教育実習

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search

教育実習(きょういくじっしゅう)とは、教育職員免許状の授与を受けるために修得する単位のこと、または、その科目の内容として各学校で行われる実習のことである。

概要[編集]

免許状の授与を受けるためには教育実習の単位を得る必要がある[1]。 取得しようとする校種により実施すべき機関や校種は異なるが、原則として養護教諭および栄養教諭を除くすべての校種教科において必要である。ただし、一部の免許状については資格や実務経験を根拠に教育実習を実施することなく教員免許を取得することも可能である[2]

教職課程を設けている大学短期大学教員養成機関などで科目として開講されており、事前・事後指導分として1単位、実習本体として2~4単位が認定される。 免許状取得には事前事後指導分あわせて幼稚園小学校中学校で5単位、高等学校で3単位が必要である。教育実習の実施期間については法令では明記されておらず、各都道府県の教育委員会によって若干見解が異なるが、一般的に幼稚園・小学校で4週間、中学校で3週間、高等学校で2週間とされる。

なお、特別支援学校教諭は教育実習ではなく「心身に障害のある幼児、児童又は生徒についての教育実習」を行う必要がある[3]。同様に養護教諭は「養護実習」[4]、栄養教諭は「栄養教育実習」[5]を行う必要がある。

実習校[編集]

教育実習は、原則として取得しようとする免許状の校種かその隣接校種で行う必要がある[1]。 実習校の確保にあたっては、在籍する大学等によって次の方法が存在する。

  • 実習希望者が実習校と交渉して内諾を得た後、実習希望者の在籍する大学等が正式に依頼を行う
  • 実習希望者が在籍する大学等の附属学校で行う

学校には教育実習生を受け入れる義務はない。業務とリスクが増加するにもかかわらず、次世代の教員育成のために、いわば学校の「厚意」によって実現しているものである。 そのため各学校毎に実習生の受け入れ基準や実施時期、実施内容等は異なり、卒業生しか受け入れない学校も少なくない。

実習の実際[編集]

教育実習の内容については法令等で定められておらず、その内容は教育委員会の内規や受け入れ校の校長及び指導教諭等現地教員により決定されているため、学校ごとあるいは教科ごとに実施内容が異なるが、多くの場合、学級指導・教科指導・学校行事など教育活動のほぼすべての領域に参加する。 法令上、教科指導は取得しようとする免許状の教科に限られているわけではないが、免許状を取得しようとする教科以外の教科の授業をあえて担当することは指導教諭・実習生とも負担になるだけであり、通常は行われない。ただし、中学校における実習では「特別の教科道徳」はこの限りではない。

  • 説明、講話
  • 学級活動・ホームルーム活動
    • 学級・ホームルームにおける児童・生徒への連絡報告指導を担当する。具体的には、学級担任とともに朝、帰りの学級活動・ホームルーム活動や給食清掃などの指導を行う。
  • 授業参観
    • 指導教諭の指導のもとに授業を見学する。
  • 教材研究
    • 指導教諭の指導のもと、実習で担当する授業の教材研究学習指導案の作成、その他必要な授業の準備などを行う。
  • 教科指導
    • 指導教諭の指導のもとに実際の授業や、宿題・提出物等の点検・添削を行う。
  • 研究授業
    • 学校が指定したスケジュールのもとに実習生の授業を公開する。他の教職員、実習生や大学の担当教員が見学する場合もある。
  • 合評会
    • 研究授業等の総括・反省を行い、研究協議する。校長・教頭・指導教諭ならびに、研究授業を見学した教員が参加する。
  • 校務
    • 指導教諭の指示のもとに、学校運営で必要な事務や作業等を行うこともある。
  • その他
    • 課外活動や部活動学校行事等における児童・生徒の指導を行うこともある。

問題点[編集]

実習期間の問題

実習期間が2週間から4週間程度と短いためにどうしても教科指導が中心となり、それ以外の校務の実習が少ないためその効果について疑問視する意見もある。また実際に採用されて教員として現場に就くまでのブランクが少なからず存在することなどから、研修期間としてその意味が十分果たせているのかどうか疑問の声もある。なお、ソ連の教育実習は1年間(学校9ヶ月、ピオネール3ヶ月)だった。

教員志望者でない者の実習

教員志望ではないが教員免許状を取得するためだけ、あるいは単位を稼ぐためだけに教育実習に臨む実習生も少なからず存在する。 教育実習は上述のように受け入れ校による厚意で成立している制度であり、教員志望者ではない者を受け入れること自体がリスクになりうる。 そのため近年では教員採用試験を受験することを条件とする場合や、面接や簡単な試験などを課している場合もある。

関連項目[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b 教育職員免許法施行規則第六条
  2. ^ 教育実習なしの教員免許
  3. ^ 教育職員免許法施行規則第七条
  4. ^ 教育職員免許法施行規則第十条
  5. ^ 教育職員免許法施行規則第十条の四

外部リンク[編集]