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[[コンピュータRPG]]の元祖のひとつである『[[ウィザードリィ]]』は、『D&D』のコンピュータ上での再現というコンセプトで開発されており、ファイターやクレリック([[神官|僧侶]]、プリースト)等と同様にシーフも移入され、これがコンピュータRPGにシーフが初めて登場する作品となる。だが、シーフはその能力を大きく制限されることとなる。『ウィザードリィ』の初期シリーズでシーフに許されていたのは、わずかに宝箱の罠の種類を判別することと、それを解除することのみであった。戦闘がゲームの中心となるコンピュータRPGにおいて、『D&D』的なシーフの役立つ局面は限られた。それでも、役立つアイテムを手に入れる唯一の手段が宝箱である以上シーフをパーティに組み入れる必要はあり、存在意義を失うことはなかった。
[[コンピュータRPG]]の元祖のひとつである『[[ウィザードリィ]]』は、『D&D』のコンピュータ上での再現というコンセプトで開発されており、ファイターやクレリック([[神官|僧侶]]、プリースト)等と同様にシーフも移入され、これがコンピュータRPGにシーフが初めて登場する作品となる。だが、シーフはその能力を大きく制限されることとなる。『ウィザードリィ』の初期シリーズでシーフに許されていたのは、わずかに宝箱の罠の種類を判別することと、それを解除することのみであった。戦闘がゲームの中心となるコンピュータRPGにおいて、『D&D』的なシーフの役立つ局面は限られた。それでも、役立つアイテムを手に入れる唯一の手段が宝箱である以上シーフをパーティに組み入れる必要はあり、存在意義を失うことはなかった。


『ウィザードリィ』の後のシリーズでは、鍵開けの能力や[[ノンプレイヤーキャラクター|NPC]]から[[スリ]]を働く能力など、本来のシーフの能力を再現する方向で追加がなされている。一方で[[ファイナルファンタジーシリーズ|『ファイナルファンタジー』シリーズ]]をはじめとする日本製コンピュータRPGでは、『[[ファイナルファンタジーV]]』のシーフに「ぬすむ」「ぶんどる」という能力が与えられたのをきっかけに、モンスターからアイテムを奪う能力を個性として強調していくことになる。
『ウィザードリィ』の後のシリーズでは、鍵開けの能力や[[ノンプレイヤーキャラクター|NPC]]から[[スリ]]を働く能力など、本来のシーフの能力を再現する方向で追加がなされている。一方で[[ファイナルファンタジーシリーズ|『ファイナルファンタジー』シリーズ]]をはじめとする日本製コンピュータRPGでは、『[[ファイナルファンタジー]]』のシーフに「ぬすむ」という能力が与えられたのをきっかけに、モンスターからアイテムを奪う能力を個性として強調していくことになる。


==== シーフの上位職業 ====
==== シーフの上位職業 ====

2006年11月7日 (火) 09:55時点における版

シーフThief)とは、本来は「泥棒」「盗人」の意味であるが、この項ではコンピュータゲームに登場する、歴史上の盗賊暗殺者をモデルにしたプレイヤーズ・キャラクターの職業について述べる。

作品内において敵か味方によってイメージが大きく異なるのも特徴で、味方の場合は映画『インディ・ジョーンズ』のような探検家や、石川五右衛門のような義賊をモデルにしており、敵役の場合は『アリババと40人の盗賊』等の中東の盗賊団やマフィア的な暗殺者をモデルにする事が多い。また最近では盗賊と言う響きの悪さからシーフという語を廃し、「~~ハンター(非狩人)」「レンジャー」といった表記をする作品も増えている。最早シーフという言葉は完全に独り歩きしたアンチヒーローの代名詞と言って差し支えなく、本来の意味をやや失っていると言えるだろう。

コンピュータゲームでのシーフの在り方

プレイヤー側の場合

ゲーム上の役割

コンピュータゲームにおけるキャラクタークラス(ゲーム内の役割)としてのシーフの成立は、テーブルトークRPGの元祖である『D&D』までさかのぼる。『D&D』のシーフは、肉体的な能力はファイター(戦士)に及ばず、武装も制限される代わりに、ダンジョン内に仕掛けられたの発見・解除、隠し扉の発見、鍵開け、聞き耳を立ててモンスターの気配を探る、身を隠して背後から敵を襲うといった数々の特殊能力を持っており、危険なダンジョンには欠かせない存在となっている。戦闘ではあまり役に立たないが機転を利かせて立ち回ることのできる、通好みのクラスである。この傾向は、細かい差異は多々あるものの、他の様々なテーブルトークRPGにおおむね受け継がれている。

コンピュータRPGの元祖のひとつである『ウィザードリィ』は、『D&D』のコンピュータ上での再現というコンセプトで開発されており、ファイターやクレリック(僧侶、プリースト)等と同様にシーフも移入され、これがコンピュータRPGにシーフが初めて登場する作品となる。だが、シーフはその能力を大きく制限されることとなる。『ウィザードリィ』の初期シリーズでシーフに許されていたのは、わずかに宝箱の罠の種類を判別することと、それを解除することのみであった。戦闘がゲームの中心となるコンピュータRPGにおいて、『D&D』的なシーフの役立つ局面は限られた。それでも、役立つアイテムを手に入れる唯一の手段が宝箱である以上シーフをパーティに組み入れる必要はあり、存在意義を失うことはなかった。

『ウィザードリィ』の後のシリーズでは、鍵開けの能力やNPCからスリを働く能力など、本来のシーフの能力を再現する方向で追加がなされている。一方で『ファイナルファンタジー』シリーズをはじめとする日本製コンピュータRPGでは、『ファイナルファンタジーⅢ』のシーフに「ぬすむ」という能力が与えられたのをきっかけに、モンスターからアイテムを奪う能力を個性として強調していくことになる。

シーフの上位職業

また、『ウィザードリィ』が確立した要素のひとつに、上位クラスとしての忍者の存在がある。『ウィザードリィ』の忍者は、シーフより精度は落ちるものの罠の発見・解除が可能で、なおかつ重武装もでき、さらに敵の首をはねて一撃で倒すこともできるという万能クラスである。

忍者は初期クラスとしては選択できず、厳しい条件を満たした上でクラスチェンジ(転職)が可能になる。ただし、その条件を無視してクラスチェンジできる秘宝「盗賊の短刀」(Dagger of Thieves)が存在し、これを使用できるのはシーフのみであった。このために、シーフを忍者にクラスチェンジするまでの下積みと見なす攻略方法が一般化した。後に、『ウィザードリィ』を強く意識したコンピュータRPG『ファイナルファンタジー』が登場するが、これに登場するシーフは敵から逃げやすいという特性を持っていたものの、活躍の機会は極めて少なく、実質上忍者になるまでの下積みと化していた。

このようにアジア圏では上記の伝統から忍者やアサシンが上位クラスに選ばれる事が多かったが、北米産オンラインゲームエバークエスト』ではローグ(シーフ)というアーキタイプ(原型職)の上にブリガンドとスワッシュバックラーという上位クラスが存在する。こちらは厳密な意味で別職業である忍者や暗殺者と違い、あくまで略奪者と窃盗犯というシーフのイメージを厳守した互換クラスになっている。

物語上の役割

戦闘をゲームの中心とするコンピュータRPGでは、もっとも活躍する戦士系のキャラクターが主役に据えられることがほとんどで、シーフは個性豊かな脇役の一人として配置されることが多い。だが、コンピュータRPGにおけるストーリーの比重が大きくなるにつれて戦闘における役割分担は明確でなくなる傾向にあり、それに伴いシーフが主役を張る作品も増えつつある。『ファイナルファンタジー』シリーズでは、『VI』で主役級のキャラクターの一人にシーフ系のキャラクターが登場し、『IX』ではシーフが明確な主人公として登場、『X-2』の主人公は怪盗としてシーフと行動し、『XII』の主人公は空賊(架空のシーフ)を目指すスリである。

主人公として登場するシーフの場合、設定上シーフとされていても物語上で盗みを働く事はほとんどなく、アウトロー的なスタンスを取っていることが多い。稀にFPSThief』のように窃盗を目的とする主人公もいるが、その場合は大富豪もしくは悪人を標的とする義賊的側面が付加されることが大半である。

敵の場合

RPGでは雑魚モンスターの一種として扱われる事が多く、ストーリーに絡む場合も噛ませ犬程度の扱いが圧倒的に多い(『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』のカンダタ等)。多くの財宝を持つ盗賊団でありながら、何故か倒された際に落す金品がイベントアイテム以外は質素なのも特徴だ。古来の暗殺者としての訓練を受けたシーフとは違い、崩れの浪人チンピラ程度の能力しかない文字通りの雑魚である事が多いのも特徴である。

シーフの姿

またコンピュータゲームで描かれる女性シーフは北条司の漫画の『キャッツ♥アイ』や安彦良和の『ダーティペア』、『水戸黄門』に登場する暗殺者「お銀」の由美かおるのように不自然に露出が多くなる傾向があるが(代表的な例としてビキニやホットパンツで戦う)、すべて架空のイメージであり歴史上にそのようなシーフはいない。このようなビジュアル傾向はアメコミの影響であるという説もある。1990年代のテーブルトークRPG富士見書房ライトノベルで流行したこの伝統は完全にスタンダードとなり、2000年代に入るとシーフに最も適した種族が「猫耳少女」というトレンドも『ウィザードリィ エクス~無限の学徒~』や『ファイナルファンタジーXI』等に見られる。こういったおたく文化は決してマイノリティというわけではなく、リアルマネートレードを扱った団体『ミスラシーフのギル販売所』でも煽情的に肌を露出した女性シーフがイメージキャラクターに使われるなどステレオタイプ化している。

同じようなRPGコスチュームの例に女戦士のビキニがある。

シーフの性能

武器は短剣で防具は軽装でなければいけないというシーフの宿命

あらゆる作品で攻撃力が低い短剣が得意武器である事が圧倒的に多く、イレギュラーな武器として 「曲刀」「湾刀」「盗賊刀」「投擲武器」といた歴史上の中東盗賊をモチーフにした物も使う。防具は一貫して軽装であり金属製の鎧等を着る事が殆どなく、ゲーム作品内の伝説の装備といった類も装備できない事が多い。そういった設定のため戦闘能力が頭打ちになりやすく、上位職業への転職を余儀なくされる事が多い。

ステータスで伸びるのはすばやさだけのシーフ

RPGでは基本的に職業ごとにステータスの数値の伸びが異なるが、シーフはすばやさに特化している事が圧倒的に多い。そのすばやさについては攻撃の順番が早く攻撃回数も多いタイプと、敵からの攻撃を回避する事に優れている者とに分かれる。だが、ゲームデザインの宿命上、シーフが回避能力で盾役(タンク)になれる事はなく、攻撃能力も武器や力の伸びが戦士等より悪く設定されているため弱い事が殆どだ。上位に役割が被る職業がある場合も弱めに補正がかけられる事が多い。

宝箱開錠や盗む能力があるおかげ二軍で一人だけ使われるシーフ

これは主に『ウィザードリィ』や『ファイナルファンタジーシリーズ』等の特殊能力があるシーフに起こる現象である。貴重な金策である宝箱や敵のアイテムを入手できる能力があるため、戦力としては弱くてもメンバーに入れてもらえるというパターンである。また敵の警戒やドアを開けたりアイテムの改造など、特殊なゲームシステムに関わっている場合はリザーブパーティに入れられる事が多い。

主人公である事で強化補正がかかるシーフ

この場合はシーフという設定を超えて、主人公なので優遇されてしまっているパターンが多い。代表的なのが『ファイナルファンタジーIX』の元盗賊のジタン・トライバルで、生まれが特殊なため変身や超能力が使えたり装備が強力であったりする。そして多くのRPGでも主人公がシーフの場合は最強の武器が用意されている事が多く、装備への制限も特にない事が恒常的だ。これは正にアンチヒーローとしてデザインされた、シーフである必要性が希薄な主人公やシーフ以外の仲間が登場しないゲームにおける例外パターンであると言えよう。

シーフの装備

コンピュータRPGにおけるシーフの装備で主に力が入っているカテゴリーは当然武器であるが、ゲーム中で見られる多彩な武器の数々は、国内に正確な資料が少なかった頃に広まった誤解によって間違った使い方がされている物が多い事も事実だ。

ダガー
最も代表的な武器でありゲームではお約束装備になっているが、本来は補助用でメインの武器ではない。シーフが二刀流で登場する『ファイナルファンタジーIX』等のゲームでは正しい装備の仕方をしている事もあるが、多くのRPGのシーフはダガー一本で戦う。
マインゴーシュ(左手用短剣)
本来は敵の剣を打ち払うための防御用ダガーであるが、多くのRPGは二刀流のシステムを採用してない事が多いためか、メインの武器と誤解されてまま定着してしまっている。
ナイフ
本来は猟に使うハンティングナイフや家事に使う物であり武器ではない。歴史上のシーフもそういった作業のために携帯していただけなのだが、投げナイフやチンピラが愛用している事が多いイメージからシーフの武器になってしまった。
グラディウス
古代ローマにおける一般的な剣の事であり、シーフが装備しているのは間違い。
シャムシールシミター
アラビアの湾刀で史実でも中東のシーフが愛用していた装備である。それでいてゲームでの採用頻度が極めて低いのは、空想の中世ヨーロッパという抽象的なイメージに反するためと思われる。
ククリ
インドのナイフであり、これもゲームでの武器の種類を増やすために安易に採用された名前である。
パタジャマダハルカタール
インドの武器で篭手と同化している短剣。これも中世時代に廃れた武器である。

シーフが登場するゲーム

プレイヤーの職業として登場。宝箱の開錠を主な仕事とする。
店のアイテムを盗む等、文字通り泥棒のロールプレイングができる。
プレイヤーの職業として登場。盗む事と逃げる事をアピールしており、主人公にシーフが多いのも特徴。オンラインゲームであるFFXIでは強化と弱体を繰り返しており、現在は前衛単独での戦闘ポテンシャルはトップクラスに設定されている。
特別なスキルはないが、盗賊という肩書きが物語にしっかり関わるのが特徴。
プレイヤーが勇者のため盗賊は敵であったが、時勢の変化で『VI』以降は味方の職業として「盗賊」が登場した。
またプレイヤーが人の家からアイテムを取る伝統が存在し、主人公も盗賊同然なのでは?という疑問もややある。
シリーズ続編では主人公アドルの相棒として盗賊のドギと盗賊少女のテラが登場。
主人公のゴエモンと相棒のエビス丸が盗賊である。煙管(キセル)で敵を殴るというのが非常に独特。
FFXIでシーフが使用した必殺技をアクションゲーム向けにアレンジしている。実質ただの軽装歩兵。
スカウトアーキタイプというカテゴリーにシーフ系の職業が存在する。同カテゴリーの忍者とは完全に別な珍しい例。
ヒロインのキッドがラジカルドリーマーズという盗賊団に所属する。健康的な肌の露出が激しい、女性シーフのステレオタイプな例。
プレイヤーの職業として盗賊がある。冒険家系の職業で、遺跡・墳墓の盗掘などのほかに海賊行為も領分とする。専門スキルは解錠。
しかし海賊行為自体については他に海賊系職(軍人系)が存在し、それらに比べると限定的な能力にとどまっている。
また、単に活動資金を稼ぐためだけなら、商人系の職業でおとなしく交易しているほうがかえって実入りがよいことが多い。
一匹狼の盗賊ガレットが主人公のFPS。直接戦闘は不得手なため、必然的に隠密行動が主体となる。
一応剣と弓矢も装備しているが、ブラックジャックで敵の後頭部を殴り気絶させるのが基本戦法。
暗闇に紛れて身を隠す能力を持ち、ピッキングスリも得意。

関連項目