「気体定数」の版間の差分

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定義定数
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である(2014[[科学技術データ委員会|CODATA]]推奨値<ref name="CODATA" />)。
である(2014[[科学技術データ委員会|CODATA]]推奨値<ref name="CODATA" />)。


気体定数は、[[ボルツマン定数]] ''k'' の[[アボガドロ定数]] ''N''{{sub|A}} 倍である。したがって、2019年5月20日に施行予定の国際単位系(SI)の改定によって、[[ボルツマン定数]]も[[アボガドロ定数]]も定義定数となるので、気体定数は、 {{gaps|1.380|649|e=−23|u=ジュール毎ケルビン(J·K<sup>−1</sup>)}} ×{{gaps|6.022|140|76|e=23|u=[[モル]](mol<sup>−1</sup>)}} = 正確に 8.314 462 618 153 24 J·K<sup>−1</sup>mol<sup>-1</sup> となる([[新しいSIの定義]])
気体定数は、[[ボルツマン定数]] {{Mvar|k}} の[[アボガドロ定数]] {{Math|''N''{{sub|A}}}} 倍である。したがって、[[2019年]][[5月20日]]に施行予定の国際単位系(SI)の改定([[新しいSIの定義]])によって、[[ボルツマン定数]]も[[アボガドロ定数]]も定義定数となるので、気体定数も定義定数となり {{Math|{{Val|1.380649|e=-23|ul=J/K}} &times; {{Val|6.02214076|e=23|u=[[モル|mol]]<sup>&minus;1</sup>}} {{=}} {{Val|8.31446261815324|u=J·K<sup>&minus;1</sup>·mol<sup>&minus;1</sup>}}}} となる。


== 記号 ==
== 記号 ==
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== 性質 ==
== 性質 ==
* [[定圧モル熱容量|定圧モル比熱]]と[[定積モル熱容量|定積モル比熱]]では前者のほうが大きく、その差は気体定数 ''R'' に等しく、これは[[マイヤーの関係式|マイヤーの法則]]と呼ばれている。
[[定圧モル熱容量|定圧モル比熱]]と[[定積モル熱容量|定積モル比熱]]では前者のほうが大きく、その差は気体定数 {{Mvar|R}} に等しく、これは[[マイヤーの関係式|マイヤーの法則]]と呼ばれている。
* 気体定数は、[[ボルツマン定数]] {{Math|''k''}} と[[アボガドロ定数]] {{Math|''N''{{sub|A}}}} との積に等しく、数式で表せば {{Math|''R'' {{=}} ''k'' ''N''{{sub|A}}}} となる。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2018年5月9日 (水) 06:54時点における版

モル気体定数
molar gas constant
記号 R
8.3144598(48) J K−1 mol−1[1]
相対標準不確かさ 5.7×10−7
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気体定数(きたいていすう、: gas constant[2])は、理想気体状態方程式における係数として導入される物理定数である[3]。理想気体だけでなく、実在気体液体における量を表すときにも用いられる。

気体定数の測定法としては、低圧の領域で状態方程式から計算する方法もあるが、低圧で音速測定を行い、そこから求めるほうが正確に得られる[3]

モル気体定数(モルきたいていすう、: molar gas constant)の値は

である(2014CODATA推奨値[1])。

気体定数は、ボルツマン定数 kアボガドロ定数 NA 倍である。したがって、2019年5月20日に施行予定の国際単位系(SI)の改定(新しいSIの定義)によって、ボルツマン定数アボガドロ定数も定義定数となるので、気体定数も定義定数となり 1.380649×10−23 J/K × 6.02214076×1023 mol−1 = 8.31446261815324 J·K−1·mol−1 となる。

記号

気体定数の記号は通常 R で表される。なお、R の由来は明確ではないが、「定数」を意味する ラテン語: Ratio が由来であるとする説もある[4]

導出

ボイルの法則によれば、一定の温度の下で、体積が圧力に逆比例するので

と表される。さらにシャルルの法則により、一定の圧力の下で体積に比例するように温度を定めることができるので

となる。ここで体積の示量性から質量 m に比例するので係数 K も質量 m に比例し

とすれば、この係数 R(X) は気体の種類Xによって決まる定数であり、これが気体定数である。

物質量 n = m/M(X) を導入すれば

となるが、この R は係数 M(X) を適当に定めることによって、気体の種類に依らない普遍定数とすることができて、これがモル気体定数である。

乾燥空気

地球の大気窒素酸素アルゴン二酸化炭素水蒸気などで構成される。地表付近においては水蒸気を除いて組成がほぼ一定であり、この組成での混合気体は乾燥空気と呼ばれる。乾燥空気の平均モル質量は Md = 28.966 g/mol なので、乾燥空気の気体定数の値は Rd = 287 J/(kg K) である[5][6][7]気象学の分野で単に気体定数と呼ぶときには乾燥空気の気体定数を指すことが多い[7]。なお、水蒸気を含む湿潤空気では、水蒸気の濃度が場所や時間で大きく変化するため、水蒸気を別扱いにして表される[6]

性質

定圧モル比熱定積モル比熱では前者のほうが大きく、その差は気体定数 R に等しく、これはマイヤーの法則と呼ばれている。

脚注

出典

参考文献

  • 文部省日本物理学会編 編『学術用語集<物理学編>』(増訂版)培風館、1990年9月。ASIN 4563021954ISBN 978-4563021955NCID BN05183934OCLC 23241821全国書誌番号:90057219 
  • P. W. Atkins 著、千原秀昭中村亘男 訳『物理化学』 上巻(第6版)、東京化学同人、2001年2月。ASIN 4807905295ISBN 978-4807905294NCID BA50699995OCLC 676196082全国書誌番号:20141197 

関連項目

外部リンク