未知への飛行

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未知への飛行
Fail Safe
Edward Binns in Fail-Safe trailer.jpg
監督 シドニー・ルメット
脚本 ウォルター・バーンスタイン英語版
ピーター・ジョージ英語版
原作 ユージン・バーディック、ハーヴィー ウィーラー
フェイルセーフ英語版
製作 シドニー・ルメット
チャールズ・H・マグワイア
マックス・E・ヤングスタイン英語版
出演者 ヘンリー・フォンダ
撮影 ジェラルド・ハーシュフェルド英語版
編集 ラルフ・ローゼンブラム英語版
製作会社 コロンビア映画
配給 アメリカ合衆国の旗 コロンビア映画
日本の旗 インターナショナル・プロモーション
公開 アメリカ合衆国の旗 1964年10月7日
日本の旗 1982年6月26日
上映時間 112分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 $1,800,000(レンタル)[1]
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未知への飛行』(みちへのひこう、原題:Fail Safe)は、1964年制作のアメリカ合衆国の映画シドニー・ルメット監督。

核戦争を題材とした映画。原題の“Fail Safe”とは、核装備の爆撃機が何かの誤りで攻撃目標を爆撃することを防ぐ制御組織のこと[2]

日本でのビデオタイトルは『未知への飛行/フェイル・セイフ』。

あらすじ[編集]

米ソ冷戦時代。アメリカ空軍のグレイディ大佐率いるB-58爆撃機の編隊が巡回飛行中、モスクワを核攻撃せよとの指令が入り、グレイディ大佐は部下の4機の爆撃機を率いてモスクワ上空へと向かう。

しかし、これはアメリカの軍事コンピュータが誤作動を起こしたことによる誤った指令であった。これを知ったアメリカ政府は攻撃を阻止すべく急遽対策を協議するが、そうするうちにも、グレイディの編隊は帰還可能ポイント=フェイル・セイフを越えてしまう。

ここを越えてしまうと、たとえ大統領といえども引き戻すことはできないため、大統領はホットラインを通じてソ連首相に領空侵犯は手違いで起きたものであることを伝えたうえで、ソ連側で爆撃機を撃ち落してくれるよう依頼する。

編隊のうち4機はソ連側の迎撃部隊によって撃ち落されたが、グレイディ機だけは攻撃をかわしてモスクワ上空に到達、ついにモスクワに核攻撃が行われてしまう。

大統領は全面核戦争を回避し、ソ連にモスクワ爆撃が手違いで起きたことを納得させるため、驚くべき決断を下す。

キャスト[編集]

※括弧内は日本語吹き替え

製作[編集]

映画はホワイトハウスの地下壕、アメリカ国防総省の作戦会議室、戦略航空軍団作戦会議室、B-58コックピットで展開される。市民の日常生活はオープニングと映画のラストのみに登場し、ラストのニューヨークのシーンでは市民は核爆発の脅威を感じず、爆発の瞬間に映像が静止するシーンで終了する。音楽はアラスカ州の空軍基地のラジオ音楽以外使用されていない。一方の当事国であるソ連が登場せず、物語は国防総省と戦略航空軍団の作戦室にある電子地図で描かれる。アメリカ大統領とソ連首相との会話は、ラリー・ハグマンが演じる通訳の翻訳によって描写され、映画は大統領やグロテシェル教授、ブラック将軍、ボーガン将軍などのアメリカ政府・軍部首脳の会話で構成されている。

原作に登場する爆撃機「Vindicator」はB-58の資料映像を使用しており、迎撃機のF-104F-102ミラージュIIIF-101もフィルムクリップで描写されている。これは、核兵器を適正に管理できていないことを前提とした映画への協力をアメリカ空軍が拒否したため、資料映像しか使用できなかったことによる[3]。グレイディ大佐の爆撃機編隊のシーンは、1機のB-58の資料映像を複数のB-58が存在しているように編集したものが使用されている。

訴訟問題[編集]

『博士の異常な愛情』のワンシーン

『未知への飛行』と『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』は、両方ともコロンビア映画の製作作品で、核戦争の危機を描いた点も共通している。『博士の異常な愛情』は、ピーター・ジョージ英語版の『破滅への二時間英語版』を原作にしており、監督のスタンリー・キューブリックは本作と競合して興行成績を損なうことを避けるため、『博士の異常な愛情』を先に公開するように求めた[4]

キューブリックとジョージは、原作の『破滅への二時間』と『フェイルセーフ英語版』の内容が似ていることから、「盗作された」として『未知への飛行』に対して訴訟を起こした[5]。最終的に両者は和解したため、本作は『博士の異常な愛情』より8か月遅れで公開されることになった[6]

評価[編集]

本作は批評家からは好評だったが、興行成績は振るわなかった。これは、同じテーマを扱った『博士の異常な愛情』が先に公開されたためである。しかし、本作は原作の品質を保持しているものとして高い評価を受けている[7]。原作と映画は、長年「コンピューターの誤作動が核戦争の危機を招く」という考えを否定する人々から批判されたが、核戦争の危機を描いたことで広く世間に受け入れられている[3]

リメイク[編集]

2000年、テレビ映画『FAIL SAFE 未知への飛行英語版』としてリメイクされた。監督はスティーヴン・フリアーズ、キャストはリチャード・ドレイファスジョージ・クルーニーノア・ワイリーブライアン・デネヒーサム・エリオットハーヴェイ・カイテルら。

脚注[編集]

  1. ^ "Big Rental Pictures of 1964". Variety, January 6, 1965, p. 39.
  2. ^ 英和辞典 Weblio辞書による。
  3. ^ a b "Fail-Safe (Reviews)." strategypage.com. Retrieved: September 5, 2012.
  4. ^ Jacobson, Colin. "Review:Fail-Safe: Special Edition (1964)." dvdmg.com, 2000. Retrieved: November 21, 2010.
  5. ^ Scherman, David E. (1963年3月8日). “in Two Big Book-alikes a Mad General and a Bad Black Box Blow Up Two Cities, and then— Everybody Blows Up!”. Life Magazine: p. 49. https://books.google.com/books?id=oU8EAAAAMBAJ&pg=PA49 2017年8月18日閲覧。 
  6. ^ Schlosser, Eric (2014) (英語). Command and Control: Nuclear Weapons, the Damascus Accident, and the Illusion of Safety. Penguin. p. 297. ISBN 9780143125785. https://books.google.com/books?id=lJ6JDQAAQBAJ&pg=PA297. 
  7. ^ Erickson, Hal. "Fail Safe (1964)." The New York Times. Retrieved: October 24, 2009.

参考文献[編集]

  • Dolan Edward F. Jr. Hollywood Goes to War. London: Bison Books, 1985. 0-86124-229-7.
  • Evans, Alun. Brassey's Guide to War Films. Dulles, Virginia: Potomac Books, 2000. 1-57488-263-5.
  • Harwick, Jack and Ed Schnepf. "A Viewer's Guide to Aviation Movies". The Making of the Great Aviation Films, General Aviation Series, Volume 2, 1989.
  • LoBrutto, Vincent. Stanley Kubrick: A Biography. New York: Da Capo Press, 1999. 978-0-306-80906-4.

外部リンク[編集]