接骨院

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接骨院(せっこついん)とは、柔道整復師が日本の伝統医学の1つである柔道整復術を行う施術所整骨院ほねつぎとも呼ばれる。接骨院での医療行為を「施術」という。[1]WHOは「世界各国の伝統医学と法的地位」レポートにおいて、「Judo Therapist(柔道セラピスト)」と定義している[2]。挫傷・不全骨折・捻挫・打撲・骨折・脱臼等の治療を行っている[3]が、医師の同意の元での骨折・脱臼は応急の場合を除き医師の同意(口頭でよい)が必要。骨折・脱臼に対する柔道整復師の施術は、柔道整復等営業法第一条の規定によって定められ、理論上医師法第十七条に所謂「医業」の一部とみなされている[4]。病院ではないので病院と比べると医療行為や健康保険の適用に制限がある。[5]

歴史[編集]

接骨院の前身について。 アンブロワーズ・パレ[6]が記した外科書『パレ大全』が全世界に広がり、オランダでも翻訳され、日本にも蘭学の1つとして伝わった。オランダ経由で日本に入ってきたパレの書は、日本では楢林鎮山が『紅夷外科宗伝』[7]として翻訳したものや、そこからさらに『整骨書』[8]二宮彦可の『正骨範』として出版されるに至った。内容は骨折や脱臼の治療方法について解説がなされたものであった。

接骨院は折れた骨や脱臼の整復を行うというように、どちらもこの流れを汲むものである[9]

治療時間[編集]

診療時間は都道府県ごとに決められており、平日は午前9時から午後7時までが一般的で、午後1時から3時までは休診とし、この時間を往診に当てたりする。日曜、祝日は休診、土曜は午後を休診とする場合が多い。急患の場合は、時間外でも施術に応じる。[10]

診断から治療における施術の特徴[編集]

日本非観血的手術(非観血的整復術・徒手整復)古来固有の民間療法、伝統治療とされ、西洋医学のノウハウも施術には取り入れられている。[11]

厚生労働省では平成23年に診断から治療における施術について、次のように記載している。

『治療は、各種損傷に対して、評価、整復、固定、後療法、指導管理などを行う。評価では、患者の症状を聞く問診、患部を観察する視診、患部に触れて診断する触診を行い、患者の状態を把握し、柔道整復師の業務範囲かどうかを判断する。その後、損傷の程度や患者の自然治癒力に合わせて治療方針を決定する。 整復では、骨折の際の骨の損傷や、脱臼・捻挫の際の関節部分のずれなどを、手技により正常な状態に戻す。固定では、患部の治癒の促進、再転倒などの防止、痛みの軽減のために、ギプスなどの固定材やテーピングなどで患部を固定する。』[12]

柔道整復師が柔道整復を行う。この柔道整復は柔道整復師以外には医業を許可された医師も行うことができると法律で許可されている。柔道整復は「医業」の一部と看做され、医師法に対する特別法の位置づけとされている。

  柔道整復師法 第十五条  医師である場合を除き、柔道整復師でなければ、業として柔道整復を行なつてはならない。

    医師法  第十七条  医師でなければ、医業をなしてはならない。

施術と治療の違い[編集]

柔道整復師が行う医療行為のことを「施術」といい、医師が行う「治療」とは区別されています。出典 かわさきけんぽニュース 平成22年[13]

施術者の名称・呼称[編集]

大辞林 第三版、日本大百科全書(ニッポニカ)、デジタル大辞泉、世界大百科事典において、接骨医、接骨師、整骨医、整骨師 について柔道整復術・接骨術を行う柔道整復師として収録されている。[14] [15] [16] [17] 富山県市町村職員共済組合 共済だより(平成27年1月号)、川崎重工業健康保険組合 かわさきけんぽニュース(平成22年4月10日発行)などで、柔道整復師は一般的に「整骨医」「接骨医」「骨つぎ」と呼ばれていることが紹介されている。[18][19][20]

職業名としての接骨医・整骨医[編集]

平成23年に厚生労働省において職業名として接骨医・整骨医とされている。これは「○例示には、当該項目に含まれる職業名の中で代表的と考えられるものに限って掲載している。」として接骨院を開業することのできる柔道整復師の職業名が接骨医・整骨医とされた文書であり、法律により作成されたものである。(出典:「厚生労働省編職業分類 -職業分類表-」 平成23年改定 厚生労働省職業安定局)[21]

ただし、厚生労働省職業安定局(ハローワーク)では柔道整復師の職業名を接骨医・整骨医として利用されている[22]が、医師法第18条は、医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない [23] と定めてられており、柔道整復師向け情報サイトでも本法について記載がなされている。[24]

また、学研災の規定に「医師の診断のみ受付となりますが、脱臼、骨折、打撲、捻挫に限り、接骨医、柔道整復師の診断でも可能」とあるように医師、歯科医師、獣医師とは区別されている。[25]

批判[編集]

2004年には、日本臨床整形外科医会(JCOA)理事長は 「柔道整復師はきちんと仕事をされるグループが本流ですが、問題はお金儲け一本のグループがあり、次第にこの数が増えていることです」とコメントしている[26]。大阪柔整師会会長は「医療とはほど遠い『保険が利く客引きマッサージ』のような接骨院・整骨院が林立する惨状がある」とコメントしており、同団体は療養費の適正化を進めようとしている[27][28][29]

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ https://www.khi-kenpo.or.jp/organ/kenpopdf/kawasaki_567.pdf
  2. ^ Legal Status of Traditional Medicine and Complementary/Alternative Medicine: A Worldwide Review (Report). 世界保健機関. (2001). http://apps.who.int/medicinedocs/en/d/Jh2943e/9.6.html. 
  3. ^ http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20120802_1.pdf
  4. ^ http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe2.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=SEARCH&SMODE=NORMAL&KEYWORD=%97%9d%98%5f%8f%e3%88%e3%8e%74%96%40%91%e6%8f%5c%8e%b5%8f%f0%82%c9%8f%8a%88%e0%81%75%88%e3%8b%c6%81%76%82%cc%88%ea%95%94%82%c6%8a%c5%98%f4%82%b3%82%ea%82%e9&EFSNO=1626&FILE=FIRST&POS=0&HITSU=1
  5. ^ https://www.khi-kenpo.or.jp/organ/kenpopdf/kawasaki_567.pdf
  6. ^ アンブロワーズ・パレ(1510 - 1590)は、フランス王室公式外科医。戦場医として活躍した。整形外科の元祖とされる。当時、ヨーロッパでは一言で「医を行う人」と言っても、いくつかタイプがあって、大学でガレノス医学など、伝統や慣習で成り立った医学を学んだ者たち(古い理論ばかりを学び、そうした理論を疑うことや自分たちで新たな発見を付け加えることは許されず、まともな外科治療はほとんど行っていなかった人たち)と、「床屋外科医」と呼ばれる、メスなどを用いて実際に外科的治療も行う人たちがいた。当時、「人の髪を切ることは、ひとの身体に刃物を入れること」として、外科と髪を切ることは同列に考えられ、それら(外科と床屋業)は同一人物によって兼業で行われていたのである。 パレは大学の教育を受けなかった(『近代外科の父・パレ』〈NHKブックス〉、83-87頁。「パレは床屋から身を立て、外科の実技には通じていたが大学で教育されたわけではなく」)が(というよりむしろ、そのおかげで、当時の大学での医学教育を受けずに済み、実践的に現場で各治療法の実際の効果を比較できたからこそ)実際に効果のある治療法を選びとることができ、その成果を書物として残したので、整形外科医の元祖と称されることになったのである。 パレの業績で特筆すべき事項は、当時の“医師”がキズを火で赤くなるまで熱した鉄のコテで焼く、という“治療”をしていたのに対して、出血を結紮により止め、軟膏や湿布により治療する方が治りや回復がよかったということを実績で証明し、書籍にしたことである(『近代外科の父・パレ』〈NHKブックス〉、100-102頁。「銃創の治療に新しい方法」)。 それに対して、当時の大学出の者たち(“医師”たち)は自分たちがなかなか成果をあげられないのに、パレが実績をあげたことを妬み、徒党を組んで、パレの書物の出版を妨害しようとしたり、あげくは(医師でありながら)パレを毒殺しようとする者までいた、と伝えられている(『床屋医者パレ』〈福武文庫〉、288,288-289。「当時の医師会はパレの本の焼却そして出版を差しと止めようとした」)。 だが幸いなことに、王にその腕を見込まれ、侍医にもなったパレは王に守られて、現在にその名を残すことができた。(『床屋医者パレ』〈福武文庫〉、96頁。)
  7. ^ 長崎のオランダ医学(長崎大学附属図書館医学分館所蔵) (Report). オリジナルの2013年6月25日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130625043101/http://www.lb.nagasaki-u.ac.jp/search/ecolle/igakushi/nagasakioranda/nagasakioranda.html. 
  8. ^ 柔道整復術の歴史(公益社団法人 大阪府柔道整復師会) (Report). オリジナルの2012年12月19日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20121219164248/http://www.osaka-jyusei.or.jp/_m/chiryohou/rekishi/. 
  9. ^ 柔道整復師-その歴史と展望-最新のバイオメカニクス(第35回北整学会 日本整形外科学会名誉会員) (Report). オリジナルの2012年12月19日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20121219190957/http://www.jusei.or.jp/open/infomation/gakkaicarnival_06/spec_lec1.html. 
  10. ^ https://www.hellowork.go.jp/doc2/B15301juudouseifukusi.pdf
  11. ^ http://www.brush-up.jp/guide/604/sub_shigoto.html
  12. ^ http://www.brush-up.jp/guide/604/sub_shigoto.html
  13. ^ https://www.khi-kenpo.or.jp/organ/kenpopdf/kawasaki_567.pdf
  14. ^ https://kotobank.jp/word/%E6%8E%A5%E9%AA%A8%E5%8C%BB-548116
  15. ^ https://kotobank.jp/word/%E6%8E%A5%E9%AA%A8%E5%B8%AB-548117
  16. ^ https://kotobank.jp/word/%E6%95%B4%E9%AA%A8%E5%8C%BB-545043
  17. ^ https://kotobank.jp/word/%E6%95%B4%E9%AA%A8%E5%B8%AB-545044
  18. ^ http://www.toyama-ctvkyo.or.jp/info/pdf/260.pdf
  19. ^ https://www.khi-kenpo.or.jp/organ/kenpopdf/kawasaki_567.pdf
  20. ^ http://www.kenpo.gr.jp/scsk-kenpo/topics/hassin/141218_2.html
  21. ^ https://www.hellowork.go.jp/info/mhlw_job_dictionary_02.html#15
  22. ^ https://www.hellowork.go.jp/info/mhlw_job_dictionary_02.html#15
  23. ^ http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO201.html
  24. ^ http://www.jusei-news.com/Old_Site/member/newtopic/2012/04/topic65-2_12_04_16.html
  25. ^ http://www.agu.ac.jp/~tandai/jimu/student/scholarship.html
  26. ^ “座談会 日本の整形外科を考える”. 2004/5/25update. (2004-05-25). http://www.jcoa.gr.jp/gozonzi/content/seikei2003.html 
  27. ^ “医療行政の舞台裏◎反社会的勢力による詐欺事件を契機に 柔道整復師と整形外科医が歴史的和解!?”. 日経メディカル. (2016年4月12日). http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201604/546514.html 
  28. ^ “(公社)大阪府柔道整復師会、療養費適正化理念を発表”. 柔整ホットニュース. (2016年4月4日). https://www.jusei-news.com/gyoukai/topics/2016/04/20160404_01.html 
  29. ^ 療養費適正化理念”. 公益社団法人 大阪府柔道整復師会 (2016年). 2016年6月1日閲覧。

外部リンク[編集]