物質量

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物質量
amount of substance
量記号 n
次元 N
種類 スカラー
SI単位 モル(mol)
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物質量(ぶっしつりょう、英語: amount of substance)とは、物質の量を物理化学の理論に基づいて表す物理量である。 現実の物質は原子、分子、イオン、電子などあるいはこれらの集合体からなる不連続構造をもつ単位粒子から構成されるが、物質量はそれら単位粒子の存在を前提とせずに物質の量だけを表す概念である。熱力学的な状態量として見れば示量性状態量に分類される。量の記号は nN が用いられることが多い。

物質量は国際量体系(ISQ)において基本量に位置付けられる物理量の一つで、次元の記号はサンセリフローマン体の N が推奨されている[1]。ISQに基づく単位系である国際単位系(SI)における単位はモル(mol)である。

物質量は、動力学に基づく量である質量に比例する。物質Xの質量が m であるとき、物質Xの物質量は

n =\frac{m}{M(\text{X})}

で与えられる。ここで係数 M は物質Xの種類によって適当に決められる定数である。 原理的には、物質ごとに係数 M を選ぶことが可能なので、それぞれの物質ごとに異なる物理量として定義することも可能である。 ISQにおいては全ての物質で同じ種類の物理量としている。

化学反応に基づく定義[編集]

ある物質X,Yが関わる化学反応rを考える。 この反応rによる物質Xの物質量の変化が ΔrnX であるときの物質Yの物質量の変化を

\Delta_\text{r} n_\text{Y} =\nu(\text{r},\text{Y},\text{X})\, \Delta_\text{r} n_\text{X}

で表す。定比例の法則から係数 ν は反応rと物質X,Yの種類によって決まる定数である。 この係数 ν が全ての反応と物質に対して簡単な整数比になるように物質量を定めることが可能である。物質X,Yが関わるある反応rで係数 ν を簡単な整数比になるように選べば、同じ物質X,Yが関わる全ての反応でも簡単な整数比となることは倍数比例の法則により保証される。

整数比とする条件だけで物質量を完全に定義することは不可能である。 物質が安定な気体となる場合には、気体反応の法則により、同じ温度圧力の下にある気体の化学反応による体積の変化が簡単な整数比であることから、この体積比で物質量の比を定めることができる。 これは理想気体と見なしてモル気体定数 R が物質に依存しないように物質量を定めていることに相当する。

単位粒子の存在を前提とする定義[編集]

物質が単位粒子により構成されることを前提とする場合には、物質量は粒子の数に比例するように定義される。物質を構成する粒子の数が N であるときの物質量は

n =\frac{N}{N_\text{A}}

で与えられる。比例係数 NAアヴォガドロ定数である。 化学反応に基づく定義との整合は、理想気体を統計力学に基づいた自由粒子の系として扱ったときにモル気体定数が R = NAk で表されることから確認される。

歴史的な単位[編集]

物質量を表す歴史的な単位として以下に挙げるようなものがあるが、計量法ではモルのみの使用しか認めていないことから、MSDSのような公示文書や商品の計量表示ではモル以外の表記は推奨されない。

グラム原子 (gram atom)
単体の物質量を表す単位で、原子 1 mol を含む単体が 1 グラム原子である。例えば窒素 14.01 g1 グラム原子になる。
グラム分子 (gram molecule)
分子を形成する物質の物質量を表す単位で、分子 1 mol を含む物質が 1 グラム分子である。例えば窒素 14.01 g0.5 グラム分子になる。
グラムイオン (gram ion)
イオンの物質量を表す単位で、イオン 1 mol1 グラムイオンである。例えば塩化ナトリウム 58.44 g にはナトリウムイオン 1 グラムイオンと塩化物イオン 1 グラムイオンが含まれる。
グラム式量 (gram formula mass)
分子を形成しないような物質の物質量を表す単位で、その物質の組成式1 molを含む物質が1グラム式量である。例えば塩化ナトリウム58.44 gは1グラム式量になる。
グラム当量 (gram equivalent)
中和反応や酸化還元反応に関与する物質の物質量を表す単位で、水素イオンあるいは電子 1 mol を放出あるいは受容する物質量が 1 グラム当量である。例えば硫酸 98.08 g2 mol の水素イオンを放出するから 2 グラム当量である。1グラム当量の物質を含む 1 L の溶液の濃度1 規定である。

脚注[編集]

  1. ^ 第8版SI文書 1.3

外部リンク[編集]