部および右舷外板に擦過傷、住吉丸は従船の左舷船首部に割損および漁労設備などに損傷を生じた。事故の主因は、琉球エキスプレスが前方を横切る住吉丸の進路を回避しなかったこと、また、住吉丸の動静監視が不十分で警告を行わず、衝突回避の協力動作をとらなかったことも一因とされた。運航基準では、船長が操船指揮を行わなければならない海域であったが、事故発生時は操船指揮を一等航海士に任せていた[4]

脚注[編集]

  1. ^ “マルエーフェリー 阪神航路のフェリーをRO船にリプレースか 東京航路に続き旅客運航休止へ”. 内航海運新聞 (内航新聞社). (2016年4月4日) 
  2. ^ 一般旅客定期航路事業(阪神航路)の休止について』(プレスリリース)マルエーフェリー株式会社、2017-08-31http://asp2.mg21.jp/webtool/filebbs/upfiles/a-line_20170831090742_a38d_%E9%98%AA%E7%A5%9E%E8%88%AA%E8%B7%AF%EF%BC%88%E4%B8%80%E8%88%AC%E6%97%85%E5%AE%A2%E5%AE%9A%E6%9C%9F%EF%BC%89%E4%BC%91%E6%AD%A2%E3%81%AE%E3%81%94%E6%A1%88%E5%86%85.pdf2017年9月1日閲覧 
  3. ^ 神戸地方海難審判所 (14 March 2013). 平成24年神審第33号 旅客船琉球エキスプレス漁船住吉丸漁船住吉丸衝突事件 (Report). 海難審判所. 2016年2月22日閲覧

外部リンク[編集]